第61話 衝撃行動
今回はウィニングウィンゲンツでのお話です。
一方、ウィニングウィンゲンツでは、陰陽の隠れ里でのあの戦いから再開を果たしたエリスと村長がバトルを始めようとしていた。2人とも札をだし、戦闘態勢をとる。
「エリス。お前にわしは倒せん。斬殺狼!」
陰陽の隠れ里でのバトルの時に召喚してきた獣を、この場でも召喚してきた。相変わらず大きな獣だ。すぐに食いに来そうな迫力だった。
だがエリスももちろん勝つ気で勝負に挑む。
「倒せますよ。私には背負っているものがあるから。獅子剣獣!」
エリスは、大きなライオン(獅子)を召喚した。そのライオンの鬣が鋭い刃になっていて、こちらも何もかもを斬り捨ててしまいそうな迫力だった。
「始めようか――エリス」
「ええ。そのつもりです。行け! 獅子剣獣!」
エリスの声と共に勢いよく走り出す獅子剣獣。村長もしっかり対抗し、斬殺狼に命令をして、獅子剣獣と斬殺狼が衝突しあった。だが、獅子剣獣が若干押され議身だった。
「ははは、これ程度ではわしは倒せんぞ。エリス」
「それはどうですかね?」
何と獅子剣獣と斬殺狼が戦っている最中に、エリスは伏せ札の光の弓剣を召喚していた。すでにエリスは弓剣を構えており、いつでも攻撃できる状態だった。
そのまま村長の肩に目掛けて、思いっきり弓剣を刺した。
村長はかわすことが出来ずに、肩から大量の血を出し、その場で膝をついた。
その瞬間、エリスは斬殺狼に矢を放ち、斬殺狼を消滅させた。
「なるほど……そうきたか」
「私は以前の私じゃないです。ロサイル君たちとの旅で色々な経験をして、色々な困難を乗り越えてきました。本気で来ないと……死にますよ?」
「ははは……少しは楽しませてくれるじゃないか、エリス……だが、そんな大口を叩けるのも今だけだぞ?」
そう言うと、村長はポケットの中から何かを取り出した。それを見てエリスは驚いた表情を浮かべた。
「純金鉱石……!」
「たった今からこれをわしの体内に取り込む。そうすれば……この村民どもの命はおしまいだ! もちろんエリス、お前のもな!」
そう言って村長は体内に純金鉱石を取り込んだ。
エリスは以前、純金鉱石を取り込んだ相手と戦ったことがある。だが、惨敗した。しかもこちらは2人。向こうは1人だった。10秒くらいでリラが血まみれになり、エリスはどうすることもなかった。
つまりは純金鉱石の脅威さは分かっている。勝つこともかなり困難だ。それでも……勝つしかないのだ。
純金鉱石を取り込んで覚醒した村長。さっきまでとは外見は変わらないが、それでも違う人に見える。(毎日見てきた優しい顔も、もう見れないんだな)とエリスは心の中で思った。
エリスは覚悟をもう決めている。それでも村長は裏切り者。許しておくわけにはいかない。
エリスが獅子剣獣に村長を攻撃するよう命令しようとしたその時……
「エリス、死んでもらう」
そう言った村長。するとさっき消滅させたはずの斬殺狼が生き返り、あっさりと獅子剣獣を倒してしまった。
「なっ……!」
「獣の心配している時間はないぞ。エリス!」
すでに後ろには村長がいた。もちろん反応できるはずもなく、村長が召喚していた小刀で、深く肩に刺されてしまった。
真っ白な雪が赤色に染まった瞬間だった。大量の血が流れてしまったエリス。もう動けない状態だった。
村長はそれを嬉しそうに見ていた……
次話、オーシャンアイランドでも戦争が幕を開ける!