31.Pday 9日目
又少々遅れ気味です済ません
PM14:05 調布飛行場側 三鷹私立第9中学校 体育館
俺達が体育館に戻ると他に助かった子達が、悄然として居た。
田辺君や伊田君もどうして良いか、困惑して居るのが直ぐに解った。
「皆に言っておく事が有るので聞いて下さい、まず恐い思いをさせた事にお詫びをします。
しかし彼らに対して行った刑罰は、今後このパンデミック災害が終息するまで、当前に取られる刑罰であるし、非常事態下ではどの国の司法機関でも当然取られる、手法であると言っておきます。
先程も話したけれど非常事態法が発令される場合、国の司法機関が何らかの災害で機能出来ない状態になり、緊急に社会秩序を守る為に取られる法律なので、犯罪被害者の人権は非常に重くなります。
しかし比例して犯罪者の人権は、ほぼ無くなると思って良いでしょう。
これも先程説明しましたが、今は生き延びるのに平常時の数十倍の努力がいりますし、命の危険は数百倍に跳ね上がって居ます。
食料を一食分調達するのに命懸けの努力が必要で、安全な住居を手に入れるのにも、大変な負担が掛かりのはわかるでしょう?」
俺は彼ら一人々の目を見て同意を求めた。
「ハイ、ゾンビが侵入しない様に警備したり、入り辛く出やすいバリケードを作って安全を守らなければ、安心して休む事も出来ません。」
「その通り! 君は確か東塔見さんだったね」
「はい、3年生の東塔見 紗江と言います」
「君の言う通り生き残るだけで精一杯な状況だ、その様な状況で果たして安全で安定していた社会状況で行なっていた、犯罪者を厚生させながら反省を促す現行の刑法を実行する事は、事実上不可能で有ると言わざるを得ないのは解るね」
「はい、只でさえ食べるだけでも命がけなのに、犯罪者を閉じ込めて自由を奪い反省を促すなど、事実上無理ですね。
そんな事をする集団のリーダーが居たら、クーデターを起してそいつらを追い出すか、殺して私が集団のリーダーになります」
その話を聞いて皆が思わず、クスクスと笑い出した。
「その通り私もそうしますね!
生きるのも厳しい状況で集団の和を乱したり、暴力を振るい弱者から食料を掠め取る行為をする者に、慈悲も生きる権利もない状態が非常事態なのですよ。
先程私がイジメグループに取った行動は、普通の社会状況であの行動を取ったら即逮捕で懲役刑か、死刑に成りますが非常事態下では合法なのです。
まして私が所属して居る自治体内で、私は公平に物事を裁ける人物として信用が有りますので、先程の様な行動を取っても町会内では、別に乱暴者とも独裁者とも思われていないのです」
「ああ君らに言っておくが、この甘莉さんは町会内の顔役であり、若いながら普段は持株会社の、代表をなさっている方だ。
だからと言って変な権力を振り回さないし、通常は大変温厚な方で社員にも慕われている人だ。
後先程も言われた様に陰陽師と言う、特殊な力を持った人であり、その力は騙りや詐欺師とは一線を画して居るので、現首相や政党の首脳とも親交がある方だよ」
「まあ現政党や総理とは知合い程度の間柄だね。
その様な力を持って居る所為で、皆の後ろで守護・指導をして居る方達とも、コミュニケーションが取れるのだよ。
皆さんも守護霊とか指導霊と言う言葉を聞いた事があるだろう?
私の様な陰陽道を修める事が出来る者は、基本的に霊能力と言われる資質がある者が、厳しい修行を修めて成る、いわば霊能力者の上級職であり、簡単に成れない職業だと思えば間違いないよ。
私は先程4階で高椋由依ちゃんと知り合った時、彼女の後ろに居る守護を司る方に彼女が合っている、災難に付いてその情景を見せられたのだ。
そしてそれを行なって居る者達が、地獄霊を招き入れ、生きたまま悪霊化し、魔物化した者に因って、引き起こされて居る、犯罪であると教えられたのだ」
「生きたまま悪霊化するって? 何だかとても恐い事ですね」
「その通り、普通は悪霊化してしまうと病気や事故等で、直ぐに死んでしまうのだが、中には地獄霊と言って悪霊の親玉や、西洋では悪魔と言われる、魔族の眷属に生きたまま成り、この現世を地獄化させる目的で利用されるのだよ。
それが悪霊化人間と呼ばれる、御霊の光源が無くなった状態になる、悪魔とか悪霊と呼ばれる存在に、生身のまま成ってしまう正に魂のゾンビと言える存在になるのです。
彼らは巧妙に廻りを騙し、善人の振りをして影に回ると、君らが見た彼らの様に魂が綺麗な存在を見つけ、イジメと言う陰湿な行為でその人の心の力を弱め、自分等と同じ地獄に落とそうと工作する、地獄のテロリストなのですよ」
「それかなり悪質で恐い存在ですね、そう言えば彼らを擁護する大人達も見ているとどうも怪しいですね。
教育委員とかイジメ相談室の、困っている子の相談に乗らない職員とか、冷たい対応を直さない幹部や、学校の先生も怪しいです」
「そうですね、私が感じるのは第二次大戦以降の、日本の教職員組合が出来て教師は聖職ではなく、普通の労働者だと言い出した辺で、日本の教育が可笑しな方向へ、ねじ曲がったと思いますね。
所謂左翼系教育が主流に成ってしまい、物質至上主義が言われ出した辺から、現状の犯罪が蔓延る日本に成ってしまったのだとおもいます。
実際その教育を受けた世代が、社会に出だした辺りから、非常に悪質な児童犯罪が増える傾向が、出だしたのは間違いありませんからね。
だから皆さんも注意して欲しいのですが、このパンデミック災害を契機に今まで日本で起きなかった、暴徒による凶悪犯罪がこれから起き易くなっており、私達町会の自警団も3件程、銃器で武装した暴徒と交戦しましたから」
「え、銃で武装した暴徒がいるのですか! 嫌だそれ恐いな」
「ええ、始めは12人程の武装集団レイピスト、2回目は自動小銃と散弾銃で武装した8人組のヤクザ、次は7人組の族崩れでした。
3件とも此方の自警団の武装と、連携の練度が上だったので、簡単に撃退出来ましたが、あちこちで同じような盗賊団が今後発生するでしょうね」
「でも、あの、貴方の町会はどうしてそんなに、武器の装備が良いんですか?
