2話 ミーナと合流
光が収まると、周りから賑やかな沢山の声が聴こえてきた。
どうやら噴水のある、広場の様な場所みたいだ。
周りを見てみると、革鎧やローブなどのファンタジーな衣装に身を包んだ人達が、歓声を挙げたり他の人と話をしていた。
彼らはプレイヤーなんだろう。
そう言えば、俺は今何を着てるんだろうか。
自分の体を見てみると、他の人と同じ様な革鎧を布で出来た安っぽい服の上に着ていた。
しかし、他のプレイヤーの様に剣や杖などは持っていない。
多分、プレイヤー全員が持っているインベントリに入っているのだろう。
爪装備は街中じゃ、危ないからな。
「そうだ、メール見てみるか。美那がメール送るって言ってたし」
俺は迷惑にならないように、道の端に移動してからメニューを開いてメールを確認する。
「えーと、あ、やっぱり来てるな。何々?<暁!今どこに居る?私は冒険者ギルドで待ってるから、迎えに来てね!>か。んじゃ、行くか」
俺はメニューの地図を開き、それを見ながら冒険者ギルドに向かう。
この地図機能は自分で埋めていくタイプの地図なんだが、この街だけは全て埋まっていた。
まあ、最初だからだろうな。
と、冒険者ギルドに着いた。
冒険者ギルドの前には、色は違えど、それ以外は現実と同じ顔をしたプレイヤーがキョロキョロ周りを見ていた。
近づいて声をかける。
「おい、美那だよな?来たぞ」
「あ!遅いよ、暁~。もう十分位は待ったんだから」
「それはゴメンって。しかし、お前色を変えただけか」
「それは暁もでしょー」
美那は顔は現実と変えず、髪の色を黄緑色にして肩の辺りでツインテールにし、眼の色をピンクに変えていた。
驚いたのは、耳だ。
耳が長く伸びていた。
恐らくエルフになったんだろう。
格好も魔法使いっぽいし。
「このあとはどうする?」
「えっとね、街の外に出てモンスターと戦ってみようと思ってるんだけど、どう?」
「ん、別にいいんじゃね?そうと決まったら、早く行こうぜ」
俺達は一番近い北門に向かって移動を始める。
「そう言えば、キャラネームは何にしたんだ?」
「私は【ミーナ】にしたよ。実名は流石にヤバいし。暁は?」
「俺は【キョウ】にした」
「そうなんだ。そう言えば、キョウの種族は何になったの?私は見ての通り、エルフだよー。やっぱり、人間?」
美那……、いや、ミーナが聞いてきた。
「いや、ここじゃ言えないから街の外で言うよ」
「えー?」
話していると、北門に着く。
門を出るとミーナが早速聞いてくる。
「ねえ、キョウの種族って何なの?教えてよー」
「分かった、分かったからあっち行こう」
俺は少し人が少ない方へ進む。
「じゃあ教えるけど、誰にも話すなよ」
「うん、分かった!」
「じゃあ言うぞ。俺の種族はホムンクルスだ。レア種族だよ」
「えー!レア種族!?凄いじゃん!何で隠すの?」
「絶対面倒なプレイヤーがいるからだ。俺はこのゲームを楽しみたいんだよ」
「ふーん、分かった!秘密にするよ!じゃあ、そろそろモンスターのところに行こっ」
「待て、お前自分のステータスちゃんと確認したのか?」
「………してない」
って事で、俺達はステータスを確認することになった。
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【名前】キョウ
【種族】ホムンクルス
【職業】爪使い
【能力値】Lv1 SP:0
HP 250/250(+80up)
筋力 20(+5up)
耐久 16(+5up)
敏捷 29(+5up)
運 19(+5up)
【種族スキル】«改造»
【スキル】«爪術»Lv1«身体強化»Lv1«幸運»Lv1«鑑定»Lv1«敏捷補正(小)»Lv1«体術»Lv1«偽装»Lv1
【称号】『迷い人』『造られた生命』
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何かステータスが上がってるな。
まあ、追加されてる称号の効果だろ。
「まずは種族だな」
鑑定で詳細を見てみる。
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ホムンクルス レア種族
詳細:人の手によって造られた人ならざる者。 生物なら必ず持っている筈の魔力を持っ
ていない。
人の常識を遥かに逸脱した能力を持つ。
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「やっぱりチートだな。いや、魔力が無いしそうでもないのか?」
さて、お次は種族スキルの詳細を見る。
え?職業?
そんなの見れば意味分かるだろ。
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«改造» ホムンクルスの種族スキル
詳細:専用アイテムを使いこのスキルを自分に使用する事で、自分のステータスを強化する事が出来る。
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はい、チート来たー。
ナニコレ、ヤバクネ?
