第54話 炎龍波と体内炎龍波
短すぎます。
特訓とかはやりづらい……
ヒョウルスの所は実戦で強くなるのではなく、言葉で覚えて強くなるというものらしい。まぁ、特訓場がないからなのだが。
「まずはロサイルだな。炎の手にはまだ最大の技がある。それは『炎龍波』という技。炎の剣を左腕にあて、左腕を炎で纏わせてそのまま発射する。これが炎龍波。2つ目は『体内炎龍波』。これは自分自身が炎龍波となってぶつかっていく技。だが捨て身の技。下手すれば死ぬ。いざというときに使う大技だ」
ヒョウルスから教えてもらった技名は炎龍波という技。炎の手を使った技の中でも最強クラスで、どんなものをも打ち砕く威力だという。そして体内炎龍波。自身が炎龍波となり攻撃する技。炎龍波の何倍もの威力を持つが、捨て身技で全身がボロボロになるといわれている技だ。
次にエリスのことについてだ。
「陰陽師か。この世界の陰陽師は札を出すタイミングが最重要となってくる。自らの強化技、獣の召喚。それらのタイミングがずれると話にならないほどだな」
陰陽師は自らを強化する札、すなわち最新型の伏せ札と、獣を召喚する元のスタイルの札、切り札を使う。それらのタイミングで勝負が決まるといっても過言ではないほどに重要なのだ。
特訓はしないといっても、試しにするのはいいということで、ロサイルたちは樹氷の森へと向かった。
その道中に懐かしい顔に出会ったのだ。
「あ! ロサイルじゃん!」
「リラ!」
デューナで別れたリラと再開できたのだ。リカトル村での戦いの時に純金鉱石を使ったレミーに深い傷を負わされ、意識がなかったので仕方なく入院させ、一足先にウィニングウィンゲンツへとやってきたロサイルたち。元気になったリラは3人を追いかけてやっと追いついた。
「3人で何してるの、こんなところで」
状況の分からないリラが問いだす。
「ちょっと試したい技があってな」
そう言うとロサイルはマッチを取り出し左手で握りつぶした。炎の手が発動し、剣にも引火させる。
そして言われた通りの手順でやった。炎の剣を左腕にあて、左腕に炎を走らせる。そのまま左腕を前に突き出す。すると、炎の龍がうねりながら飛び出した。これが炎龍波だ。
「おー! 凄い大技じゃん!」
リラも驚いた様子だった。
さっきの炎龍波は地面にあてたが、大きくへこんだ。これから相当な威力なのが分かる。
――――これがあれば……教皇も倒せるかもしれない!
そんな新たな希望も生まれた。
そしてロサイルたちはウィニングウィンゲンツに戻って行った。
次話、ウィニングウィンゲンツを旅立ち、北デューナを目指します!