第82話 ライト・フォースと毒針
レミーは空に手をかざし、ロサイルに大怪我を負わせたあの技を発動させた。
「炎の流星!」
しかし、もうレミーに力が残っていないのか、「群」ではなく1つの大きな流星だった。それは流星群の時の1つより遥かに大きく、全てをそれに託したようだった。
「移動封印!」
そしてロサイルの時と同じように移動を不可能にし、確実に炎の流星を当てようとする。
ショウザンもロサイルと同様にもがくことしか出来ずに、ただただ炎の流星が迫ってくるのを待っていた。
そして、炎の流星がショウザンに衝突する。
大きな爆発音が北デューナに響き渡り、誰もがそっちに目をやった。煙が収まる。そこにはショウザンの姿はなかった。レミーの勝利だ。
「最強の技を出させた事を後悔しているかな。天国で。いや、地獄か」
レミーはそう言って笑い続ける。やはり純金鉱石に敵う者はいない。それを証明して見せたのだ。
「後悔してないよ?」
「なっ……!!」
――と、今回も思っていただけだった。
ショウザンは全く傷ついておらず、それどころかレミーの後ろ側に回りこんできていた。
「どうして……」
「君だって分かってるだろ? この移動封印の弱点を。移動封印は確かに便利で、戦いを有効に進める能力を持っている。だが、1つ弱点がある。熱に耐え切れないということだ。間近に炎の流星が迫ってきたとき、わずかな時間、逃げるすきがある。それを、僕の必殺技、『ライト・フォース』でかわしたというわけさ」
「そんなはずはない! あのエグレサッタの少年は、体に炎を纏った状態でも移動封印は解けなかった!」
「自分だって分かってるんだろう? 純金鉱石が抑えきれないのを」
「ぐっ……!」
「終わりだよ」
そう言ってショウザンは剣を高らかに上に挙げ、振り下ろし、レミーを斬った。
大量の血が溢れ出し、レミーがその場で倒れる。
本当に証明したのは、強さは物では手に入らないというショウザンの答えだった。
◆
一方でリキリョウとミーモは、教皇の側近ランスと戦いを繰り広げていた。
しかし、2人の実力では敵うはずもなく、2人は劣勢に回っていた。
「……よくこんな実力でここに現れたな」
「…………」
ランスはその場に座り込み、リキリョウたちを見た。
「無駄に体力使ってしまったな」
ランスは話にならない、と座ったのではなかった。少し体の調子がよくないらしく、それがだんだん悪化してきて座ったのだ。
「雑魚はこういう狡いマネが好きなんだな」
「生憎な……」
リキリョウはあのガルナタスでの戦いの後、強くなるために研究をしていたのだ。
そこで見つけたのが毒針。相手がじわじわ弱っていくのならリキリョウたちにだって勝機はある。ミーモとの連携で、戦闘開始直後に毒針を刺したのだ。
毒が回る前にやられてしまったが、今はランスの体中に毒が回っている。
「俺たちの目的は果たしたぜ……ロサイル、バレンア……」
こうしてリキリョウたちも足止めに成功していた。
次話、頂上戦争が本格的に開幕!
ロサイル・バレンアVS教皇!