下手な軍隊より確りした装備が、あるみたいですけれど」
「ああ、それは甘莉代表の経営して居る会社の一つに、[ライジングサン]と言う警備会社があるからですよ。
僕は[ライジングサン]とはライバル会社の、[ソーテック]と言う警備会社の社員ですが、業界内でも[ライジングサン]の装備と雇用条件の良さは定評が有りますからね。
[ライジングサン]を一躍有名にしたのは、この特殊電動エアーガンである[バイパー]なんだ。
国内向けではこの[バイパー]に、特殊な非殺傷ゴム弾を装填して使うのだが、今使用しているのは海外向けの、殺傷能力のある機種だ。
代表はバイオ系の薬品会社の社長でもあるので、ゾンビパンデミックの情報も入って居たそうで、その為に海外向けの[バイパー]を国内に、かなりの数を持ち込んでいたみたいですね? 代表」
「フッ、ええそうですよ、これでも民間会社ですので、C国のパンデミック情報は、早い段階で入っていました。
しかし日本は変な国で、社会に報道しようとすると、C国の正しい情報は、日本のマスメディアに悉く検閲されて、C国に都合の悪い情報は意図的に規制されてしまうのですよ。
皆さんも浅緋新聞の従軍慰安婦問題を、日本のマスメディアがどの様に扱ったか覚えて居るでしょう?
結局自浄作用は働かず、誰も捏造記事に対する追求はせず、責任も取らない言訳不能の行動を取って居る、それが日本のマスメディアなのですよ。
今回のC国発のパンデミックも我々民間製薬会社は、発生直後から気が付き業界新聞には発表されていたのです。
しかしクオリティペーパーと自称する、一番国民の購読数が多い大新聞社は、何時報道したかご存知でしょう?
総理のパンデミックに対する、非常事態宣言後ですからね」
それを聞いた中学生達は、暗澹とした顔をした。
それはそうだろう、普段自称正義の味方を標榜する、大手マスゴミの顔がどこを向いて居るのか、垣間見えてしまったのだからだ。
「皆さん、何故安部総理が国内の不良マスコミを、一掃する行動に出たか解るでしょう?
本来のマスメディアの姿勢と言うのは、誤報は極力減らして偏らない報道を心掛けるのが基本的な、有り様なはずです。
これが出来ないマスメディアは嘗ての、汚染された工場排水や排気を無制限に垂れ流していた、公害企業より遥かに悪質なブラック企業にほかなりませんからね。
何故ならその害毒の犠牲者は、他成らない国民です。
そして自浄能力が無い存在は、他の監視機関である国が替わって、今回の浄化の為の行動を、行ったのが今回の国による不良マスコミの、一斉バージであるのが真相です」
「ああ、だから父がTVや新聞に対して怒っていたんですね。
怒こった理由は月曜に帰って来たら、教えてくれる予定でしたがこの状況では、無理でしょうけどね」
「まあそう言う訳で、かなり刺激の強い場面を、君達に見せてしまいましたが、基本的に普通通り生活する、罪を犯さない者には、恐い事はありません。
後君らの処遇ですが、このままこの体育館に居させる訳に行かないので、取り敢えず安全と食料が確保されて居る、私達の町会に移ってもらい、手が空いている時に君達の家族の安否を確認して行きたいと思います。
尚、今回我々はこの学校にはプールの塩素剤と、体育マット・非常用品を調達しに来たのですが、帰り掛けに大沢第2アパートに居る高椋さんのお婆さんの、安否確認に行く予定ですが、そちら方面に住んでいる人は居ますか?」
俺がそう聞くと11人中7人が手を上げた。
「そんなに居るのか・・・・では一旦荷物を町会で下ろして、それから団地の方へいきますので、荷物の積み込みを手伝ってもらえますか?
