第81話 同期の格下
一方でショウザンとレミー。ショウザンは剣を抜き、構える。
それに対してレミーも剣を抜き、少し笑いながらショウザンに話しかける。
「本気で勝つ気なんだな。純金鉱石を取り込んだ私に」
「そのつもりだからここにいるんだが?」
「なめられたもんだな……」
そう言うとレミーは剣をしまい、両手を広げて言った。
「ハンデとして傷を負ってやる」
「なめられたもんだな、はこっちのセリフだよ。まぁ、そういうことなら遠慮なく。後悔しても知らないよ?」
そう言ってショウザンは地面を思いっきり蹴ってレミーのほうに突っ込んでいった。剣をしっかり構え、そしてレミーの腹部を勢いよく斬った。すると大量の血がレミーの腹部から溢れ出した。
思ったよりも威力が強かったのか、レミーは少し表情を歪めた。
「……今度は私の番だ」
レミーはしまっていた剣を抜き、ショウザンと同様に地面を思いっきり蹴って突っ込んでいった。勢いよく剣を振り上げ、ショウザンの前に来たところで振り下ろす。
しかし、レミーに手ごたえは感じられなかった。
ショウザンはあっさりとレミーの攻撃をかわしていたのだ。魔法を使っていないのもレミーだから分かる。
「……どうしてかわせた?」
「脳が破壊に侵食されすぎなんだよ。どういう事かはネタバレになるから言わないけど」
「私は無敵だ。お前なんぞにかわせるはずなどないのだ!」
それに対してショウザンは鋭い眼差しで答えた。
「この世に無敵なんていない!」
その答えを聞いた途端、レミーはむきになってショウザンに襲い掛かった。剣を大きく振り上げ、勢いよく振り下ろす。するとレミーの目の前に赤色の世界が広がった。血だ。レミーは笑顔になり、ショウザンに問いかける。
「どうだ! やはり私は無敵だろう!」
「……それ、誰の血だと思う?」
ショウザンは何一つ傷ついていない。むしろ目の前がふらふらするのはレミーのほうだった。
そう、その血はレミーの物だった。
「なっ……!!」
驚くレミーを見て、ショウザンは変わらない表情で言った。
「最強の技を出さないと、今の君は僕に勝てない」
それを聞いてレミーは悔しそうな表情を浮かべた。無敵だと思っていた自分が、同期の格下にこんなにもあっさりと不利な状況にされてしまったからだ。
腹部にかなり傷を負ってしまったレミーは、最強カードを出すしかなかった。
「いいだろう。出してやる。後悔しても知らないぞ?」
「そのセリフ、そっくりそのまま君に返すよ」
そして2人は最強の技を発動させた……
次話、ショウザンとレミーの因縁の対決が決着!