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白と黒
「水樹君!」
懸命に呼ぶが水樹は目を開かない。華ははっとする。
ー天使の力は弱くなる
水樹が最初に言った言葉だ。
「・・・。水樹君。本当は、天使だったんだね。」
強く抱きしめる。
「本当の悪魔は輪くん・・・。貴方だったんだね。」
華は後ろを向く。輪をまっすぐな眼で睨みつける。
「私はあなたの味方にはならない・・・。輪くんと水樹君の過去には何があったんですか?私、知りたいです。」
「おしゃべりしすぎだ華」
急に首が縛られたように苦しくなる。
「水樹は言い忘れていたようだね。悪魔の結界の中なら悪魔の力は天使の何千倍にもなる。今のおれに勝てるものなど誰もいない。」
「なんで・・・。水樹君だって・・・。」
「教えてやるよ・・・。俺とこいつの過去を」
華はとっさ的に後ろを向く。水樹が目から涙を流していた。
「やめろ輪・・・。うっつ!」
その瞬間、輪が口を開けた。