すべての始まり
少女は頭に温かみを感じ目を覚ました。瞼の奥には、少し赤みを帯びた瞳があった。恐る恐る目を開くと、見たことのないベットで眠っていた。そして男が一人少女を見つめていた。ほほ笑む。心の奥から、経験したことのない緊張が流れ込み小刻みに揺れる。
「・・・。怖がらないで。そんなに警戒されたら悲しくなっちゃうよ。」
男は少女をとてもいとしそうな目で見ている。その目はまるで少女に何かを訴えているようだった。急に涙がこぼれおちてきた。
「貴方は、何を求めているの・・・。なぜそんな瞳で私を見るの・・・。」
眉をしかめる。しかしすぐに笑みを浮かべ少女の涙をぬぐう。
「ごめんね。自己紹介まだだったね。俺は、輪。よろしくね華ちゃん。」
輪は当然のように華の名前を言う。
「なんで私の名前知ってるの・・?」
「なんでか・・・・・。それは運命だからかな。」
「運命・・?」
〝ドンッ″
どこからか爆発音がした。輪が顔をしかめる。
「水樹か・・・。華ちゃん俺ここから離れるけどこの部屋から出ないでね。」
いきなり昨日のような感情に包まれる。怖い、嫌だ、誰か・・・。お願いだから私を一人にしないで・・。華はとっさ的に部屋のドアを開けて、部屋から出る。
さっき輪が言ったことなどもう頭になかった。部屋を出たら長い廊下が続いていた。華はその廊下を走ろうと見つめる。駆け出そうとした途端、背筋が凍った。
「みーつけた。」
振り向いたらそこには知らない男が一人立っていた。