五話目
多分あともう少しで行けるかな。
あれから一体どれくらいの間戦い続けたんだろう、とうの昔に勉強は終わり今では少しの休憩をはさんでいろんな武器でいろんな相手と戦っている。
戦うにつれ今の俺の肉体は精神だけの状態なので力も速度も上昇し続けた。
神様が言うには魂有素が増えてそれによって俺という存在が強くなったらしい。
そして今の俺はあの黒いドラゴンを確実に倒せる位に力を手に入れた。
「グリュァアアアア――――――――!!!」
ドラゴンが火を吹いてくる。
前は何も出来ずに焼かれていたが今の俺は剣技を作り出しそれを自在に使いこなせるくらいにまでになった。
「はあぁっ!」
俺が気合を入れると俺が修行を始めた時から振るっている、両手で握った鉄の剣を灰色の気の様なものが覆いそれが伸びて三メートルの刀身を作り出す。
俺は長くなった剣をドラゴンの炎に向かって切り裂くように振るう。
炎は切り裂かれると霧散して消え去る、そして俺はドラゴンに手が触れる所まで瞬時に一歩で近づく。
そしてドラゴンの頭に向かって跳び上がりながら刀身が長いままの剣を首に向かって振るう。
俺が振るった剣は何の抵抗も無くドラゴンの頭を切り飛ばす。
切り裂かれたドラゴンの首からは血が噴き出るが俺が着地する時にはドラゴンは消えていた。
俺はドラゴンが消えた事を確認すると剣を鞘に納める。
「さすが素晴らしいですね、純也君」
俺の戦う所を少し離れていた所で見ていた神様がそう声をかけてくる。
「長かった、本当にかなり長かった気がするしとてもつらかった、ここまで時間が掛かるとはね」
「純也君が強くなれる限界になったら本当は修行は終わりにするつもりでした」
「この剣技を生み出すまでにかなり長かったし使いこなせるようになるのも大変だった」
「しかしついに君はここまで強くなった、後は私に勝ち続けるだけです、それでこの修業は終わりです」
そう言うと神様は大剣を出現させる、出てきた大剣はとても装飾が施されているのに振るう分には問題は無さそうだ。
「何なんだその神々しい大剣はとてもじゃないが普通の大剣に見えないぞ、能力は使わなかったんじゃないのか」
「君ならきっと無制限の私にも勝てるくらいに強くなれます」
そう言って神様は両手で大剣を構えた。
「あぁ、やってやる神様に勝ち続けてやる」
俺はそう言うと今まで振り続けてきた鉄の剣を両手で構える。
「それでは始めましょう」
「あぁそしてこれで終わらせる」
俺はその言葉の後に瞬時に神様の目の前に踏み込みながら斬りかかる。
そうして俺と神様の戦いが始まった。
俺は全力で常に剣技を使って神様と斬り合いを続ける。
俺は神様に向かって斬撃を浴びせ続ける、少しでも神様に攻撃をさせたら俺では耐える事が出来ずに一撃で終わってしまう。
しかし神様は俺の攻撃を受け止めるか避けるかしていて一切届いていない。
全力で攻撃をしていると俺が隙を見せた瞬間に神様が同時にいくつもの魔法の反撃をしてくる、一度に炎が雷撃が氷が岩が辺り一面に逃げ場がないほどに俺に襲い掛かってくる。
俺はそれを何とか剣技を使って切り裂き続けて無効化してまた神様に切りかかる。
そして俺と神様は戦い続けた、戦いの序盤は俺が魔法を無効化できずに倒されてはまたすぐに切りかかるという感じだったが中盤になると俺と神様の剣の腕に差が無くなり始めてきた。
そうして少しだが俺の攻撃が神様にかすり始めると神様は高く飛び上がり俺の遥か頭上で天変地異の災害を起こし俺に向かって降り落としてくる。
その頃には俺はもう倒されることは無くなっていたが襲い掛かってくる攻撃を無効化するのがやっとで神様に反撃する事が出来なかった。
俺は無心で戦い続けたので気づかなかったがどんどん強くなっていたらしい、それこそ神様からの攻撃を無傷で無効化できる位になっていた。
そしてついに俺はひと振りするだけで神様からの攻撃をいくつも無効化できるようになり、俺は神様からの攻撃と攻撃の間の少しの隙を見つけて神様に向かって跳び上がった。
俺が空中に跳びだている時もいくつもの神様からの攻撃が降り襲って来るのでそれを切り裂いた時のわずかな反動を足場にしてさらに神様に向かって跳び上がり続ける。
そして神様の所まであと一歩という所で全身の全力を使って神様の後ろに瞬時に移動する。
神様もすぐに俺に反応したが俺が先ほどいた所に向かって攻撃した瞬間を狙ったのでわずかに大剣を構えるのが間に合わない。
そして俺は神様の大剣を弾くのを狙って剣を振り続ける、すると神様が完全に体制を崩した。
(いまだっ!)
