八話目
少しの間目を瞑っていた、目を閉じていても分かるくらいの光が出ているみたいだ。
何分か経つと光を感じなくなったので目を開けてみる。
目の前には先ほどと変わらずあの神龍獣とかいう犬がいて俺の手と前足を合わせていた。
だが先ほどと変わった部分がある俺の右手に先ほどまでは無かった何か文様みたいなものが浮かび上がっていた。
右手に浮かんだ模様は色は黒で魔法陣のような円の中に氷の結晶のような左右対称の形をしていた。
神龍獣が前足を離し降ろす、どうやら何をしていたかよく分からないが終わったみたいだ。
「ふぅもしかしてと思ったがやはり契約が出来たか」
「契約ですか?今俺達は契約の儀式をしていたんですか」
「君の話を聞いてみて確かめるためと出来そうだと思ったんでね、試してみたんだよ、成功したらこれから役に立つと考えたのでね」
「それでうまく契約が出来たと」
「あぁ、君の話が本当ならばうまくいくと判断したのでね、実際に契約できたしな」
「これって誰とでも出来る事じゃないんですか」
「魂有器が同じか余裕がある相手じゃないと上手くいかないな」
「それじゃあやっぱり俺の魂有器はデカいという事ですか」
「大きいという物ではないな、契約して分かったが君の魂有器はあまりにも膨大だ、それこそこの世界全ての存在の魂有器を合わせても比べられないくらいだ」
「でも魂有素が無いとあんまり意味が無いんですよね」
「簡単に言うと君には強さの限界が無いという事だな、しかも契約したことで私とある程度は共有されているからな、これは明らかに私の方が強化されているな」
「この契約ってどういう物なんですか?」
「本来契約というのは二つあり使役契約と魂契約がある、使役契約というのは人間などが弱った相手を自分の思い通りに命令して呼び出せるという物だな、まぁこれにも相性があって出来ない相手もいる」
「聞いた感じだと使役契約の方じゃないみたいですね」
「あぁそうだ、私たちがしたのは魂契約の方だ、これは両者の魂に繋がりを持たせてある程度の魂有器と魂有素を共有させるという物だ」
「へぇーだとしたら関係は対等なんですね」
「そうだなどちらかが上という物は無い、そしてこれの利点だが強くなりやすいのとお互いに新たな能力が得られるという事だな」
「おぉーそれはいいですね」
「それと一応だが欠点のような物が有る」
「欠点ですかそれは俺に何か影響しますかね」
「君にはあまり意味が無いが魂有器に差がある場合は魂有器が大きい方が死んだら小さい方も死ぬという事だな」
「それって俺が死んだらあなたも死ぬって事ですよね」
「安心しろ私が死んでも君には何の影響はない、魂有器がいきなり小さくなって魂有素が制御できなくなって死ぬという事だ」
「いいんですかそれって、俺はいいんですけどあなたとは会ったばかりですよ」
「君は邪神を倒しに行くのだろうそしてこの世界で邪神に勝てる可能性があるのは君だけだ、つまり君が死ねばこの世界が滅んで私も殺されるという事だ、それならば君が勝てるように力を貸した方が良いだろう」
「確かにそうですね、ありがとうございます」
「それで私は君に付いて行こうと思うがいいかな?」
「いいいも何もすでに契約してしまったんでしょう、なら一緒に行くしかないじゃないですか」
「すまないな、しかし私はこうした方が良いと思ってな」
「確かに聞いた限りでは色々と役に立ちそうですからもういいんですけど、神格級の仲間も出来た事ですし」
「あーそれなんだが実は私はまだ神格級の存在ではあるがその力はまだ持っていないんだ」
「どういう事ですか?」
「私の邪気を浄化する時に私の力もその殆んどが封じられてしまった、だからこれから私も君と一緒に強くなれば神格級の力を取り戻せるはずだ」
「つまり俺とは逆という事ですか?」
「そうだな魂有器が大きくて魂有素が少ないという奴だな、本来であれば数百年はかけて取り戻す事になる」
「でもそれだと間に合いませんよ」
「本来ならそうだしかし私は君と契約をした、それによって不足していた魂有素がかなり増えた魂有器はすでに神格級はあるから後は私自身が力を使いこなせるようにするだけだ」
「俺と一緒に強くなるって事ですか」
「あぁしかも魂有素が膨大に有るからかなりの速さで強くなりそうだ」
「そうなるとこれはここにきて正解でしたね、最初から仲間がいるのはありがたいです」
「ではそういう訳でこれからよろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いします」
そんなこんなで神龍獣というのが仲間になった。
「それではまずは能力面を見る事にしよう」
「能力面ですか、それってどういう物なんですか?」
「神から聞いていないのか、そうだな能力面とは自分の種別や技能を確認するための物だな」
「成る程です、何となくわかりました」
(つまりステータスが見れるという事か)
「それで見る方法だが能力などを思い浮かべた後に開けなどを言うと自分にしか見えないように能力面が見える」
