32.Pday 10日目
今回は先週風邪を引いた為、二日ほど投降がズレてしまいました。
申し訳有りません、どうかお楽しみ下さい。
AM07:00 調布飛行場側 [ひよく寮] リビング
俺は何時もの鍛錬を終えると、シャワーを浴びリビングで、コーヒーを淹れた所だ。
この10日間長い様で短い期間に、通常の数倍する仕事をこなしたが、疲れよりも達成感の方が大きかった。
何せ町一つを要塞化してしまったのだから、我ながら今更呆れる結果だとつくづく思う。
しかしこの町はいずれ隣りの飛行場と共に、首都圏奪還の空からの橋頭堡に成るだろう。
後残る施設は天水利用の中水道の設置と、トイレ用雑水用の給水システム。
川沿いの擁壁強化の継続に、崖上の出城へのモノレール用装甲通路。
公園の耕作地への転用と、中学校廻りの車による道路閉鎖に、下水道浄化設備とマンホールのカギに寄る閉鎖位か。
特に川・マンホールは暴徒に頭の切れる奴が居れば、下水道を利用した浸透作戦や火攻め、爆弾設置等非常に危険性の高い欠点に成り易い為、田嶋社長や家の鬼山・田所組で、警報器や罠、阻害バリケードの設置など色々手を打ってきたし、不定期巡回等を行うシフトも組んで、浸透作戦を行い辛い環境を作って来た。
川からと上流からの侵入口も、3重のステンレス格子と切断警報器の設置により、侵入し辛い構造にしてあるので、警報器の構造が外部に漏れない限り、まず安心である。
上水道は水道局の配水が止まった時点で、町内に新たに設置した給水栓を閉鎖して、井戸水を新たに設置した給水塔から、送れる様にしたので町内の給水は大丈夫だ。
野川への対策は、最悪の場合川へガソリンを流して、火攻めにする様上流にタンクを設置しておいた。
通常の防衛では鉄板擁壁を組、その後にブロックとコンクリで強化し、銃眼や監視塔からの攻撃や、対水攻め防止用に川の橋梁下部、狭窄部分にC-4を1kg程仕掛けてあり、非常時に爆破出来る様にしてある。
その他手直しの工事が入っても、重機や資材・燃料も十分あるし、予備の車両も殆んど装甲化が済、擁壁も漏れなく完成しているので当面は問題無い。
残りの大きな工事は後5日程で終わるので、スタンビートまでには十分間に合うだろう。
後は人事面で、霊感の強い人間を入居者や、一時滞在する者を審査する時に立ち会わせて、危ないと判断された者は入町を拒否する様に規則を作った。
この審査で跳ねられた者は、例え町会長の知己であろうと安全の為、町への入居や滞在を認めない様にした。
将来的に一時滞在者は、別区画の隔離地区へ寝泊りさせて、町内の安全を計る様にする為、空き家のある区域を囲って宿泊施設を作る予定である。
制空権対策としては、寮にストックしてあるウルトラライトプレーン、チャレンジャー Ⅱ改(武装済)を2機供出してある。
飛行機は逆髪一等空挺陸曹が、趣味でモーターカイトを楽しんで居たので、彼に一任する事にしたが、躍り上がって喜んでいた。
何せエンジンとボディーは装甲と出力を強化してあり、[アナコンダ]を1丁装備して、簡易型とはいえ都市型ステルス戦闘服RS050Tと、同時使用する戦闘サポート機器HUT型バイザー[エビス]さん(EBSS:Electronic battle support system)にリンクして、照準も楽に出来る。
更にタンデムの為、後席に人が乗れば爆撃機にも成る、凶悪な軽飛行機であるから、元GFDSの彼が喜ばないはずは無いな。
少し過剰戦力だろうか? しかし戦力が少なく町を落とされた場合、再度奪還する手間を考えると、過剰戦力位で丁度良いのかも知れない。
マンション アルテミス の要塞化もほぼ完了して居る。
あの地域もアルテミスを中心に、マンション6棟にアパート2棟・農家1軒に畑が3面・井戸が3本の、結講広大な面積を鉄板とコンテナーで擁壁を作り、城砦化してゾンビのスタンビートに備えている。
住民も300名以上居り、こちらの町会と同じくソーラー発電ユニットで電気を賄い、冷凍コンテナーで物資を貯蔵して居る為、現在の住民でも2年近くの食料と生活物資を、蓄えて居るのでゾンビと暴徒・内部分裂が起きない限り大丈夫だろう。
最もリーダーの曽根氏が居れば、内部分裂や暴徒の浸透が起きる心配はないだろうし、武装も過剰な位武器類が供与されて居るので、外部からの侵攻も弾き返せるので問題はない。
そして今日は漸く福島への移動日だ。
準備はほぼ終わり、後は車に乗り込み出発するだけである。
迎えの船も既に東京湾、いや横浜港の突堤近くに、投錨して待っている。
後は丸山緑地で多摩川に船を浮かべて、東京湾に出れば船まで然程時間が懸からないだろう。
乗っていくのはパジェロ改に俺と田所君・佐田さん母娘・日田勇太君・小児科看護師の瀬川智美さん6名と、ウニモグ改に鬼山君・田中君・咲山さん・大川さん・坂田さんの5名。
