あの時
息が苦しい。さっきから涙がこぼれおち呼吸が速くなる。鳥の鳴き声がした。さっきとは一転して、明るい日差しが、隙間から少し流れ込んでくる。一日過ぎた。決断まであと11日。このまま決断しなければ自分は水樹のものとなり今の自分を失ってしまうのだろう。そう考えると怖くてたまらなかった。しかし、華には二人を選ぶことのなとてもできないものだった。ふと記憶もたどっていくと頭に思い浮かんだのは輪だった。今どうしているのだろうか?華は輪とであった時のことを考えた。
ーなんで私は輪に助けられたんだ・・・・・
私が悪魔使だから?じゃああの時悪魔使じゃない私がいたらどうなっていたのだろう。あの影に・・・。
ーあの影は誰?
あの影は・・・
「ああああっ!」
首に激痛が走る。
「ううっ・・・。」
痛い。何だろうこの痛みは。生まれてから一度もこんな痛みを味わったことはない。
「かわいそうな子」
目の前には水樹が立っていた。その手には華と同じ黒い羽根のマークが描かれていた。水樹が頬を羽根のマークにすりよせる。
「いやっ・・・・!」
そして今度は唇を触らせた。
「いやーーーーーーー!」
華は力を失い倒れこむ。
「華、もう少しで悪魔かが始まってくるよ・・・。」
!
なんで水樹は華のマークのところにはキスをしていないはずだ。
「なんで・・・。」