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 お出かけ 2

 スカーレットは一人先に外に出ていった。

 いるはずのない人間だし仕方がない。

 その彼女が堂々と屋敷から出ては行けない。


 だからミネラと二人。待ち合わせた場所に向かう。

 誰にも声を掛けられることなく外に出られた。


 断る必要はないのだろうが、ミネラが一緒だからな……。


「おねえちゃん。まってるかな?」


「すぐそこだから大丈夫だよ」


 三人でと言ったのにいきなりスカーレットがいなくなったもんだから、ミネラは心配そうだ。

 その手を繋いだ方がいいかと歩きながら考えていると、


 ──ゾクリ


 急に悪寒がした。凄く嫌な感じだ。

 少しずつ分かるようになっていた。

 明らかに人間とは異なるソレを。


「ロミオ……」


 彼の気配とでも言おうか?

 纏わり付くような感じ。決して、いいものでは無いと感じる。


 最初に感じたのはミネラの一件の時だった。

 それが日が経つごとに、はっきりと分かるようになっていた。


「アスカ。どこかに行くのか?」


 ミネラは、ギュッと手を掴んでくる。

 僕は、その手を離さないようにしっかりと握る。


「西側を見に行こうと思ってね」


「そうか。私は少し休もうと思ってな。完全に昼夜が逆転しているな……」


「二人は?」


「見回りだ。じきに戻ってくると思うが、何か用事か?」


 姿が見えなかったから。とだけ伝える。

 その事にロミオはそれ以上何も言わなかった。


「それにしても、一日で随分成長したな。防御は大事だ。相手が攻めあぐねれば、それは隙になるからな」


 驚愕するしかなかった。


「そんな事。見ただけで分かるのか?」


「ああ、相手を見れば大抵はな。素晴らしいな。本当に……」


 隠すつもりは無かったが、簡単に見抜かれるとは思わなかった。


「ひと月もあれば追い抜かれてしまうな。サウスは、さぞ喜ぶだろう。教えがいもあるだろうしな」


 その言葉に偽りはないと思う。

 ロミオは本気でそう思ってるはずだ。


「……もう行くよ」


「そうか。またな……」


「あぁ……またね」


 これはロミオと交わした最後の挨拶だった。

 次に言葉を交わすのは最後の日。その終わり。


 この時、ロミオは震えて僕の手を離さないミネラを一度も視界に入れなかった。

 きっと彼には見えていなかったんだろう。


 いや、最初からそうだったのかもしれない。

 彼にとっては、消費され国の発展に貢献する物でしかない人たちなんて……。


 ──君は、そう生きてきたんだろ?


 ♢


 スカーレットと合流し三人で歩く。

 ミネラは手を離してくれないので、そのままだ。

 ミネラの反対側の手をスカーレットが繋いでいる。

 だから三人で横に手を繋ぎ歩いている。


 何だか恥ずかしいな。二人には言えないけど……。


「相手の強さって表面から分かるのか?」


「……唐突になに」


「いや、ちょっと気になって」


 さっきのロミオの言葉が気になっていた。


「表層で大体分かるわよ。魔力量は誤魔化せない。強い人は強いって分かるし。ああ、でも……」


「でも?」


「魔力に依存しない人は分かりにくい……。ルプスみたいな獣人とかね。あと、違う世界からやって来て、強いのか弱いのか分かりにくい人とか?」


 ……僕のことだろうか?

 思ったより複雑みたいだ。分かりにくいっていうのもあるのか。


「僕とロミオ。どっちが強い?」


「貴族。アナタは感じる力は強いはずなのに、それだけ。私と戦ったとして絶対に勝てる?」


 即答されるとは……。そうだとは思ったけどね。


「スカーレットは強いのか?」


「試してみる?」


「遠慮します……」


 こう思う時点で、絶対勝てるとは言えない。

 意識の問題なのかもしれないけど……。


 でも、掛け値無しにロミオは強いのだろう。正面からぶつかったのではダメか。


 戦うと決まったわけではないが覚悟は必要だ。

 ルプスに力を貸すというのは、そういうことだ。


「ねぇ、今の女の子と歩きながらする話じゃないと思うんだけど? ……ダメなお兄ちゃんね?」


 スカーレットは隣のミネラに同意を求める。


「だめな、おにいちゃんねー」


 二人にそう言われてしまう。


「そうだったな。今、するような話じゃなかった」


 こうしている時くらい、こちらを優先するのが正しいか。


 何よりも優先したいものはあったのに。

 今だって、そうしたいはずなのに。

 それ以外に気を取られる。それはどうしてだ?


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