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リアドラ ーReturn to the Draftー  作者: Tsuyoshi&松山亮太
第十話『ゴールドバニー』
100/128

#9

 学食の食堂で一人静かにランチを食べているエイク。そこに西小路が現れた。


「エイク君、となり、いいかな?」


 西小路がランチを持ってエイクに笑顔で話し掛けた。


「う、うん」


 突然の思いもよらない嬉しい展開に、エイクは慌てて返事をしながら椅子を引く。


「ありがとう」


 西小路はエイクにお礼を言って隣に座った。彼の笑顔が眩しく見える。エイクが内心喜んでいると、西小路のあとに、ローガン、紅葉、かやの、そして王が続いてやってきた。ローガンは西小路の隣に座り、ローガンの正面には紅葉、紅葉の隣で西小路の正面にはかやの、そしてかやのの隣でエイクの正面には王が座った。静かだったテーブル席が一気に賑やかになった。


「ランチは皆で食べるとベリーデリシャスですネ! グレートフレンド!」

「そうだね、こうして友達同士で集まって食べると楽しいよね」

「んだなー」

「・・・・・・・・・・・・」


 大げさな身振りのローガンの言葉に同調する西小路とかやの。しかしエイクはその言葉に無言で俯いた。


「ハァン? オマエはマダ友達じゃネェヨ、西小路。かやのサ~ン、あーん」


 王は西小路に反抗してから、かやのにトンカツを食べさせようとする。が、かやのは王が箸で掴んでいるカツを手で掴み取り食べる。王は「ガーン」とショックを受けている。


「皆フレンド同士という事は・・・・・・小野原サンともグレートフレンド⁉ Fu~!」

「ウフフ、賑やかなのは良い事ですわ」


 ワイワイと賑やかな会話が溢れる中、エイクが西小路に切り出した。


「あ、あの・・・・・・西小路君。これ・・・・・・ひとつ食べるかい?」


 エイクは皿のおかずを指差す。西小路は、


「良いのかい? ありがとう。じゃあ僕のもひとつ」


 そう言ってニッコリ笑いながら互いのおかずを交換する。エイクは嬉しくて頬を赤らめながらニッコリ笑った。

 すると西小路の隣にいたローガンも、


「OH! グレートフレンド! ミーのもシェアするデース!」


 と、おかずを差し出す。西小路がローガンの皿から料理を貰おうとした時に、西小路の日々鍛えられている胸筋がローガンの目に留まる。その瞬間、ローガンは西小路の肩を抱き、彼の大胸筋をポンポンとタッチする。


「ジムには来なくなったけど、ちゃんとエブリデイ鍛えてるようデスネ! 肩も前よりビッグになってきてマース!」


 西小路はジムで中年ボディビルダーから尻を掴まれたトラウマを思い出し、


「や、やめてくれ、ローガン! 僕はそういうの苦手なんだ」


 鳥肌を立てながらローガンのボディタッチをたしなめようとする。


「ソーリー、グレートフレンド。悪気はないんだ」


 その二人のやりとりを見ていた王が、鼻で笑いながら茶々を入れる。


「ほぉ・・・・・・西小路。オレ、オマエの事ジェンダーだト思ってたヨ。ちナみにオレは異性愛者ダガな。かやのサ~ン! 今度コソ、あーん」


 再びカツを食べさせようとする王と、またも手で掴み取るかやの。そんな二人の光景を見ながら、西小路は苦笑する。彼の目には、かやのの後ろに堕天使姿のゼクスが重なって見えているからだ。


「ハハハ・・・・・・僕も同性愛者では無いかな」


 それを聞いてエイクはハッとなった。目の前の景色がどんどん色褪せていく。まるで視界が遠のいていくように・・・・・・。

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