モッテテヘイキナノカナー。
「ま、まあ、気をとりなおして次だ、次」
次は普通のスキルの詳細だな。
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«爪術» 戦闘スキル
詳細:爪の扱いが上手くなる。爪術の戦技が使えるようになる。
«身体強化» ステータス補助スキル
詳細:能力値のHP、筋力、耐久、敏捷の値を上げる。
«幸運» 初期スキル限定
詳細:運が上がる。
«鑑定» 初期スキル限定
詳細:生物や物の情報を見る事が出来る。
«敏捷補正(小)» ステータス補助スキル
詳細:能力値の敏捷の値を少し上げる。
«体術» 戦闘スキル
詳細:自分の体を思ったように動かしやすくなる。自分の体で攻撃した時のダメージ上昇。
«偽装» 初期スキル限定
詳細:ステータスを偽装出来る。同レベルの«鑑定»には運に左右される。
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「思った通りのスキルだったな。でも、このスキルでの能力値の上昇は確認済みだからな。やっぱり称号か」
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『迷い人』 全プレイヤー所持
詳細:異世界から時空の壁を越えて来た異世界 人。この世界の住人、NPCからはその様に認 識されている。HP+50、他の能力値に+5。
『造られた生命』 ホムンクルスの称号
詳細:ホムンクルスのプレイヤーに送られる称 号。人ならざる者の証。HP+30。
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やっぱり称号だったか。
迷い人の称号って凄いな、人造人間もだが。
「ねえ、キョウ。そっちは見終わった?」
「ああ、そっちは?」
「終わったよ。そっちのも見せてよ。私も見せるからさ」
そんなことを言ってきたので、互いにステータスを見せる。
えー、ミーナのステータスは?
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【名前】ミーナ
【種族】エルフ
【職業】魔法使い
【能力値】Lv1 SP:0
HP 80/80
MP 260/260
筋力 3
耐久 10
敏捷 7
魔力 19
運 5
【種族スキル】«魔導»
【スキル】«杖術»Lv1«風魔法»Lv1«MP増加»Lv1«魔力補正(小)»Lv1«軌道修正»Lv1«料理»Lv1«魔法陣»Lv1
【称号】『迷い人』『魔の追求者』
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「完全に魔法に偏ってるな。まあ、魔法使いだから別に普通か」
詳細を見てみよう。
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エルフ 通常種族
詳細:魔法の扱いに優れた種族。長く尖った耳が特徴。
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まあ、これは予想通りだな。
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«魔導» エルフの種族スキル
詳細:魔力の扱いに優れた種族の体によって、魔法の展開速度、魔法の効果が上昇する。
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「成る程な。エルフっていう種族が魔法を扱う事に偏ってるのか」
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«杖術» 戦闘スキル
詳細:杖の扱いが上手くなる。杖術の戦技が使える様になる。
«風魔法» 魔法スキル
詳細:風魔法の扱いが上手くなる。風属性の魔法を使える様になる。
«MP上昇» ステータス補助スキル
詳細:能力値のMPの値を上げる。
«魔力補正(小)» ステータス補助スキル
詳細:能力値の魔力の値を少し上げる。
«軌道修正» 初期スキル限定
詳細:攻撃の軌道を少し修正する。
«料理» 通常スキル
詳細:料理が上手くなる。作った料理に何らかの効果が付く。効果は素材による。
«魔法陣» 初期スキル限定
詳細:魔法を使う時に魔法陣が出る。魔法の効果が上がるが、魔法の展開速度が下がる。
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「軌道修正と魔法陣は凄いな。軌道修正があれば魔法が外れる事も少なくなるし、魔法陣のデメリットは魔導で相殺できるし」
次は称号か。
迷い人は見なくてもいいな。
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『魔の追求者』
詳細:エルフのプレイヤーに送られる称号。魔を追求する者の証。MP+30。
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「これは『造られた生命』のエルフ版だな」
俺がミーナのステータスを見終わると、先に見終わって待っていたミーナが話しかけてきた。
「キョウって能力値高いんだね。ホムンクルスって元々の能力値が高いの?」
「まあ、そんなもんだよ」
「ふーん、そうなんだ。じゃあそろそろ戦いに行こうよ!って、キョウ武器装備して無いじゃん。早く装備してよー」
ミーナが急かすので、インベントリにある武器、[鉄の爪]を取り出して装備する。
鉄の爪は、鉄の手甲に鋭利な鉄で出来た刃が3つ付いたものだった。
意外と格好いい。
そして、ちゃんと装備をした俺達はモンスターのいそうな方向へ向かって行った。