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感染戦線  作者: ヘロおやじ
第 一 章 調 布 編
23/72

23.Pday 6日目

今回は少し難産気味でした、戦闘場面が有ると結講乗り気味になるみたいですね

PM12:02 調布飛行場側 調布[ひよく寮] リビング


 4時間程寝た俺はシャワーを浴びて、今リビングに降りて来た所だ。


 お昼にまだ居る俺を見て、愛美ちゃんは驚いている様だ。


「お兄ちゃんどうしたの? ぐあいでもわるいの?」


「今日は愛美ちゃん、夕べはお仕事で朝までずっと起きていたから、寝たのは朝の7時半くらいだったのだよ」


「へ~お仕事だったんだ! ごくろうさまでした、恵美はね7じはんくらいにおきてきたんだよ、お兄ちゃんとははんたいだね」


「へ~早く起きたのに朝会えなくて残念だったね。


 愛美ちゃんは今まで何をしていたのかな」


「愛美ね~勇太お兄ちゃんに勉強教わっていたの!


 勇太おにいちゃんは勉強たくさんできるんだよ。


 だから恵美に漢字とかけいさんを、おしえてくれるんだ」


 愛美ちゃんは早速避難民のコンボイから引き取った、日田勇太君と友達になった様だ。


 この家の集団には、近い年齢の友達がいなかった為、勇太君と直ぐに親しくなったみたいだ。


 彼も少し話しただけだが受けた印象は、真っ直ぐに育てられた素直な男の子で、彼自身一人っ子だったせいか愛美ちゃんの事を、妹の様に可愛がって居る様だと佐田婦人に聞いている。


 看護師の瀬川智美君に、勇太君の容態を聞いた所、順調に回復して居り思ったより早く、回復する様だと聞いたので安心している。


「そうか勇太兄ちゃんに勉強教わって居るのか、よかったね一人で勉強や遊ぶのは詰まらないものな。


 でもまだ勇太兄ちゃんは、怪我が治ってないから、あまり無理しない様に愛美ちゃんも勇太兄ちゃんの、お世話を宜しく頼むよ」


「ハーイ! 恵美は勇太おにいちゃんのおせわをちゃんとします!」


 愛美ちゃんは使命感を持って答えてくれた。


 ひょっとすると俺は勇太君に、エライ監視役をつけたかもしれない。


 どうも愛美ちゃんは、世話焼きさんみたいだからな。


 暇に飽かせて一日中、世話を焼きだしたらと思うと・・・・・・


 すまん勇太君、もしそうなら後でちゃんとフォローして置くから。


 忘れなければな・・・・・(笑)。


 愛美ちゃんと話して居ると、田中君も起きて来た。


「お早う御座います代表、愛美ちゃん今日は」


「お早うおねいちゃん、きのうはごくろうさま」


「お早う田中君、まだ鬼山君達は帰って居ない様だね。


 多分又道が事故で通れない場所が、増えて居るのだと思う」


「それは有り得ますね、だいぶ彼方此方あちこちの避難所が決壊して居るとニュースでも、やっていましたからね」


「ニュースと言うとネットのかね?」


「いいえ地方のFM局の情報ですよ。


 この様な状態になったら全国ネットのマスコミは、役立たずですから地元密着型のFM局が、地元の情報を知るには持って来いです」


「皆さんお昼が出来ましたけど召し上がりますか?」


 佐田婦人が昼ご飯を呼びに来た。


「今日はおうどんです、冷たいうどんにお肉や野菜をお出しで軽く煮た物等の具を、お好みで入れて頂くおうどんにしましたので、誰でも食べられると思いますよ」


「お、其れは良いな栄養のバランスも取れるし、嫌いな具もよけられるから誰でも食べられる料理ですね」


「ええ家でも良く作りますが好みの違う主人も、愛美も大好きなメニューですの」


「起きたばかりでも胃に優しくて良いですね、看護師達はどうしているのですか」


「皆さん町内を巡って、体調の悪い方が居ないかをチェックして居る所ですが、そろそろ帰って来る頃でしょう」


「ああそんな活動をして居るのですか? エライな流石プロですね」


「ええ今のように医療機関へ、簡単に掛かれない時は予防が何より大切だし、持病持ちの人用の薬を手に入れる為に、其々の処方箋を調べて出来れば一年分以上調達する為の、データー作りをして居るようですね」


「そうですか若いのに大したものだ、後で彼女らと話し合って福島に行く前にもう一度何処かの大手調剤薬局か、大学病院の薬剤室から調達する計画を立てる事にするか」


「それが良いと思います代表、早速今日帰って来たら話し合いましょう」


「そうだなそうしようk・・・・どうやら帰って来た見たいだね。


 それでは昼飯にしようか」


「はい、今すぐに用意します」


 そう言うと佐田婦人はキッチンに、器や薬味を取りに行った所で看護師組が、リビングにドヤドヤと入って来た。


「やあ皆さんお帰りなさい、丁度お昼ご飯が出来た様なので皆で食べましょう」


「あ、甘莉さんお目覚めですか? そう言えば対C国戦無事に終わった様で良かったです」


「ええ軍人さんが頑張った御蔭で、C国の侵攻は無事防げましたよ。


 こちらも無傷では済ませんでしたが、民間人には被害が及ばずほっとしました。


 C国も2度と我が国やASEAN各国に、侵攻する事は無いでしょうね」


「しかしC国もK国も大概にすれば良いのに、パンデミックで戦争所では無いでしょう?」


「本当はそうなんですけれど、党の幹部や軍の幹部の家族を避難させる為の避難先に島が欲しかったので、侵略して来たのが今回の戦争理由です。


 しかしパンデミックの原因は、自国の防疫不備や隠蔽体質が原因で発生したのですから、K国以外どの国もC国には賛同しなかったし、A国からも再三制止されていたんですが。


 自国の為だけに、戦争を仕掛けて結果大敗してしまい、誰からも相手にされなくなったのが今回の戦いの経緯ですよ」


「ニュースでもやっていましたが、全ての港や空港の船や飛行機、を破壊されてしもうたんですよね? 


