第49話 近衛騎士からの宣告
遅れて申し訳ございません。
突然やってきた近衛騎士に死刑宣告をされたロサイルたち。異端審問官を死に追い詰めたことは重罪で、逃げても全国指名手配されている。死刑宣告の後そう言った。
もちろんロサイルたちは捕まる気なんて全くない。こんなとこで死んだら何も変えれない。
沈黙が続く中、ロサイルは懸命に逃走方法を考えた。
すると、バレンアが耳元で小さく囁いた。
「僕が今だって言ったときに、全力で走ってね」
そう言うと、バレンアは近衛騎士に近づいていった。
「ほほう、指名手配犯のわりにはおとなしいな。まぁいい。さっさとこっちに……」
「今だ!」
その掛け声と共にロサイルとエリスは走り出した。
バレンアは掛け声を言った後、すぐに爆弾を地面にたたきつけた。
辺りは白い煙で包まれて、近衛騎士の目に映るのは真っ白な世界だろう。その白い煙の中をロサイルたちは駆け抜けていく。そしてそのままデューナ脱出を目指した。
「くそ……煙玉を持っていたとは……だが、デューナからは逃げられませんよ」
デューナの入り口付近に着いたロサイルたち。だがそこには、何百人という近衛騎士がいた。後ろからはさっきの近衛騎士がやってくる。
「さぁ、もう逃げ場はありません! さっさと捕まってください!」
今度こそ追い詰められた。煙玉を使っても捕らわれるのがオチだろう。けど……やっぱりここで死ぬわけにはいかない!
そう思ったロサイルはマッチを取り出した。火をつけて左手で握りつぶす。炎の手が発生し、剣にも引火させ、いつもの戦闘体勢になる。そしてエリスとバレンアに「俺の肩につかまれ」と言った。それから視線を近衛騎士に戻す。
「悪いな。俺らはまだ死ぬわけにはいかないんだ。じゃあな!」
そう言うと、炎の手と剣をジェットとして使い、空を飛んで逃げた。
「逃げられたか……まぁ、どうせあの場所で会うことになるだろう……」
近衛騎士はデューナに戻って行った。
*
一方デューナ病院。リラは状態が良くなり、体も自由に動くようになっていた。もうすぐ退院できるそうだ。大きく伸びをしたその時……
「リラ=デシャナーダ! 逮捕する!」
いきなり近衛騎士が入り込んできた。
「何がそうなってるかさっぱり分からないんだけど?」
怪我の状態も良くなり、これからまた冒険について考えようとしてたところを、いきなり逮捕すると言われたら……もう何が何だかさっぱりだ。
「説明は後だ。お前は死刑囚なのだからな」
今説明しろ。どこからどうなったら死刑になるんだ? 最近の近衛騎士はバカなのか?
「おい近衛騎士ども。その人から離れろ。命令だ」
同じ部屋の患者からの声だ。思いっきり命令口調だし。
「貴様、誰に向かってそんな口を……ってぉおお!? こっ……これは失礼しました!」
そう言うと近衛騎士たちは去っていった。最初から最後までよく分からなかった。
「えっと……ありがとうございます。お名前は……?」
「名乗る必要はないさ。知っても何の得もないよ」
ムスッとしながらリラはもう1回寝込んだ。
もうすぐ退院だ!
こうして、リラの状態は回復に向かっていった。
波乱になってきた世界。それもあと少しで終わりだ。
次話、これからの計画とリラと患者の人と……