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日常 彼のいない日

 朝、窓から差し込む光が私の顔に日向を作り、それが眩しく、そして煩わしくて私は目を開けた。光が差し込む方を見ると眩しすぎてはっきりとは見えない太陽がある。少しだけ目が痛くなるほどの光に目を細めながら、ゆっくりと重い体を起こした。


 まだ、ぼーっとする。何か夢を見ていたような、どことなくふわふわした幸せに満ちたような、そんな気分だ。一体どんな夢を見ていたのかは思い出せないが、まぁ気分がいいことには変わりないし、何でもいっか。大事なことだった気もするけど、考えても変わらない事は考えない。ここに来てそう決めたのは自分だったじゃないか、今回もそれに従おう。


 部屋を出て、私は居間にある大きな時計を眺める。九時半、少し遅かったかな、まぁそんなに厳しく時間にこだわる理由はもう存在しないから別にいいんだけど。


 さて、朝食でも見繕おう。


 さして何も考えないまま作り始めるとここに来る前、つまり仕事詰めだった毎日によく作っていた簡単な朝食が出来上がった。簡単な朝食とひとくくりに言ってみるけど、ここに来た初日彼が作ってくれたものとはちょっとだけ違う、今ここに作ったものは温かみのこもっていない物。思いやり、なんてものは微塵も入ってない、自分のためだけに作った物。利己心の塊でシェフの私によく似ている。


 いつもこれを掻き込むように、ものの数秒で食べていた気がする。全くどれだけ忙しかったんだよって話なんだけど。


 ああダメだ。昔を思い出すのはやめるって決めたんだった。ここに来てもう一週間になるけど、私はこの環境にもう慣れてきている。今更昔の事を悔いたりする必要なんてどこにもないんだ。そう言い聞かせつつも、またあの時の癖で瞬く間に目の前にあった食事がものの見事になくなってしまった。


 はぁ。なかなか癖ってものは抜けないもんなんだな。なんて思いながら皿を重ねて台所へと運んでいく。


 朝食を手早く片付けて、一息ついたところで私は居間を見渡した。


 私が来たあの日から何ら変わっていないこの部屋を見回す。そういえば動かしても元に戻るから変わることなんてないのか。


 ここに来てからは外の景色にだけ興味をそそられ部屋の中を見ることなんてなかったな。


 ちょっとした探求心にそそのかされた私は身近にあった本棚へと手を伸ばした。


ここに何かある気がする。そう直感した私の手は早い。1冊2キロはあるようなそんな古びた事典のような本を、1つづつ取り出していく。


でも、不思議なことに埃がまうようなことは無かった、どれも動かされることに慣れているかのように、私に運ばれていく。


そして数冊退けた辺りで奥に隠されていた1冊の冊子らしいものを見つけることが出来た。


なんだろ……


暗がりで良く見えず、取り敢えず腕を突っ込み引きずり出した。





中途半端…

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