「それは便利そうですね」
「表示のされ方は決まっていなくてな全然見えない時もある、それと同じ意味なら思い浮かべる言葉も言う言葉も違くても構わないそうだ」
「分かりました見てみます」
聞いてみたがかなりゲームっぽい感じがする、分かりやすいからありがたいが。
まずは見てみる事にしよう。
(ステータス)
「オープン」
そうすると俺の目の前に何か四角いものが現われた。
信道純也
種族 人間
種別 吸収する技能者
技能
任意
斬水流(一雨)
常時
不老成長 完全回復 神の祝福
契約 神龍獣( )
俺の前にこんな文字が表示された、いくつかよく分からないものもある。
これを見る限りでは筋力や魔力なんかは確認できないみたいだ。
自分の持っている能力を確認するくらいにしか使えなさそうだ。
「それでどんな感じだった」
「うーん、これを他に見せる事は出来ないのか?」
「それならばステータスを表示したまま解放というと見せたい存在にだけ見せるようにできるぞ」
「成る程それなら、見て貰った方が良いですね」
俺はそう言うと神龍獣にだけ見えるようにと念じる。
「解放」
俺はそんな風に言ってみたが特に変化は起きないように見える。
「私にも見えるようになったぞ、どれどれ」
神龍獣の視線が俺のステータスの方に向かう、どうやら本当に見えているようだ。
「これはいくつかは分かるが二つほど聞いておきたいな」
「それじゃあ、分かる方から説明してもらっていいですか」
「分かるのは技能の不老成長と神の祝福だな」
「それだけですか?」
「契約については先ほどしたので飛ばすとしてまずは不老成長だな、これは老い無くなるが肉体などは成長できるという物だな」
「年を取る以外の肉体の変化はあるって事ですかね」
「そういう事だろうな、これは私との契約で発生したんだろうな」
「それはありがたいですね」
それはつまり寿命が無くなるという事だろう、かなりすごい能力だ。
「とはいっても不死になるわけでは無いから気を付けるんだぞ」
「了解です」
今の所はあんまり気にしなくていいだろう。
「それで次だが神の祝福だな、これは恐らく最高神がお前に残した物だろうな」
「あーやっぱりそういう事ですか」
神というのを見て俺もそうではないかと思ったんだ。
そもそも俺が今までに関わってきた神は最高神と神龍獣だけだ、そうして神龍獣が違うというんだから残る最高神で決まりだろう。
何故だろうかいい物のはずだが不安を感じる。
出来れば早い所この神の祝福の詳細を知りたいものだ。
「まぁ、恐らくだが君にとっていい効果があるはずだから大丈夫だとは思う」
「ですよね、きっと悪いものではないですよね」
「それで後は斬水流と完全回復だな、何か知らないか?」
「斬水流は俺が作った剣技ですね、完全回復については分からないです」
「剣技を作るのはとても難しい物だと聞く、それをその年で生み出せるのは素晴らしい事だ」
「そうは言っても千年かかっていますからね」
「だがセンスが無ければ作れないからな、才能はあると思う」
「それで完全回復なんですが何か無いですか?」
「それなんだが、あそこに樹はなかったか?」
そう言うと神龍獣は先ほど俺の左腕に装着されている樹が有った場所を見た。
「あぁ、有りましたね、それなら多分これじゃないですかね」
俺は寝間着の左腕の裾をめくり樹の腕輪を神龍獣にも見えるようにする。
「まさかとは思うがそれが先ほどまであそこにあった樹か?」
「それがその樹に触ったら左腕に着いて外れなくなったんですよ」
「そうか、それは原初木といわれている、この世界の植物を生み出した世界で最初の植物だ」
「え、これってそんなに凄いものだったんですね」
「世界樹を生み出したからな、最高神と同じ格を持つ存在ではある、それで体は何ともないのか?」
「特にこれといって体に異常は感じませんね、そう悪いものでは無さそうですが」
「原初木は膨大な魂有器が無いと受け入られないと思うんだが、この私も含めると魂有器には膨大な負担がかかっているはずなんだが」
「でも体と精神はここに来てからと変わらないですよ」
「成る程な、本当に君は凄まじい魂有器をしているみたいだなだから原初木も同化したんだろう」
「という事は完全回復はこの原初木というのが起こしているという事ですか?」
「まず間違いないだろうな、そして回復系の能力としては世界でも最高の強さを持っているはずだ」
「まさか最初から最高クラスの能力を手に入れるとはありがたいですね」
「そうだな、ここに送った最高神に感謝するといい」
「本当ですね、思っていたよりも悪くない状況ですからね」
実際の所住むところはあって武器もあって仲間も出来て俺自身もある程度の戦闘力がある、これは最初から恵まれている方だろう。
最悪の状況でないなら今はこの状態を維持し続けながらどれだけ強くなれるかというのが現状の俺に必要な事だろう。
その為にも、安定した生活を送れるようにしておきたい。
主人公は最初から恵まれていますね。




