46.Pday 17日目
AM08:20 福島県白河本町14 医院屋上
今回のミッションでバディを組む、ジュディ・キャラハンと俺は市役所の東、600m程にある中規模な5階建ての、医院の屋上からキャノンのデジタル一眼レフで、監視とテロリストの写真を撮る為に、都市迷彩の偽装テントに入り、監視業務を行なって居る。
今回の監視に選んだデジタル一眼レフは、EOS 7D Mark IIとEF100-400mmのズームレンズの組み合わせにした
その他にノートパソコンとバイオビートル太陽光発電機(BBLSG)・バイオゲル型バッテリー(Biogel battery)の組み合わせのパワーパックで、大型画面で監視業務も楽になって居る。
EF100-400mmのズームレンズは、ナイトeyeアダプターを組み込んだ、夜間監視にも対応したシステムになって居る。
その他の支援機器として鳥を模した、監視用のドローンBE069型と蜘蛛を模したIB023型を実用化して居るのだ。
BE069型の形状はハシブトカラスを模しており、監視カメラの他に盗聴や厚さ1m程のコンクリートや、2重サッシ程度なら振動光センサーで、盗聴も可能な機能を持って居る為、監視任務にはうって付けの新製品である。
蜘蛛型のIB023型は飛行能力は無いが、無音で室内の隙間から潜入し壁の色と同化する、カメレオンステルス機能を持ち、視覚は大した事は無いが音と電磁波の傍受に長けた機材だ。
IB023はBE069の子機に当りBE069一機で、5機までのIB023を収納・統括出来る。
「しかし隊長、昔と比べると監視任務は本当に楽になりましたね!
今では顔認証システムで撮影済み以外の人間も、簡単に見分けて自動で撮影してくれるし、[ハシブト君]や[クモ君]が相手の声紋も取ってくれるので、本当に便利になりましたね」
「まあ単純労働は機械がカバーしてくれるから、5年前より本当に楽になったが、その代わり情報分析の仕事はかなり増えたので、痛し痒しだな。
便利に成っても代わりに別の仕事が増えたから、プラマイゼロより逆にプラスに成ったかもね」
「でも増えたと言っても知的作業ですから、仕事としては単純作業の監視任務より、やりがいは有ります」
「確かに単純作業の監視は面倒だが、気だけは抜け無い苦痛の多い仕事だからね。
機械に任せば済む事は置き換えれば良いさ」
俺達が話している内でも既に8人の、C鮮人テロリストを新たにコンピュータが記録した。
場合に依っては我々が此処に居ず、放置しても自動的に記録をし続ける事は可能であり、我々が此処に居る理由は機械の盗難防止と、万一トラブルが発生した場合の対処だけなのだ。
画像データも本体のSDメモリーで記憶させるのではなく、パソコンのハードディスクに、直に記憶させる設定をして居るので、高画質の画像も動画も取り込めるのだ。
その他の仕事は幹部らしき人物を特定して、[ハシブト君]に命じて音紋を採取の決定をする場合だが、最悪全員の音紋採取すれば良いだけなのだ。
現在此処に陣取っているのは、市内の様子を[ハシブト君]2号に記録させ、テロリストのアジトを特定するのまで、迂闊に動けないのが主な理由だ。
この個人医院はパンデミックの発生時に、医療施設の例に漏れずゾンビに因って壊滅してしまったらしく、医院内は無人でゾンビが8体徘徊して居たのだが、5階以外は番犬代わりに敢えて放置しておいた。
5階は看護師と医者の仮居住区域だったらしく、居住設備が整っていたので、我々のアジト代わりに確保しておいた。
「しかし奴等は案の定市民を奴隷として、強制労働をさせて居ましたね。
自分達では偉そうに日本人が、併合時に強制徴用や慰安婦を、無理やり強制したと嘘を付いていましたが、自分達がその行動をしても許されると、思って居る所が正に土人並みの思考ですね!
立場が入れ替わったなら自身は、その様な行動をしない高潔な民意も無く、更に外道な行為を平然と行う奴等ですから、呆れてもう口をきくなと言いたいです」
「言って置くが奴らの蛮行は、現在全国にある監視カメラを通じて、全て記録して居るからパンデミック終息後、世界に向けてこの事実を発信し、2度と奴等にでかい態度を取らせないよ」
「しかし日本の左翼の連中は、あの民族の肩を持ちますが、一体何を彼らに求めているのか、私にはわかりませんね!
結局信頼も信用も出来無い、半端者を味方にして取引しても、得るものは何も無いでしょうに、左翼主義者の頭の中を一度、コンピュータに絆いで解析したいですよ」
「まあ彼らの考えは私にはまるで解らんが、所謂『類は友を呼ぶ』と言う諺通りでは無いかな?