自動車回収組のジムニー改には、ソーテック組の蒔田君と田辺君に、レジオン入隊希望の伊田君が志願した。
車と船の整備も田所君が完璧に済ませ、荷物も積み終わり、寮にストックしてあった工作機械や、素材類は俺の無限ストレージBOXで、十分な量に増やして工場に置いて来たので、今後問題は無いだろう。
弾薬や地雷・手榴弾・爆薬等も、ストレージBOXでコピーして増やして置いて来たので、後20会戦程は全力で戦闘をしても、問題無い位増やして置いた。
拠点防護用の[アナコンダ]ユニットも、10丁と替え銃身200本
と、専用弾丸10万発に弾の設計図を置いて来た。
弾は旋盤と15mmの丸鋼材が有れば、簡単に量産が出来るし、給弾ベルトは使い終わった物を、再利用すれば問題無いので、廃棄せず取って置く様指示し、組み付け方を図解したマニュアルを、置いて行くので弾数は問題無いだろう。
食料はコメ・麦共無精米の物を、20tずつストレージで増やして、12ftの冷凍コンテナー4台に貯蔵した。
その他の食品は、非常缶詰や等各種缶詰類を中心に数を増やし、目立たない12ftコンテナー2つに、こっそり隠しておいたので、いざとなれば連絡をして利用させればいいと思う。
ガソリン等の揮発油も、タンクローリーを満タンに満たしておいた。
まあこれだけ用意しておけば、内部分裂さえしなければ、パンデミックを乗り切れるだろう。
海まで行くのはSライン製の、防弾インフレータブルボートGB-060を、2隻用意しておいた。
始めは8人乗りのGB-080を予定していたが、人数が増えたのとイザと言う場合1隻より2隻の方が、エンジントラブルが起こった場合でも、曳航出来るのでこちらを選んだ。
このボートは[ライジングサン]で使用されて居る、対海賊・テロリスト用侵攻作戦に使用される、対弾・対赤外線・レーダーステルス仕様の6人乗り軍用ボートで、船体部と上部構造は分離出来、上部キャビンを組めば対ハリケーン用の、シェルターとしても使える防弾構造になっている。
防弾対策では12.7mm弾は貫通できず、ステルス仕様の為ロケット誘導弾も、レーダー・赤外線ホーミングは誘導出来ず、直接照準以外砲撃が出来ない為、750ccの大馬力エンジンで逃げられると、追尾は難しいだろう。
今回はこのボート2隻を、高機動キャリアに2隻積み重ね、丸子緑地へ持ち込み東京湾へ脱出する予定だ。
コーヒーを飲みながら、今日の予定を考えていると、田中君に佐田婦人が降りて来た。
「お早う御座います、代表!」
「お早う御座います、甘莉さん」
「お早う御座います、今日は丁度良い航海日和ですね」
「本当にそうですね、昨日は夕方曇っていましたので、心配していたのですが。」
「気象衛星は今だ健在ですから、気圧の観測所が少なくても、6割位の的中率は有るみたいですね。
大きな台風や前線の大まかな動きは、判るのですがゲリラ豪雨や竜巻は難しい見たいですね。
でもまだ自動観測所が稼働して居るので、暫くは結講正確な予報は期待出来るかな」
「暫くは航海中に、大きな嵐が行き成り襲って来る心配は、無いですから助かりますね」
「そうですね、今回の不安事項はゾンビの動向でしょう。
この辺は人口密度は少ないですから、都心部とは状況が違うので実際に行って見ないと分かりませんからね」
「この町はほぼ大丈夫でしょうけど、ここまで帰って来る時の運転手さんが心配ですね」
「そうですね、けどあまり人数を増やし過ぎても、何か合った時に犠牲者が増えますので、運転手のみ3人にしたのですよ。
その代わり警備畑出の、腕の良い連中なので何か合った場合でも、即座に対応出来ますし、武器・弾薬・食料も多めに持参しますから、まあ大丈夫でしょう」
そこへ鬼山・田所ペアと看護師に子供達も、用意が出来ていた様でリビングにやって来た。
「「お早う御座います」」
「「「「お早うございます」」」」
「「おはよ~」」
「皆さんお早う御座います。 きょうは天気も良くて、絶好の航海日和ですが、自動車や船に弱い人は予め、酔い止めを飲んでおいて下さい」
「「「「は~い」」」」
子供二人とナース二人が、元気良く答えた。
「じゃー皆さん! 軽く朝食を食べたら0745時に、ここを出発して駐車場にてそれぞれの車に乗車して、出発する事にしますが、場合に因っては土手を上り下りしたり、ゾンビや暴徒との戦闘が有りますから、決して油断したりバイザーヘルメットを脱がない様、極力注意して行きましょう。
では朝食後ここを出発します、後の事を考えてあまり食べ過ぎ無いように」
俺達はサンドイッチの簡単な朝食を、食べ終えると忘れ物とゴミを持ち出し、俺が最後に玄関を出てセキュリティーロックを掛け、10日間世話に成った[ひよく寮]を出発した。
