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Female Palace  作者: 甘語ゆうび
Chapter 3〜Take a leisurely break〜
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Last day of holiday

嘘で全てを欺き、秘密を隠し通す

これまでもこれからも、俺の人生は変わらない


目的の為なら、這ってでもしぶとく生きてやる


俺だって普通に生きられると、証明してやる

なんだ、これ。


「いやぁ、それほどでも〜。大したことないって〜」

「そんなことないよ!めっちゃめちゃに凄いことだと思う!」


あの後、応接室を出た俺は、ジレミを回収すべく、とりあえず誰かしら居るであろう食堂に立ち寄った。そこには、今も尚、ハロンがジレミの武勇伝をひたすらに、それはもうめっちゃめちゃに褒めまくっていた。そういえば、こいつ黙っていれば顔は良いし、強いし、コミュ強の陽キャチートだった。思わず言葉を失い、かける言葉も見失う。同じことを2回言うくらいには色々と信じられない。ピロナの形ばかりの敬語も完全に取れているし、この短時間でどれほどの距離を縮めたんだ。まさか俺がこんなことで負けた気になるなんて。もう色んなことに失望して死にたくなる気持ちを抑え、溜息にして吐き出す。


「ん?お、ライじゃん。そんなとこで何してんの?」

「……精神統一、っすかねぇ」

「へぇ。ミナヒさんから教わったの?」

「別にぃ?それより楽しそうっすねぇ。随分と仲良くなったみてぇで何よりっす」

「ふっふっふ。まぁね!ねぇ、ピロナちゃん!」

「あ、お鍋見てこないとー」


体を寄せてくるジレミを華麗にスルーし、そんな棒読みで厨房の方へとさっさと駆けていってしまった。名残惜しく手を伸ばすジレミに、先程の敗北感がすーっと消え、安心感が募っていく。


「ジレミィ、初対面の女の子にそんな一気に距離詰めちゃダメっすよ〜」

「えー、いけると思ったのに……」

「いって何をするんすか」

「そりゃ、その、あんなことやそんなこと、あれこれそれあれを色々……へへ、うへへ……」


前々からうっすらと思ってはいたが、こいつはやっぱり並の高校生くらいには気持ち悪い。まぁ、以前16と言っていたから、今は17か18くらいだろう。妥当といえば妥当で俺としてはとても落ち着くが、この世界では赤信号を渡るに等しい行為だ。だが、こいつの歩く車道には、車は通らないのだろう。


「はぁ。俺はもう帰るっすけど、ジレミはどうしやすか?」

「え!?帰るの?」

「ミナヒからの言いつけっすよ」

「え、羨ま……」

「ピロナにメロメロしてたんじゃないんすか?」

「ピロナちゃんは一緒に遊ぶ女友達。ミナヒお姉様は俺のお姉様。そして2人とも俺の本命」

「ちげぇっすよ」


義理だけどミナヒは俺の姉だ。それに2人も本命とは浮気じゃないか。俺が言えたことでは無いが、イラッときて思わず脛を軽く蹴ってしまった。


「あたっ。何すんだよ」

「いや、ちょっとお前最低過ぎるなって」

「ガチトーンで言わないでよ傷つくよ!!てか、ミナヒさんからの言いつけって言ってたけど、まだ明るいし、流石に過保護過ぎない?」


もう帰るということについてだろう。確かに俺もそう思うが、夜に変な寒気を感じるのもまた事実だ。何かあってからは遅いと、夜の外出は控えている。


「まぁ?やっぱ俺を欲しいと思うレディって沢山いるんすよね。ミナヒは俺が誰かに連れていかれるのを案じているんすよ。は〜!モテるって辛いっすね〜!」

「はぁ?自慢ですかぁ?ウッザ!!」

「やっぱぁ、お子ちゃまと大人の俺じゃ違ぇってことっすよ」

「むかぁ!その高く伸びた鼻いつかへし折ってやる!」

「出来るといいっすねぇ。まぁ、この世界じゃきちぃと思うっすけど」

「はぁ?舐めんなよ!俺にはスーパーハイパークリティカルチートがあるんだからよ!!」


腹立たしくメラメラと闘志を燃やすジレミを見ていると、やっぱり、俺と感性が似すぎていると思う。テンションといいチートといい、とても転生者くさいとずっと思っている。だから、ジレミと話すのは嫌いでは無い。