俺はその隙を逃さず神様の胴体に剣を突き入れる。
俺の剣は抵抗なく神様の胴体に半ばまで貫通した。
「ゼエァァァァァァッァッ!!!」
俺は剣を抜かずに刺さったまま振り下ろす。
切り裂かれた神様は大剣を手放すと地面に向かって落ちていった。
俺も空中に居続けることは出来なくて落ち始める、俺はあともう少しで地面に激突するという所で剣の腹で叩くように地面に向かって全力で振り下ろす。
そうすると俺の体が剣からの反動と地面からの衝撃でわずかに浮かぶ、だがその後すぐに俺は地面に全身を使って着地して瞬時にその衝撃を転がって無くす。
少しの間転がり続けて最後に地面に仰向けで寝転がる。
俺は深呼吸をして落ち着く、そうすると体から力が抜けていくのが分かった。
「すごい長い間戦っていたような気もするし、たった何時間しか過ぎてないような感じもする」
俺は戦っていた時の事を思い出そうとしたが無心だったせいかぼんやりとしか思い出せなかった。
「俺は勝ったんだよな、あの神様を倒したんだよな」
すると見た感じでは無傷の神様が寝転がっている俺のすぐ近くまで来た。
「おめでとう純也君・・・・・・君はついにこの私を倒しました、これで君は私を倒せるだけの強さを手に入れた」
「ありがとうございます、でもまだ終わりではないんでしょう」
そうこの修業の終わりは神様を倒し続ける事だ、一回倒しただけではまだ足りないはずだ。
「そうですね、君が私に百連勝した時それがこの修業の終わりです」
「百連勝とかまた時間が掛かりそうだ」
「でも君にはもう私を倒すだけの強さは有ります後はそれを使いこなすだけです、少し休んだら続けましょう」
「了解、確かにあともう少しだから油断しないで行こう」
(まだ勝ったのは一回だけだ、運よく勝てた部分もある必ず勝てるようにしないとな)
そうしてまた俺と神様は戦いを再開した、俺は既に神様を倒せるだけの強さあるので後は少しずつそれを完成させるだけだ。
神様もあらゆる攻撃方をしてきた、強さは変わらなかったが俺に隙を見せるような事は少なくなった。
そして神様を倒すための時間は短くなり続けしだいに正面からでも攻撃が当たるようになってきた。
そうしてまたどれ程戦い続けたんだろうか俺は神様からの攻撃を紙一重で避けられる位になった。
神様からの天変地異を最小限の斬撃で俺が通り抜けるだけの穴をあけてすり抜ける。
「すぅーはぁー」
神様のすぐ正面まで近づいたら呼吸を整えたら軽く剣を振るう。
「ふっ」
神様が俺の斬撃を受け止めようとしたので反対の方向から大剣ごと切り裂く、神様は体を切られて動きを止めたので上下に真っ二つにする。
「これで百連勝したかな」
俺が剣を鞘に納めていると神様が体を修復して立ち上がっていた。
「素晴らしい遂に百連勝しましたね、これでもう修行は終わりですね」
「そうかやっと終わるんだな、始めた時は無理だと思ったのに何とかここまで来た」
「神である私ではそう長い時間では無かったですが人である貴方がこれだけの時間でよくぞここまで強くなりました」
「始めてからどれくらいの時間が過ぎたんだ?」
「現実では1分も経ってないですよ」
「そうですか、それでここではどれくらいなんですか?」
「千年は軽く超えてますね」
「・・・・・・本当かよ、俺はそんなにも長い間戦っていたのか、なんかそんなに変わった気がしないんですがどうなっているんだ」
「体感時間ではそこまで時間が経ったようには感じてないですから根本的なところは変わって無いんですよ」
「はぁそんなものですかあんまり強くなった実感が無いんだよなぁ」
「でも君の魂有素は大陸の一つくらいになっていますよ」
「そんなに増えたのか、でも神様は海位の魂有素なんですよね、俺が勝つには足りなくないですか?」
「君は足りない分を剣技で補っていたんですよ、だから魂有素が私よりも少なくても勝てたんです」
「ふーん、なるほどねこれで邪神に勝てる確率はどれ位に上がったんだ?」
「今の君なら邪神と互角に戦えるでしょう」
「でもそれは精神だけの俺ですよね、肉体ありで戦ったらまず勝てない」
