第67話 立ち上がった戦士たち
今回で一旦ロサイルたち、北デューナの方は終了です。
いや! また後で北デューナ描写ありますからね!?
かなり後になるかもしれませんが……
では67話どうぞ!
リキリョウとミーモの2人は歩き出した。仲間のために、命をかけるために……
もちろん2人も、自分たちはランスに敵わないことを知っていた。この3人の中でも1番強いバレンアが大量の血を出してしまうから。たった1回の攻撃で、こんなにもバレンアをボロボロにしてしまったから。
それでも2人は後に引かなかった。もう決心したから。
「おい! 教皇の側近! 俺たちが相手だ!」
何も迷うこともなく、リキリョウはそう言った。ミーモも、いつもの可愛い子ぶった表情ではなく、鋭い目つきでランスを見ていた。
「どういうつもりだお前ら。まさか、俺に勝てるとでも言うのか?」
ランスも鋭い表情で返す。だが、ひるむことなく、リキリョウは言う。
「勝てるわけねぇだろ。俺たち弱いから。だけどな……バレンアはお前より強い奴と戦わなくちゃいけねぇんだ!」
「…………」
「つまりだな。俺たちはバレンアに先に行ってもらうために、この戦いを引き受けるという事だ」
人差し指をランスに向けて言い放った。
教皇の側近なんていう強い奴に勝てるはずがない。そんなの理解している。でもバレンアに先に行ってもらうために、この戦いを引き受ける。
そんな思いの中に、言葉に出さなかったものがあった。
――そして……俺たちはこいつと戦わなくちゃいけない。バレンアが教皇と戦わなくちゃいけないみたいに……
そんな考えに対して、バレンアは反対だった。
「自分たちが勝てないのを知っている? なおさら反対だ! それはつまりお前たちが死……」
バレンアが喋っているのをリキリョウが妨げ、ミーモが言った。
「大丈夫、もう……」
『死ぬ覚悟は出来てるから……!』
「で……でも……!」
「どういったって引かないぞ。俺たちは決心した」
バレンアはその決心に押され、塔の方を見た。
「絶対……死ぬなよ」
そう言って、バレンアは塔を昇り始めた。
*
レミーは勢いよく剣を真下に下ろした。ロサイルの心臓を狙って、真っ直ぐに落とす。
ロサイルは大ダメージで、速く動けないし、ヴァームは移動封印で動きが封印されている。
絶体絶命のピンチだ。それを嬉しそうにレミーは見ていた。
「さらばだ……エグレサッタの少年」
ロサイルの心臓にもうすぐ剣が当たりそうになったその時!
1人の男性がその剣を弾き、ロサイルの危機一髪の状況を救った。
「誰だ!?」
「死にかけの人間に止めを刺す。好かない趣味だな、レミー」
「お……お前……!」
その姿を見たとき、ロサイルも驚いた。
青色の杖から剣が伸び、その剣でレミーの剣をはらってくれたのが分かる。その見慣れた剣に、綺麗なブルーのマント、整った顔立ち……
『ショウザン!!』
そう、異端審問官のショウザンだった。
「ショウザン、どうしてここに?」
「ここに来るのは当たり前だろ? それより速く行け。お前がいるべき場所はここじゃない。塔のてっぺんだ」
そう言って、ショウザンは杖から綺麗な白色の呪文をロサイルにかけた。すると、さっきまであった痛みが、少し消えた。
「さっきよりはマシになったはずだ。さぁ、行け!」
「ありがとう!」
ロサイルは全速力で塔に向かった。
「さぁレミー、始めようか」
「純金鉱石を取り込んだ私に勝てると思うか?」
「勝てるさ。それをロサイルが教えてくれたからね」
2人ともが剣を構え、因縁の対決が始まった……
次話、ウィニングウィンゲンツの方は……どうなるエリス!?