同類同士多分気は合うから、裏切り者で詐欺師であり整合性の無い、一種の狂信者同士だからマトモな考えの人には、図り知れない部分で共感し合うのだろうね」
「まあ確かに狂信者は何を言っても、まずは結論ありきの論法で議論が成立しませんし、話し合っても心が踊る感動とも無縁な奴等ですから。
端から自分の主張が絶対で、それ以外の考え方は全て間違いであり、悪と断定して居る連中ですから、議論が成立した試しがないのは、笑う意外どうにもなりません」
「前から思って居たが他人の意見を鵜呑みにして、裏を取ったり検証をしない人間は、普段でも知ったか振りが甚だしい人が多いね。
日本人では1930年代半ばから、1950年代半ばまでに生まれた人間は、戦勝国の洗脳教育から抜け出せない者が多く、『戦争』の二文字を聞くと思考停止する、可哀想な人達が多い様だ。
彼らは戦争を科学する事すら、タブー視して戦争の発生を抑える勉強をする事すら、悪だと思考停止してしまうある種の、病気では無いかと思う人が大部分を占める。
更に共産主義的価値観の洗脳教育を受け、症状は複雑で予後不良の状態だから、狂信者と同じでマトモな議論が出来無いのだよ。
私は戦争と言う物は疫病と似ていると思うし、疫病を防ぐのには防疫学が必用だと思うからね。
しかし彼らは戦争を経験した世代も居るし、戦略爆撃や民間人に対する機銃掃射の犠牲に合い、肉親や知人が悲惨な死に方を目撃した為、それがトラウマに成り『戦争』と聞くだけで、頭がショートしてしまう様だ。
そこを突いたのがA国の占領軍と戦勝国政府で、敗戦のトラウマを上手く利用して、日本が悪いので悲惨な目に有ったと洗脳されたのだ。
本来は白人連合国の人種差別に因る民族抹殺戦略で、多くの非戦闘員である一般人を虐殺した、戦争犯罪を自身の犯罪と置換されたのに、今だ気づかない人が殆どなのが笑えるな。
御蔭で戦争を予防する学問も研究出来ず、もし戦争が起きたら早期解決を謀る戦略も、戦争反対で効果的に実行出来無い事態が、戦後長く続いて来てしまったからね。
御蔭で彼らが社会の一線から退くのを待った為、日本がマトモな外交や政治が行えるのが、戦後70年と言う長い時間が掛かったのだと、私は分析して居るのだよ」
「隊長その仮説で分析すれば日本の戦後の、自虐的な価値観や歴史認識もとても解り易いですね。
日本と言う国は開国まで敗戦と言う、ある意味悲惨な歴史的経験が無かった、幸運な国だとヨーロッパ生まれの私からすると、そうおもえます。
だから国が傾く程の悲惨な敗戦と言う経験が、一度も無かった高潔で思慮深いはずの日本人が、何故こんなに一度位の敗戦で、ダメージを受けたか分かりませんでした。
しかし今言われた様に、歴史上初の他民族との戦で敗戦を味わい、戦争に過剰アレルギー反応する様誘導され、一部世代は戦争は悪と思い込まされ、本来の戦争理由である植民地解放すら貶められても、只従ってしまったのですね」
「その通りだね、大体大東亜戦争まで日本軍の評価は、ヨーロッパでは高かったのだが、わずか数年でその評価が180度、変わったのに怪しまない奴等が悪いのさ。
何故一度の敗戦で戦勝国の言いなりに成る必要がある?
そしてどうして心まで侵略される位弱かったのか? 現在1960年生まれの者達が、社会の一線のトップに立った御蔭で、異を唱える者達が増えて来たのは福音なのだと思う。
ハッキリ言えばこの世界は騙される奴が悪いのであり、騙されたく無ければもっと歴史や、国際法を学びなさいと言う事だ。
二度と同じ過ちを繰り返さずに、騙されない賢さが必用なのだがそれを阻害して来た、同国人のせいで正論が言えなかったのが不幸なのだがね」
「でも一概に彼らのせいばかりでは無いのでは?」
「いや違うよ! 振り込め詐欺に合うのも友人相手の、保証人詐欺に会うのも本人の勉強不足が原因だ!
騙す奴が悪いと言って騙されて、家族を路頭に迷わせる家長に、家長たる資格は無いのだよ!
同じ事は社長にも言える事だし、長と言われる責任者は言い訳を言う権利は無いのだよ。
まして俺達兵隊の様に一つの選択ミスが、命に関わる立場の指揮官は言い訳も愚痴も決して、部下に廻してはいけ無い事なのは、当然の義務であり素養なのだ」
「まあ確かにトップは騙された事を、部下の責任にしたら戦場では後ろから弾がとんできますからね。
それを踏まえれば家長である父親が詐欺に合い、一家離散の憂き目に有った場合は、全責任は全てお父さんにありますから」
「昔の父親は全責任は自分が負っていたから、妻や子供は父親の裁定に従ったのだが、現在の責任だけは旦那に回し決定は、多数決と言う変な風潮は男の俺としては、容認出来無い事だね!
もし多数決で勝手に決定して、責任は親父に取らせるのは可笑しいだろう、多数決で決めた人間が責任を取るのが、民主制なのを現代の日本女性は、気付いているのかと男としては主張したいね」
「私の国では決定権は父にあり、責任も父が取るのが普通なので、家庭内の決定事項は多数決は、有り得ないのが普通ですよ?