後、東塔見さんも違う住所か、では貴方に残り3人の住所を聞いておいて貰えますか」
「ハイ、解りました、でも私とみそらちゃんは、2丁目在住ですよ」
「僕もそうです」
「私も!」
都営住宅組以外は、皆都営アパートの近隣住民の様だった。
しかし足の都合があり、まず都営アパートの方へ、先に訪問する事にしたのだった。
俺達と中学生達は、体育館にある体育マットを20枚積み込み、災害用品の倉庫に向かい、倉庫内の食料や物資を8割方積み込んだ。
残りは誰かが避難して来た場合の為、少々残しておく事にした。
あまり残し過ぎると居座ってしまい、治安の悪化を懸念した為だった。
俺と男子生徒3人で4階の脱衣所隣の、備品庫から塩素剤1000錠入ダンボール箱3個と、使い掛け残り560錠程の物で、総計3560錠を入手した。
ついでに気になっていた、プールの除霊をしたが、内一人が見えて仕舞って大騒ぎに成った(笑)。
そして町会に戻り、荷物を工場の倉庫に置き、取り敢えず場所が違う4人の子供達は、空き家に成った中程度の大きさの建売戸建で休んで貰い、将来的にある程度大きい子達は、シェアして住んで貰う事に成った。
佐々木町会長と合い、場合に因っては子供達の親毎移住させる旨を、頼んでみると住民が4割程減ったし、新たな居住してない住宅が管理地域に増えた為、治安の維持や人手を考えると、有望そうな住民が増えるのは歓迎するとの答えを貰った。
そして7人の子供を、改造した1BOXとパジェロ改に乗せて、先程の3人を護衛にして、大沢第2アパートへ向かったのだった。
Pday 9日目
PM14:05 都営住宅 大沢第2アパート前
「う~~~ん、どう思う蒔田君?」
「あまり状況は、芳しくは無いですね」
俺達は都営住宅の廻りの状況を見て、少々悲観的になっていた。
道の要所を塞ぎもせず、ゾンビが徘徊している状況を見るに、この自治会は団結して、ゾンビに立ち向かう行動は取らずに居る。
人の居る気配はかなりの部屋から感じるが、バラバラに行動して居る為、スタンビートが起こった場合、簡単に飲み込まれてアウトだろう。
俺自身のアンテナには〝不和″の気配を感じる。
この様な場合は自治会事態が、何らかの原因で分裂をしており、組織立った行動が取れない場合が多い。
俺は子供達に聞いてみる事にした。
「なあ君達、このアパートは自治会に何か問題が有るのかね?」
永井少年が答えた。
「えっと詳しくは知らないですが、古くからいる住人とこの10年位に越してきた住人の仲が、余り良くないですね。
原因は解らないですが、切掛けも良く解らない状態ですので、手の打ち様がないですね」
「あ~~~、一番面倒な事態だね、今更第三者が関わっても、手の出しようがないパターンだな。
これじゃ唯一大勢の助かる、団結してアパート包みで乗り切るのは、まず不可能だな」
「そうなんですか・・・・でしょうね! 内の親も余りに理由が子供じみた事で、対立しているので、自治会には極力関わらない様にしているのです」
「まあ私がいま提案出来るのは、自治会に関わらない穏健派の方達に、内の町会にあるアパートへ、避難してもらうことだね。
大体30世帯が引っ越せる、物件があるからね」
「そうですか、出来れば父に動いて貰いたいのですが」
「取り敢えず君らの親御さんの、無事を確認するのが先だ。
まず高椋さんと同じ、棟の人は居るかな?」
「あ、僕と湊が同じです。
高椋と僕が2階で、湊が3階ですね」
「よし、じゃあまずその3人の家族を捜索しよう」
俺達は3号棟に車を寄せて、子供達を間に入れる形で、3号棟に侵入していった。
2階に上がると、ゾンビが2体廊下を徘徊して居り、先行の蒔田君が射殺した。
まず、高椋 由依ちゃんの部屋に行き、由依ちゃんに部屋への確認をしてもらった。
コンコン・コンコン!
「お婆ちゃん、由依だよ! 部屋にいる?」
コンコン・コンコン!
「由依だよ! 居たら返事をして、お婆ちゃん!」
すると部屋からカギを開ける音がして、直ぐにドアが開いた。
「ゆ、ユイかい! 良かったぁ~~、生きておったか~~」
中から出て来た50代半ばの女性が、由依ちゃんをカキ抱くと、泣き出してしまった。
俺は廻りを気にして二人に言った。
「申し訳ありません山賀さん、安全の為部屋に入ってお孫さんの、無事を確認して下さい」
「あ、・・・・済ませんみっともない所を見せて仕舞ってグス、貴方達は何方でしょう?」
「我々は崖下の野川沿いにある、水原6丁目の自警団の者です。
今回中学校へ物資を調達に行った際、この子達を保護したのでお送りしました。
まだ永井君と湊君のご家族が、この棟にお住まいなので送って居る途中なので、後で又お話が有りますので、お伺いいたしますので、先に行かせて貰います。
それじゃあ由依ちゃん、また後でな」
「ハイ、お待ちしています!」
俺達は二人が部屋に入るのを見届けて、一軒先の永井君の部屋に向かった。
扉の前に立つと永井君は、深呼吸を一つすると。
ドンドン・ドン ドンドン・ドン
「オーイ、僕だ、桂治だよ~」
ドンドン・ドン ドンドン・ドン
「桂治だよ、開けてくれ~~~」
すると鍵が開く音がすると、チェーンロックをしたまま、ドアが開き中から恐る恐る覗く顔が有った。
「あ! お兄!? オニイ帰ってきたの?良かったよ~」
中から小学校高学年位の女の子が顔を出し、慌てて引っ込んだと思うと、チェーンロックを外し扉を開けて、抱きついて来た。
「真奈! ただ今、 父さんと母さんはどうした?」
「と、父さんはあの日から帰って来ない。母さんは今トイレ!