「ネーミングだせぇっすねぇ」

「何だって!なら試す?」

「ぜってぇ嫌っす」

「ちぇー。本気の一騎打ちとか楽しそうだと思ったんだけどなー」

「辞めてくだせぇ……」


俺じゃないけど今度やるんだから。


「ジレミー。ご飯食べていくー?」


厨房の方から顔を覗かせ、ピロナがそう声をかけてくる。その声に、ジレミはぱぁと顔を輝かせ、ピロナの方に寄っていく。


「ピロナちゃん!何処行ってたの?凄く寂しくて今にも泣き出しそうで堪らなかったんだよー!」

「そうなんだー」


と言いながら、触られる前に何か薬瓶をジレミに投げつけた。それはジレミの体に接触すると、破裂し中身が飛び出した。だが、ガラス片になることは無く、割れた瞬間に消えていった。魔法具とは便利なものだ。当てられたジレミは綺麗に顔面から突撃し、地面に倒れてしまった。


「え?何ぶちまけたんすか?」

「馬鹿を治す薬」


えぇ?


「私が調合したものなんですよ。天才って崇めていいですよ!」

「え、どうしたんすか。ジレミに当てられたんすか?」

「え、なんか今日ライ様冷たーい!ってそうじゃなくて!ご飯ご一緒に如何ですか?」

「あー、悪ぃんすけど、俺はもう帰るっす。この馬鹿だけ面倒見てくれやすか」


そう言って地面とキスしているジレミの方を指さす。


「そうですか。残念ですが、仕方がありませんね。この馬鹿だけ預かっておきます」

「そうっすね。この馬鹿だけお願いしやす」

「ちょ、バカバカうるさいよ!!」


ぴょんと跳ね上がり、起き上がったかと思えば、そう大声を上げてくる。


「おはようごぜぇやす。あとジレミ。俺はもう帰るっすから、ローブと通行認定証だけ渡しとくんで、これ使って貧民街に帰ってきてくだせぇ。門通る時、門番には認定証だけ見せりゃ良いっすから。下手に喋らねぇでくだせぇよ」

「あぁ、うん。え、本当に帰んの?一緒に食べてきゃいいのに」

「また近いうちに富裕層に行きやすから、その準備もしないとなんすよ」

「え、マジ?んじゃまた俺も連れて」

「ぜってぇ嫌っす」


抱きつかれる前にそう拒絶する。


「そいじゃ、そゆことなんで、後はよろしくお願いしやすね〜」


そう言ってさっさとミネビアの館をあとにした。



今日は女装していないからローブを纏い、体を覆い隠す。ローブ越しで見る貴族通りは、随分と眩しかった。



「ただいま〜」


帰属通りを抜け、富裕層を抜け、貧民街の自分の家へと帰ってきた。ローブとコートを片付け、リビングのソファに座り、招待状の中身を確認する。封筒を開けると、そこには2枚の紙が入っていた。1枚は招待状、もう1枚は通知設定と書かれた手紙だった。通知設定というのは、今後公式戦の招待を受けるかどうかのものであった。どうやら、公式戦は強制参加では無いらしい。だが、当然パーティーは強制参加だ。招待状も毎回ミネビアの館に届く。そしてもう1枚は公式戦への招待状だ。つらつらと今回の招待状についての詳細と、日時が書かれている。だが、そこに問題があった。


「これ、明日じゃねぇっすか」


近いうちどころでは無かった。さっさと準備して早く寝ないといけないではないか。


「はぁ。淑女も大変っすねぇ……」

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