四話目
異世界に行く前に修行と勉強が必要らしい。
「異世界に行く前にある程度の経験と知識を身に着けておいてほしいんです」
「確かに転移して何も出来ないで死にました何てことはダメですよね」
「なのである程度は対処できるようにしてから転移してほしいんです」
「でも俺ってまだ種別でしたっけそれが無いから能力とかは手に入らないんですよね」
「そういえば色々と説明不足でした、今ここにいる純也君は精神だけの存在なんです」
「はい?、それはどういう事なんですか」
「今の純也君の肉体は元の世界で寝ている状態なんです」
「それって今いるここは夢のなかって事ですか」
「純也君に夢を見せる形でこの空間に呼んだという事ですね」
「はぁ、そうですか」
「これだと断わられた時にここで起きた事は夢だったことにして簡単に忘れさせられるんですよ」
「だから何だか時間の感覚があいまいだったんですね」
この部屋には時計はもちろん窓すらない要するにどれだけの時間が流れているか判断しずらい。
「でもそれならどうやって修行するんですか」
今ここに俺の肉体が無いならいくら訓練しても意味が無いんじゃないだろうか。
「今のこの部屋はあなたの精神に夢という形で干渉しています、なので記憶に残りづらいです」
「それならどうやって修行するんですか」
「あなたに夢から暗示をかけて催眠状態になってもらいます、それによってあなたの精神にここから知識と経験を同化させます」
つまり今の夢の状態から仮想の空間に行って精神に技術を覚えさせるという事かな。
「成る程それで精神だけ強くしようという事ですか」
「はい、別の部屋に行くとあなたの夢を見ている状態から仮想の空間で修行を行いそしてそれを暗示で残るようにします」
確かにそれはやっておいた方が良い気がする。
「それじゃあ、お願いします」
「それでは、付いてきてください」
神様が立ち上がりドアの方に移動する。
俺も立って後に続く。
ガチャ
神様が普通の木の扉を開けて通る。
俺も扉が閉まる前に続いて通る。
扉を通ると石で出来たよく分からないが大体は体育館位は有りそうな部屋にいた。
周囲を見渡してみると俺の後ろから扉は消えており隅の方にいくつかの武器が置いてあった。
(訓練場みたいな場所かな)
少し先に神様がいたのでそこまで向かう。
「ここが純也君が修行する場所です」
「ここで起きた事は覚えているってことですね」
「先ほどまでいた場所は起きたらあそこで話したことはすべて忘れてしまいますがここで起きた事は精神に経験と記憶として残ります」
「そういえば今どれくらいの時間が過ぎているんですかね」
俺が寝たのが大体12時過ぎ位でいつも7時半くらいには起きている、先ほどまでの会話が一時間くらいだとするともう残りは6時間くらいしか残ってないんじゃないだろうか。
「それに関しては大丈夫ですよ、純也君の体感時間を操作しているので現実で時間は1秒も経っていませんよ」
「それならここで過ごす時間に関しては心配しないでいいんですね」
「はい、いくらでも修行できますよ」
「わーい、やったぁ・・・・・」
これは途方も無い時間を修行するんじゃないだろうか。
「それでどれくらいを目標にしますか」
「知識に関しては共用語といくつかの役に立つ特殊な言語を覚えてもらいます」
(うぁ、面倒くさそうだなぁ、でも必要な事だし頑張りますかね)
確実に必要な事だし無理難題という訳ではないので大丈夫だろう。
「それで戦闘技術の方ですが自力で私に常に勝てるだけの経験を身に着けたら終了という事でいいですか?」
「はい?え、いやそれってかなり厳しいというか無理がありすぎるんじゃないか!」
それは俺が無能力で戦闘技術だけで目の前の神様に勝ち続けるまで修行は終わらないという事だ。
(おいおい、それって不可能に近くないかどれだけの時間が掛かるか分からないぞ)
「大丈夫ですよ、私もなるべくは特殊な能力は使わないようにしますから」
「それでも俺は生まれてこのかた戦った事も無くて何の才能も無いんですよ」
「だから修行するんじゃないですか、本当なら無制限の全力の私に勝ってからにしたかったんですよ」
「ぐぅ、分かっていますよ、やりますよ」
避けられない事なのはわかっている、必要だという事もそれでも色々と吐き出して現状を再確認して覚悟を決めたかった。
「大丈夫ですよ、君は私以上の魂有器を持っているんですから秘めた物を使えるようになれば必ず強くなれます」
「それ本当ですよね」
「はい、もちろんですよ」
「あるといいですね、俺に秘められし何か」
「必ずあります、それでは始めましょう、こちらへ」
神様が部屋の中央へ向かったので俺も移動する。
「それでどうやって修行するんですか」
「まずは純也君の強さを測りましょう、まずはこれを使って下さい」
神様はそう言うと手の上に見た目は普通の地味な装飾の鉄製らしい剣を出現させると渡してきた、持ってみるがそこまで重くない気がする。
「純也君は今は精神だけの存在なので死ぬことが有りませんし回復する必要も疲れる事もありません」
(それって延々と剣を振るっているとかになるんじゃあ無いだろうな)
「なので今から幻術で魔獣を生み出すのでそれを倒してください、今は精神だけなのですがほぼ現実と変わらないので痛覚とかもありますので覚悟しておいてくださいね」
(なにぃ、そんなのは聞いて無いぞ、いきなり戦わされるとか速いだろ、最初は兎みたいな小動物かね)
「それでは準備が出来たら教えてくださいね、呼び出しますので」
「この鉄の剣って何か特殊な能力とかありますかね」
「いいえ、ただの剣です、何の能力も無いですよ」
「そうですか」
俺は深呼吸すると剣を鞘から抜いて両手で持つ。
剣道なんてやった事はないので適当に正面で構えておく。
「準備完了です、お願いします」
これ以上はする事が無いので修行を始める。
「はい、それでは行きますね」
神様のその言葉の後に床に魔法陣が出現してそこから何かが出てくる。
「グギャァーーーーーー―!!!」
咆哮と共に大きな翼にデカい角を持った黒いドラゴンが出てきた。
「ふぅわっ!なんだこれは最初からどう考えても無理な奴だろ!」
ゲームの終盤に出てくるような感じの今の俺だと勝てる気がしないやつだ。
(ふざけんな!いくら何でもこんなドラゴンを倒せる強さがあるわけ無いだろ!)