アメリカ人の夫婦はその不公平なシステムを、取って居る夫婦が多いですが、私達から言わせるとだからヤンキーは頭が変だと、皆いっていますね」
「残念ながら日本人もヤンキーの悪しき考えが、蔓延仕出して居る為に社会が可笑しくなって居るのだよ。
確かに多数決は民主社会の権利だ! しかし日本人の多くがまず権利の前に、義務が必ず発生し義務を行わない者には、権利は発生しない事を自覚する必用があるのさ。
ジュディ君はSF作家ロバート・A・ハインラインが広めた言葉で、“TANSTAAFL”(タンスターフル)と言う言葉を知って居るかい?
元の言葉は“There Ain't No Such Thing As A Free Lunch”(無料の昼食なんてものはない)と言う意味だ。
ハインラインの作品で『月は無慈悲な夜の女王(The Moon Is a Harsh Mistress)』(1966)で使われていた言葉だが、昔19世紀のアメリカの西部開拓時代に行われた、バーの商売を皮肉った意味合いの格言だ。
当時のバーは酒を一杯頼むと、昼食がただで食べられる商売をして居たが、塩辛い味付けでそれを食べた者は、ビールを多く頼み結局高い昼食代を払う羽目に成る、古事から来た格言で日本で言う「唯より高い物は無い」という事だ。
その格言で言えば子供には権利は発生しない、何故なら働きに依って社会に貢献し、更に得た収入で税を払い社会に貢献しない者には、社会サービスを受ける権利は無いし、国の行く末を決める投票の権利も無いのだ。
ましてこの国の国民意外に、為政者を選ぶ権利も国に因る社会サービスを、受ける権利は有り得ないし、有っては成らないのが当然なのだがね!
その権利を与える事を審議する事自体、売国行為と取られ売国奴と言われるのは、当然の行為だと日本人は気づくべきだし、国際的な標準を学ぶべきなんだ。
当然ジュディもそう思うだろう? 余りにも当り前過ぎる事だから、議論以前の問題だが日本の民主党と言う、売国政党は多分日本人意外の人間が、多く集まって出来た政党なので、平気で売国行為をするのだろう」
「まああの政党の幹部は、特亜と共産革命家の集まりなのは、酒や水の飲み方を見れば直ぐに解りますからね。
儒教臭さが此方までして、臭くて堪りませんから、良い加減にしろと言いたいですわ!
今回のバージで彼らの大半が、本来の祖国に念願の帰還を果たしたのは、日本政府と日本人に取って非常に、喜ばしい事では無いでしょうか?
そう言えば何処かの密航者の子孫が、日本は日本人だけの物では無いと、正に侵略行為の発言をしていましたが、そんな馬鹿な発言を許す国や国民は、地球上にはありませんから」
ジュディはクスクス笑いながら、他国に生活してその国の国民を馬鹿にする発言をした、頭の中がお花畑の狂風者の馬鹿発言を嘲笑った。
「確かに良くぞあの様な狂気の発言が出来たと感心するね!
マトモな国民なら密航して来た犯罪者の、自身も同じ罪を負って居る生まれながらの密航者が、身を寄せている国に対し此処まで侮辱したなら、それなりの処断を法に違反しても行う者が出るからね。
日本人は世界の常識を知らない為か、民意が高過ぎて順法精神が高いせいか、リンチの様な野蛮な行為を忌み嫌うから、奴等には手を出さないが、奴等は恩に着る處か侮って更に好き勝手をするのだがね。
本来は一罰百改の見せしめにして、罪を贖わせる態度を取らないと、民意の低い民族は幾らでも調子に乗って、当り屋詐欺師の様に金品や謝罪を求めるものだ」
「まああいつ等特亜とコミーは、騙しのテクニックが上手いようですね。
日本人の友人から聞いたのですが、まだ日C併合する前に作られた、難工事だった鉄道トンネル工事で、C鮮人坑夫を多数犠牲にして行った工事の為、そのトンネルではC鮮人坑夫の霊が出るそうです。
しかし当時の資料を良く調べると、実際は日本人の重犯罪者を使って、工事を行った資料が出て来たのですが、日教組とC鮮総連の工作に因ってその事実は隠蔽されたそうです。
私は日本のゴーストストーリーが好きで、たまにライブを聞きに行きますがその手のデマを信じる、語り部さんが殆どなのには驚かせられますね。
彼らは自身の国の恥に成る事ですから、大勢の前で公演するならその手の話の裏を取って、発言するべきだと抗議しましたが、外国人の私の意見は無視されましたよ」
「まあ奴等は手を変え品を変え、そう言うエンターテインメント業界にまで食い込み、捏造歴史を日本人に植え込み罪の意識を煽る事で、金と技術を盗む口実を作って居るのさ!