かああさああん! オニイが帰って来たよ~~!」
「トイレって! 相変わらず間が悪いんだから・・・」
玄関で騒いでいると、奥のどうやらバス・トイレのあるスペースから、30代後半の女性がジーンズのチャックを上げながら、飛び出して来て、
「ケイちゃん、無事!」
と叫びながらこちらを向き、我が子と我々の顔を見ると、顔を引きつらせて慌てて頭を下げて来た。
「あ! あら嫌だ、御免なさい!みっともない所見せて。
あ、あのどちら様でしょう?」
うん、感動の対面もこれじゃあドタバタコメディだな・・・
「・・・・・え~と、私達は中学校裏手の崖下にある、水原6丁目の自警団の者です。
中学校に物資の調達に行った所、お宅の息子さん他10名程の学生さんを保護して、いまこの都営住宅に、在住の子達を送りって来ました。
我々がこの棟在住の湊君を送って来たら、提案が有りますので、後ほどまたここへ寄りますので桂治君に、先に話を聴いておいて下さい、では湊君を送って来ますので、暫し失礼します」
俺達は永井家を辞すると、3階に向かった。
3階の廊下にも3体のゾンビが居たので軽く片付け、湊君の家のドアを叩いた。
コンコン・コココン コンコン・コココン
「お袋~~俺だ~、生きとったゾ~。
ハヨ、開けないと化けて出るぞ~~、オレ・オレ・オレだよ~!」
やおら扉の向こうから、気配がすると玄関から返答が有った。
「ウチは母娘二人の母子家庭です! あんた誰ですか? 内の裕子ちゃんでは無い様ですが」
「ウッサイこの糞ババ! 人の黒歴史を逆なでするな! こっちは大人の客連れてきてんだよ!
だいたい人に女装させて喜んでいたのは、貴様の趣味だろうが。
だからお父に呆れられて、他所の女に走られたのがわからんのか?」
何だか偉い危ない母娘?喧嘩に巻き込まれたようだ。
このままフェードアウトしても良いだろうか? 良いよな蒔田君! そうだろう、そうだろう、このまま華麗にスルーしても誰も文句はいわないよな~~~! ゑ?!
そう思って撤退しようとしたら、ドアが行き成りバンと開いて、フライパン片手の、30代前半位の良い女が現れた。
スタイルの良い肢体に、七分袖の薄紫の体にフィットした、ウールのセーターにデニムのホットパンツ、セミロングの黒髪をポニーテールにして、銀のバレッタであしらい、小顔でつり目の小悪魔チックの美女だ。
サイズは上から、90・55・89位か?
どうやらこの方が湊君の母君らしいが、どうもマイペースの天然系女性らしい。
気が付くと自分のペースに持っていかれる、結講油断の成らないタイプのおねーさんだろう。
漸く、9日振りの親娘? 対面の儀式が済んだ様で、話を挟むことが出来た。
「え~と、もう良いですか? 始めまして私中学の近所にある、水原6丁目の自警団の甘莉と申します」
「あら御免なさい、わたくしこの子の母で、湊 真奈美と申します宜しくお願いしますわ」
「これはどうもご丁寧に。
所で私達が浩史君を保護したのは、中学校に物資の調達に行った折でした。
そして我々には足がありますので、此処まで彼を送って来たのですが、どうもこのアパートの自治会はゾンビパンデミックに対して、自治会として対策を何もしてないみたいですね?」
「ええ、そうなんですのよ、あ、それよりこんな所で何ですので、部屋にお入り下さい、危険ですしね」
「済ませんが、ご足労ですが2階に降りて来て頂けませんか?
他にも保護した子達の御家族にも、お話したいことが有りますので、一緒に説明したいので」
「お袋、永井と高椋も一緒に助けてもらったんだ、あの人達も交えての話だよ」
「ふーん、永井さんと山賀の奥さん達もですか、ではまいりますので少々お待ちを」
そう言うと部屋に入り、上着とカギを持ち直ぐに外へ出て来た。
やはりと言うか、行動の早い人らしい。
俺達は二人を挟んで、階下に降りて永井家の扉を叩いた。
直ぐに奥さんが出てきたので、彼女に聞いた。
「皆さんにお話が有りますので、永井さんの御家でお話をしていいでしょうか?
