幕間
『──おやおや、ここにお客様とは珍しい。どうぞこちらに。さて、傍観者でしかないアナタとワタクシ。互いに出来ることは眺めること。なんともツマラナイですね……。しかし、世界に干渉することはできませんので仕方ない。共に眺めることにせいを出しましょう』
『煎れましたのでお茶をどうぞ。では、おもてなしも済んだところで、この世界について少しばかりお話を。もちろんアナタが聞きたくなくても、ワタクシは勝手に話しますとも! そういう性分なものでして』
『この世界はさしずめボードゲームとでも言いましょうか。目の前の盤が世界で、駒は彼ら彼女ら。駒は白い駒が人間で、黒い駒は支配者たる者。行うゲームは駒の取り合い。しかし白の駒は残り少なく、駒になれるほどの人間も盤にいない。ゲームは圧倒的大差で黒の勝ちでの、お終いというのが現状。ハハハ、その通り。詰んでます!』
『でも、盤の外から強そうな駒を五つばかり盤に載せるとどうでしょう。ちょっと戦えそうじゃないですか? これはズルではなく、正当な行為であると豪語します。だって、黒の勝ちでは困るのです。ワタクシではなくアナタでもなく、誰かがです。誰かとは誰かでしょうよ』
『で、このゲーム。あまり知られていないですが裏技が存在します。取った駒は再利用することができるのです。白は黒に、黒は白にすることができるのです。知られていないので意味ないことなんですが……』
『おや、興味出てきましたか? それはよろしい。そんなアナタには、強そうな駒を持ってきた方法を教えて差し上げます。実は盤は二つあり、片方にないならもう片方からかっさらえばいいじゃない。そういうわけで、こう、サッと取ったわけでして。もちろん、これは駒の動きを見た場合。実際には物語になるアレコレが存在します』
『そのアレコレに関係するのが、二面の盤にそれぞれ存在する同一の彼女たち。隣の盤には本来は干渉できないはずが、彼女の片方はどういうわけか干渉でき、駒の入手にも成功しました。これなら見れそうじゃないですか。白の逆転劇を! えぇ、ワタクシそれが見たいがために、こうして一人でおります』
『一人でお茶して、一人でお花を育て、一人でコレクションを眺め、一人でずっとここにおります。死ぬほど退屈ですが死にませんし、出られないのではそうする他にすることがないのです。たまに来るお客様は、どれも人間なのにヒトデナシばかり。まともなお客様はアナタが初めてです』
『……えっ、オマエの話などどうでもいい? まあ確かに。ゲームが始まるのだからどうでもいいでしょう! 手に入った強力な五つの駒。動かし方一つで黒の有利をいかようにも切り崩せるでしょう。これは指し手に期待しましょう』
『まずは一人目の少年の動向から見てまいりましょう。彼はこの世界に来る必要があった。運命というチープな理由でね。元いた世界では駒に成れない少年も、こちら側では立派な駒。この世界で彼に求められるのは再生……そして成長でしょうか?』
『では、逃げ出した少年のその後から観てまいりましょうか。ところでオマエはどちら側なのかと? はて、この立派な耳が見えない? ウサギみたいなではなくウサギなワタクシ。当然、黒の駒でしょう。白とは人のことなのですから。ヒトでないワタクシは、見た目は白くても中身は真っ黒でございます』