 じゃあボートピープルの様な難民は、発生しないんですよね。


 良かったわ、これでウィルスの変異体が発現地で発生しても、難民と一緒に内らの国に入って来ないですね?」


「ええその恐れが多分に有るので、ASEAN各国や我国の総理が勝利後に徹底的に、港湾や空港を叩いたんですよ。


 それより食事しながら話しましょう、佐田さんも待っていますんでいきましょう」


「「「「ハーイ」」」」


 俺達はダイニングに移った。


「あ、おうどんや! つゆも薄口があるんですね」


「ええ、美沙子ちゃんは関西の人だから、此方の方が良いでしょう?」


「わ~お揚げさんもあるやん! うれしいわ~これ無いとおうどん食べた気がせえへんねん」


「私の関西の友人がこれと万能ねぎは、外せないと言っていましたから。


 でも生の万能ねぎは無くて、フリーズドライになってしまったのはご容赦くださいな」


「いえ~この御時世で、ここまでの物作ってくれましたんや! 


 もう感謝しかあらしませんよ」


「さあ皆さん食べて下さい」


「「「「「「「頂きまーす」」」」」」」


「そろそろ涼しくなって来たので、麺は冷でつゆは熱にしましたから

具や薬味は好みで入れて下さいね」


「「「「「は~い」」」」」


 一部は既に口の中が一杯で返事が出来なかったが、皆夢中で食べ始めた。


 暫くして漸く皆一段落してペースが緩んだ時に、俺は話し始めた。


「皆んな食べながらで良いから聴いておいてください。


 先程も話したけれど今朝方C・K連合軍対日本・ASEAN連合軍の間で海戦があり、我々の勝利に終わった。


 此方の軍にも、少なくない損害が有ったが、幸い民間人には被害は無かった。


 勝った我が方は、C国・K国両方の殆どの船舶と航空機を破壊し、両国難民が他国へ流出しない様、防疫上の観点から封鎖を行う予定だ。


 看護師さん達は、医療関係だから気が付いて居るだろうが、パンデミックの発生箇所は、C国K林省東北部だと大体特定出来ている。


 今回の場合我社のウィルス学の鬼才、蹈鞴博士にも相談した所、多分同地点近郊で変異型が発生する確立が、非常に高いだろうと予想されている。


 変異型とは走るゾンビや頭部などを、打撃から保護する為装甲を強化したゾンビなどだ」


「え? 走るのは予想しましたけど、頭部を保護するタイプも発生するんですか?


 そんな凶悪なのが出たら犠牲者が、膨れ上がってしまうじゃないですか」


「残念ながらそのタイプの変異種も、発生する確立が高いそうだ。


 せめて[バイパー]が通用すると良いんだが、まだ発生してから対処するしか手は無いのが痛いね。


 だから時間を稼ぐためにも、C国・K国を封鎖するのが一番と言う結論になった」


「しかしどう対処するのですか? 一番の急所だった頭が装甲されたら、対処が大変になってしまうでしょう?」


「弾自体を炸裂弾にして、着弾地点の内部組織を衝撃波で粉砕する案や、HEAT弾にして装甲を焼き切る案が出て居るのだがね。


 因みにHEAT弾とは、対戦車ロケット弾等に使われる着弾すると、弾頭から数千度の炎が高速で吹き出し、装甲内を焼き尽くす弾の事だ。


 それを[バイパー]や自動小銃の5.56mm弾にして、発射する様開発中なのだよ。


 [バイパー]は炸裂弾になる予定だし、5.56mmは両方開発中だ」


「何でですか?」


「[バイパー]は弾の形が球状だから、HEAT弾の様に先端から的に当てないと効果が出ない弾には、向いていないからだ」


「他には何か手はないのですか?」


「後は対ゾンビ用に派手な色合いで、目立つ対人地雷を量産して人には目立つ所に仕掛ければ、ゾンビの足を破壊して処理し易くするとか、高粘着質のシートを仕掛けて足を止める方法もあるね。


