真実 6
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四日目の夜。作戦会議前にルプスに呼び出された。見せたいものがあると。
場所はムツの街。その街の中で最も大きな施設。
貴族であるロミオ自身が所有し、催しを行う場所。
街の客は全てと言っていいほど、ここに集まっていた。
「こないだの盗賊を覚えてるな? アイツらの一人が出る。観ておいたほうがいいと思ってな」
始まったのはゲーム。
円形の施設。その舞台に男が一人。
あの時の盗賊の男の一人だった。
観客は上。役者は下。役者に逃げ道はない。
四方の檻には柵が降りていて、時間が経つと一つずつ開く仕掛け。
檻の中からは、この国にはいないはずの魔物。
最初の檻から魔物は一匹だけだった。男はこれを倒した。
二つ目の檻が開く。
今度は四匹。先ほどより強そうな魔物。
男は必死に戦い、ここも切り抜けた。
客の熱は高まっていく。
早く血を見せろと。早く死ねと。
三つ目の檻が開く。
そこから現れたのは、元が何だかすら分からないモノだった。牙に爪。複数ある頭。そのどれもが違う生き物だった。
飢えたそれは男に襲いかかる。鋭い爪は男を貫いた。
その傷はどう見ても致命傷だった。間もなく男は動かなくなった。もう息もしていないだろう。
それでも攻撃は続く。その体が原型をとどめている限り……。
終わったのだろう。
血で汚れた舞台を黒い兵士が片付ける。綺麗にし仕切り直す。
また、舞台に人間が連れてこられる。今度は三人。
檻は再び閉じていて、また最初から今のを繰り返すのだろう。
「どうだ。面白かったか? これは遊びの一つでしかない。助かる方法? 最後の檻に入れば助かる。今回はな……」
役者は死ぬまで演じるしかない……。
幾度も繰り返し、最後は命を落とす。
客は生き死にに、賭ける。
自分たちは舞台を見ているだけだから。ただ、遊び感覚でしかない。
「人間は残酷だ。許されるなら、このくらいどうとも思いやしない。それが全てでは無いが、ここにいるヤツらは一緒だ。遊びでしかない。使われる人間の心など理解しようともしない……」
舞台から歓声が上がる。
一人生き残ったらしい。他の二人を囮にして。
……そうするしか無かったんだろう。
「人数が多いなら、ああなる。人の浅ましさ、誰かを犠牲にしてでも自分は生き残りたい。そんな様を見て楽しんでやがるのさ……」
僕はロミオと話をしようと思っていた。でも、それは間違いだったのだろう。
これを見なければ、まだ信じようとしていたかもしれない。
僕には目的がある。何よりも優先したい目的が。だけど、これを見過ごすことは不可能だ。
酷すぎる。どうして笑っていられる?
理解できない。したくもない。
狂ってる。この国は……。それを治めるロミオも。
彼は賭けには興味が無い。その催しにも。
彼はこの国が発展していくのが、楽しいのだ。その為に画策するのが。
だから残酷でも、それが受ければいい。
また観たいと思わせればいいのだ。そうやって需要に応え続ける。
結果が、今のこの国だろう。
だから、この街は綺麗なんだ。表向きは……。
景観を乱すものを切り捨てているのだから。
見えないようにしている。他の街や村が、それを語っている。
やがてはルプスの村のように、一つずつ消していくのだ。
そして最後には綺麗なものだけが残ると思っているのだろう。
決して、そうはならないのに……。




