第55話 平和な世界で……
早いですが北国の祖父・最後の特訓編終了です。
樹氷の森での炎龍波試しうちが終わり、ロサイルたちはヒョウルスたちにお礼を言い、教皇たちのいる大戦争の本拠地、北デューナに向かおうとしていた。教皇率いる新たな世界が勝つか、国民たちが望んでいる平和な世界が勝つか、始まりか終わりかを決めるような大事な戦い。そして絶対に負けられない戦いが始まろうとしている。
ウィニングウィンゲンツに滞在していたのは2日程度で、大戦争にはまだまだ時間がある。残りは2週間と5日だ。
ウィニングウィンゲンツから北デューナまでは結構距離があり、普通に歩いても1週間は余裕でかかるくらいだ。単純計算でついたときにはファスニード大陸大戦まで1週間と5日ある。ということで、かなり時間的には余裕がある。
ウィニングウィンゲンツには村への入り口が4つある。北デューナ方面とデューナ方面とガルナタス方面がある。そして入り口といってはなんだが、港からエグレサッタ村にすぐいける。
4人ともが北デューナ方面に向かおうとしたとき……
「ちょっと待って! 皆!」
ヒョウルスの家まで案内してくれたファルダンがロサイルたちを呼び止めた。
「ヒョウルスさんから皆に伝言だよ」
「伝言?」
「うん。ファスニード大陸戦争のことをテレビでやってたみたいなんだけど、今日発表になったことがあったんだ」
「それは何ですか?」
「教会、つまりは教皇の手下ってなるかな。それらがまだ占領できていないオーシャンアイランド、ここウィニングウィンゲンツに進行してくるんだ。見ての通りここは力のない村だ。色んな場所から行き来できるという事でいままで占領されなかったが……今回ばかりはそうもいかなくてね。そこでお願いだ。4人の中の誰かがここに残って、戦ってほしい」
教皇が占領できていない場所は北デューナ、オーシャンアイランド、ウィニングウィンゲンツの3つで、初めは北デューナのみで行われる予定だったが、現世界の最高権力者教皇は、たくさんの近衛騎士や僧侶を派遣して、オーシャンアイランド、ウィニングウィンゲンツでも戦争を起こそうと考えた。
現在のウィニングウィンゲンツは強さが全然ない村。そこでヒョウルスやファルダンは力を持っているロサイルたちに1人でいいからここに残ってもらうよう頼んだのだ。
「そういうことなら私が残ります」
真っ先に残ることを宣言したのはエリスだった。
「正直、私は北デューナで戦うほどの力を持っていません。でも、寒い中でも温かさを持つ村を破壊させたくない。いいですか、ロサイル君?」
「ああ、全然構わない」
結局エリスはウィニングウィンゲンツに残り、3人で北デューナを目指そうとしたとき、リラもある心を抱いていた。
「ねぇロサイル、バレンア君。私はオーシャンアイランドに行ったらダメかな……? 一応私の故郷だし」
故郷が破壊されるかもしれないという状況に、不安を抱いていたリラ。自分の故郷を守りたいという心が芽生えていた。
もちろんそれに関して2人は快くOKを出した。
エリスはウィニングウィンゲンツに残り、リラはオーシャンアイランドに帰り、ロサイルとバレンアは北デューナに向かうことになった。
そして最後にロサイルが言った。
「次に4人で会うときは平和な世界で遊ぶときだ!」
その声に3人は「おう!」と返事し、それぞれの目的地に向かった……
次話、最終章!
「最後の戦いへ」
です!
北国の祖父・最後の特訓編の設定は最後の戦いへと一緒にやります。
次話、それぞれの目的地に向かうロサイルたち。
そんな時、バレンアが思ったことは……?