それに気付かず嘘を真実と思い込み、無意識に奴等の手先に成っている、裏を取らない馬鹿な芸人も罪は重いのだと、自覚して対外的に話す言葉を検証しろと苦情を言うべきだね」
「本当にKAIDANはお年寄りから子供まで楽しむ、エンターテインメントですからそう言う歴史的背景は、キチンと裏を取って発表しないと、非常に危険ですから」
「全く奴等はマスコミだけでは無く、エンターテインメント業界にも多く食い込んで、日本を汚染して居る事をこれから除染が終わったマスコミを利用して、彼らの罪を徹底的に暴き二度と業界に復帰出来無い様にしないと大変だからね。
今回のミッションは奴等の悪辣さを、広く国民と世界に喧伝する格好のケースに成るだろう。
だから今行なって居る工作員の特定や、奴等の犯罪映像は格好のホワイトプロパガンダになるのだよ」
「まあ市民に取っては最悪の厄災ですが、日本人にとっては真に目覚める切っ掛けになれば、今回奴等の犯罪から犠牲になった人達かは、浮かばれると思いましょう!
でないと本当に無駄死にや、無駄に傷つけられた人の心は、癒されないでしょうから………ッ!
あのトラックは? 動画録画ONにします!
あれは明らかに誘拐されて来た女性に子供です!」
「了解! このまま録画を続けていてくれ、ハードディスクは10TB有るので画質は高精度のままで許可する!
…………糞! 奴等は女子供を性奴隷に仕立てて、C鮮系ヤクザ組織に売ってるのは事実だったか」
「……あ! あのドラム缶で起こした火の中に有るのは、焼印用の焼きコテのようです!
あの外道供は捕まえて来た女子供に焼印を押す積りです!!」
ドカァン!
俺は思わず目の前にあったカメラケースを拳で殴った。
任務の為私情を挟めない自分が歯がゆかったので、つい目の前にあったケースに八つ当たりをしたのだった。
「ボス! 落ち着いて下さい!」
「ああ、済まないな。ついエキサイトしてしまったよ。
[ハシブト君]1号に命じて予備のIB023を使い、音声を録音させてくれ」
俺は意識を仕事モードに切り替え、彼女に情報収集を優先する様命じた。
確かに今飛び出して彼等を助ける事は可能だが、まだ他に捕えられている被害者は居るはずで、軽挙妄動は犠牲者を増やし、徒らに話をややこしくして、被害を増やすだけだと解って居る。
しかし理性では判るが感情は別だと、俺は思って居るのだ。
だが怒りで熱くならず却って冷静に成り、行動は合理的になったのは、傭兵稼業を始めて3年程経ってからだ。
怒りに任せて行動しても、却って状況が悪化する事が殆どで、冷静に判断して事に当たれば、より良い結果に繋がると理解出来る様に、成ったのは修羅場を潜ったお陰だろう。
その後ジュディが報告して来る経過を聞きながら、俺は行動の時は奴らに一切の情けを掛ける必用は無いと、決意をしながら時が来るのを待ったのだった。
Pday 17日目
AM09:20 福島県白河市市庁舎西北西側600m地点
俺は潜入工作班“ピーチ”の副隊長である佐々木 裕二(27才)だ。
百地隊長とは東南アジアでの傭兵稼業時代から、世話に成って居る傭兵の先輩で、俺が自衛隊を辞めて当時オーストラリアのNPC[コーネルInc]に、入社して居た時に何かと世話を焼いてくれた先輩だ。
あの人の来歴は面白く、徳川家に使えていた伊賀系の、諜報機関お庭番の出身らしい。
百地家は家に胡座を掻かず常に新しい、諜報の方法を模索する一種の諜報職人とも謂うべき、変わった家系の出で、歴代当主は若い頃は一族を管理するのでは無く、最新の諜報戦に携わる為、武者修行の意味合いで外へ修行へ出るのだそうだ。
そんな変わり種の上司だが、能力は折り紙つきの方で、特に潜入調査では業界では恐れられて居る。
今回は後一時間程でゾンビに対する、空軍の空爆に因る間引き作戦があるので、その際のゴタゴタに紛れて、市内に潜伏して敵幹部の身元割り出しと、武装の程度に人質の居場所を特定する為だ。
そして本作戦実行時には部隊を率いて、敵施設や弾薬庫・拠点に人質の監禁場所へ、急襲を懸けて制圧するのが作戦の要点だ。
俺達バディは市役所より650m程離れた、西北西の位置のドラックストアーの屋根にある建屋に陣取り、監視及び着弾観測任務を行なって居る所である。
今回のミッションのバディは、武器及び爆発物・トラップ専門のハインツ・シュピールベルク(28才)だ。
ドイツ人の彼はステレオタイプのドイツ人と違い、結構陽気な性格でビールを飲むと、大声で陽気に歌い出す好漢だが、まあ民族の特性で時間には厳密だ。
基本ヨーロッパ人は有色人種に余り好感を持って居ないが、彼は祖父が商人をしていて、日本相手に商売をしていた関係か、日本人には隔意は無い様だ。
彼の祖父は日本の刃物を輸入して居たので、子供の頃に爺さんと来日して、関や燕三条市等の伝統的刃物の生産地で、日本人鍛冶師の技に感動したそうだ。