駐車場に着くと、町の主立った人達が集まり、別れを惜しんだがワクチンが完成した暁には、必ず戻ると約束をして別れを惜しんだ。
そして0800時、町会の皆に送られて今では、町のメインゲートの1つに成った武蔵野森公園東のゲートから出発した。
Pday 10日目
AM08:00 調布飛行場側 人見街道下り
俺達は出発前に調達班のドライバーに相談して、人見街道を下り武蔵野森公園脇のみちを南下し、R20を過ぎたら県道229号から119号に出て、鶴川街道に交差したら南下して、多摩川原橋を渡ったら川沿いに下流に向かい、丸子緑地対岸の神奈川側から、ボートを出して東京湾に向かう予定だ。
今の所道は調達班のトラックが、事故現場の車を撤去して居る為、比較的通り易くなっており、順調に距離を消化して居る。
アジノモトすたじあむの交差点をすぎ、飛田給駅入口を左折する時に、角から装甲改造したランクルが2台現れた。
直ぐに無線が入りマンション アルテミス の曽根さんと、助けた高校生咲島 翔君と父親、真壁美希ちゃんと父親が、挨拶にみえたのだった。
『やあ甘莉くん、状況が状況なので無線機から失礼。
しかしいよいよお別れと思うと、少々寂しいものだな、気を付けて出発してくれ』
『いえ、曽根さんの方こそわざわざ済ません。
色々ありましたが漸く出発まで漕ぎ着けましたよ、又物資で足りない物が有れば、遠慮無く八王子か水原町会に連絡下さい』
『色々最後まで気を使わせて悪いな、お陰で物資も武器弾薬も充分足りたよ。
あと咲島さんと真壁さんから改めて挨拶があるそうだ・・・ハイ・・・・
甘莉さんこの間は本当に助けて頂いて、有難う御座いました!
お陰で皆んなと楽しく過ごしています、ハイ父さん・・・
甘莉代表その節はお世話になりました、今回のお見送りはあまり大勢では失礼かと思い、家は私と倅2人と真壁さんは美希ちゃんと彰二氏の2人で参りました、真壁さんどうぞ』
『あの、み、美希です、甘莉さん公園では有難う御座いました。
お陰で父さんやお母さんに会えました、学校へ行け無いのは少し寂しいですが、近所の人と毎日炊き出しや畑仕事を手伝って、とても楽しくすごしています! ハイ父さん!・・・・・・
あ、わたくし真壁彰二です! その節は一人むすめを無事返して頂き、妻共々本当に感謝しております。
お陰で親娘3人でこのご時世に、飢えやゾンビの心配を過剰にせず、毎日を過ごす事が出来ます、有難う御座います』
『いえ、偶々御縁が有ったので助けられたのです、そんなに気になさらずに。
恩に感じて頂けたら、私に返す事より助ける余裕があれば、他の人にその恩を返してください、そうすれば私も本望ですから』
『解りました、ふた家族には私からも良く話しておきますよ。
私らはこれから多摩川原橋まで、お送りいたしますので何か有ったら、援護をします』
『有難うございます曽根さん、では[下石原一丁目]の交差点で、右折しますので宜しく』
『了解』
折角の申し出なので取り敢えず道順を伝えると、パジェロ改を先頭に道を進めた。
『甘莉さん、この道順だと鶴川街道経由で、多摩川原橋を渡って神奈川県側から、多摩川を下だる予定ですな?
それなら家の調達班の連中が、神奈川に遠征で出かけるので、このルートは事故車を片付けてあるので、問題無く通れるとおもいますので、馬鹿が居なければ問題ありません』
『貴重な情報有難う御座います、では事故車が有ったら暴徒の罠も加味して、充分注意して対処します』
『了解!』
これで川原までの交通の便が、確保出来て居るのは解った。
Pday 10日目
AM08:30 東京都稲城市矢野口 多摩川原橋側
俺達は何事もなく多摩川原橋を渡り、曽根さん達と別れを告げて橋を左折した所で、進行方向を確認する為に一旦停止した。
ここから暫く土手沿いの道路を進み、二ヶ領堤の下流側の堰堤辺りで川原に降りて、川沿いを進む予定である。
川原に降りるのは鍵付きのポールが邪魔して居るが、大型のワイヤーカッターや、切断工具が有るので問題は無いが、ゾンビの屯して居る量と暴徒が気になる所ではあるが。
車両に関しては元々装甲車両として、完全改装してある車両である為、油断さえしなければ粗通常の軍隊すら、中隊規模なら問題無く壊滅させる事の出来る、装備を用意して来ているので問題ない。
今回はウニモグ改には、セントリーガンシステムに、自衛隊装備の対戦車ロケット弾軽MATを2器装備してあるし、パジェロ改には後部荷室に、手持ちの用2器を装備してあるので、トラックで特攻して来たとしても撃退出来るのだ。
『確か此処から二領堤の下流側まで、アルテミスの調達班が事故車両を片付けてあるので、安心して行けるが仮に事故車が、道を塞いでいた場合罠と思い、20m以上間隔を開けて停車してくれ』
