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未来の恋人へ、一歩ずつ。

今回は、視点が雅⇒凛⇒楓の順に切り替わります。

読みづらかったら申し訳ありません。その点ご理解の上でお読みいただけますようお願い致します。

#未来の恋人へ、一歩ずつ。




「ちくしょう、ちくしょう畜生チクショウ…っ!」

「あら雅、おかえりなさい、はやかったのn…って、どうしたのその顔?なにかあった?」

「別に何もない…っ!とりあえず部屋入ってくんな!!」

階段を駆け上がり突き当りの自室に入り鍵を閉め、その場に座り込んだ。

「あーあ…フラれちゃった…あはは」

帰り道で涙は流しきったはずなのに、いくら拭いても溢れてくる。

「もう嫌だ…」

はじめて男の人を好きになった。自分は昔から可愛いといわれる側で、男として見られていなくて。

好きになった女子に告白しても、『雅ちゃん可愛いから、一緒にいると比べられちゃうからヤダ』と断られる始末。

いつの間にか、自分より可愛い男性を探す生活を送っていた。

当然、そんな人すぐ見つかるわけなどなくて。

でも突然、天使は舞い降りたのだ。

バイト先で見つけた、背が高くて、髪の長いメガネの人。笑った顔が可愛くて、注文するときの上目遣いで落ちてしまった。

次来たらもっとお話したいと思ってた。いつか告白しようと思ってた。

なのに、なのに。秋葉さんとずっと話して、目の前で楓さんの口から『凌さんが好き』を聞かされて。

もう、何もかもいっぱいいっぱいで、勢いで告白した。

今言わなきゃ、本当に伝えられないと思った。

結果は玉砕。

そこまではいい。あの秋葉のヤロウの言葉が気に入らない。

(こいつ)はもう俺のものだから、おとなしく引き下がってもらってもいいかな?』

楓さんをコイツ呼ばわりするな。俺のモノってなんだ。みせつけんな、引き寄せんな。楓さん照れさせんな。楓さんの可愛いところ、これ以上見せないでくれ。

思い出したらキュンキュンしてきた。

本当は俺が楓さんにあの表情をさせたかった。

「ほんと、なんもかなわない、あの人には。」



    *  *


そろそろ帰ってきた頃かなあ。そわそわしながら時計を見る。

昨日楓さんに相談を受けて、是非とも成就させてあげたかったから、かなりきもちを盛り上げる方向に持っていったつもりだ。

楓さん、きっと朝一番に伝えに行ってるはずだから、もうじきそれを目撃して耐え切れなくなった雅がかえってくるころだろう。

『雅―』

とりあえずチャットを送信。

すると3分後、『何』と返信が。あれ、読み外れた?

『いまどこにいんの?バイト中ならスマホなんか見てちゃだめだぞー』あれれーと思いつつ送信。

『帰ってきた』

あ、当たってる。

『どしたの?』

おおよそ分かってはいるが、ここは楽しませていただこうじゃないの。

『楓さん、わかるだろよく来てくれる男の人 俺好きだったんだけど、さっき秋葉サンとくっついてさ 店ん中でボロ泣きしながらキスしてやがったあの野郎』

えwwwちょwwwそこまでwwww凌さんまじパネエwwwwwと内心で大爆笑しながら、

『あー、くっついたのかー。んで?雅は何かしたの?』と送信。もう実況する気力もないから、ここからは私の感想を添えてお送りしようと思う。

『驚かないのか… 告った。その場の勢いとか何かで でも絶対ないって言われた もうだめだ俺生きていけない』

おおおおおお!!!告ったんかwwwwwwクソwww雅のくせにやりよるwwwwてか楓さん男前すぎるww

『そんなんフツーにありえるよー。そっかあ…よしよし、お姉さんが慰めてあげよう』

『おまえ年下だろうが』

『はいはーい。んでー?また泣いてんの?』

『またっていうな』

あー泣いてんのか…

『まあまあ、今回でわかったこととして、雅は男の人でも好きになれるってことがあるじゃん。雅に寄ってくるような屈強な奴は無理としても、楓さんみたいな人とかは大丈夫なわけでしょ?ってことは、恋愛の幅が広がるじゃん。やったね!』

