8/21
序幕
はい、序幕です。
物語の枕部分です。
「君は長くない」
それがわたしに告げられた終わりの言葉。
そして、始まりの言葉になった。
まずはわたし――岬由良について語らないといけないと思う。そうしないと、わたしがどういう人物か、よく知る人はいないから。
その日は薄暗く、昼間だとは思えないほどに雲の厚い日。もしかしたら今日か明日あたりに雪が降るかもしれないと思う。そんな冬の寒い日、わたしはいつものように先生と話していた。
本当に、いつものように。
しかし、先生の言った言葉は終わりの宣告で……。
実は始まりの言葉だった。