『『了解』』
『途中多摩高等学校近くになったら、一度土手を上り土手上を向の岡工業高校を過ぎて、土手下にゴルフのコースが見えたら、川原をはしるからな。
では出発する!』
俺達は一路丸子緑地の、対岸を目指して出発した。
「しかしいい天気で良かったですね、これが雨だとか風が強いとゾンビの気配が消されて、食事も車内で食べなければ成らないから、気詰まりに成りますから」
「ああそうだな、雨になると土手下の土道がぬかるむと、場合に因っては降りて押さなきゃ成らないしね」
俺はパジェロ改のロールバー上にセットしてある、セントリーガン付属の照準カメラの望遠機能で、前方の道路を監視しながら、鬼山君とたわいも無い事を話しながら、進んでいたが15分位すると600m程前方に不自然に止まっている、1BOX車を発見し50m手前で皆を停車させた。
車の止まっている場所は、地図ソフトで検索すると、公務員住宅多摩宿舎C塔の、真ん中辺りだった。
『こちらA-1、C-1は土手に昇り土手の側面を偵察出来るかな?』
『了解、C-2に土手の反対に行かせて、偵察して貰いますので少々お待ちを。
C-2そんな訳だから[バイパー]の望遠機能を使って、土手の側面に張り付いている、追い剥ぎが居ないか確認してくれ、C-3は対面の建物の警戒を頼む』
『『了解』』
暫く待つとC-2の田辺君から連絡があった。
『やはり居ました、猟銃らしき銃器を持った男が5人程います。
トランシーバーを持って、連絡をして居る所を見ると、対岸のアパートにも伏兵が居ますね』
『こちらA-1了解、ではセントリーシステムの、赤外線モードでサーチをする・・・・・C棟の4階部分に2人、B棟の3階部分に2人隠れて居る様だ、他に伏兵は事故車両に偽装した車に1名いる、ほかには居ないか別車両に、待機して居る可能性が大だな。
作戦としては・・・・・・ジムニー改で土手を上ると直ぐに、川原に降りる坂があるので、土手に隠れて居る5人の退路を、塞いで制圧してくれ、
我々は同じく土手に上り、C棟に居る狙撃手を[アナコンダ]で、土手側の5人は[バイパー]で制圧する。
ウニモグ改はB棟にいる狙撃手を、セントリーガンの[アナコンダ]で制圧をお願いする。
今回は捕虜は必要としないので、順滅を心がけてくれ。
これからの航海を考えると、余計なお荷物は要らないし、彼らも奪う者は奪われる覚悟はして、盗賊行為をして居るのだろからな』
俺は皆に順滅をオーダーして、作戦に入った。
まずC-1のジムニー改とパジェロ改が、同時に土手を上りジムニー改が先行して、川原に降りて土手に張り付いている、襲撃組を引きつける。
その間を縫ってパジェロ改が進出し、B棟前に出た隙にウニモグ改がA棟中程に付き、まずパジェロ改のセントリーシステムの[アナコンダ]が、C棟の狙撃手を廊下の擁壁ごとブチ抜き、殺害した。
B棟の狙撃手がパジェロ改を撃つか、ウニモグを撃つか迷った隙にすかさず、ウニモグ改のセントリーガンの餌食に成った。
土手側に伏せていた襲撃者は、あまりにも早く狙撃手が無力化された為、思わず立ち上がってパジェロ改を、攻撃しようとした為ジムニー改からの狙撃を受けて、たちまち全員撃破されてしまった。
事故車に偽装していた車両の族も、車から手を上げて投降してきたが、その場で[アナコンダ]で射殺した。
『皆無事か? 怪我人及び車両に破損は無いか、確認を頼む』
『こちらB-1車両・人員に問題無し』
『こちらC-1同じく』
『了解こちらA-1、こちらも同じく問題無し』
俺は車内を見廻し、乗員が問題無い事を確認すると、無線で知らせた。
俺は改めて周りの建物を、セントリーガンの赤外線システムで、サーチして伏兵が居ないか確認し、鬼山君と阻害用の車両に寄り、トラップの有無を確認してから、車を寄せて道を開けた。
騒ぎを聞きつけたゾンビがかなりの数、集まって来たのでその場を直ぐに立ち去った。
「皆大丈夫だったですか? 恐い思いをさせて済ません」
「大丈夫ですわ、甘莉さんのせいでは有りませんもの。
大体こんな非常事態に人様を襲って、食料や物資を奪う盗賊になる方が悪いのです、助けたとしても又別の犠牲者を、出すに決まっている人達でしょうから、早い内に成敗して置いた方が世の為です」
「そうですよ甘莉のお兄ちゃん、あんな奴ら許す必要はないです。
じゃ無いと殺されたお父さんや、お母さんの様な犠牲者が増えるばかりです。
何かで読んだのですが、殺す者は殺される、殺される覚悟が無いなら殺すな、と言う言葉を。
あいつ等の様な連中は、きっと人を殺すのを楽しんで、やっているのだと思います。
だってお父さんや母さんを殺す時、奴らは笑って撃ったんです!」