 簡単な物ではボーラーで、足を絡めて止めを刺すのも手だな」


「一辺に捕獲するなら粘着剤を道に撒いて、くっつければ良いのにね」


「それならゾンビ用の装備に粘着弾があるよ。


 炸裂すると直径15mに粘着剤を撒き散らして、其処へ入った物は全て付けてしまう粘着弾だ。


 1日すると粉になるので、後処理も楽な阻害武器の一つだよ、只欠点は自分も着いたら離れなく成るので要注意だね」


「う~ん微妙な武器ですね、下手すると自爆しそうで怖いですう」


 オットリ系の大川看護師がのほほんと言った。


 これで外科の処置中はシフトが変わり、テキパキお姉さんに変身するのだそうだ。


 どちらが素何だか解らない女性(ひと)だよな。


「まあ使う機会があるかも知れないので、その時は注意して下さい。


 後は棒の先に散弾を仕掛けて、ゾンビの頭等を突くと1粒弾のスラック弾が飛び出し頭を破壊する、インパクトボルトは6発装填出来るので、有効かも知れないな」


「なんですその凶悪な武器は?」


「元々対鮫用に開発された武器なんだがね、1回使うとネジを外して弾を入れ替えなければ成らないのを、リボルバー拳銃の様に回転弾倉を付けて連射出来る様に改造したんだ。


 今更銃刀法など関係無いので、こんな物騒な物も今後どんどん開発配布されるだろうね。


 後、WA○Pナイフと言う相手を刺して握りのボタンを押すと、高圧ガスが先端から噴射して内部を破壊するシステムを利用して、ステンレスや合金制の針状穂先を変異体ゾンビの頭に刺してシュバ!とやれば脳が、ポンと弾けてゾンビを倒すと言う槍も開発中だよ」


「なんかエグイ武器ですね~? 食事の後に話しましょうよ」


「そうだねこんな話は、食事中するものではないな」


 俺達は話しを切り上げて、食事を終わらせる事にした。



Pday 6日目

PM13:22 調布飛行場側 調布[ひよく寮] リビング


 俺達は昼食を終えてリビングに場所を移した。


 ナース達の活動状況を聞き、今後の行動を決める為だ。


「それで、慢性疾患の患者さんの処方箋は目処が立ったのかい?」


「はい今日で大体聞き込みは終わり、個人の処方箋は粗方調査は済みました。


 涼子さんからノートPCを借りて、データベースを作りましたので、後は薬を入手すれば良いだけです。


 幸いこの地域には、人口透析をする重篤な方はいなかったし、今直ぐ生命の危機になりそうな、持病を持って居る方も居なかったので、調達は12人分になりますね。


 8割り方の9人が、高血圧の減圧剤と血管拡張剤が主ですし、2人がアレルギー性鼻炎の患者さんに、3人が偏頭痛持ちと腰痛持ちが3人で、ロキソニン系の鎮痛剤服用者が少し被りますね」


「その中で特殊な薬剤を服用して居る、患者さんはいるかね」


「降圧剤も拡張剤も良く有るタイプで、大概調剤薬局に置いてありますし、アレルギーの患者さんも取り立てて変わった薬は無いです。


 ロキソニン系の薬は何処にでも有りますから、問題は無いです」


「川向こうの長谷病院は近所で大きいし、ゾンビに制圧されて居るから薬の調達には打って付けだな。


 場合によっては病院自体を制圧して、占拠してもいいしさてどうするかだな」


「占拠する場合、どの様な方法で行うのでしょうか」


「方法としては「とおりゃんせ」で病院の敷地を囲み、まず敷地内の制圧をしてから、3棟ある病院だから入院施設以外の手術室や、レントゲンのある主要棟だけを占拠して、他は封印してしまえば楽でしょう。


 その為には内部の見取り図が欲しいところだが、偵察に行った後で良い方法を取れば良いのでは無いかな」


「そうですね、ゾンビが中にどれ位の数残っているか解らないと、どの程度大変かわかりませんものね。


 で、近所に医療施設を確保して置けば、色々と利用価値もあるでしょうから」


「大きい病院ですので別に占拠に拘らなくても、薬や簡単な医療器具を確保出来るだけでも、違いますからね」


「後周りに公営団地が有るみたいですけど、其方は問題無いのでしょうか」


「行ってみないと解らないのですが、車で通り過ぎた時は周りにバリケード等のゾンビ避けがされて居ない様です。


 集団でゾンビ対策をする前に、大量のゾンビが発生して脱出した可能性は有ります。


 大きい病院が隣でゾンビが集団発生して、あっという間にゾンビに呑まれてしまった可能性が大きいですね」


「それありえます! 知合いが勤めている大学病院や大病院はその理由で、かなりの数壊滅してしまった所が多いです」


「そうだよね! 村ちゃんの平成病院とか、あっちゃんの徳石会病院とかが、連絡取れなくなったもんね」


「北村先輩の東病院も呑まれたらしいし、恵子先生の一葎会病院も連絡不能だそうよ」


「皆さんの知合いもだいぶ被害に遭っているみたいですね。


 総理が無事な大学病院や大病院のスッタフを、疎開させたのもワクチンが完成した場合、接種時での適切な処置が出来る医療従事者を、確保する為の処置ですからね」


「と言うと又私らは最前線行きかいな? 安全確保は大丈夫なんですかね?」


「かなり総理は気を使って居るみたいです。


 [ライジングサン]の物より落ちますが、ゾンビに噛まれても痣程度で済むSライン制の医療スーツを支給する為、北海道の衣料工場では防護白衣と軍服を増産中ですから、後4ヶ月もすると医・軍両組織に行き渡る予定ですよ」


「あ、あれ着心地良かったですう! 