自分も大人に成ったら祖父の後を継ぎ、日本の包丁や挟み等の刃物を、ヨーロッパ人相手に紹介しようと思って居たが、間も無く祖父が亡くなり貿易会社も後継が居なかった為閉鎖された。
夢が潰えて仕舞い目的が無くなり、間も無く父も亡くし進学の為、金の掛らないドイツ軍の士官学校に入学し、卒業後兵役に就きPKO部隊で海外に赴任した。
その時知り合ったオーストラリア軍の士官に誘われ、俺が勤めて居たNPC[コーネルInc]に入社して来たのが、知り合った切っ掛けだった。
「しかしさっきのあれは酷かったなユージ、グークの奴等まさか子供まで、烙印を押すとは思わなかったよ」
「あいつ等なら平気でああ言う残忍な行為をするだろうな。
昔帝国軍にへばり着いて売春宿の女衒をしていた時や、ベトナムでの行為を見ると良く解るよ、奴等はC華思想と言うレイシズムを、今だ民族の思想の中心に置いているからね。
C華思想とは民族をカースト化して上下関係をつけ、その位置を固定化して他民族を支配する為考えられた、中世東洋のレイシズム思想だからな。
それを正当化するのが儒教と言われる、思想体系なのだが日本の学者や宗教家は、その恐ろしさをまるで理解していないな。
まあコミュニストとは相性が良いのかも知れないが、ヨーロッパ系の君からすれば、東洋の邪教と理解していれば間違い無いよ」
「儒教か……前に少し文献を読んだがね、あれを元に発想したら碌でもない人間が出来上がるだろうね。
一見正論の様に論じて居るが、要は皇帝が一番偉いと言う事を、正当化する為に他国民は蛮族で、教化しないといけ無い出来損ないの人間だと、言って居るキリスト教の様な侵略者を是とする思想だな」
「ああ、だから明治政府が日本を開国する際に、決して国の中心に置くべき思想では無いと断じて、脱亜入欧政策を行い儒教の悪しき部分を、注意深く除けた科学的思想に改めたのだ。
当時の明治政府の方針を見ると、最終的に日本を民主国家にする様、国家戦略を取ったのが当時の政策を見ると解るが、WW2敗戦以降それを言うと、『進歩的な学者』やマスコミに吊るし上げを食らったからね。
君達の国の様に国を割られなかったが、思想的に勝者の理屈のみ認められ、日本人の解釈が国内の左翼勢力やマスコミに因り、70年近く思想統制を受けて来た、ある意味非常に不幸な歴史を歩んだからね日本は」
「まあ漸く今回の事態で真面な主張が通るようになったが、考えてみれば酷い仕打ちだと思うよ。
俺の祖国も酷い目にあったが、東西に分かれた所為で共産勢力の浸透に対して、非常にナーバスに成っていた御蔭で、日本に比べ思想的圧力は少なかったからね。
しかし日本はA国の思想統制政策に因り、C国やK国の捏造歴史を利用して日本の罪の意識を利用した、足枷を懸けて日本人をコントロールする戦略の犠牲になったからね」
「まあそうだが、本来は自分達で気づかなければいけ無い事だからね。
他国民が指摘しても日本人が騙されている事に気づき、自身でまず普通の国日本にしなければ駄目だ。
あの様な他国人が勝手に作った、国の基本法である憲法を、まず改正する行動をしなければ、真の信用は得られ無い事に気づかないとな。
日本人は気づいて居ないだろうが、東南アジアの国々は日本の憲法が、A国に無理やり飲まされた毒薬だと、知って居るのだがそれに気づかないと本当の信用が得られなかったのだよ」
「確かに今回の日本の首相が取った選択は、日本の転換点だと評価されたので、今回の海戦でASEAN各国は日本に協力したのだと思う」
「大体日本人自身が第二次世界大戦前後や、日中戦争の歴史をもっと真摯に発掘すべきなんだ。
TVや左翼・右翼の主義主張とは決別して、中道に基づいた公平な歴史観で目を曇らされずに、何がどの様にして起きたのか、確り前後関係を検証して調べる姿勢が無ければ、C国自称のNK大虐殺や慰安婦問題を語る資格はないな!
大体日本のマスメディアやそれに迎合した学者は、戦後戦勝国の主張を垂れ流した日本人への裏切り者だし、偏向報道や捏造報道をして来た前科がある。
自動車会社や家電会社がリコールを隠蔽して、死者を出す大惨事を起こしたと同等の悪質報道をしたのに、自身は多少の謝罪会見をしてお茶を濁し、幹部や経営者の責任を追求もせず、逃げを打った企業として有り得ない姿勢を取ったからね。
更にその罪を知りながら、1930年中盤から1950年中盤生まれの新聞購読者は、日本人に対する致命的なブラックプロパガンダを、無視する犯罪を犯したからな!」
「代表が主張して居る『暗黒の20年生まれ』ですね」
「ああ、ハインツ君には悪いが日本人は、ドイツ人と違い当時ホロコーストや民族浄化には、一切手を染めていないからね。
当時の日本兵の中には確かに、犯罪に手を染めた者も居るが、それはどの組織にも居る、腐ったリンゴであり当時の帝国軍人全体は、第二次大戦前までは世界の上位に入る、統率された尊敬される軍隊だったのは、各国の評価を見れば良く解るよ。
しかし大東亜戦争敗戦後どうした訳か、評価が180度反転してしまったのは何故だろう?