『そうだな。…サンキュ、凛。』

『いえいえ♪これも幼馴染の務めですよん じゃあまたねー』

ふう…と一つため息を落とす。

雅がかなわない恋をしていることは薄々わかっていた。

だからこそ、次のチャンスにつなげていってほしい。

とりあえず、今はこれ以上干渉しないほうがいいだろう。


    *  *



ああ、なんて幸せなんだろうか。

あのあと、マスターさんがくるまでスタッフルームに入れてもらって、凌さんと話してはキスして、話しては抱き合って、を繰り返していた。

午後になるとマスターさんが戻ってきて、お客さんの入りもよくなってきたので、さみしいけど一度帰ることにした。

軽い足取りで家に着くと、スマホに通知が来ていた。凛ちゃんからだ。昨日交換してもらったのだ。ちょうどお礼も言いたかったのですぐに起動し、内容を確認。

『帰ってきたら見てくださいねー。告白、うまくいったみたいで良かったです。雅から聞きました。そこで一つ、お願いがあるんですけど。』

『今度、例の楓さんの友達さんを連れてカフェに来て頂けませんか?同性愛についてとか、いろいろお聞きしたいことがあって。』

例の友達…明のことか、と納得する。あいつなら、(まあ酒の方が好きと言っていたが)コーヒーも好きだし、嫌がったりはしないだろう。

『遅れてゴメンね。本当にありがとう!おかげ様で恋人同士になれました。雅くんには少し悪いことをしちゃったかな。』

『うん、全然いいよ!あいつもコーヒー好きだし、今度連れてくるよ。変な奴だけどねw

凛ちゃんがお店にいるのっていつだっけ?』

送信。凌さんと付き合えるようにしてくれた恩人なのだから、できることはしてあげたい。

それにしても、同性愛についてか…あいつは筋金入りだから積極的な理解者に会えたら嬉しがりそうだなあ、と考えて、明の女嫌いを思い出す。

ちょうどその時

『よかったです~。雅は適当に慰めておいたので心配いらないです!

 ありがとうございますっ!じゃあ、土曜日か月曜日でお願いできますか?その他の日は常連さんに相談頼まれてて…』

『わかった。行く日に声かけるねー』

『了解デス!よろしくお願いします~』

ふむ。土曜か月曜、か。あいつのバイトは何曜日だったかな。

画面を操作し、アイコンがやたらキメ顔の明のプライベートアカウントを選択。

二台持ちなのでもう一つ事務的な連絡用があって、そっちは自分をさらけ出せていない人用らしく、控えめなお酒のグラスの写真がアイコンになっている。

『明―、突然なんだけど報告。僕彼氏出来たよ』

なにしてるかなあと思いながら送信。するとわずか4秒で既読がつき、1分で

『おいちょっと待て聞いてないぞ誰だよ大学のやつか?まえ言ってた店員か?それともほかのやつか彼氏ってことは男なんだろ?そうだといえ、自分もゲイになったと言え』

うわっ…こわっ…

『あ、ああ、前に言ってた店員さんだよ。お前にもらった言葉のおかげで踏ん切り付いた。

ああそうだよ、僕もゲイだったみたい。今までキモいだのなんだの言っててごめん。それでな、一つおねがいがあるんだけど。』

凛ちゃんに言われたこと、僕らが成就した恩人であること、男性の同性愛に理解のある女性だということを伝えた。すると悩みまくったらしいが、

『わかった。そこまで言うなら行こうじゃないか。お前の彼氏もみたいしな 土曜のが都合いいわ、午後で大丈夫か?』とOKをもらった。

よかったぁ…




まだ、知り合いの知り合いな関係の二人の出会いは、そう遠くない未来かもしれません。



またのご来店を、お待ちしております。

凌と楓は、このカフェで、いつまでも。


さあさあさあさあさあさあさあ!!!!!!!

完結です!!!!!!!!!!!!ヤッター!!!!

次の章へのフェードイン的な感じにしたかったんですけどできませんでした。


ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。

評価等いただけましたら幸いでございます。

何卒、このカフェBLシリーズを今後共よろしくお願いします。

関わっていただいたすべての方に感謝いたします。ありがとうございました。

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