 結講動いたのに蒸れないし涼しいしで、下手なナース服より安心ですから、落ち着いて治療も出来るから早く欲しいな~」


「ああ、みゆきと智美はスーパーへ調達に行った時、戦闘服をきたんだよね。


 そんなに着心地よかったんだ、一見ごつくて暑苦しそうに見えたけど、着てみないと解らないものね」


「あれは楽だったよ! 見た目と着心地が正反対の良い例だったわ、あの服なら炎天下の救急処置でも、薄手のナース服より涼しいし動き易いしで、もし従軍看護師で戦場に出ても、あれなら余計な疲労を気にしないで仕事できるわ。


 早く医療用のスーツが出来ないかね~待ち遠しいな」


「医療用スーツは拳銃弾が当たっても、ゴムボールが当たった程度の衝撃に軽減するし、強酸性の薬物や毒物は言うに及ばず血液や体液も通さないですよ。


 そして刃物で切りつけても、注射針を刺しても、100%通しませんから人間の医療用というより、獣医さんが重宝するかも知れないですね。


 後、紛争地帯の医療活動には、重医療スーツも開発していますので、その内お目見えするでしょう」


「わ~、早う実用化せんかな~。


 中には凶暴な患者さんがおって、結講怖い目に負うてるさかい、普通にそんな白衣が有れば心強いわ」


「「「ウン!」」」


 やはり現場は修羅場が多い見たいだな、ストレスが溜まる訳だよな。


 だからあの酒量か・・・・・ハア!


「代表、福島への移動は何時にしますか? 後皆さん一緒にいきます?」


「あ、瀬川さん勇太君の容態はどうですか? 後何日位で移動に耐えられるでしょう」


「勇太君は後3日は欲しいですね・・・。


 3日有ればエアーギブスとバイオパットで、傷周りを抑えながらなら自力では難しいですが、誰かのサポートが有れば問題無く移動出来るでしょう。


 バイオパットは良い医療治具ですね~。


 早く市販すれば、多少の傷は直ぐに治りますので、無駄な医療費が掛からなくなりますよ~。


 怪我とか手術後の回復も、かなり差が出ますしぃ、将来ヒット商品になるでしょうね~」


「バイオパットは今軍用に量産して居る所で、軍に行き渡ったら民間用に量産へ入るから、もう少しお待ち下さい。


 福島への移動は余裕を見て、4日後にしようと思いますが、看護師の皆さんはどうされますか」


 看護師のリーダー役咲山が代表で答えた。


「私達も一緒に行動しようと思います、ですから町内の処方箋を集めていたのです。


 こうしておけば私達が居なく成っても、当面困らないだろうと言う事で、この様な活動をしていたのです」


「そうか解りました、すると総勢10人で子供が2人と大人が8人になるな。


 田所君その人数だが船は大丈夫かな?」


「船は問題ありません、元々8人+荷物を載せる設計ですし、船外機もパワーがあるエンジンを載せているボートなので、詰めれば12人は乗船出来る船ですから。


 荷物は一人5kg以下でお願いしますが」


「船体は確か強化型かな」


「ええ、Sラインで外装を防弾にしてありますし、船体自体もクローズドタイプで時化でも密閉すれば、シェルターボートになり揺られますが浸水はしない構造に成っています。


 屋根も別系統のエアー支柱が支えており、オープンタイプにする事も出来ますが、暴徒対策でクローズド仕様の方が安全でしょうね」


「解りました、では4日後に移動と言う事で田中君、福島と海運に連絡しスケジュールを調整しておいて下さい。


 編成はパジェロ改・ウニモグ改・ジムニー改で出発します。


 我々福島へ移動する者以外に、車を回収する人を町会から3人出して貰い、装甲車は我々が移動後町会に貸与しますので、田所君・田嶋工務店の元陸自組に、特殊装備の武器のレクチャーをしておいて下さい」


「了解!」


 其処へ鬼山君が、飛田給のマンションアルテミスとの会合から帰って来た。


「代表只今戻りました」


「お帰り鬼山君! 昼飯は済んだかな、未だなら食べながら報告を聞きたいのだが」


「昼食は済まして来ましたので、このまま報告したいと思います」


「そうかじゃあ座ってくれ、済ません佐田さんお茶をいただけませんか」


「ハイ、用意は出来ていますので直ぐお持ちします」


 佐田婦人と看護師達がお茶の用意をして居る間に、鬼山君が俺の向かいに座って話し出した。


「会談はほぼ予想通り運びました、ソーラー発電ユニットと装甲トラック3台に[バイパー]を含む[ライジングサン]の装備は、非常に喜んでいました。


 これで電気の心配と、物資調達の目処が立ったので、マンションの要塞化に着手出来るとお礼を言っていました。


 後水原町との提携も概ね承諾してくれましたが、後幾つか懸案を煮詰めなければ成らない事も有りますが、急ぎの議題では無いので問題無いとおもいます」


「では一番の懸案だった防衛協定は、ほぼ合意は貰えたのだな」


「はい、曽根氏もこちらの案は妥当だろうと言う事で大筋で合意しましたし、佐々木会長も其の辺は、やはりプロの曽根氏に任せた方が、臨機応変な戦闘時や防衛戦略は、間違いが無いと言う事で折り合いを付けていますので、問題は起きないと思います」


「そうか其れさえ協調出来れば、後は難しい問題はないからな。


 これで一安心だ」


「後、今朝の海戦の結果を伝えた所、皆非常に喜んで居ました。


 これで他国からの最大の懸念事項であった、対C国・K国問題のほかにA国とR国・ヨーロッパ連合問題に決着が付き、総理も漸く国内問題に集中出来るので、ゾンビ問題も早期に解決出来る目処が立ったと曽根氏も喜んで居ました」


