異世界にて 6
♢6♢
「なるほど、なるほど……。それはゲートとやらが関係しているのでは?」
異世界の医者ことサウス。
彼は僕が話した内容に対しこう言った。
……ゲートが関係している?
「時期も重なりますし、何より兄妹だ。あなたに資質があるのなら、兄妹にもあるはず。そして……あなたほど肉体的に強くないのでしょうな。過ぎたる力は自身すら蝕むものです」
ゲート。あれが原因?
その考えは今までなかった。
当然、考えるべきことだろうに……。
「ゲートがなくなれば、治ると?」
「なくならないでしょうよ、アスカくん。キミはそれを解決するために来たんでしょう?」
「僕たちが、こちらに来る際にゲートは消えると聞いたんだ……」
「おそらく閉じるだけ。消滅はしないでしょう。影響は小さくなるかもしれませんが、無くなりはしないでしょう」
影響は小さくなるか……。
それが原因だとして、解決策は何だ?
「サウス。結局のところ解決策はあるのか?」
僕が言うより早く、ずっと黙って話を聞いていたロミオが口を挟む。
「残念ながら私ごときには。このくらいしか考えも及びません」
「お前で無理となると、他の者にはもっと無理ということになるな……」
サウスはムツの国一の魔法使いにして、医者。
この国に彼以上の人物はいない。
「他に誰かいないのか? 有名な医者とか?」
「いない事もない。が問題がある」
「──誰だ。どこにいる?」
「真下の国だ。ただ……」
……ただ、何だ?
何故、ロミオは口を閉ざす。
「相手は貴族だ。それも名を持つ貴族。スメラギという女だ。魔女とでも言った方がいいか?」
「ロミオ様……それは……」
「──黙っていろ! 元よりいつかは解決しなければならない問題だ。我が国はスメラギから様々な妨害を受けている。報復などできないし、泣き寝入りするしかない状況なんだ。あの魔女は、どういうわけか魔王に気に入られいる。下手に手を出せば報いを受けるのはこちらだ……」
「どうすればいい?」
「魔女を消すしかないだろう。医者というのは貴族の直属だ。貴族がいては接触するのは無理だ」
貴族を倒し、世界を救う、か。
やはりそれは避けられないみたいだな。
だったらやるだけだ……。
「どの道、貴族との戦いは避けられなかったんだ。最初の相手が近くにいた。それだけだ」
やることは明白な方がいい。
「そう言ってくれると思っていたよ。なら、魔法を覚えなくてはな。サウス頼めるか?」
「構いませんとも。ロミオ様は教えられんでしょうし。ひと月もあれば、はい」
ひと月。その時間はとても短いのだろう……。
とても一から教えるための時間ではない。
だけど、そうなんだとしても──。
自分の頑張り次第では、時間を短縮することは可能なはずだ。
「よし。ならば、それに合わせ私も動こう」
「……ところでロミオ様。ここにおられてよいので?」
「どういう意味だ?」
「いえ、私めの記憶が確かなら、今日は朝から会場の最終確認があったと思ったのですが……」
そう言われれば……ロミオは忙しいと言っていた。
それなのに、ここに来てもう結構な時間が経過している。
「──その通りです! 探しましたよ。屋敷にもおらず、アスカ様のところかと思えば、こちらも同じくいない。出掛けるなら誰かに伝えてもらいませんと」
誰かが部屋に入ってきた。
この人は……。
「よく、ここが分かったな」
ロミオの横に控えていた執事風の男だった。
そして、もう一人。
飾りではないだろう獣のような耳を持つ男。
二人はなんの前触れもなく現れた。
ああ……鍵は壊れてたな。
「いきますよ。まったくフラフラと。我々の苦労も少しは考えてもらいたい!」
ロミオは、二人に左右から腕を持たれ連れていかれる。
「アスカ頑張れよ。また夜に部屋に寄る──」
ロミオは何事か口が動いているから言っているのだろうが、もう聴き取れない。
「……まぁ、あれです。お忙しいロミオ様に代わり、私めが魔法をお教えしますので」
そんな感じで、二日目は終わりを迎える。