後山賀さんとお孫さんもお呼びするのですが?」
「ええ構いませんが、片付いておりませんが済ません」
「いえお構い無く、ではお二人を呼びますので、お待ち下さい」
蒔田君に山賀家から二人を呼んで来るよう、頼んで俺は永井さん宅へお邪魔した。
永井さんの奥さんが、湊君のお母さんとお茶の用意を始めると、山賀さんと由依ちゃんが、蒔田君に連れられやって来た。
お茶の用意が整い、皆が思い思いの場所に落ち着いたので、俺は話始めた。
「皆さんお集まり下さって有難う御座います、わたくしは中学校側の水原6丁目町会の自警団臨時団長をしています、甘莉と申します。
実は本日この申し出をする為、寄らせて頂いたのは先程お宅のお子さんを中学校で保護し、この団地に送って来た時に、対ゾンビ対策をアパートの自治会自体がまるで、してないのを見たからです。
せっかくお子さんの命を救ったのですが、この儘では今政府の広報が仕切りに警告している、ゾンビの横溢への対策が出来て居ないこの地域は、近い将来おこるスタンビート時には、数百万に及ぶゾンビが押し寄せ、簡単に呑まれてしまい壊滅するでしょう」
「え~と、確かにゾンビが大移動すると言う報道が、出されて居ますがそんなに数が多いのですか?
かなりの数がやって来ると、TVで報道していますけどそんなに恐れる事は無いと、言っていますけど」
「私は製薬会社のオーナーでも有るのですが、今回のパンデミックでは政府と密接な関わりを持って、ワクチンの開発を行なっていますし、情報もかなり深い所の物も入って来ます。
スタンビード自体の規模も、首都圏では元々1200万の人口が居り、その内の最低6割位がゾンビ化すると、試算されていますがそれだけでも700万体近いゾンビが、移動し始めます。
そうなった場合多分この辺りは1ヶ月近く、ゾンビの集団に呑まれ屋外への移動は、実質不可能になります」
「一月も動けなくなるんですか? そしたら餓死してしまうし、電気や水道が止まっても、動けなくなるんですか?」
「報道ではパニックに成らない為、かなり軽めの情報を出していますが、実情はそんな甘い物ではありません。
お子さんに聞けば解るでしょうが、家の町会では町の廻りに5m近い高さの、コンテナの壁で町を城砦都市化して、対策していますし。
又インフラは、ソーラー発電ユニットで電気を確保して居り、上水は井戸を使い、基本インフラを確保しています。
ソーラー発電ユニットから、冷凍コンテナへ電気を供給して居る為、食料の備蓄も充分確保され、その他の物資も現在の住民だけで、十分の備蓄があります。
そこで相談なのですが、お子さん達と知り合ったのも、何かの縁ですし、知り合った子の家族だけでも、我々の町会に移りませんかとの、お誘いに来ました。
幸い今の所内の町会では、避難してしまった住民が4割程いますので、空きの不動産物件もかなりの数が有ります。
無論このアパート全員を受け入れる事は無理ですが、10家族位は余裕で受け入れられます。
本来この様な事をする必要は無いですが、袖擦り合うもの縁と申しますが、せっかく助けた子供達が、むざむざ死ぬと解って居る場所に、放置するのも目覚めが悪いので、今回のお誘いを思い立った次第です。
無論ここに居る方以外には、厳重に箝口令を敷きますし、もし破った場合話は無かった事に成ります」
俺は〝気″を込めた視線で皆をみて言った。
その〝気″を感じ取ったのだろう、皆思わず顔を真っ白にさせて、頷いたのだった。
「無論まだ戻ってない御家族も、居らっしゃるでしょうから、行き先だけを書いた手紙をその人宛に、残すのはかまいません。
不安なので近所の知合いの家に、身を寄せたと書置きを残すのは構いませんので」
「あの何時まで用意すれば良いのでしょうか?」
由依ちゃんのお婆さんが聞いて来た。
「これから移動する家には、居抜きの形で生活用品は有りますので、着替えと靴類に重要な品物を持って、出来れば今日中に移動する様に、して下さい。
我々は長谷病院を開放したので、特殊な病気以外の薬なら大抵の種類は揃います。
後衣類は町会内で古着になりますが、色々な年代の服は手に入りますので、基本お気に入りの衣類と、貴重品に権利書関係位を持ち込みOKです、残りは家の施錠を確りしておき、スタンビートが終わった時点で、取りに来てもらえば良いでしょう。
ではどうされますか? ここに居残るのも良いでしょうし、我々と移動するのも自由です。
しかしお誘いは今回限りですので、後からは受付はいたしません、次は門前払いをいたします。
では少し早いですが、移動するか残るかを今決めて下さい」
俺は3家族皆の顔を見て、決断を迫った。
「私は孫とそちらの町会にお世話になります」
初めに答えたのは、由依ちゃんのお婆さんだった。
「私達も、どうせ母娘二人だし、旦那もいないから、引越しさせて貰いますわ」