「流石だねそこまで読み切れるとは。


 上が何を目指して居るかに気が付いているとはな、やはり“兵隊将軍”は侮れないよ」


「正に曽根氏は“兵隊将軍”ですね。


 キャリア出や士官学校出の将官は、彼らを馬鹿にするけれど能力に於いて、彼らより上を行っているのが“兵隊将軍”なのを認めようとはしないですからね」


「そうだね、必ず彼らを排除しようとするのが官僚達だからな。


 自分らの権益を奪おうとする、外様が彼ら“兵隊将軍”だから必ずスポイルしようとするんだよ。


 民間に出ると、初代の社長達なら彼ら優秀な“兵隊将軍”を幹部として活用出来るが、2代目3代目辺りになると使えない優秀さだからね。


 彼らは利だけでは動かない人達だから、“心”が解らない者の下では、バカらしくなって組織から出て隠居してしまう」


「そうですね、しかし代表ならあの手の難しい爺さんを、使えると踏んでいるんですが。


 この騒ぎが収まったら、曽根氏をリクルートしてしまえば良いんではないですか?


 あの爺さんを[ライジングサン]のお目付け役にすれば、かなり引き締まるので丁度良いと思います」


「まあ曽根氏次第ですがね、確かに隠居するには勿体無い人物では有りますが」


「今回の事で良い縁を結べたので、現状が落ち着いたら勧誘すれば以外と行けそうですが、その時の状況でどう変わるか解りませんが」


「そう言えば福島に移動するのは、後4日後が良いのではと思って居るがどうだろう?」


「4日後と言うと勇太の傷ですか」


「ああ瀬川さんの見立てだと、自力で動くのは難しいが、サポートが有ればもう傷に触らないそうだ。


 町会の問題も大体片付いたし、あと3日有れば残りの事項も片付くだろう」


「そう言えば代表、看護師達が今行っている活動はご存知ですか」


「先程佐田さんから説明が有って皆に聞いたよ。


 後、此れから出るであろう変異型のゾンビにどう対処をして行くか、全員を集めて其々の考えを、ブレインストーミング形式で考える場を作ろうと言う話しに成っているのだが、どうだろう」


「それは良い方法ですね、上意下達より自身で対処を工夫すれば、より真剣になるでしょうから。


 それと看護師組の薬の調達は、何時何処で行いますか?」


「川向こうの長谷病院で調達しようかと考えていたんだが、鬼山君はどう思いますか」


「あそこは早い段階でゾンビに占拠されてしまった、典型的な医療機関ですから、入院患者も結講な数がゾンビ化して居るでしょう。


 今の内手を打って、彼処のゾンビの数を減らして置けば、この辺のゾンビをかなり減らせますね。


 此処から近いですし、補給や兵力の移動は楽ですので、明日辺り一挙に殲滅して置けば今後、あの施設を利用出来るので良いと思います」


「私も近所にゾンビの策源地が有るのは、問題だと思っていたから丁度良い機会だね。


 そう言えばアルテミスの方に、医療関係者は居たかな」


「この辺は大学病院が多いせいか、内科と外科・小児科の先生と放射線技師と、麻酔科の先生が其々1人ずつ5人と、看護師さんが5人に、調剤師が1人の、計11名医療関係の人が居ました。


 看護師さんは皆んな結婚して居るお母さんが4人に、その娘も看護師の親子看護師が1人なので頼もしい限りです」


「そうかそれを考えると長谷病院を確保して置けば、この地域の武装病院として地域医療の要として持って来いだね。


 問題は隣の公団アパートだが、行ってみないと解らないが周りにバリケードは無いし、病院がゾンビに占拠された時点で放棄された可能性が高いな」


「人が居るとしても、各部屋に別れて籠城して居る者が、少々居る位でしょうね。


 私達は毎朝、あの辺りをジョギングしていますが、人の気配はあまり感じられませんから」


 田所君がそう言った。


「此の後町会の会議がありますから、ついでに変異種の対策と明日病院を占拠する計画を立ててしまいましょう」


「そう言えば帰宅後30分したら、会議と言っていたからそろそろ公民館に集合だね」


「丁度いい時間ですね」


 俺と鬼山・田所組は公民館へ町会の会議を行う為に種発した。



Pday 6日目

PM16:30 調布飛行場側 調布[ひよく寮] リビング


 会議を終えて我々は寮に戻って来た。


 ブレインストーミング形式の対変異種対策は、珍回答や採用された有益な回答が色々出て盛り上がった。


 面白い意見では高校生の男の子から出た方法で、走る変異種に追い掛けられた場合の対処で。


 予め玩具屋で入手して於いたBB弾を、大きめのガチャガチャのカプセルに入れておき、追われたらそれを撒いてスリップさせると言う方法だった。


 カプセルに入れる時に塩ビ袋を一緒に、シワクチャにして入れておけば持ち運び中に音はしないし、何より軽いのが携帯に便利で良い様だ。


 どうして思いついたか聞くとサバイバルゲーム中、床に溜まったBB弾を踏んで見事転倒した経験がある為だそうだ。


 やはりTVゲームやPCゲームばかりやるより、実地で体を動かして遊んだほうが色々リアルでの対処が出来る人間に、なるのだと感心した一幕であった。


 因みに彼に装甲車を行動不能にするには、どうしたら良いか聞いてみると。


 自分なら漁網とか細い針金やワイヤー・大量の布を木の枝に混ぜて、直ぐ突破出来るバリケードに彼方此方(あちこち)仕掛け、迂闊に突っ込んで来た装甲車がそれを、タイヤやシャフトに巻き込みストップした所を、モトロフカクテルを四方からご馳走して上げるそうだ。


