etc3.手料理的ななエトセトラ
何とか年内に上げれました。
来年もよろしくお願いいたします
ところで受け入れられるだろうか?
気が付いたらゴブリンが居て、
何とか倒せるようになったら
可愛い部下的な存在が出来たという事実を。
そして誰かと食べる食事が温かい───
それだけでとても美味しく感じる、という事実を。
俺とアミが昇進したのを確認していると
「どうしたのでありますか?上官殿」
「ん?あぁ…アミには見えない仕様なのか。
うん、取り敢えず俺達は昇進したらしい。
おめでとう、アミはこれより一等兵だ!」
「ありがとうございます、これも上官殿のご指導のおかげで……」
(きゅ〜
「ひゃっ!?何でもないであります!何でもないであります!!」
アミは赤面して必死にお腹の音的なエトセトラ
(そういうことにしといてあげよう。)
が鳴ったのを誤魔化している、可愛いなぁ…
まぁ、あんだけ動いたら腹が減るのも当然だよな。
「あ、あぁ…俺、腹が減ってきたなぁ。
確か装備の中にご飯やおかずのパックのセットがあったろ?
それを温めて食べよう。俺は周囲を警戒してるから
アミには調理を頼めるかな?」
「はいっ!任せてほしいのでありますっ!」
アミが可愛過ぎて頭を何度も
そこら辺の気に叩き付けたくなる衝動を
必死に抑えながら俺はそんな指示を出す。
今まで、こんな分業なんて考えられないことだった。こっちに来てからの俺のこれまでの
食事的なエトセトラはゴブリンの出現を警戒しつつ
特に不味くも美味くなく、それでいて
カロリーだけはしっかりとありそうな
クッキーの化け物みたいなやつをかじり、
そしてそれをゼリータイプを流し込むというもの。
無くなると補充されるという
如何にもゲーム的なエトセトラなシステムで
飢える心配こそ無かったけども、
それしか食べれないというのは味気無い事この上無かった。
耐えきれなくなって一度自分でレトルトを温めようとしたけど、
それは隙の出来まくる行為でゴブリンの接近を許してしまった。
初めて倒すのにナイフが必要になったのはそのときだ。 そんな思い返すと色々と我ながら壮絶な
二等兵時代(ってことだよな?)を思い返しながらも
何度かゴブリンの出現があったから
これをその度に仕留めていると
「出来上がったのであります、上官殿!」
と、アミの声がした。いつも元気だなぁ。
出来上がったメニューは白米のご飯、肉じゃが、そして鯖の煮付けだ。
それを付属の皿に盛り付けてくれている。
「更に調理でお湯も確保出来たので
お味噌汁も作ったのでありますっ!」
俺達の装備一式の中に明確に調理器具だと分かるものはない。
その代わり加熱袋と加熱材がある。加熱袋の下から加熱材、ご飯とおかずのパックを入れ
水で中を満たして閉じれば温かい食事の出来上がり。
……なんて説明ががセットの袋に書いてある。
あぁ、これを読んでてゴブリンの接近を許したんだったな。
味噌汁もフリーズドライのが別にあったから
お湯さえあれば確かに出来る。
水は飲料用のしか無かったと思うが
何しろ勝手に補充されるんだ。
これを使わない手は無い。
そんな事実は少し手料理とは違っている気はするが
何しろ定番の肉じゃがであり、味噌汁まで付いてる
それを女の子が作ってくれた
──その事だけでご飯3杯はイケるぜ!(2膳分位しか無いけど)
「いただきますっ!」
「はい、召し上がれ、であります!」
そんなこっち来てからどころか
実家を出てからしてなかった当たり前の
やり取り(俺が食べている間は警戒を
代わってくれてるからこっち向いてはくれないが)
に地味に感動を懐きつつ
まずは肉じゃがから口に運ぶ。
「美味しい。コレは鶏肉?面白いね。」
「普通の肉じゃががどういうものかは
分からないでありますが
パックには“かも”って書いてあったであります。」
「あぁ、そうなんだ……」
正直そこは分からない位の薄味だがそれはそれで
“初めての料理で失敗しちゃった、てへぺろ☆(・ω<)”感が
そこはかとなく感じられてグーッド!
中々レトルトもやりおる……
続いてご飯を口に運ぶ。
うん、コレは食べ慣れた普通のパックご飯。
しかし、だからこそ、懐かしくて
アミが丁度現れていたゴブリンの相手をしてるのを
良いことにちょっと涙ぐむ。
普通のご飯の甘さが、あのクッキーの化け物程
しつこくないほんのりとした甘さが
ここまで心に染み入るなんて……
「ぐすっ」
「ど、どうしたでありますか?」
「な、何でも無いから!
ちょっと日本人としての心を思い出したというか
本当にそれだけだらっ!」
「良かったぁ……美味しくないとかじゃないでありますね?」
「あぁそれは無い無い。普通に美味しいよ。」
危ぶない、危ない。ゴブリンの相手を終えたアミに
ちょっと涙ぐんだを見られるところだった。
やだ……パックご飯、恐ろしい子!
次は鯖の煮付けだ。コレは正直に言って普通に美味しい。
生姜が効いていて本当にご飯が進む。
こればかりは実際にアミの手料理じゃないのが悔やまれる。
今は色々と一般の常識も無い感じのアミだが
これから色々と覚えればきっと……
って、俺が今までアミに教えて来た事って…
1.ゴブリンの撃ち方
2.ゴブリンとのナイフでの戦い方
3.ゴブリンとのスコップでの戦い方
・・‥‥………何やってんだ、俺!
いや、このゲーム的なエトセトラな世界で生きてくには
必要なことだけど、だけどぉ!だけどよぉ!!!
あぁ……健気にも俺の可愛い部下的なエトセトラさんは
また忠実に俺の教えた事を実践して
ゴブリンをまた一匹屠っていらっしゃる……
いや、俺が安心して食事する為だから
とても有り難いんだけど
なんというか、とても複雑だ。
その後、フリーズドライの味噌汁に
インスタントのそれと同種の感覚を抱き
パックご飯のときと同じことが
起こらないように必死に耐えたりしながら何とか食べ終えた。
「ごちそうさま、アミ。作ってあった
もう1食分は盛り付けておいたからアミも食べなよ。
警戒、また代わるからさ。」
「おさまつさまでした、であります!
はぅわ!ご飯って美味しいんでありますねっ!
これからコレが楽しみなりそうであります!」
「それは良かった。」
とりあえずゴブリンの倒し方以外にも
食事の良さを覚えたのは良かったのかな?
笑顔で美味しそうに食べるアミを横目に見ながら
俺はアミにあのクッキーの化け物で過ごさなきゃ
イケない状況には絶対に陥らせないと心に誓い、
またゴブリンを一匹仕留めるのだった。
半分以上が食事シーン……だと……