少し考える頭が有ればその様な事は直ぐ判るが、都合の悪い植民地主義者の盗人は、自身の大犯罪を人の良い黙って居ても、判る人は理解してくれると甘い考えの、お人良しの世間知らずに全て、擦り付けようと思ったのだろうね。
でもそろそろ日本人も気付いて良い頃だな、イジメをする悪質な犯罪者達は釈明をせず、黙って暴力や言掛りに耐える者に、感銘を受ける人格や徳は無いと!
黙って殴れば殴る程調子に乗って、更に暴力や加害行為・言掛りはエスカレートして、最後は相手を殺すのも平気でするのだと言う事を。
だから無実の者が加害者に黙って殴られる事は、罪を犯して居ずとも罪を認めたと同義であるのだと。
殴られたら殴った相手に対して、大声で加害を受けたと主張して、報復に相手を死ぬ一歩手前の半殺しにして、相手に殺されそうになったと、正義を主張しないと自分が殺されるのだと、良い加減に思い知るべきなんだ」
「まあ確かにヨーロッパの歴史では、殴った相手に報復をしない者は、相手に侮られて何れその相手か、他国に侵略されて国が滅ぶ事は、珍しい事では無なかったからね。
私に取って不思議だったのは、何故日本は侵略者のA国が押し付けた、他国人が作った憲法を後生大事にして居るのか、まるで理解が出来無いことですよ。
国や民族としてこれ程の屈辱は又と無い事だと思うのですが、日本人の考え方がどうしても判らないです。
ドイツは早い段階で敗戦後の憲法を順次改正して、ソビエトの脅威から国を守る憲法に改憲しましたからね」
「本当はそれ位の気概が無い国は、国際関係では喰いものにされ、酷い目に合わされるのが普通なんだがね。
日本人はそう言う強かさや、狡さをもう少し身に付けるべきなんだが、そう言う行動をしようとすると、悪人や人非人として糾弾される、訳の解らんマゾヒティックな考え方があるのだ。
それが通用するのはある意味平和ボケした、御目出たいお花畑な思考の持ち主だけが、評価する非常に危険な考えなのだが、そんな変態的な被虐趣味を、他人に押し付けるのは勘弁して欲しいよ」
「今回の事が切っ掛けで、少しは真面な考えの人が増えるのを、期待したい所です。
そう言う御目出たい連中に先程、C鮮人テロリストが行った自国民の子供や、女性に対する嗜虐行為をどうコメントするのか、本人を引っ張って来て意見を聞きたいですな。
どうせ奴等は自分の身に起こった事でない事象は、他人事として無視して罪を処断した我々を、人種差別主義者と糾弾して、被害者の感情を逆なでするに決まっていますからね」
「まあ奴等は初めから罪人が誰だか既に決めた、魔女狩り裁判官と同じメンタリティーの持ち主で、端から真の正義とは無縁の悪魔主義者だが、自身を正義の味方と信じ込む魔物だからね。
魔女狩り裁判官は自身の正義を露程も疑わず、平気で人を断罪する特殊な精神病患者で、予後不良であり打てる治療法は、既に無い状態なので取れる贖罪は、一つしか無いのが本当の所だがね」
「でもそれをすると此方まで、魔女狩り裁判官と同じ魔物におちぶれるから、同じ行動は取りたく無いですが、治療法が皆無で放置すると勝手に、魔女と断罪し被害者が増えるのが悲劇ですね。
最終的に誰かが貧乏クジを引いて、奴等を間引くしか手は無いのがやりきれませんね」
「『王様の耳は驢馬の耳』か、そう言うのは何時も子供達で、大人は体裁や後の影響を考えて、行動を躊躇してしまい何時も手遅れになるのが、悩ましいかぎりだね。
しかし魔女狩り裁判官に成るのも、世の中を変える力を持った子供なのだから、事態は複雑なのだけれど。
結局物事を中道から見られる力を子供に与えるのは、大人の勤めであり神性な義務でもあるからね」
「しかし観念的な命題は良いですが、先程の烙印を押していた人非人に対して、どの様な報復をするか今から決めて置くのも、精神安定上必用な事だと私は思いますがね。
私としてはあの様な行為をした奴は、同じ目に合わせるか綿入れ袢纏の背に、ガソリンを含ませた物を着せて、火を点けてゾンビの集団に特攻させてやりますよ」
「う~ん、俺ならC―4を1kg無線起爆装置を付けて、デイバックの中に仕込んで鍵で体から外れない様にして、ある程度追い立てておいて、引き返せない位置についたら、携帯で後十秒後に起爆するとカンウントダウンをしてボン!と行くね」
「あ~あ、副隊長はサディスティックですね!」
「お前に言われたく無いなそれは!」