 それを聞いた鬼山・田所組の嫌そうな顔が印象的だった。


 スタンビート対策は町会の歩道に面した家の前に、小型のコンテナを3段積み重ねる事で高さと重さで、物量で迫るゾンビの防壁とする事で同意した。


 野川沿いの遊歩道には、以前予定していた工事用鉄板擁壁を取付け強化する事に成った。


 又鉄板擁壁の30m毎に、一箇所防弾処置した監視棟を作り、川から暴徒の侵入に対処する方針で決まった。


 町会の近所には、コンテナタイプのトランクルームが結講な数があり、それらをユニックで釣り上げてトラックで運べば、町会を取り巻く壁を作る個数以上を確保出来る事が解った。


 明日はコンテナ調達組と、病院占拠組に別れて作戦を行う事に決まったので皆に伝えた。


 コンテナ組は田嶋建設の半数を使い、ユニック総出で調達に向かう事になり田嶋社長が班長、副班長が田所で指揮を取る事になった。


 コンテナのカギは中に何が入っているか解らないので、事前にバールやグラインダー・大型ワイヤーカッターで破壊して、中身を確認してから運ぶ事になっている。


 無論2tの装甲トラックが護衛に付き、15名全員が[ライジングサン]の戦闘装備で身を固めて行く。


 病院組は20名で行き、第一小隊班長は甘莉で、第二小隊班長は鬼山君、そして第三小隊班長は逆髪元空挺1等陸曹が務める。


 1小隊6名で構成されて居り、俺の班は変則の8名で後詰の装甲車による支援砲撃や、撤退時のサポート及び周りの警戒・メディック役の看護師2名を要し、医療活動や占拠後の薬を確保する行動を行う様に成っており、余り練度は高く無い集団だ。


 鬼山君の第二小隊は、普通科出の喜海君がポイントマンで、相棒のライフルマンに町会のサバゲーマニア吉岡営業マンと佐竹事務職が付き、後方狙撃手として同じくサバゲー仲間の、喜海営業マンが着いて居る攻撃重視の編成だ。


 逆髪空挺陸曹の第三小隊は、ポイントマンに警備会社ソーテックの蒔田君と、相棒のライフルマンで同じくソーテックの田辺君、サバゲー組の大谷営業職が着いて居る。


 狙撃手は工兵出身の田辺元1等陸士だ。


 先程まで明日の作戦会議を行なって居た時、院内の地図が無いのに気付いた鬼山・田所組が病院へ赴き、1階の案内所から病院内の見取り図を失敬してきたのには皆驚いていた。


 2人曰く、PS弾でゾンビを引きつけて於いて、確保して来たそうだ。


 御蔭で院内の詳しい地図が手に入り、作戦を立てるのが楽になった。


 作戦としてはまず


1.病院の前後の門を[とおりゃんせ]で塞ぎ正面玄関を空け、自動車で5台+5台で通路を作る。


 正面玄関を開け、自動車通路の最端でPS弾かラジオでゾンビを誘引し、左右の車の陰に一台置きに交互で射手を配置し、出て来たゾンビを間引きをする。


2.其の後院内に突入し、待合室の長椅子等で誘引用の誘導罠を作り、PS弾で誘引し更に間引きをする。


 最悪院内には1000体近くのゾンビが、徘徊して居る可能性がある為粘着弾や、投網投射機を多目に用意し効率的に掃討をする。


3.逃げ遅れた患者や医療関係者を見つけた場合保護を優先する。


4.個体数が多い場合は、薬品と医療器具の確保を優先し病院の占拠は見合わせ、入院施設部分の封印だけに止める。


5.薬品・医療器具は看護師の指示に従いトラックに運び込む。


 この様な作戦になった。


 病院の主要施設は、地下1・2階と1・2階に集中して居り、各階の防火ドアで封鎖すれば、ゾンビは封印出来ると予想して作戦をたてたのだ。


 予想よりゾンビの数が少なければ病院全体を制圧し、周辺の土地を封鎖し、いざ防壁が破られた場合の、避難場所に公団住宅諸共する予定だ。


 近くにある中学校も、始めからゾンビに制圧されて、避難場所になっていない為に、その界隈は住民が他所へ避難したか、ゾンビになりゴーストタウン化している。


 居残りの住民も、各家に孤立して対処して居るため、組織立った防衛をしていなせいか、食料のストックが無くなると、他へ移動して行く為に公団自体に残った住民も、日毎に減少して居る。


 残って居るのは、多めに食料を備蓄した家庭と、ゾンビ化して部屋にその儘残った住人だけだ。


「鬼山君、田所君先程病院に行って、中の様子はどうだったかな?」


「先程も言いましたが、我々は奥まで入らなかったので、ハッキリした事は解らないですが、少なくとも1階はゾンビ自体さほど多く感じませんでした、田所はどう思う?」


「私も同じ感じを受けたな、ゾンビの気配と言うか存在感が思ったより希薄だったね」


「あの辺は、西は野川に因って阻害されているし、東は崖で阻害されているから、移動するとしても北北西は、道が少なく入り組んで居るから、南南東方向へ向かった方が道も多いし獲物も多い。


