第74話 兄の影流
ユガたちは、近衛騎士の副隊長ノイキルとバトルを展開しようとしていた。
ノイキルはつい最近副隊長に就任した新人副隊長で、ザメサほどの力は持っていなかった。
「ふ~、副隊長としての初仕事がこんな大きなものになるとはな……ただの雑魚の排除か」
深く息をはいてノイキルはユガたちのほうを見た。それに対してユガは少しにやけてノイキルに言った。
「ただの雑魚? 生憎そこまで弱くないんだよ」
「ほう、ばあさんが相手か……」
「倒せるもんなら倒してみな、こいつらを!」
「ってお~い! すっげー、人任せじゃねぇか!」
ノイキルはしっかりとツッコミを入れた。さすが副隊長!
という茶番(?)は置いといて、戦闘が始まった。
ノイキルは次々とオーシャンアイランドの兵士達を斬っていく。リラたちが新人近衛騎士たちをあっさり倒したように。
しかし、その兵士の中で唯一ノイキルの攻撃に太刀打ちできる者がいた。
ノイキルの重い一撃をしっかりと受け止め、その剣を祓う。
「少しは出来るやつがいるようだな」
「そんなことを近衛騎士の副隊長に言ってもらえるとは光栄だね~」
「……名は?」
「ワーズ=デ=シャナーダ。オーシャンアイランド組リーダーのリラの兄だ」
そう、その男はリラの兄、ワーズだった。剣士になるための勉強をしていて、しばらく留学していた。最近になってオーシャンアイランドに帰ってきたのだ。その腕は簡単に破れるものではない。
やっと太刀打ちできる相手が見つかったノイキルは、嬉しそうに剣を構えてワーズの方へ走っていた。
とてもすばやい攻撃で、かわすことは誰も出来ない、そう思えるほどだった。
ワーズはもちろん避けようとはせず、剣でその攻撃を受け止めた。そしてその剣に、どす黒い妖気のようなものをワーズは注入した。
すると、ノイキルの影から1本の刃が飛び出し、そのままノイキルを刺した。
「なっ……!」
ワーズが剣に注入したのは「影流」というものだ。これに触れたものの影から刃が飛び出すという、とても厄介な技だ。
しかもこのオーシャンアイランドは年中晴れなため、いつでも影が出来る。
ワーズにとってはとても都合のいいところだった。
「ふ~、もうどうしようもないか……」
ノイキルも剣に何かを注入させ、剣先をワーズに向けた。
「もう最大の技を使っちゃうよ。負けたら意味ないから」
ノイキルは最大の技を発動させた……
次話、早くもワーズとノイキル決着!
かなり意外な手で……っと! これ以上はネタバレに!
出来れば今日に更新しようと思います。
受験前でパソコンが使えなくなる前に完結を目指しているので、これからなるべく早めに更新しようと思います。