黒い羽根
「離して・・・」
「嫌だよ。ここで離したら捕まえた意味ないでしょ。おっと、失礼。」
そういいながら、男は笑いながら後ろを向く。そこには、息を切らした輪が立っていた。輪の眼は男を睨むように、赤く染まっていた。
「華を離せ。」
「二人揃ってなんなのさ・・。離せって言って離したらー」
男のよこを炎が通る。頬からゆっくりと血が流れた。男が華の耳元に口を寄せる。
「今日のところは引き上げるけど、華ちゃんをさらうためにまた来るから。俺の名前は水樹。」
そういった後に華の首元にキスをした。華が顔を赤くする。輪はその小さい出来事にきずいていないらしい。水樹がキスしたところに少し痛みを感じた。そして華の手を離し窓から出て行った。輪が華に駆けつける。
「大丈夫?」
首を縦にふる。華はキスされたところに手を押さえる。熱い。輪の顔を見つめるとさっきの赤い瞳は元のきれいな青い瞳に戻っていた。
「さっ、部屋に帰ろう。」
のばされた手をつかみ立ち上がる。ふらつく。部屋に帰った後、輪は華を叱ることもなく、華のことだけを心配してくれた。華は再び首元を押さえる。ふと時計を見たら短い針が12を指していた。外はもう真っ暗だ。華は静かにベットに入り目を閉じた。
華・・・・。 華・・・・・・。
誰かに呼ばれている気がする・・・。
誰?
俺だよ・・・。
誰・・・・?輪くん?
俺だよ・・。
嫌な予感がし目が覚めた。もう朝だ・・・。眠った気がしない。鏡を見ると首元に黒い羽根のマークがあった。口が動かない。ドアをたたく音がした。
「華ちゃん、起きた?入るよ。」
とっさ的に言う
「きっ・・着替えているので・・・。」
「そうか、ごめんね。またあとで来るね。」
・・・。どうしよう。このマークを隠さなければ・・・。