 そのまま行けば、小学校の避難場所が近いし、街も広がって居るのでそちらに向かったと考えられるな」


 おれはgoo○leの地図を、タブレットに表示して、南南東への進路を示した。


「確かに北北西には道が少ないし色々邪魔していて進みづらいですね。


 これなら南南東に、進んだと考えるほうが妥当ですね」


「我々は野川の御蔭で、病院の決壊に晒されなくて済んだのか」


「上手くすれば、病院と団地を労せず確保出来る、可能性がでてきたな」


「このマップで見ると、ここはT大の職員寮見たいですね、確かここも人気が無かった見たいですよ。


 この一帯を[とおりゃんせ]で塞ぎ、占拠出来たら町会の避難所として申し分無いですね」


「よしその方向で作戦を立てて、此処までの用地を確保してしまおう」


「先住者がいた場合どうしますか」


「その場合はその住民を巻き込み、例えば管理者として給料替わりに、食料や電気を支給すれば良いのではないかな。


 その代わり此方の町会を裏切ったら、キッチリ報復する事は予めハッキリ言い渡して置かないと。


 その為には今回の作戦では、圧倒的な武力を見せつける必要があるので、個人ヘリを投入するのも手だな」


「ウニモグのセントリーガンシステムも、見せ付けたほうが良いでしょうね」


「GEN H-4改に、小型の迫撃弾投下装置を付けて、爆撃をするのも良い戦力の威示行為だし何より派手だ。


 先に徴発地に[とおりゃんせ]で封鎖をし、広場で派手な音量の音楽でも鳴らしてゾンビを誘引後ドカンと空爆をしておけば、下手な裏切をしようとは思わないでしょう」


「戦力の威示行為には持って来いですね、侮られない様に武器の威力で脅かして、対応は丁寧にすれば尚混乱して此方のペースで事が運びますから、所謂砲艦外交と同じ発想で行く事でしょう?」


「そう言えばSDプレイヤー等の、音量が大きい機械かスピーカーは有ったかな」


「工場に確か電池式のCDプレイヤーが有りましたね。


 これから東八道路沿いのダンキーに行って、リモコン式のSDプレイヤーと電池を有るだけ調達しましょうか。


 ゾンビの誘引には持って来いの道具ですから有れば有るだけ便利でしょうから」


「良し一走り行って来るか、田中君そう言う訳だから東八道路沿いのダンキーに私と鬼山君に田所君で行って、SDプレイヤーを調達してくるので30分程で帰って来ます」


 俺達は戦闘服に着替えながら、田中君に予定を伝えた。


「代表行くのは宜しいですが、[ナイトeye]の電池残量をチェックして行って下さいね」


「了解、確か昨日満タンの充電池と交換したばかりなので1週間は持ちますよ

予備電池も充電は終わって、定位置にパックして有るので大丈夫です」


「そろそろ何時送電が止まるか、解らない状態なのですから転ばぬ先の杖です」


「全くだ、後悔役立たずに成らない様気を付けて行動するよ」


「では御気を付けて行ってらっしゃい」


 俺達は[バイパー]を片手に、パジェロ改に乗り込み夕暮れの街に出かけた。



Pday 6日目

PM17:05 調布飛行場側 調布東八道路沿い ダンキー前


「さすが10月ですね5時過ぎで、だいぶ暗く成って来ましたね」


「まだ電気は来ている様だね、水原町は駐車場に仮設の太陽光発電ユニットを、設置したから電気の心配は無いからね。


 早く公園を囲って、本格的な発電施設を整備すれば安心だからね」


「この間持って来たユニットの予備は、明日病院の制圧が無事済んだらあちらに設置すれば良いですね。


 阻害壁は、取り敢えず[とおりゃんせ]で代用して、町内の擁壁工事が終わったら、病院の周りを閉鎖すれば安心ですからね」


「病院の閉鎖工事は、我々が福島に移動した後に始まるのだろうね」


「意外と町内の擁壁工事は、コンテナを利用するので、早く終わるかもしれないですけど」


「あの様子だとありえるな、では二人共何時ものポジションでサッサと終わらせるか」


「「了解」」


 俺達は周りにゾンビの他に暴徒が、居ないか確認しながら車から台車を下し、ダンキーの入口にPS弾をセットし車の陰に入って、俺は後方と右側・田所は後方と左側を監視し鬼山は店の入口を狙って行くシフトを取った


 店の入口は暴徒がガラス戸を破壊した為、扉は無くゾンビが店内を自由に徘徊していたが、人気が無い為余り多くは居ない様だ。


 PS弾が鳴り出すと、店内からゾンビが8体程さ迷い出て来た所を鬼山君がすかさず射殺した。


 それから1分程待っても店内から、ゾンビが出て来なかったので我々は台車を押しながらPS弾を回収し、店内に入り近くに有った梱包台で入口にバリケードを作り入口を塞いだ。


 三人で店内を捜索し更に3体のゾンビを始末して安全を確保し、家電売り場でSDプレイヤーを12台と、乾電池各サイズを300個ずつ確保して店頭に置き、店内用台車に缶詰やレトルト食品・牛乳にトイレットペーパーを詰めるだけ積み台車ごと置いておき、バリケードを撤去して、パジェロをバックで入口に止めて荷物を一気に積み込み車に乗り込もうとした時銃撃を受けた。


 幸い誰にも被害は無かったが、OOバックの散弾が掠めた時は思わず息を飲んだ

周りを素早く見回すと、乗用車が3台で店を囲んでいるのが見て取れた。


「チッ! 暴徒だな」


「どうします代表? 囲みを破りますか、順滅しますか」


「無論順滅だ!」


 その時相手から脅しが掛かった。


「おいテメーら、車と銃を捨てて降伏しろ!


