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 真実 6

♢11♢


 四日目の夜。作戦会議前にルプスに呼び出された。見せたいものがあると。


 場所はムツの街。その街の中で最も大きな施設。

 貴族であるロミオ自身が所有し、催しを行う場所。

 街の客は全てと言っていいほど、ここに集まっていた。


「こないだの盗賊を覚えてるな? アイツらの一人が出る。観ておいたほうがいいと思ってな」


 始まったのはゲーム。

 円形の施設。その舞台に男が一人。

 あの時の盗賊の男の一人だった。


 観客は上。役者は下。役者に逃げ道はない。

 四方の檻には柵が降りていて、時間が経つと一つずつ開く仕掛け。

 檻の中からは、この国にはいないはずの魔物。


 最初の檻から魔物は一匹だけだった。男はこれを倒した。


 二つ目の檻が開く。

 今度は四匹。先ほどより強そうな魔物。

 男は必死に戦い、ここも切り抜けた。


 客の熱は高まっていく。

 早く血を見せろと。早く死ねと。


 三つ目の檻が開く。

 そこから現れたのは、元が何だかすら分からないモノだった。牙に爪。複数ある頭。そのどれもが違う生き物だった。


 飢えたそれは男に襲いかかる。鋭い爪は男を貫いた。

 その傷はどう見ても致命傷だった。間もなく男は動かなくなった。もう息もしていないだろう。

 それでも攻撃は続く。その体が原型をとどめている限り……。


 終わったのだろう。

 血で汚れた舞台を黒い兵士が片付ける。綺麗にし仕切り直す。


 また、舞台に人間が連れてこられる。今度は三人。

 檻は再び閉じていて、また最初から今のを繰り返すのだろう。


「どうだ。面白かったか? これは遊びの一つでしかない。助かる方法? 最後の檻に入れば助かる。今回はな……」


 役者は死ぬまで演じるしかない……。

 幾度も繰り返し、最後は命を落とす。


 客は生き死にに、賭ける。

 自分たちは舞台を見ているだけだから。ただ、遊び感覚でしかない。


「人間は残酷だ。許されるなら、このくらいどうとも思いやしない。それが全てでは無いが、ここにいるヤツらは一緒だ。遊びでしかない。使われる人間の心など理解しようともしない……」


 舞台から歓声が上がる。

 一人生き残ったらしい。他の二人を囮にして。

 ……そうするしか無かったんだろう。


「人数が多いなら、ああなる。人の浅ましさ、誰かを犠牲にしてでも自分は生き残りたい。そんな様を見て楽しんでやがるのさ……」


 僕はロミオと話をしようと思っていた。でも、それは間違いだったのだろう。

 これを見なければ、まだ信じようとしていたかもしれない。


 僕には目的がある。何よりも優先したい目的が。だけど、これを見過ごすことは不可能だ。


 酷すぎる。どうして笑っていられる?

 理解できない。したくもない。

 狂ってる。この国は……。それを治めるロミオも。


 彼は賭けには興味が無い。その催しにも。

 彼はこの国が発展していくのが、楽しいのだ。その為に画策するのが。


 だから残酷でも、それが受ければいい。

 また観たいと思わせればいいのだ。そうやって需要に応え続ける。


 結果が、今のこの国だろう。


 だから、この街は綺麗なんだ。表向きは……。

 景観を乱すものを切り捨てているのだから。

 見えないようにしている。他の街や村が、それを語っている。


 やがてはルプスの村のように、一つずつ消していくのだ。

 そして最後には綺麗なものだけが残ると思っているのだろう。


 決して、そうはならないのに……。


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