Intuition shoots through guns
嘘で全てを欺き、秘密を隠し通す
それが俺のこれまでもこれからもかわることのない不変の生き様だ
目的の為なら、俺はなんだって手に入れ、なんだって切り捨ててやる
刺されても毒を盛られても死んでも死んでやらないからな
──沈黙
長い長い静の廊下。何人たりとも通れない。細い糸が頬を掠め、血を滲ませる程の緊迫感。
興奮、高揚、緊張、恐怖。
何を取っても当てはまりそうで型外れだ。
「…言わなくていいんですかい?黙りこくってたら、本当に殺しちゃいやすよ」
「それは、嘘を言ったらじゃないのか」
「黙ってたら分からんでしょー?」
「なら撃ってみたらいい。僕は答える気なんて無いし、それに玉は入っていない」
余裕そうな顔には微かに汗が滲んでいる。もしかしたら玉が入ってるかもしれない。入っていたらどうしよう、自分は死んでしまう。そんな楽しそうな顔をしている。でなければ、口角が上がるはずない。そういう顔は笑っているというのだ。笑うのは楽しい時だ。
今、あんたは最高に楽しいんだろう?片目が帯びた熱の感情を俺は知っている。
空いている右手で、俺より少し高い位置にある肩に手を置いて彼を軽く拘束する。そして。
そして、その感情を知っているから、だから。
───だから、引き金を引いた。
カチッ
結果は空砲だ。弾丸は発射されなかった。
「ほら、僕の言った通りだろう」
やり切ったと言いたげに瞳孔を開き、冷や汗を垂らしている。だが、彼の勘当てゲームはまだ続いている。
「ふふ。甘い、甘々っすねぇ、ファルター。クリーム山盛りのパフェより甘いことで」
リボルバーをより強く彼の背中に押し付ければ、彼から疑問と怒りを含んだ不満が聞こえてくる。
「そんなかっかしなさんな。ところでファルくんは、リボルバーは6発撃てるって、知ってやすか?」
「…いいだろう。後5発、試してやる」
「そうこなくっちゃ。因みに次は?」
「空砲」
彼の言葉を聞き、迷うことなく引き金を引く。結果は彼の言った通り、玉は発射されずに終わった。
「へぇ。どうやって当ててるんすか?」
「企業秘密だ。次も空砲」
「ガード硬いこって。そんな距離作られちゃ悲しいっすねー」
なんて茶化しながらも引き金を引く。結果はまた空砲。
「へぇ。これで折り返しですねい。残り3分の1、自信のほどは?」
「当たるさ。最初から無いんだからな。次も空砲だ」
引き金を引く。未だにファルターの体に風穴が空くことはない。
「残り2発。2分の1で死にやすけど、どうしやす?辞めたいなら止めやせんけど」
「ここで辞めるなど戯言を。そんなつまらんこと、するはずないだろう。次も空包だ」
彼の言葉を皮切りに、引き金を引く。
結果は空砲だ。つまり、あと1発、これを引けば彼の背中に穴が開き、そのまま生を終えていくだろう。それが分かっているのかいないのか彼は暑そうに汗を垂らしながら笑っていた。
「余裕っすね。なんか遺言あるなら聞きやすよ」
「ゲームで遺言なんて、そんなつまらないこと僕はしない。それに、次の玉は──」
「何やってるんですか!?!?」
張り詰めた空気の中に、場違いな声が響いてくる。ミネビアだ。俺は慌ててリボルバーを隠し、懐へとしまった。見られていないことを祈りたいが、ばっちり視界に捉えているだろう。ファルターの顔に、焦燥の意思が描いている。先程とは違う意味の汗を垂らしているだろう。
「迎えが遅いと思って来てみたら、ライ様もファルも何やってるんですか!!」
「も、申し訳ありません、ミネビア様。ですが、拳銃を突き付けてきたのはこいつの方で…」
「はぁ?俺のせいだけにすんですか?ファルくんも楽しんでたくせに〜」
ぐっと、足を思いっきり踏まれる。
「いった!」
防具という防具なんて、今はつけていないのだから当然痛い。
「酷いっすね。ファルくん」
「どうせ痛くないんだろ」
なんて面倒くさそうに言ってくる。人の心が無いのか、この執事は。
やいのやいのと言い合いをしていたら、不思議そうな視線がこちらに向けられていた。
「…なんかお二人、仲良くなりました?」
ミネビアが首を傾げて、そう訊いてきた。そこですかさず、ファルターの肩を無理矢理組む。
「そう!俺達、すーっごく仲良しなんすよ〜。ね〜、ファルくーん?」
「誰がお前みたいな奴と仲良しだ!離せ!」
そう言うが、ミネビアの御前だからか抵抗しようとはしない。なんだか、ファルターに対して良い武器を見つけたような気がしないでもない。良い収穫を得られたお礼に、ファルターを解放する。
「まぁ、ファルが再び襲う気が無いようでしたら、それでいいのですが…。って、あ、ら、ライ様!玄関の件は申し訳ありませんでした!」
深々と頭を下げられた。玄関の件といえば、ファルターが俺に襲いかかろうとしたのを、ミネビアが止めたものだろう。自身の使用人の尻拭いの精神は、上に立つ者としては立派だが、ミネビアがここまで謝罪をする理由がない。なんせ、あれは俺がファルターを焚き付けたと言っても仕方がないことだったのだから。
「頭を上げてくださいな、ミネビア穣。貴女がそこまで謝る理由なんてねぇですよ。元はといえば、俺が悪いんですから」