悔しそうな、無念そうな勇太君の顔を見て、大人達は思わず黙ってしまった。
こんな子供の顔を見て、まだ平和だった頃の常識を、振りかざす者は流石に、この集団の中には居ない。
生命の尊さを人一倍感じている、ナースでさえ自己の欲求を満たす為だけに、平気で若い女性をいたぶり殺す、外道の魔手に掛かり掛けた経験があるだけに、どうやら割り切った考えをして居る様だ。
「そうだね、世の中しては行け無い事と、時があると私は思うよ。
本当は平時でも犯罪が起こった原因を、社会制度や生まれ・育ちの責任へ転嫁するのには、どうかと思うんだがね。
社会とは所詮不完全な人間が作る物で、完全な社会環境は昔から有った試しは一度も無いんだが、社会が悪いから犯罪者が出来るのだと言う、現代の法曹関係者は始めから、理論破綻していると思うよ。
大事なのは何の瑕疵も無い、犠牲者の権利を最大限守る事であり、社会的に傷付けられた、加害者の権利は全ての被害者及び、その身内より一番下であるべきだと、私はおもっているからね」
「そうですよね、だって社会から不当に扱われた人でも、同じ境遇で育った人が、方や教師や経営者に成って、社会で活躍して居る人が居るでしょう。
反対に犯罪者に成って人から大事な人や、財産を奪う連中になる者が居ると言う事は、社会的に恵まれないから、犯罪に走ったとは言い切れないのに、弁護士や裁判官がそれを理由に、減刑すると言うのは、真面目にやって来た人達を貶める発言だと思いますね」
「そうだね、例えば早くに親を無くして、不幸だったから犯罪に走ったと言う事を認めるなら、私はそんな事を言う奴に、正座をさせて一日中談判をしてやるよ。
これでも私は16才で両親を、事故で亡くしているのだが、その位で犯罪者になっていたら、孤児院出の子供達は全員、犯罪者予備軍なのだろう、奴らにいわせればね」
「あれ甘莉の兄ちゃんは、16で両親を亡くしたのですか?
良い所の出だと思って居たのですが?」
「まあ旧家の出なのは確かだけど、幸か不幸か知らないけれど、親類縁者も少なかった為に、古くからの直身の家臣見たいな、お目付け役が居たので、財産争いは起きなかったので助かったね。
子供の頃から親には愛情を注いで貰ったせいか、そんなに捻媚びらずに成長したよ。
母方が神な道の血筋だったせいで、亡くなった両親とお別れも出来て、あまりその事で悩む事も無かったからね」
「へー人に歴史ありですね、甘莉さんはご両親に恵まれ、家も良い所のなに不自由無く、育った方だと思って居たのですが。
ご両親が早くに亡くなっていたとは、思っても見なかったですわ」
「そうですかね、然し捻くれた所があるとしたら、陰陽師に成った後に着いた、後付の性格でしょう。
何せ相手にするのは年経た古強者の、悪霊や狐狸妖怪の類いだし、西洋の悪魔と呼ばれる存在とも、死闘をする時がまま有りますから、人が良くては直ぐ騙されて、命ごと持ってかれる危険もある世界です。
そのせいか、疑い深くなるし人の裏も、読む癖が着いてしまうしで、かなり鍛えられたと思いますよ」
「とんでも無い世界ですね、怖くて下手に手を出せないです」
「ええ、生兵法に少し位の霊能が有っても、決して素人が手を出さない方が良い所ですよ。
何遍生兵法の尻拭いをして来たか、良い加減素人が手を出せる甘い世界では無いのだと、理解して欲しいですね、本当に。
簡単に考えて神社に肝試しに行き、実は古強者の悪霊を鎮める為に建立された、恐い所だと判らず触れてはいけ無い者に触れ、その者に一族皆取り殺されたり、一生賭けて償わないと成らない、代償を払ったりと偉い目に合ってからでは、遅いのですがね」
「どうしてそう甘く多くの人が考えるのでしょうね? やはりマンガやTVの影響なのでしょうか。
昔は俺の故郷の様に、田舎でしたがそれなりにタブーで、その場所に行くと祟られると言われ、近づかない場所とか合って、子供ながら怖くて絶対に行かなかったですがね。
でも中高生のヤンチャ者は、度胸試しで偉い目に有っていた、馬鹿が結講いたか・・・・」
「そうですね、今は昔ほど村の長老の権威が無くなり、それまで抑えていた魑魅魍魎の類いが、再度解き放たれるケースが多いですね。
抑えの血統が絶えてしまったり、当代の家長が霊的な者を抑える役を認めず、祭事を絶えさせた結果過去の、禍津神が蘇ったりして陰惨な連続殺人が発生したりとね。
でも幸い超過疎に成ってしまい、祟ろうにも祟る相手が絶えてしまい、行き場のない力を失った〝神″の末裔が、連続殺人を人に取り憑いて起こし、取り憑いた者諸共死刑になり、監視して居る神霊に消滅刑にされたり、結講面白い結末もありますね。
しかし力の強い奴は、私達陰陽師が呼ばれて討伐や、刑務所で其者事封印して処刑したりする事もありますよ」
「警察関係者もその様な事をして居るのですか?」