「お袋! 俺は息子だからな! 俺も問題は無いので引っ越すよ」
「母さん、俺も引っ越す事には賛成だよ、6丁目の防備を見たがあれだけ頑丈で、高さも有ればまずゾンビが侵入する事も、無いだろうから安心して生活出来るよ」
「母さん、私もここに居るのはトッテモ心配だよ、自治会だって2つに別れて、喧嘩ばかりして居る様な人達ばかりだし、居ても意味無いでしょう?」
「・・・・・解ったわ、確かに二人の言う通りだと思うわ。
父さんには置き手紙をして、6丁目の知合いのお宅へ、お世話になる事にしたと書いておくわ」
「ああ、そうだその手紙に書く住所は、この宛先を書いて下さい。
ここは町会長の佐々木会長の家ですが、宛名は甘莉にして置いて下さい」
「はい、解りました。 私達は急いで仕度を致しますので、宜しくお願いします」
「まだ車に4人程乗せて居ますので、時間は問題無いでしょう。
先程も言った様に取り敢えず必要な、着替えと靴に貴重品だけを持って行けば、大丈夫なので戸締りだけは十分にして下さい。
我々は湊さんを部屋に送って行った後で、そのまま次の訪問先に移動したいと思いますので、山賀さん達も一緒に出ましょう。
後部屋の外は何時ゾンビが、現れるか解らないので安易に、部屋から出ない様お願いします」
「解りました、では永井さん後程お会いしましょう。由依早く戻って支度をしますよ」
「はい、お婆ちゃん。 じゃあ永井君、真奈ちゃん、叔母さん後程」
「では美香さん、宜しくお願いしますね」
「後でな、ケイ、真奈」
俺達は先に蒔田君が出て警戒に当り、次に俺が出て二人の間に次々と人を挟み、まず山賀家に二人を送り、次いで3階の湊家へ2人を送って、車に戻り無線で結果を伝えて有ったので、残り4人の家にも廻る事にした。
「えーと次の4号棟は、戸津川君と的場君だな、家族が無事だと良いのだが」
俺は今回パジェロから降りると、1BOXへ向かい二人の子供と、田辺君を連れて4号棟に入って行った。
「確か戸津川君が3階で的場君が4階だったね」
「はい、そうです。僕の家は301号ですので、宜しくお願いします」
「俺の家は403号室です、宜しくお願いします」
「まあそんなに緊張しないでも良いよ、私と田辺君の間に入って、ゾンビが現れても慌てないでな」
俺達は階段を注意しながら上り、3階に着くと廊下を確認したら、2体のゾンビが確認出来たので、即座に射殺しておいた。
「あんなに怖かったゾンビも、訓練した人が居ると倒すのは、作業と一緒なんですね・・・」
「そうだね、素人が武器で下手に相手をすると、掴まれて噛まれるか、引っ掻かれて感染するからね。
あとは下手に体液を被ると、体にある傷口から感染してしまうから、注意が必要だね。
さてここが戸津川君の部屋だから、安否を確認してくれないか」
戸津川君が部屋のチャイムを鳴らした。
ピンポン・ピンポン・ピンポン ピンポン・ピンポン・ピンポン
「おーい、誰かいるか~。 毅だよ~、無事だったんだ~」
ドンドン ドンドン ドンドン!
すると玄関に気配がすると、ドアが開いてかなり憔悴した、小学生高学年の少女が出て来た。
「兄ちゃん! 怖かったよ~、何で早く帰って来てくれなかったの~、美希心配したんだから~、バカバカばかつよし~!!」
そう叫ぶと少女は戸津川君に抱きつき、大泣きをし始めた。
俺は安全の為、戸津川君に家の中に入り、妹さんを宥める様に言って、我々は先に的場君の家に行き、後でここに寄る旨言い聞かせて4階へ移動した。
4階にもゾンビが2体徘徊していたが、そのゾンビを見て的場君が叫んだ。
「そ、そんな! 母ちゃん!父ちゃん! どうして・・・」
俺はゾンビに駆け寄ろうとしていた、的場君を抑え顔を胸に抱き込み、田辺君に目で合図をした。
一瞬渋面をした田辺君は、真剣な顔をすると2体のゾンビに向かい、
1擊で止めを刺した。
その気配を察した的場君は、俺の胸で泣き崩れたのだった。
暫し泣きたいだけ泣かして置き、俺は田辺君に命じ403号室を調べて貰った。
すると部屋を調べて居た、田辺君が戻って来て俺に知らせた。
「甘莉さん、どうやら原因らしい奴が居ました」
「ゾンビかな?」
「はい、部屋に居ましたが手は出して居ません」
「解った有難う。
的場君、今君の家の中を安全確保の為、調べさせて貰ったが一体ゾンビが居たそうだ。
多分君の両親がゾンビ化した原因だと思う、君はどうしたいかを君の意志で決めて欲しい。」
「・・・・・・そいつの所為で、ヒク、親父やお袋が奴らの、奴らの仲間になったんですね・・・・・。
俺がやります・・・・・殺らせて下さい。・・・・でないと、でないと悔いが残り後で八つ当たりしそうで・・・・・」
「解った、中には1体いるだけだが、奴の血で部屋を汚す事はない。
奴を誘き出すので廊下に出た所で、敵を討てば良いさ」