 じゃねえと皆殺しにするぞ」


 そう言うと又3発ほど発砲して来た。


 狙いは明らかに此方が被弾しても構わない、狙い方をして来たので我々も容赦無く応戦を始めた。


 相手は、10代後半から20代位のヤンキー系の暴徒で、銃の打ち方に躊躇いは無く、明らかに人を殺し慣れている集団だった。


 全部で6人居り、散弾銃を扱い慣れているのか、2人ずつのコンビで一人が弾を打ち切ると、すかさずもう一人が発砲して、リロードの隙を作らない戦法を取って居り、油断の成らない相手だった。


 我々の取った戦法は銃だけを車の影から出して、相手を狙撃する手を取った。


 普通の銃ならこの様な射撃をすれば、感のみで滅多に弾は当たらないが、[バイパー]に装備されて居るドットサイトは、ヘルメットの多機能バイザーと連動して居るため、スイッチ一つでドットサイトの映像をバイザーに投影して、照準発射が出来る仕組みになっている。


 更に[バイパー]はエアーライフルなので、夜間でも発射炎が出ず銃声も殆んど聞こえない為、撃たれた方は何時狙撃されたか判らず、あっと言う間に掃討されてしまった。


 我々は反撃が無い事を確認すると、二手に別れて迂回をして相手の後方へ出ると、警戒しながら倒れてうめいている暴徒に接近していった。


 どうやら右側の車の影で倒れている、20代中頃の男がリーダーだ。


 俺が15m位離れた所で[バイパー]を構え、レーザーポインタを起動し奴の右腕に照準を合わせながら声を掛けた。


「おいお前がリーダーだろう、気絶をした振りをしてピストルで射つ気で居るだろうが無駄だ。


 この銃ならこの距離では必中圏内だが、ピストルは負傷して居る奴がこの距離で当てられる程甘い武器じゃない。


 諦めてヤサの場所と残りの仲間の人数を吐いちまえ。


 そうすれば楽に逝かせてやる」


 そう言うと俺は容赦無く腕に弾を3発程叩き込んだ。


 パパパス!


「ぐワ~~~ ウぎィ~~~~」


 男はトカレフらしい銃を放り出すと、右腕を抱え込んで身悶えした。


「馬鹿な奴だな、相手を見て喧嘩を売れよ。


 調子に乗って誰彼構わず突っかかるから、格上の相手に勝てない戦を売るんだよ、本当に馬鹿はどう仕様も無いな」


「代表こいつ等悪霊化人間ですか?」


「そんな所だ、我々のシマに勝手に入り喧嘩を売って来たのだから、それなりの覚悟は出来ているだろう。


 こう言う馬鹿は多分仲間も馬鹿だから、同じ事を繰り返して無辜の人達を傷つけても平気な外道だからね。


 もうアジトの位置も解ったからこいつ等は、ゾンビに始末を任せよう」


 俺達は暴徒の武器を回収すると車のキーを奪い、手足を容赦無く撃つと彼らを放棄して、ゾンビが集まり出したその場を去った。


 後ろから男達の絶叫と罵声が聞こえた気がしたが、無視して奴らのアジトへ向かい最後の始末を着けに道を急いだ。



Pday 6日目

PM18:15 調布飛行場側 調布[ひよく寮] リビング


 俺達は寮に帰り明日使うSDプレイヤー3台を車に残し、その他の食品以外の荷物をガレージに仕舞い、食品や日常品は佐田婦人に渡した。


 調達して来た牛乳はロングライフの物を厳選して来たし、卵もまだ使用に耐える感じだったので持って来た。


 葉物野菜でもキャベツや白菜は、表面の何枚かを廃棄すれば、まだ使える感じだったのでかなりの量を持って来た。


 無論玉ねぎや馬鈴薯・薩摩芋や南瓜は、まるで問題ないので回収して来ましたよ。


 他にはボンレスハムの固まりや、ベーコンに魚肉ソーセージやサラミなども回収して来た。


 後季節柄おでんの業務用パック(調理済み)も、1カートン20パック入を10カートン確保して来ました。


 その他おでんに合う酒類なども、カートンで確保して来ました。


 しかし話は変わるが女性の感は鋭いですね~。


 我々が暴徒のアジトを潰して来たのを何となく察知されて、OHANASHIと言う尋問を受けバレてしまいました。


 何故ばれたか未だに解らないのだが、結婚してもし浮気でもした日には考えただけでも背中に冷や汗が出て来るよ・・・・。


 男には自由が無いのだろうか?


 一生独身の方が気楽に生きられるかもしれないが、佐田婦人と愛美ちゃんを見ていると、自分の子供も欲しいしと思いながら、運命のその日は暮れていくのだった。

誤字脱字がありましたなら1言の欄でいいので御指摘下さい

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