「下っ端は知らないでしょうが、上の方では暗黙の了解が代々の警視庁総監や、検察長長官と一部幹部のみが知っており、あまり表には出ないのですよ。
流石に反政府系の左翼紙も、下手に触ると当人が死ぬ所か、家族自体に次々と不幸が訪れて、一家離散や一族総壊滅等の憂き目に、会いたくないでしょうから、報道しないのですがね」
その話を聞くと皆は、思わずブルっと身を震わせ、背筋が寒くなったのか黙り込んでしまった。
Pday 10日目
AM09:15 神奈川県川崎市多摩区宿河原 二領せせらぎ館進入路前
ようやく二領せせらぎ館進入路まで来た。
ここからは土手上の自転車道を通り、東名自動車道の交差橋で一旦自動車道に下り、橋を過ぎて直ぐの昇り坂を上り、河川敷のゴルフ場へ入る坂を 下りて丸子橋の河川敷まで、川原の道をひた走るコースを取る予定だ。
『田所君済まんが出番だ、C-1は廻りの警戒を頼む』
『『了解』』
田所君がウニモグ改から、大型のワイヤーカッターを持ち出し、俺はそれを手伝い、鬼山君が周りのゾンビや暴徒を警戒しながら、作業を進めていると鬼山君が声を上げた。
「あ、あれは火事かな?! ああ、やはり火事だぞ!」
俺達は顔を上げ対岸の狛江市猪方の方を見ると、黒煙が上がっているのが見えた。
「良し田所君サッサとポールを外し、ここを立ち去った方が良いだろう。
こんな所で停滞してると何に巻き込まれるか、解ったもんでは無いからな」
「ええ、そうですね!」
俺達は3本あるポールのカギを壊すと、手早くポールを道路から抜き、みちを開けて通れる事を確かめた。
田所君を車に返し、皆に無線を入れて出発する事にした。
『こちらA-1、では出発しますので早めに、現地に着く様行きましょう。
火災が大規模になると、避難民とゾンビに暴徒が、どの様な動きをするかわからないですので、帰宅組は急いで帰れる様に、昼食は車内でレーションⅡ型で済ます様にして下さい』
『了解しました』
『では出発』
『『了解』』
俺達は対岸の火事を見ながら、5分ほど走って東名高速の橋梁手前に着き、再度まず土手にある門をカギを壊して開け、次に移動してポールの手前まで行き、ポールのカギも壊して道をあけた。
「しかし対岸の火事も結講燃えて居ますね、やはり消防所が動いて無いので、自警団や消防団の無い自治会は弱いな」
「その点水野町は自前でポンプ車を持って居るし、隣の壊滅した町会から引き取った3台が有るから、いざとなれば問題無く消火出来るから、有利ですね」
「そうだね、便利は逆に自分では何も出来ない事でもあるのだね。
さ、次の侵入口のカギを開けてポールを退かそう」
俺達は40m程離れた入口のカギを壊し、再度土手上を暫く走り下だる予定の、ゴルフ場の坂に着き坂を下り河川敷に下り、再度川原の緊急自動車道を丸子橋を目指して、一路下流へ急いだのだった。
Pday 10日目
AM09:50 神奈川県川崎市高津区北見方 第三京浜道多摩川橋前
北見方少年サッカー場
北見方少年サッカー場へ俺たちが差し掛かった時、俺達はそれに出会った。
オリーブドラブと茶色の迷彩に大型の機体、デカい2つの3枚翌ローターを付けた、3機のCH-47JAバートルヘリコプターを。
機体廻りに迷彩色にMINIMIをルーフにマウントした、軽装甲車両LAVを護衛に据えて、警戒体制を取った配置に拠点防護用の、簡易土嚢で陣地を作り、3個小隊程で多分偵察部隊だろう。
首都圏の情報を入手する為の、威力偵察部隊だと予想出来る連中だが、面倒な事に成らなければ良いが・・・・。
早速こちらに気がついた、自衛官いや現在は日本陸軍の軍人だが、我々に武器を向け誘導して来た。
彼らの武器でどうなる武装はしていないが、後々面倒な事になるので取り敢えず誘導に従って行く。
駐屯地の脇に誘導されて、機関銃(MINIMI)の歓迎付きでお出迎えしてくれたのは、ご愛嬌だろう。
早速窓を叩いてここを開けろと、指示して来たのであらかじめ用意して来た、現総理大臣の署名入りの通行証を提示すると、驚いた顔をして上官に報告に走った。
「どう思う鬼山君?」
「JGSDFですからね~、[用意周到・動脈硬化]はまだ治って無いでしょうね」
「やはりそう思うかい?」
「はは、自分の古巣ですから、あまり悪口は言いたくないですがね」
そうこうして居る内に、上官と思われるウエーブ(女性兵)を連れて来ると、彼女に丸投げしたようだった。
彼女の階級章を見ると、横線一本に上に星二つで二等陸尉、つまり中尉殿だった。
俺は窓越しに改めて安部総理からの、通行書を相手に見せると窓越しに、何か言って居るので外部マイクを入れると、こう怒鳴っていた。
「貴様開けんか、窓越しに通行書を見せても、本物かどうか確認仕様がなかろうが!