俺は田辺君と的場少年をその場に残し、部屋の戸を開け出口にPS弾をセットして起動させた。
ゾンビが出て来る前に、[バイパー]の打ち方をレクチャーし、ゾンビが出て来るのを暫し待った。
出て来たゾンビを見ると、的場少年は思わず悔しそうに声を上げた。
「谷田部のジジイ! 貴様か!! 貴様が・・・・・生きて居る時も散々迷惑をかけやがって! 死ぬなら一人で死ね、この糞ヤロ~ガア!!!!」
ドパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパ・・・・
そう叫ぶと的場少年は、ゾンビに向かってフルオートで、ブッ放なした。
最後は首から上が千切れ飛んだ状態になって、漸く気が済んだのか[バイパー]を構えたまま、泣き崩れたのだった。
俺は的場少年から[バイパー]を受け取ると、田辺君にその場を任せて3階の戸津川君宅に向かった。
部屋の前まで行きチャイムを鳴らすと、直ぐに戸津川少年が出迎えてくれた。
「やあ、妹さんは落ち着いたかね、落ち着いたなら少々話をさせてくれるかな」
「ええ、漸く泣き止みましたし、大丈夫だと思います。
所で的場は、翔は大丈夫なのですか? 一緒に居ない様なので」
「・・・・的場君はご両親がね・・・・」
「! そうですか・・・・・、家も父・母共共働きでしたので、美希を置いて働きに行ったまま、帰って居ないそうです。
月曜は小学校が休みだったので、幸い美紀は家に残って無事だったのですが・・・・・・
あ、玄関先で済ません、どうぞ上がってお茶でもどうですか」
「お茶は良いのだが、少し話が有るので上がらせて貰うよ」
俺は戸津川家の茶の間に上がると、炬燵に入り兄妹二人と今後について話合った。
基本永井家で話した内容と同じ、安全の為6丁目町会に引っ越さないかと言う事だ。
ゾンビのスタンビートに対する危険性を説き、引っ越す時の荷物は当面の着替えと、貴重品等のみ用意すればスタンビート後に、荷物を再度取りに来れば良いし、行き先を書いた手紙を親に残せば余計な場所を、探す手間が省ける事を伝えた。
又、先の3人も家族ごと、引っ越す事にした事を伝えるのと、美希ちゃんが自宅にはもう食料が残り少なく、心配だった事を伝えると引っ越す事に同意した。
俺は無線で田辺君に的場少年を説得して、町会で生活する事を納得為手もらうよう頼み、彼に着いて引越しの支度をし、用意が出来たら戸津川少年の家で、一緒に待つよう伝えた。
俺は二人に後で引越しの用意が出来たら、的場少年と田辺君がここの部屋にやって来て、一緒に待つ事にした事を伝えた。
そして用意をして居る間に、俺は他の2人を5号棟へ連れて行き、2家族を町会へ引っ越す様、説得する旨を伝え部屋を後にした。
俺は車に戻り今までの経緯を説明して、田辺君は的場少年が落ち着くまで、一緒に居てもらう事に成ったので、隣の5号棟へ往くのは伊田君に付き添って貰う事にした。
隣の5号棟は103号室に美籏 美弥ちゃん、206号室に柿崎 佳世野ちゃんの二人が住んでいる。
まず103号室へ行き、美籏 美弥ちゃんに戸を開けてもらう事にした。
ピンポン・ピンポン・ピンポン
「父さん、母さん、美弥だよ~! 無事帰って来たんだ! 開けて!」
すると直ぐに玄関の扉に人の気配がし、扉のスコープを覗く感じがするとドアが行き成り開いて、男性が飛び出すと美弥ちゃんを抱き締めた。
「ミヤ~~~! パパは心配したよ~~!! 無事だったかい? 怪我はないか? 何篇探しに行こうかと思ったが、車も無いのに危ないと母さんに止められて~~~」
後から出て来た、お母さんらしい人も、涙ぐみながら声を掛けた。
「美弥よく無事で! 父さんなんかこんな状況で、歩きで助けに行くって大騒ぎしていたの!! 自分もゾンビになったら美弥も母さんも、悲しむから止めてと止めていたの!」
「もう! 父さん危ない事しちゃダメだよ! 父さんに何かあったら母さんも美弥もどうすれば良いのよ?」
「あの~~、済ませんがそろそろ良いですか?」
「あ、甘莉さん済ません! お父さん、お母さん、この方は私達を学校で助けてくれた、水原6丁目町会の自警団の方だよ」
「あ! これは娘を助けて頂いて、有難う御座いました! 私は自営で工業デザイナーをしています、美籏 恭也と申します」
「妻の美波です! 娘を有難う御座いました」
「ご丁寧にどうも、私は水原6丁目町会の自警団長をしています、甘莉 丈太郎と申します。
今は中学校で保護した生徒さんを、送って居る途中なので先を急がないとなりません。
もう一方をお送りしてから、お二人に重要な提案が有りますので、後程伺いますが宜しいでしょうか」
「はい、この様な状況ですので、時間は幾らでもありますから、問題はありませんが」
「ではこの子を送ってから伺いますので、今回の提案のアウトラインを、お嬢さんから聞いておいて下さい、では」
