第75話 光と幻影と強風
ノイキルもワーズ同様、剣にあるものを流れさせて、最大の一撃を放とうとする。
「食らえ、光流!」
しかし、ワーズとは違って白い光が剣から溢れ出している。違うのは色だけで、攻撃方法などは何も変わっていなかった。
さっきのワーズの影流は、影から剣が飛び出し攻撃した。
ノイキルが使った光流は、能力は一緒なので、出てくるところは光のある場所。向こうは向こうでオーシャンアイランドは好都合な場所だった。
「太陽かっ!」
ワーズがそれに気づいたときにはすでに頭上から大きな剣が襲い掛かってきていた。ワーズはかわせるはずもなく、頭を思いっきり刺された。大量の血と内臓が少し飛び出るような映像が目の前に広がった。
「所詮こんなものか。影をうまく使いこなせていない」
「お前は光をもっとうまく使いこなせてねぇけどな」
目の前には何1つ傷がついていないワーズがいた。
「なっ……なぜ!?」
「幻影は得意分野でね~」
そう言ったのはユガだった。知らぬ間に幻影をかけていたのだ。
ワーズは普通にかわせていたのだ。それがノイキルには思いっきり刺されたように見えていた。
そして自分の影と、剣の光で影が増え、さっきよりたくさんの刃がノイキルに襲い掛かっていた。
「敵が2人いるっていうことをすっかり忘れてたみたいだね~」
ノイキルはその場で倒れ、立ち上がれなかった。
*
一方、ザメサと戦っているキルトは逆に押されていた。
近衛騎士もう1人の副隊長ザメサは、ユガが得意としている幻術、幻影の使い主で、その腕は世界一とも言われている。
キルトはその幻影に騙されることが多かった。斬ったと思ったら斬られている。
その強さにキルトは手も足も出なかった。
「ふぅ……こんなもんか」
そう言ってザメサはその場で座り込んだ。
「俺も眺めてとこかな。別に世界がどっちに傾いてもええし」
キルトは悔しくて悔しくて仕方がなかった。でもどうしようもない。
「まっ、自由のほうがええけどな」
そう言ってザメサは煙草の煙を吐き、隊長ジーラスとリラの戦いを眺め始めた。
*
そしてリラとジーラスは互角といった勝負だった。しかし、若干ジーラスが押していた。
というのも、剣と呪文ではスピードが桁違いだ。速術法もこんなに速い相手には意味がない。それでもリラはうまく隙を見て攻撃を放っていた。
「ウィンドトルネード!」
一瞬の隙を見逃さず、ジーラスが止まるそこを見てウィンドトルネードを放った。
ジーラスに切り返す時間はなく、ウィンドトルネードをモロに受けた。
「やった?」
しかし、ジーラスは普通に立っている。少し髪が乱れただけだった。
「なんだこの技は? ただの強風じゃないか」
「なめられたもんだね……」
果たしてこの隊長に勝てるのか……
次話、オーシャンアイランドでの頂上決戦!
リラVSジーラス