早く開けんと銃で打ち破るからな、早くしろ!」
青筋を立ててがなる姿は、見られた物ではないが、仕方なく俺は答えた。
「行き成り武器を突きつけられて、命令されたのだから仕方無いでは無いですか。
それとも皆さんは日本軍に成ったから、行き成り国民に命令出来る立場に成ったつもりですか?
まだ確認をしていないが、自国の首相の通行書を持って居る相手に、頭ごなしの態度を取るのは、いかがなものですかね?中尉殿」
この返しには流石に、グウの音も出なかったらしく、顔色を赤くしたり青くしたり、忙しいったら無いな。
「取り敢えず今そちらに出ますが、国民に銃を突きつけて相手の尊厳を傷つける態度は、文明国の軍隊とは思えませんね。
貴方は在日の北の出ですか、その態度はそう思われても仕方無いですよ」
「いいから出てこい、糞を漏らすほど殴られたく無ければ、サッサと此処に来い」
「代表、まずいですよあの女、すっかり頭が天元突破して居る、みたいですので危険です」
「大丈夫ですよ、あの手の人は部下に信望が無いので、彼女を〝呪″で縛ってしまえば、部下はどうして良いか判らず、こちらの思う通り動きますからね」
俺は鬼山君に紙で作った、人型を見せるとニヤリと笑って言った。
「ハア、そう言うもんですか? ではお任せしますが、くれぐれも注意して下さいね」
鬼山君は諦めた様にそう言うと、先程から録画して居る、レコーダーの調節を始めた。
「では出て行きますので!」
俺が外部スピーカーに向かって、そう言うとドアを開けて車外に出た。
するとウエーブは腰のSIG220と思われる、自動拳銃を抜き行き成り俺に突き付けた。
「おやおや中尉殿、無抵抗で武装してない者に、銃を向けるとは感心しませんね?
ましてやこの通り、安部首相の直筆サイン入の通行証を、提示して居るVIPと思われる人物に、そんな行動を取ったらどうなるか、考えるまでも無いですね?」
「貴様ピイピイ煩く鳴くな、今がどんな状況だと思っているのか、解らないのか馬鹿め!
ここでお前をバラしても、誰も気にはしないし証拠も残らない。
そんな当たり前の事に気付かない、お前の様な生意気な奴は只では置かない。
私を捨てたあいつ見たいな口を利く奴は、アタシが殺してやるよ」
あ~あ振られて気が変に成って、自暴自棄になったホットテンパー女か!
ゾンビパンデミックに成ったので、自由に人を殺せる立場に成ったから、兵士を巻き込んで勝手をしようとしていたのか。
士官がこれじゃ兵隊は良い迷惑だ、周りの部下も顔を引き攣らせて、青い顔して見ているだけだな、オイオイこれは明らかに、公務員陵辱暴虐罪の現行犯で即逮捕だぞ!
仕様が無いので俺が替わって、逮捕するしか無いか全く面倒な。
俺は左手に通行証を持ち、右手の人差し指と中指の間に〝符″を挟み、両手を上げた。
理不尽女性士官は右手の〝符″に目を遣ると、当然見咎め詰問して来た。
「おい!その指の間の紙は何だ、直ぐこちらに渡せゆっくりな!」
「え? これはお守りですよ? 強い神様の〝符″なので他人が、触れない方が良いのですが」
「ウッサイ、撃たれて取り上げられたいか、サッサとこちらに渡せ!」
「判りました、ハイ」
俺は人型に折った和紙制の〝符″を、理不尽さんに手渡した。
無論内心北叟笑んでね!
理不尽さんは疑わしそうに〝符″を手に取った途端、金縛りに成って身動きが取れなく成った。
周りの部下達はその様子を見て、目を丸くして更に固まったので俺は言った。
「ハイこれで捕縛終わり、君達も即座に武器を下げた方が良いよ。
現在この模様はライブで統幕議長の所へ、衛星を使って送信中だからな。
場合に因っては空軍か海軍辺りから、対地ミサイルが飛んで来て、この辺は更地になるから注意が必要だよ。
後、このウエーブの次席士官は誰だい?」
「は、自分は咲山中尉の副官であります、原少尉です!