俺達は部屋の前から辞し上の階へ向かった。
2階の廊下には3体のゾンビがおり、簡単に掃討を終えると206号室にむかった。
部屋の前に立つと柿崎 佳世野ちゃんは、口元にシニカルな笑みを浮かべて言った。
「多分家には誰もいないですよ、私が出かける時には朝、誰も居なかったですからね」
「! それは・・・なんとも言い様が無いね、いつもそんな感じかな?」
「ええ、母は私に余り関心が無いですから、多分男とお泊りで帰って来ず、泊まり先で今回の騒動に、巻き込まれたんだと思います」
彼女はカギを開けながら、俺達に訳を話した。
「どうぞ入って下さい」
部屋は彼女の言う通り人の気配は無く、据えた臭いがした寒々しい部屋だった。
ソファに俺達が座ると、彼女は紅茶の用意を始めたので、俺は慌てて止めた。
「ああ、良いよ気を使わないで、それより私の言いたい事は解って居ると思うが、家の町会に移る気はあるかい?」
「ええお世話になります。どうせここに居ても先々餓死するか、脱水症状で死ぬか、奴らの仲間に成るしかないですから。
頼りになる親類も、昨年祖父母が事故で亡くなって、誰も居なくなりましたので、あの人は私の事を邪魔に思って居るから、ここに居なくなっても喜びこそすれ、悲しまないですから大丈夫です」
「解った! 一応向かう先の居場所だけは、手紙を置いて置きなさい。
後々トラブルの原因になるからね」
「ハイ、そうします。 これから仕度を始めて、多分終わるのが1時間から1時間半で終わると思いますので、宜しくお願いします」
「解った、では時間は・・・・4時位に伺うのでそれまで用意して置いて下さい。
危険だから不用意に廊下に出ないようにね」
「はい解りました」
俺と伊田君は、彼女の部屋を出ると思わず互の目を見て、タメ息をついた。
「色々複雑な家庭模様があるね、さて下の美籏家に行き話をするか!」
1階の美籏家に行き引越しの話をすると、両親とも既に乗り気で早引越しの用意を始めていた。
二人共このアパートには見切りを着けており、奥さんに置いては既に前から引越しを見据えて、収納をして居り大した手間も無く引越しが出来る状態になっていた。
俺は無線で4tの装甲パネルトラックを、1台オーダーしていたので手の空いている大型運転手と、助手付きでトラックは直ぐにやって来た。
そしてゾンビの見張りを2人置き、後は協力して7世帯分の引越しを1時間以内で終わらせ、町会内の空き住宅やアパートに荷物を降ろし、5時位には作業が終わった。
最も荷物自体も一人ボストンバック、1個~2個程だった為にそんなに、手間は掛からなかったのだが、新しい住居には食器やサニタリー用品に洗剤類は、居抜きで置いて有るので当面は困らない。
スタンビート前まで物資の搬入は行うので、生活用品や衣類もデザインさえ気にしなければ問題無いだろう。
2丁目に在住して居る生徒の家には、明日以降佐々木会長が出向き説得して貰う事で、話は着いたので其方は安心して福島へ行ける。
町会自体の擁壁は、人見街道を残して全て塞ぎ、後はスタンビートが起きた場合、直ぐ様道路をコンテナで塞ぐ用意は出来る様にしてある。
街道沿いは鉄板擁壁を4m80程の高さで、塞いで有るので取り敢えず暴徒やゾンビが侵入する事は無い。
残るは監視台の設置と、防火用水槽の設置に、生活雑水用中水道の配管だろう。
その他には中学校への道の要衝に、トラックを止めて道を塞ぎ、ゾンビや不審者が入って来られない様に、阻害する事と崖の森を切り開き、不審者が侵入しない様に、監視出来る体制を取る事だ。
しかし既に9割方の伐採と崖上の砦は作り終わっており、残るはトラップと物資搬入用の装甲トンネル型の、モノレールを設置するだけで終わるので、そう心配はしていない。
又、前倒しで旭工機の八王子配送センターに、ソーラーユニットを調達に行き、その時冷凍コンテナを5台持って行ったので、他所の自治体の保冷倉庫として利用出来るので、大変よろこばれた。
近い内に配送センターから、空のコンテナ車にソーラーユニットを積み、帰りに保冷コンテナを持っていく、循環が出来るのでむだは無くなるだろう。
野川公園は東八道路沿いからは見えない様、森を残して公園の1/3をコンテナで塞ぎ、後に農業用地にするか、ソーラー発電の用地にする予定であり、当面は子供達の遊び場に成る予定だ。
まあこれだけの設備を整えておけば、防衛に不備さえ無ければ充分に生き残れる。
何れウィルスのワクチンと対ゾンビ薬が出来たら、ここは首都圏奪還の重要拠点になるだろう。
次回は漸く福島移動編に入れそうですね!
調布から中々出られず、ここに居座るつもりかコイツ等はと、不安になりました。
確かに東京でのスタンビートは、題材として面白そうですが、これ以上ここに居座ると根っこが生えそうで話が進みませんからね。




