4話 ボス戦?
「ふわぁー、眠い…。ゲームの中でもこうなるんだな」
やっぱり凄いなこのゲーム。
「今日はどうするかな。昨日は色々あって疲れたから、今日は戦いたくないんだよな」
考えた結果。
今日は現在地、[プレーン]を散策することにした。
初日は戦いにばかり目がいっちゃったから、まだちゃんと街を見てないんだよな。
「はぁー、こうなってたんだ」
てことで、今は街の中を歩いている。
まだ早い時間だったみたいで、人影はほとんど無い。
NPCもまだ起きていないみたいだ。
NPCは高性能な人工知能を搭載してるから人間と変わらない、って言ってたよな。
「お、今度はこの道通ってみよっと」
意外と裏道が多いんだな、この街。
それから数十分程歩き続けていくと、他のプレイヤーやNPC達が増えてきた。
プレイヤー達はその大多数が草原に向かい、NPCはそれぞれの行動をしている。
俺はその光景を見ながらなんとなく歩いていたが、気づくと門から街の外に出ていた。
「あれ?なんで出てきちゃったんだろうな。でも、折角だから戦うか」
てな訳で、やっぱりバトルだ。
今日は昨日とは違う門から出たので、出るモンスターも違う筈だ。
こっちの草原はモンスターがポップしやすいのか、頻繁に現れるようだ。
と、俺にも来たな。
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【レイジボア】Lv3
詳細:獣系モンスター。常に怒り狂っていて、突進しかしてこない。
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どうやらこっちの草原のワームやウルフ位のモンスターみたいだな。
レイジボアが突っ込んで来るので、俺も前に出て、すれ違い様に爪で斬りつけた。
すると、それだけでレイジボアは光の粒子になった。
「一撃か……。やっぱり今のフィールドだと、俺には合わないみたいだな。次のフィールドに行くか」
俺は街から逆方向に歩きだした。
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「あー、うっとおしい!」
あれから結構進んだが、やはりまだプレイヤー達は来れていないようだ。
まあ、こいつら数が多いから倒すのが大変なんだよな。
そんな俺も、今まさに戦闘中だ。
どうやらこっちの西門の草原は、モンスターのレベルは上がらないが、進んで行くとドンドン数が増えていく仕様みたいだ。
しかも、俺以外に誰もいないから、全部のモンスターが俺に襲いかかって来る。
全包囲を囲まれているので逃げる事も出来ずに、モンスターと戦い続けていた。
「ん?あれ、モンスター達が止まった?ってあれ、ここは………」
走り回ってモンスターを倒していると、何故かモンスターが急に立ち止まり、遠くへ離れていった。
周りを見回してみると、今までとは違い、見上げる様な大きな岩の扉が佇んでいた。
ここは………、
「ボスエリア……?」
多分そうだ。
宣伝でTVに流れていたCMにこんな大きな扉が映っていた。
「ここまで進んでたのか。街の中でしか出来ない筈のステータスの設定が出来るし、間違いないな」
あれだけモンスターを倒したから、レベルもかなり上がっているみたいだ。
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【名前】キョウ
【種族】ホムンクルス☆1
【職業】爪使い
【能力値】Lv19 SP:220
HP 482/630
筋力 56
耐久 51
敏捷 83
運 51
【種族スキル】«改造»
【スキル】«爪術»Lv5«身体強化»Lv2«幸運»Lv1«鑑定»Lv3«敏捷補正(小)»Lv2«体術»Lv4«偽装»Lv2
【称号】『迷い人』『造られた生命』『人間』『公認チート』
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「やっぱり凄いな。他のプレイヤーはこの半分しか強くなれないんだよな。でも、油断しないようにしないとな」
リアルチートの人とかいるだろうし、油断してちゃ駄目だよな。
スキルレベルも上がってるな。
てか、新しい称号。
これ何なの!?
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『公認チート』 運営の証言
詳細:これはバグじゃなくて、運営が作った物 だという証明。
GMお墨付きだ
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運営が認めた……。
どうやらこのチートっぷりはバグじゃなかったらしい。
はぁー、良かった。
とにかくSP振り分けよーっと。
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【名前】キョウ
【種族】ホムンクルス☆1
【職業】爪使い
【能力値】Lv19 SP:0
HP 732/880(+250up)
筋力 81(+25up)
耐久 76(+25up)
敏捷 113(+130up)
運 51(+21up)
【種族スキル】«改造»
【スキル】«爪術»Lv5«身体強化»Lv2«幸運»Lv1«鑑定»Lv3«敏捷補正(小)»Lv2«体術»Lv4«偽装»Lv2
【称号】『迷い人』『造られた生命』『人間』『公認チート』
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今度は敏捷に偏った分配にしてみた。
「じゃあ、ボス戦やってみるか」
二日目でボス戦はいくらチートでもキツいだろうが、ここまで来たんだしな。
挑んでみるのも悪くないだろう。
いざ!初めてのボス戦に!
『[始まりの草原・西エリアボス]の条件を満たしていませんので、挑戦は却下されます』
「……………は?」
却下された。
あんなに意気揚々として挑んだのに、却下されるって………。
恥ずかしすぎる。
俺はしばらくその場で悶えていたが、なんとか、割りきった。
見てるやつなんて運営位だろうし。
でも、やっぱり苛つくなぁ。
はぁ、戻るか。
俺は苛つきをドンドン高めながら、街へ戻った。
モンスター達は、俺を見ると直ぐに逃げ出していた。
ナンデニゲルンダ?オレハイツモトカワラナイノニ。
「おい、そこのお前!俺と決闘しろ!」
「ア?オレノコトカ?」
俺に決闘を申し込んで来たのは、31歳位の男性プレイヤーだった。
大方、迷惑プレイヤーなのだろう。
ああ、コイツは本当に運が悪い。
コンナニイラツイテルトキニジブンカラトビコンデクルナンテ。
俺は送られてきた決闘申込みのウィンドウで、YESを押す。
何か迷惑プレイヤーが言っているが、頭に血が上りすぎて何も聞こえない。
決闘が始まる。
俺は開始早々、苛つきを全てぶつける勢いで迷惑プレイヤーに連撃を浴びせかけた。
迷惑プレイヤーは一瞬て光の粒子になり、消えていった。
周りで観戦していたプレイヤーは皆一様に口を閉ざした。
俺はというと。
(あー、すっきりした。迷惑プレイヤーには悪いことしたな)
そんな事を考えながら、その場からさっさと離れていた。
今日はもうやる気が起きないので、明日はゲームは休みにすることにして、宿でログアウトした。