第63話 教皇の側近
純金鉱石の影響で圧倒的な力をほこるレミーに立ち向かっているロサイルとヴァームとピッチ。だが、その力は想像を超えていた。ロサイルは今更ながらリラが死に追いやられたことを納得した。
だがどこかに弱点はあるはず、と、ロサイルは必死で弱点を探した。この世に無敵など存在しないからだ。
しかし、どこを見ても弱点がない。なにもかもが最強な純金鉱石を取り込んだレミー。勝てるはずがないような戦いになってしまっている。
(だったら……)
ロサイルは炎のチャージ状態で一気にレミーに接近していった。
その速さに当たり前のように反応するレミーは、剣を取り出して、ロサイルに向かって振り下ろす。
ロサイルはそれを見越して接近したのか、すでに剣を取り出していて、レミーの攻撃を両手で持った剣で受け止めた。
だが、その攻撃はずっしりと重く、耐えるのが精一杯だった。
しかし、これもロサイルは見越して攻撃を受け止めたのだ。
炎のチャージ状態を解除して、普通の炎の手と剣の状態に戻る。
それからずっしりと重い攻撃を受け止めるのをやめ、レミーの剣をわざと振り下ろさせる。
そしてその一瞬の隙に、炎の腕を発動させて、すぐさま発射する。
「しまっ……」
「炎龍波!」
炎の龍の波動がレミーに襲い掛かる。一瞬出来た隙に技を発動させたので、レミーの速さでもかわせなかった。
「いっけぇえええええ!」
レミーはその攻撃を、近くで、モロに受けてしまったため、大ダメージとなった。
レミーはその場で膝を付いていたが、かなり傷がついていた。
「少しは楽しませてくれるようじゃないか」
「まぁね。こんなとこでやられるわけにはいかないんで」
レミーは再び立ち上がり、ロサイルの方を見た。
*
一方バレンアたちは、それほど強くない下っ端の僧侶たちが次々と襲い掛かってくるので、簡単に倒していき、教皇のいる場所へと向かっていた。
その塔に、あきらかに他の人とは違うオーラを持った人が目の前に現れた。
「ここから先へはいかせんぞ。反乱者」
そういってその男は剣を構えて立ちふさがった。
見た感じ、異端審問官ではなく、かといって近衛騎士でもない。
それから考えて、バレンアは正体が分かった。
「ははーん。教皇の側近ってわけだ」
「そういうことだ」
バレンアたちはすでに教皇のいる高い塔の前にいた。そんな大事なところを任せられるなんて、側近のような強い奴で信頼がある奴じゃないと任せないと思ったからだ。
もちろんバレンアは引き下がるつもりはなかった。
そしてそのまま対決へとなる。
「行くよ! ミーモさん! リキリョウ君!」
『おう!』
3人は教皇の側近に向かって突っ込んでいった。
次話もバレンアくんたちです。