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 夜ノ色 2

 火炎とは言い難い、業火が舞台を燃やし尽くす。


 僕ごとだ……。こいつは話を聞いていたんだろか?

 否。絶対に理解してない。

 まあ、結果が出たので良しとしよう。


 ロミオが蛇に喰われた。

 おそらく障壁が破れはしないだろが、拘束してくれれば……それでいい。


「サラサ。 ……ロミオは?」


「腹の中。と言いたいところだが、出てくるぞ。早く撃て!」


 サウスとの一戦で気がついたが、障壁を破るなら一点集中の方がいい。

 直線で当て。当たればそこから捻じ曲げて殺せる。


 一息で六発。こんなところだろう……。


 六本の閃光が銃口から放たれる。

 そのまま大蛇ごと貫くつもりだったのに……ロミオは大蛇の口から脱したどころか、それを引き寄せこちらに向かって投げ飛ばす。

 直線(だんがん)はそのまま空に消え、代わりに大蛇が飛んでくる。


「貴族っていうのは、あんなに無茶苦茶なのか? 何キロあると思ってるんだ……」


「まだ、マシだぞ? 先日見たやつは力だけならアレより上だった」


 背後に消えていく大蛇は無視し、ロミオへと集中する。


「貴族は消耗が激しい。今日、自分が戦うことになるとは思っていなかっただろうからな。短期決戦。おそらく一番強い駒を使ってくる。あの蛇に足止めさせて、お前は貴族を狙え!」


 サラサの言葉どおり、ロミオから桁の違う魔力が放出され何かを形作る。禍々しい力が集まっていく。


 現れたソレは女性のような姿。瞳は空洞。腕は付いているが足は無い。無い代わりに浮いている。

 ボロ布を纏い、背中には片翼の羽。反面は天使。反面は悪魔。


 言い表すならそんなところだろう……。

 大きさは大蛇と変わらない。それと、生成されるまでの速度が異常だ。


 ソレは悲鳴のような咆哮を上げる。

 すると右腕に剣。左腕に盾が現れる。


「盾にも使えないあいつらで何とかなるのか?」


「力負けはすまい。それより貴族だ」


 天使が剣を振るう。地面を黒い斬撃が割り、そのままこちらに飛んでくる。


 原理は僕と同じ。魔力の塊なんだろう。その規模が違いすぎるだけで。


「飛ぶなよ。右に避けろ! 貴族は左から来る!」


 衝撃が左側を通り、舞台だけでなく街まで破壊する。

 凄まじい破壊力の一撃。それを天使は再び振りかぶる。


 サラサの指示どおりに動くけど、それだけじゃ駄目だ。こちらからも攻めないと……。


「撃つなら地中を通せ。蛇の行動はまぐれだったが、それなら当たる!」


 あいつらの勝手な行動も少しは役に立ったらしい。

 自分の足元に銃を撃ち、弾丸を地中に走らせる。これで見えない弾丸はすでに放たれた。


 ロミオだけでなく自分にも言えることだけど、経験値としてはロミオも僕も変わらない。戦闘の技術なんてない。


 そんな僕たちの戦いだが、ステータス。それが今を作り出している。

 技術など関係なくただ大量の魔力を用いた戦い。


 それで舞台は瓦礫となっていき、街にも被害は広がる。再びの天使の一撃は、街さえ破壊し瓦礫に変える。


「着弾したら、直線に撃って殺せ!」


 地面から出た銃撃は障壁に阻まれるが、ロミオの意識はそっちに向いてるし……足が止まった。


 ──これは避けられない!

 放った弾丸はさっきと同じ六発。それらを重ねて貫く。


 別々に放った弾は重なり一つになり、障壁を貫通する。弾は障壁を破り、ロミオの肩を貫いた。

 そのまま軌道を操作して殺すつもりだったが、弧を描き戻ってきたところを握りつぶされる。


「……外したか。しかし手傷は負わせた。アレに再生する機能はない。アスカ、トドメだ!」


 ロミオは地面に手をついている。

 この距離からでは、僕にロミオの言葉は聞こえないはずだ。現にサラサは気づかなかった。


 ロミオの口元が動き何かを僕に言っている。

 読唇術なんて使えないが、ロミオがなんと言ったのか理解できた。


「アスカ。アレはどうして浮いていると思う? ……答えは、巻き込まないようにだ」


 直後地面が爆ぜた。辺りが漆黒に包まれる。

 自分を守る障壁は消し飛び、舞台は完全に崩壊した……。


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