しかし逃げるわけにもいかない、死なないらしいのでやるしかないんだろう。
(ちくしょう、こうなったら絶対に強くなってやる)
俺はほぼやけくそになってドラゴンに突っ込んで行く。
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修行を始めてからどれくらいの時間が経ったんだろうか、かなり長い間戦っている気がする。
まず初めに戦わされたドラゴンだがもちろん勝てるわけが無く踏みつぶされて即死して終わった。
その後も炎で焼かれたりかみ砕かれたりもして軽く二桁は死んだはずだ。
そこまで負けてやっとドラゴンが強すぎるのが分かり神様は戦う相手を他の奴に変えてくれた。
次に戦ったのはドラゴンよりは確かに小さいがそれでも俺よりも何倍も大きい棍棒を持った一つ目の鬼の様な巨人だった。
これにも勝てるはずが無く十回は殺されただろう、今は精神だけで相手が本物の存在では無いらしいが俺が感じる物は現実と何も変わらない。
大体が即死なのと今は肉体が無いので死んだときの痛みが後に残らないので何とか逃げずにいられる。
その後は角の生えた虎になり熊になりそして大型犬位の狼を相手に避ける事が出来たので疲れる事が無いから回避し続けて隙を見せた時に攻撃をすることで長い時間を掛けて倒せた。
そして同じ狼を何体か倒したところで精神的に消耗したので休憩をはさんで語学を勉強した。
戦闘に関してもだが言葉に関してもやはり俺は習得するまでにかなり時間が掛かりそうだ。
(英語だって全然できなかったんだ、そう簡単に覚えられる訳が無いよな)
そうして戦闘⇒休憩⇒勉強⇒休憩⇒戦闘を繰り返した。
こうしてどれくらいの時間が過ぎているのも分からないまま修行を続けた。
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あれからも戦闘の修行を続けていて今では狼なら同時に三体まで相手に出来るようになり今の相手は熊になっている。
前は熊の攻撃も回避し続ける事が出来なくて終わっていたが今は辛うじて避けられる位になった、でも今の鉄の剣だと熊の体を切りつけても傷つける事は難しくて倒せていない。
狼を倒せるようになってからたまに神様が相手をするようになった、俺が攻撃をするだけで神様は避けるか受け止めるかだけだが全然効いていない。
そして神様が俺を真っ二つにして神様との訓練が終わる、今では痛みにも慣れてきて死んだ瞬間を忘れる事も無くなった。
なんだか死ぬ度にどこが悪いのか気づいて回避能力が上がっている気がする、でも今のまま強くなっても神様に勝てそうな気はしない何か新しい技とかを身に付けないと勝てそうにない。
なので今俺は熊と戦いながら自分だけの剣技を生み出そうとしている。
自分がゆっくりとだけど強くなっているのは分かる、いつかは自分だけの技が使えると信じて今は戦おう。
語学の方は共用語は習得済みで今は特殊な専門的な物を勉強している。
そんでもって今は休憩中で神様とお茶を飲みながら話をしている。
「体感時間を操作しているらしいけど今は修行を始めてからどれくらい経ちました?」
時間の感覚が無いので聞かないとどれくらいの時間が流れたのか分からない。
「そうですね、この前ので百年は過ぎましたね」
「うわー、もうそんなになるのか、それなのに未だに熊も倒せてないとか大丈夫かな」
「まだ現実では一秒が経ったところですからね、時間は有りますよ」
(時間はいいとして問題は俺の強さの限界だ、何としても神様以上の強さが必要だ)
俺の魂有器はかなりデカいらしいのでそれに関しては大丈夫と思いたい。
「でも全然時間が経った気がしないですね」
「純也君はかなり集中した状態で戦い続けていましたからね、そんなに時間が経ったようには感じてないんでしょう」
「そういうものですか、でもまだ時間はかかりそうだ」
「でも君は確実に強くなっています、私を超える事は出来ますよ」
「分かりました、あともう少しで何か出来そうな気もしますし」
「そういえば話は変わりますが純也君には恋人なんかは居なかったんですか、居たのでしたら謝りたいのですが」
「・・・・・・俺は生まれてこのかた恋愛をしたことはありませんよ、二次元で十分でしたし俺はそういう事は必要としてなかったので」
「そうですか、でも私の世界は多少ですが女性の方が多いので一夫多妻が殆んどの国にありますよ」
「恋人も居なかったのに複数人と関係を持つなんてどう考えても俺には無理だろ」
「君なら、優しいですから出来ると思いますよ」
「一応覚えておくぐらいにしておく」
それで会話は終わり修行を再開した。
後一体どれくらいで異世界に行けるんですかね・・・。




