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 お出かけ 4

♢14♢


 三人で露店を見て回っている。

 その間……主に一人が食べ物系の露店を制覇しそうな勢いで食べている。

 それに伴い袋の中のお金がみるみる内に無くなっていく。


 それなりにあったはずなのに……。


「──お兄ちゃん! 次はあれ食べたい!」


「君、少しは自重しないのか?」


「なんで? 楽な仕事で良かったじゃない。本来、アナタのやる事をやるだけでお金になるのよ。破格だと思うけど?」


 そうなのかもしれないけど。

 お金には、もう少し使い方があると思うんだ。


「ミネラも遠慮しちゃダメよ? 欲しいと思ったら、全部買ってもらいなさい!」


「わかった」


「スカーレット。ミネラに変なことを教えるなよ……」


「変なことじゃないわ。処世術よ」


 物は言いようだな……。


「あの子は少しくらい我儘言っていいのよ。我慢なんて毒よ?」


 ミネラはそうかもしれない。でも、君は少し我儘言いすぎだと思う。


 その後も、スカーレットは容赦なかった。

 彼女の気が済んだときには袋は空になり、また一文無しになった……。


 露店を見て回る内、一つだけミネラが欲しがった物があった。

 そう本人が口にしたわけではなかったんだけど。


 綺麗な石のペンダントだった。だけど、高価なものということもなく、本当にありふれた物だったと思う。


「それ、欲しいのか?」


「…………」


 ミネラはジッと見ているだけで、欲しいとは言わない。


「お兄ちゃんは、ダメだなんて言わないわよ?」


 二人で促しても欲しいとは口にしない。

 どうしようかとスカーレットに耳打ちする。


(……あれ、欲しいのかな?)


(そうじゃない。口には出さないけどね)


(どうしようか?)


(本気で言ってる? 決まってるでしょ──)


 スカーレットは言った。


(アンタが買っちゃいなさい! それで、あの子にプレゼントしてあげるのよ。口に出さないから欲しくないなんてことは無いわ。お兄ちゃん冥利につきるでしょ?)


 僕一人では迷って結局は買わなかったと思う。

 あの子は欲しいとは言わなかったから……。


 スカーレットが言ったことは正しかった。だって、ミネラはあんなに嬉しそうな顔をしたんだから。


 ♢


 時間が経つにつれ人もまばらになってきた。

 僕もそろそろサウスのところに行く時間だろう。


 帰ろうと二人に伝え、また三人で帰路につく。

 並んで手を繋いで。


「おい、これ忘れてるヨ。こっちも店仕舞いだからネ。いらないなら構わないけど」


 大通りに出るところで声をかけられた。


 そうだった。携帯電話を忘れていた。


 でも、できれば顔を合わせたくはなかった。すでに袋の中のお金が空っぽだとは言えない……。


「さっきの商会の人」


 商会の人……。

 スカーレット。その呼び方はどうなんだろう。


「まぁ、何でもいいヨ」


 ──いいんだ! ……んっ?


「店仕舞いって、今日はもうお終いですか?」


「今日はじゃないヨ。しばらくここは休み。オマエも気をつけろヨ? ここに留まるってことは、そういうことネ。忠告だよ」


 ……忠告?


「今日からは、貴族の演し物しかやらないヨ。客を全部持っていかれるから、他はみんな休みネ。街にいたら危ないからワタシたちは避難する。残るなら本当に気をつけた方がいい……」


 ルプスの言っていた船も来るのだろう。


「支部のある村にいるから、なんかあったら言ってこい」


「こないだのところよ」


 あの村に……──あれっ、それってマズくないか?


 村の人たちを上手く逃がせたとして、そこに残った人が自分は関係ないと言っても信じてはもらえなんじゃないのか? むしろ疑われるだろう。


「あのっ──」


 スカーレットに腕を掴まれる。喋るなということだろう。

 確かに勝手な行動だと思うけど、伝えた方がいいはずだ。何も知らせずにはいられない。


「こっちの心配はいらない。好きにするといい。自分の身くらい自分で守れるヨ」


 気づいているのか?

 それでも好きにすればいいと?


 それだけ言って携帯電話を手渡し、そのまま去っていってしまう。


 ……これでよかったのか。


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