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序幕
どうも人鳥です。
知っている人はお久しぶりです、初めての人ははじめまして。
恋愛小説は初の試みです。読んだことすらありませぬ。
拙い点は多いはずです。
優しくしてあげてください。
「わたし……もうすぐ、この町を出なくちゃいけないんだ」
それは見知らぬ女の子がぼくに言った最初の言葉だった。
そして、始まりの言葉になった。
まず、ぼくが彼女――岬由良と出会った時のことを話しておく必要があるだろう。そうでなければ、ぼくのような友達がいないと言っていいほどに交友関係の狭い人間が友達を、それも年下の女の子の友達ができたなどと誰が信じるだろうか。友達だと思ったのはしばらくしてからだけど、そんなことはこの場合関係ないだろう。
その日は雪が降っていて、どうして自分が外出をしたのか疑問に思うような寒さだった。雪が降ることが珍しいこの町には珍しく、その日は雪が降っていた。天気予報によると、今年は雪が降ることが多くなるようだった。
もしかしたら、ぼくが外出したのも、そこらへんが理由としてあるのかもしれない。雪なんて、本当はどうでもいいのだけど。