「しかし後40分で作戦開始ですか、潜入先のアジト候補に[ハシブト君]を偵察に行かせましたが、候補5箇所の内3箇所は空家状態ですが、2箇所は避難民が居て除外ですね」
「3箇所は何処と何処だ?」
「北に500m程離れた建材会社の倉庫と、北北西に300mにある冷凍倉庫と川沿いに有る大型車両の修理会社は、ゾンビは居ますが人が居る形跡は有りませんね。
後テロリストの武器集積場は3箇所が判明して居り、拠点は5箇所発見して居ます。
奴隷の宿舎は近くの小学校に1箇所有り、一元管理して居るのが解って居ますし、市庁舎には女性の性奴隷が10名以上居るのが、確認されていますよ」
「[ジュエル]からの連絡はまだ無いか?」
「特に無いですので定期連絡の時まで待ちだと思います」
「緊急事態は発生して居ないようで何よりだ。
時間に成ったら拠点を3箇所確保に行き、予定通りそこを根城に情報を収集しよう」
「これで市内に10拠点と市外に2拠点を確保出来ますね」
「これだけ用意しておけば、人質を解放した場合100名居ても安全を確保出来るな」
「後は水や食料を何処からか確保して、拠点に隠して置けば完璧ですね」
「今朝来た川向こうにスーパーの物流倉庫が、3箇所程有るからチームの咲良・リコ組が、確保しする予定に成って居るからな。
量が多くて手が足りない場合、声が掛る可能性があるので、今夜当りはどちらかが手を空けておく必用があるな」
「しかし冷蔵設備のある倉庫は一押しかもしれませんね、上手くすれば冷凍食品が手に入る可能性が有るので、食料問題は解決するかも知れないですね」
「あ~、ハインツ君残念ながら冷凍倉庫は鮮魚関係の倉庫だ、冷凍マグロやさんまに鰹、鯖や鯛に烏賊何かが有ると思うが、君の好きなSURIMIは難しいぞ?」
「SURIMIですか! 腹イッパイビールで流し込んだら、美味いだろうな!
任務が終わった後の打ち上げでは、SURIMIとザワークラウトにポテトサラダで、エビスの500mlで流し込むのが至福の時ですからね!
今回も無事任務を終わらせて、打ち上げで一発決めてやろう」
「俺は烏賊の一夜干しで冷を決めるのが良いな、まあ最初は取り敢えず生と美味いあてが有ればいいがな」
「私は締めはやはり豚骨ラーメンがいいですね! あの紅生姜と木耳の食感が堪りません!」
「豚骨も良いが塩も中々乙だがな、アッサリして美味いし飲みすぎた胃にも、優しいチョイスで次の日にも残りづらいからね」
「蜆の出汁のつけ麺も良いですね! あれはこの間初めて試したのでしたが、肝臓に優しいから飲みすぎても、後がスッキリで酒飲みの味方です」
「ワインや日本酒の様な発酵酒を飲んだ後には、蜆のつけ麺は本当に酒飲みの救世主だな。
大抵チャンポンをすると悪酔いして、翌日は二日酔いに成るがあれで締めた翌日は、目覚めもスッキリで本当に助かった」
俺達は酒飲み談義に花を咲かせて居て、何気なく直ぐ傍の通りを何気なく見下ろした時に、俺は偶然それを見つけた。
「おいあそこを見てくれ」
俺は道の方を指差した。
「……えっと、アレですか?!」
丁度向かい側の道路の向かって右側の路地から、中学生か小学生高学年位の女の子と、10才位の女の子が恐る々周りを見回して居る所だった。
小型の双眼鏡のでその子達にピントを合せて、双眼鏡に着いて居る集音マイクをONにして、彼女達の会話をモニターした。
『…………ザザ……ザ……そ…ん…で未來ちゃん恐い?』
『ううん、おねいちゃんと一緒だから平気。
でもあの怖いお化けや、人拐いの奴等は居ないかな?』
『ここは大丈夫だけど注意して行こう、次の通りに行けばコンビニが有るはずだから、きっと食べるものも有ると思うよ』
『ん、早くご飯食べたいね! 未來はもうお腹ペコペコだよ。
コンビニに行ったらポテチとチョコとパンを食べたいな』
『缶詰とかレトルトのカレーや、日持ちする物が一番に持って返るのよ!
まあ少し位お菓子も良いけど、余り嵩張る物は量が一杯持てないから、後回しにして電気はまだ来てるから、菓子パンや袋に入った調理パンはそろそろ賞味期限だけど、まだ平気なんで有ったらそれを優先しましょう』
『リュックはこれしか入ら無いからねぇ~!
未來我慢してご飯にするね!』
『未来は偉いね、でも本当に気を付けてね、ゾンビは音に敏感だしあの人拐いに連れてかれた人は、二度と帰って来ないからね』
『うん解った、避難所に居た叔父さんやおねいさんは、あのわるい人達につれて行かれたけど、大丈夫かな?
