第79話 好きだった島
今回でオーシャンアイランドは終了です。
「ザメサ……お前……」
思わぬところで体をはったザメサはその場でばたりと倒れた。もう、その手は使い物にならないんじゃないかと思うくらいひどい傷だった。
だが、リラたちには分からないことが1つあった。
――――どうして自分の体の一部を捨ててまでこの島を守ったのか。
それがまったく分からなかった。
それについてキルトが問いただす。
「どうして……そこまでしてオーシャンアイランドを守ろうとしたんだ?」
「えっとね……実は僕の生まれた場所なんだ。ここ」
それを聞いたみんなは驚きを隠せなかった。あの近衛騎士の副隊長、ザメサがオーシャンアイランド生まれだったという事実に。
「生まれがここなだけで、出身はファスニード大陸より西にあるファルキナ大陸。だけど、この島の雰囲気が大好きだったんだ。みんなが笑ってすごしてる。笑顔が絶えなかったこの島が大好きだったんだ」
その島を破壊しないように体をはったわけだ。手がつぶれているだけで、話す分には何の問題も無い。そこらへん、鍛えられている。
そのことを打ち明かしたザメサは、ジーラスのほうを見て、あることを言い放った。
「もう俺らの負けや。今の隊長やったら譲ちゃんに勝てへんわ」
そう、負けを認めたのだ。
◆
こうしてオーシャンアイランドでの激戦は幕を閉じ、また平和へと歩を進めていくのだ。
すると、オーシャンアイランド特有の新聞配達カモメがみんなに新聞を配布する。
『教皇の塔に反逆者、バレンア=ウルビーノが突入。ロサイル=クロウズも塔に向かっている』
そんな記事が書かれていた。
それを嬉しそうに、でも心配そうに見ていたリラに、ユガがリラに話しかける。
「行くかい? 北デューナ」
「え?」
「行きたいんだろ? あの2人が心配だから。止めやしないよ。一緒に世界、変えてきな」
リラの顔がパァっと明るくなり、大きくうなずいた。
すぐさま潜水艦に乗り、北デューナへと向かっていった。
最後は全員で世界を変えるために……
次話、北デューナ! 果たして世界を変えれるのか!? 真最終章へ!
今回、超短くてすいません。