第73話 南の島の決戦
今回からオーシャンアイランドです。
これが終わり次第で、再び北デューナに戻ります。
一方そのころのオーシャンアイランド。
近衛騎士の多くが流れ込んできたオーシャンアイランドは、北デューナやウィニングウィンゲンツよりは楽そうだ。近衛騎士には新人が多くいて、ベテランが少ない。つまりは教皇や村長といった飛びぬけて大きな戦力を持つ者が少ないという事だ。
そんなオーシャンアイランドで激戦を繰り広げるリラは、近衛騎士のクラースケンと戦っていた。
クラースケンは重罪を犯したといわれていたロサイルたちに死刑宣告をした男だ。そんな重要なことを任せられているのだから、そこそこの信頼があるのだろう。
その戦いは今も続いていた。
*
クラースケンはしっかりと剣を構え、リラの方へと走っていった。
「トルネードキラーガード!」
リラの周りに風の刃のガードをはり、その一撃を防いだ。
「ったく、厄介な技持ってるんだな」
クラースケンはトルネードキラーガードの刃で、剣を持っていたほうの手を少し切っていた。剣を握る力が弱くなっているのがリラには分かった。
ならばここが決着をつける時だ、とも。
リラは本を開き、今まで唱えたことのないところの文字をなぞる。それをクラースケンのほうへと向け、一気に放つ。
「アイスサルトトルネード!」
無数の氷の刃が目にも留まらぬ速さでクラースケンを襲っていった。もちろんクラースケンはかわした。だが。
「トルネードキラーガード!」
クラースケンの着地地点にいたリラが、無数の風の刃をそこにはっていた。
空中で身動きがとれるはずもなく、クラースケンは刃に飲み込まれた。
勝利を確信したリラは、隊長格のところへと歩を進めた。
*
そしてリラ、キルトといった有力者は隊長ジーラスの元へとやってきた。
「クラースケンをあっさり破るとはな」
ジーラスは噛んでいた風船ガムを地面に吐き捨て、そしてゆっくりと立った。
「ま、予想通りっちゃあ、予想通りだな」
ジーラスはゆっくりと剣を引き抜いた。そしてジーラスの横で立っていた副隊長のザメサ、ノイキルの2人も剣を構える。
「新人近衛騎士ども、よく見ておけ。近衛騎士は、力だけで勝つもんじゃないんだ」
そうして、オーシャンアイランドでの頂上決戦が幕を開けた。
次話、決戦開幕!
ジーラスVSリラ、ザメサVSキルト、ノイキルVSユガと愉快な仲間達。