「ですがそれはあちらの世界で能力や魔法などで強くなればいいですよ」
「そういえば俺はずっと唯の鉄の剣で戦って来たんだよな・・・・・・」
初めのころはこの鉄の剣も何度も折れたりもしていた、その度に俺の魂有素を使って直していた。
それも俺が剣技を使うようになったら傷つくことも無くなっていた。
「これで俺もついに異世界に行くんだな」
「それなんですが今の君と違い現実の君の肉体と脳は一切成長してないんです」
「まぁ、寝ているだけですから当然ですよね」
「そして精神が成長しすぎて魂有素も今のままだと多すぎてまともに動く事が出来ないんですよね」
「それはどうするんですか、何かあるんですよね?」
「君が現実で成長すれば問題無くなるんですが何かしらの制限をしないとあちらの世界に行ったときに何かしらの不具合が起きてしまいます」
「その制限というのは?」
「申し訳ありませんが性欲と肉欲を一時的に停止させます」
神様が俺に向かって頭を下げてくる。
「それはどういう風になるんですか」
「欲情しなくなります、もちろん君が現実で強くなればこの制限も自然に消えます、人間にとってはとても必要なのは分かっていますが一時的なものなのでお願いします」
「頭を上げて下さい、それくらいなら全然大丈夫ですよ」
「本当ですか、ありがとうございます」
神様が頭を上げてお礼を言って来る。
「そもそも俺はそんな事を意識した事が無いので元から無いみたいなものなのでその制限は意味無いんですよ」
俺はまだ15歳なのでそういう事にあまり関心を持っていない、だから俺には何の影響も無い。
「そういえば君はそんな人でしたね、ですが君もいつかは誰かを好きになるかもしれないからなるべく制限を無くしてくださいね」
(そうかねぇ、色仕掛けとかを無効化できるから制限は無くさなくてもいいかなと思っていたんだが)
「多分だけどそこまで意識しないと思うけどね」
「ではそろそろ君をあちらに送ります」
神様がこちらをじっと見てくる。
「本当にいいですね、もう戻れませんよ」
「ここまで修行したんだ、行かないと勿体ないだろう」
「そうですか、君なら邪神をきっと倒せます」
神様がそう言った後に手を振ると俺の目の前に一枚の扉が出現した。
「これを通ったら俺は異世界に行けるんだな」
「はい、その先は君にとっての異世界が待っています」
俺は神様に向かって頭を下げる。
「その色々とありがとうございました、俺がここまで強くなれたのも貴方のおかげです」
「こちらこそここまで諦めないでくれてありがとう、さぁいってらっしゃい」
俺は頭を上げる、そして神様をしっかりと見る。
「行ってきます」
俺は神様に背を向けると扉を開けて通る。
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純也君が私よりも強くなり私の世界を救うために私に世界へと転移した。
私は異世界へと移動している純也君の精神と肉体を同化させる。
彼は強くなった最初のころこそ狼にすらなかなか勝てなかったがたった千年で私に勝てるだけの強さを手に入れた。
彼にはこれといった恵まれた才能が無かった、でも彼は努力し限界が無いように成長し続けた。
なによりも彼が生み出した剣技はとても素晴らしかった、あれならば邪神にすら届くだろう。
「願わくば彼によき出会いに恵まれるといいのですが」
それを願って彼にはいくつもの贈り物をしておいた。
私にはもう何の力も残っていない、もう少ししたら私も消えていなくなるでしょう。
(良かった、本当に彼が生まれてくれて良かった、彼が素晴らしい人格の持ち主で良かった、彼の限界の無い可能性を見つけられてよかった)
私は何と幸運なんだろう、もう思い残すことは無いあとは彼に任せてしまうのが心苦しいが出来る事はやったと信じて消えよう。
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そうして彼が異世界へと移動してから程なくして神は消え、また彼が修行していた空間も消えていった。
いよいよ遂に主人公が異世界へと行きました。
地味に長かった。