未來とおねいちゃんは一緒に、物置で寝ていたから捕まらなかったけど、他の人達は全部連れて行かれたからしんぱいだよ』
どうやら避難所に居た人達だが、あの二人以外全員奴等に捕まり、物資も奪われてしまったので、食料を確保に来た被害者のようだ。
「どうします? 二人を助けますか」
「空爆まで後30分を切ったからな、下手をしたらあの二人は巻き込まれて、死傷する危険もあるな。
こちらも空爆に紛れて拠点を確保するから、二人位増えても問題は無いし、近々の緊急任務も無いから避難民の確保には、支障はないからあの二人は保護しよう。
あの二人は俺が行って保護するよ、怪しい外国人のお前より警戒されないだろう」
「俺は怪しい外国人ですか? まあ避難所の仲間が奴等の拉致に逢ったばかり見たいなので、仕様が無いですがね」
「まあそんな訳なんで、俺がちょっと行ってくるよ」
おれは監視任務をハインツに任せて、二人を確保に行く事にした。
因みに今回の任務では、支障が出ない場合にはなるべく避難民を、保護するよう命じられて居るのだが、任務に支障が出そうな場合は見過ごすのが鉄則である。
今回はこの後空爆に紛れて拠点を確保するので、二人位の避難民を受け入れるのは問題無い。
拠点は比較的広い会社の倉庫を狙って、調査して居るので一箇所を避難民用に、空けるのには問題は無いだろう。
因みに俺の服装は戦闘服では無く、通常のボタンダウンのオリーブドラブのシャツに、カーゴパンツとグレーのメッシュベストに黒のマウンテンパーカーとダークグレーのキャップ姿のラフな服装だ。
実はそれ等のウエアや下着は、オールSライン製の対刃・防弾仕様の戦闘服で、潜入工作仕様に成って居る。
パーカーの下にはRC08s[パフアダー]と特殊警棒、腰の後ろにファイティングナイフにベルトにはワイヤーソー、左足首には小型のナイフに、右足にはSIG SAUER P230と、腰にはそのサプレッサーを装備して居る。
後はスポーツサングラスに偽装した、多用途情報端末のディスプレイ兼、ナイトeye機能が付いた多用途ディスプレイを装備しており、無論骨伝導タイプの無線も付属して居る。
そんな感じで俺達は一見、スポーツサングラスを掛けた、アウトドア系の地味でラフな服装をした、避難民の男にしか見えないが、一度牙を剥けば立派なバトルスーツを纏った兵隊なのだ。
背中のザックには[パフアダー]の200連マガジン3個と、SIG SAUER P230用32口径弾300発と弾倉5個、衝撃波型手榴弾5つに煙幕手榴弾3個、PS(時限音響)爆弾6個をと医療キットに、水筒と行動食を入れた完全武装なのだ。
俺は薬局倉庫の階段をソット降りながら、[パフアダー]にサプレッサーを付けて直ぐに使える様用意しながら、各種武器の点検をしていった。
外に出るとハインツに少女達の行方を聞き、二人が向かった先に俺も急いだ。
彼女達は無事倉庫前の道路を渡り、二軒先の路地に入りコンビニへ向かった様だ。
俺は気配を消して二人の後を付けて、路地の出口に佇みコンビニの有る通りを注意して見て居る、30m程先の彼女達を視界に収めた。
俺は二人の会話を双眼鏡の集音マイクで拾い、会話を盗聴して彼女等が何を気にしているか、話を聞いてみた。
『未來ちゃん、ここの通りは放置車が多いから、屈んで車の下から向こうを見て、ゾンビや待伏が無いか確かめながら行けば、絶対大丈夫だからね!
ゾンビが来たら兎も角逃げるのよ、奴等の力は強いから捕まったらお仕舞いだけど、あなたは小さいしすばしっこいから、走って逃げればノロマな奴等は捕まえられ無いからね』
『おねいちゃんはどうするの? 未來一人ぼっちじゃ嫌だよ』
『お姉ちゃんだって逃げ足は早いから大丈夫、でも逃げる時に剥ぐれたら、約束の場所で待ち合わせだから、そこに行っていてね。
じゃあコンビニへ行くので、未來ちゃんもたまに屈んで車の向こうに、ゾンビや変な人が居ないか注意して見ていてね!』
確りしたお姉さんだな彼女は、下手に近づけば逃げられて仕舞うので、二人がコンビニに入ってから、話し掛ける事にしようと俺は待つ事にした。
二人がコンビニへ行く為に、通りへ出たので俺は路地の出口に急いだ。
路地の出口に着くと伸縮棒の先に小型鏡を付けた、ミラーで彼女達の移動した方向を確認したが、特に周りにゾンビや不審者は居らず、二人が店に入るのを待って俺も後を追った。
二人が店に入って2分位しただろうか、店無いから少女の悲鳴と下卑た笑い声が聞こえた。
「ぎゃハハハハハハ! 飛んで火にいる少女二人ダ~~~!
俺も運が良いぜ! これで班長から褒美が貰えるなァ~
へへへへへ! その前に少し楽しませて貰うゼ!」
「イヤ~~離して! 未來ちゃん早く逃げて!」
「おねいちゃんを離せ! 変態!」
「お~~おう! 生きのいいガキンチョだぜ! おいチビスケお前が逃げると姉ちゃんが酷い目に合うぜ?
どうするよ、早く逃げて自分だけ助かった方が、身のためだぜ? だけど姉ちゃんとは二度と会えねぇがな!」
俺は店の外から様子を伺い、3人の配置を頭に叩き込んで、奴の武装を確認してから、弾種をゴムスタンにして突入の機会を伺った。
2週で1話になりました、少しペースが上がったかな?
とりあえす楽しんで下さい!