咲山が大変失礼をしました、お詫び申し上げます。
咲山はこの10日程、少し様子が可笑しかったのですが、今朝任務で部隊から飛び立ってから、塞ぎ込みがちに成り先程貴方の顔を見て、何かキレた状態に成ってしまい銃まで引き抜いたのです」
「う~ん、言動から察するにパンデミック前に、振られたのが原因で急性の欝状態に成り、任務中に振られた男に似た、私の顔を見て発症して、凶行に及んだと言った所だな」
「!は、ハイ、多分そうだと思われます、それに加えて中尉の家族の安否が取れなかったのも、原因の1つだと思われるのですが。
それにしても良く御判りになりましたね、彼女は溜め込む質なので行き成り爆発したので、部下達も驚いてしまい手を混まねいてしまったのです、大変ご迷惑を掛けて申し訳有りません。
しかし彼女のあの状態は? 薬でも使われましたか? しかしあの様な状態になる薬品、は思いつかないのですが。
後お名前を伺っても宜しいですか?」
「私は旭グループの代表をして居る、甘莉 丈太郎 と申します。
パンデミック発生時に調布飛行場で、軽飛行機で福島の旭製薬の研究施設がある、福島工場へ移動する予定だったのですが、飛行場内にゾンビが溢れた為、飛行場の近くにある会社の寮に、一時避難していたのです。
しかし漸く本日、旭物流の輸送船の都合がついたので、多摩川の丸子橋から東京湾に出て、福島工場に向かい対ゾンビウィルスの、ワクチン開発の陣頭指揮を取る予定なのです。
後、彼女の状態は所謂金縛りと言われる現象です、私は陰陽道を修めていますので、これくらいは普通に出来ますよ」
「陰陽道ですか? 陰陽道に旭グループと言えば、元海自の横山提督が関係して居る、旭グループですよね?」
「ええ、横山提督は確かに内のグループの、未来戦略研究所の所長をして頂いていますよ? しかし陸自の貴方が良くご存知ですね」
「ええ私の教官だった方が、横山提督とお知り合いだったので、教官と久しぶりに飲んでいた店で、偶然お会いしてお話を伺ったのですよ」
「提督は今回の対C・K国海戦で、松浦大将と共にC国海軍を撃退した、二本柱の一人ですし今回の功績で日本・ASEAN各国から、名誉提督の称号を受けたのです」
「それもニュースで聞きました! いやー海自に行けば良かったとつくづく思いましたよ。
同期の防大出の奴は今回の海戦に、はるなのミサイル士官の一人として、活躍して居るのを見ると羨ましくなりますね」
「しかしこれからは陸軍の出番ですよ、ゾンビ用の抗ウィルスワクチンが出来ると、ゾンビから日本の都市を取り戻す主役は、貴方がた陸軍でしょう、現在北海道に生産拠点を移して、武器弾薬を量産して居るのは反抗作戦の為でしょうに。
内の旭工機も旭製薬で作られた、Sライン製の繊維で国軍用戦闘服を、大増産しているのですから、間も無く内のこの[ライジングサン]用、バトルスーツと同等の製品が皆さんの、手元に届くとおもいますよ」
「え? そう言えば旭グループと言うと、[ライジングサン]の親会社の旭グループですよね?」
「ええ、そうですが[ライジングサン]にお知り合いでも居ますか?」
「は~あ・・・・恐い先輩諸氏が大量に、あ~田所教官にバレたら後が恐い~、どうしよう・どうしよう・・・・ブツブツ・・・」
あ~、何か不味いスイッチに回路が継ったみたいだな、自閉モードに入ってしまったようだ。
しかし田所教官? どこかで聞いたような名前だが?
アレ? コレハ マズイ ゾ!
タドコロ キョウカン ノ スイッチ ガ ハイッタラ!!
俺はふと後ろのウニモグを見ると、運転席に人影が無い事に気がついた・・・・・・
俺は原少尉の方を向き、肩をポンと叩き、ニッコリ笑って言いました。
「原少尉、ま・・・頑張れ(´▽`)V」
原少尉はこちらを見上げてから、背後のただならぬ気配を感じて後ろを振り向くと
・・・・・・・・・・・・鬼が居た・・・・・・・・・・・・
俺は耳を両手で塞ぎ、その場をそそくさと立ち去った。
背後から怒号の様な号令が響いたので、チラっと後ろを振り向くと青筋を立てた仁王立ちをした鬼に睨まれた、原少尉の他に何故か部下達も揃って、直立不動の姿勢をして整列していた。
あれ~? 金縛っていた咲山中尉も整列している??
普通解除は俺がしない限り、動くのは無理なはずだが流石軍人、訓練に因って本能レベルまで、叩きこまれた命令による絶対服従が、不可能を可能にしたのか?
そう言えば咲山中尉といったな・・・・・・?
確か内科勤務の咲山看護師のお姉ちゃんが、陸自の尉官だと言う話は聞いて居たが?
まあ良いや、それはあの訓練と言う名の、鬼の特別補習が終わってからにしよう。
その後、フル装備を付けたまま、川原のサッカーグランドを、必死の形相で走る自衛官が十数人いたのだった・・・・・・・・・・・・・・
チ~ン
38℃の熱が出ると、頭が働かなくなり、仕事だけで手一杯になりますね。
皆さんもコレからの季節、風邪をひきやすく成りますので、充分注意して下さい。
漸く調布編も終わり、福島移動編に突入しました。
烏賊鯣さんの「アウトドア派のニートがサバイバル」で出た、石頭なウエーブから着想を得て、咲山看護師のお姉ちゃんを考えてみましたが、彼氏に振られて捨てられたヤサグレ陸軍士官になったのは、『中島みゆき様』の歌を聞いていたせいです。
俺は悪くない~~~!! 『中島みゆき様』の歌が良すぎるのが逝けないんだ~~
わたしの歌をきけ~~~~!!!(バシ~ン)
・・・・・まだ熱が残ってるかな?