「そう言って頂ければ少しは救われます。それより、全員揃っていることですし、中に入って話しましょうか」
ミネビアは扉を開け、応接室へと入っていく。ファルターも俺に入るよう促し、俺の入室を確認した後に、自分も入っていく。全員入室しているのを確認し、ファルターは扉を閉めた。
ミネビアはふかふかそうな1人用のソファに座り、ファルターはその少し後ろに立った。ミネビアが向かいのソファに座るよう促してくれたのを確認して、俺も2人用くらいのソファに座った。
「さて、FemalePalaceについてでしたね。まず、ライさんはあそこについてどれくらい理解していますか?」
「資料で見ただけなんですけど、知ってることとしては、宝石鑑定所、ストーンエブリシェの地下で人間オークションを開催していること。参加者は基本的に、漢字2文字のコードネームみたいなものを使用していること。だけど、4人だけ本名ぽいもので活動してること。貧民街から男を攫っていること。そして攫われたのは顔が整った人物ばかりだということ。FemalePalaceへは、招待無いと会員になれないこと。こんくらいですかねい」
「なるほど。かなりご存知でいらっしゃいますね」
話しすぎただろうか。このお嬢さん相手なら、嘘を隠さず真実を話すくらいが丁度いいと思ったが。
「ところで1つ、お聞きしときたいことがあるんすけど、いいですかい?」
「えぇ、どうぞ」
「ミネビア嬢の目的としては、神であるトレディ・シャトレーノの悪事を全部世に開示する、ってことで合ってやすか?」
「…そうです。あの人のやっていることは、あまりにも残酷です。あんなこと、認められるべきではないんです」
その手段としての、世間への暴露なのだろう。だが、それはあまりにも自分勝手だ。俺は前世で排除される側の人間だったから分かる。人間オークションを肯定するわけではないが、こういうのは善人が善意で踏み入っていいものじゃない。囚われた哀れな人達を救いたい。悪い事をする悪に鉄槌を下したい。その気持ちは分かる。だが、その感情で動く彼女の心はあまりにも綺麗すぎる。
「ライ様の目的はなんですか?」
「ある人から頼まれたんすよ。これ以上被害者増やしたくねぇから、人間オークション破壊してーって」
「それを引き受けたんですか?」
「えぇ。うちはそういうとこですんで」
にっこりと笑って言えば、ミネビアからの明らかな疑惑が向けられる。せめてもう少し隠せないものか。
「ところで、FemalePalaceについていくつか聞きたいことがあるんすけど、よろしいですか?」
「どうぞ。私に答えられることなら何でも」
「それじゃまず、このやけに詳しいことが載っている4人は何です?」
そう言って資料をテーブルに広げた。ミネビアはそれを手に取り、説明してくれる。
「この方々はTOP4と呼ばれている存在です。男を買った額が1番多い順の4人が基本的に選ばれます。ですが、品位や強さ、カリスマ性も兼ね備えてなければ、TOP4を落とされるとの話です。まぁ、私がFemalePalaceに初めて来た時から、今のTOP4は変わっていませんが…」
「なるほど、んじゃ次の質問です。この人間オークションって、どれくらいの頻度で開かれるんです?」
「そうですね…。頻度はバラバラなので、正確なものはお伝え出来ません。確か、3日に1回行われてた時期もありますし、1ヶ月に1回しか行われていなかった時もあります。本当にバラバラです」
「へぇ。その口ぶりからして、ミネビア嬢はかなり長いこと、FemalePalaceに足を運んでるんですかい?」
「1年くらいです」
「1年…。会員を辞めようとは思わなかったんです?」
俺の質問に、ミネビアは膝にある自分の手をぎゅっと握りしめた。
「…辞めように辞められないんです。会員を辞めることを口にした、またはFemalePalaceのことを口外したことがバレたら、その時は…ロゼッサのように…」
彼女はそのまま下を向いてしまった。ファルターが心配そうに彼女に駆け寄り、手を柔らかく握って、背中を軽くさする。
「大丈夫?無理しないでいいんだよ」
「ありがとう、ファル。でも大丈夫だよ」
どうやら彼女は、俺が思っていたよりも強い女性のようだ。涙の痕跡は1滴どころか、浮かんだ雫すら見えなかった。
「…話の続きを致しましょう。先程述べた事態が起これば、処刑会が開かれ、会員達に野次を飛ばされながら死にます」
「処刑会…」
マリーアントワネットのギロチン処刑みたいなものだろうか。そう口にしようとしたが、マリーアントワネットなんてこの世界には居ないのだから、言ったところで話を混乱に持っていくだけだ。考えを結論付け、言葉を飲み込んだ。
だが、ここで俺はあることが頭を過ぎった。
「ちょっと待ってくだせぇな。もし、それが本当なら、今ミネビア嬢は危険な状態なんすよ?分かってやすか?」
「…覚悟の上です」
何が覚悟の上だ。貴女みたいな心根が清い善良な人間が、こんなことで死んでいい筈がない。
「ファルターは止めなかったんですかい?」
「止めたさ。だが…」
止められなかった、ということだろう。
「…なるほど。…それじゃ、最後の質問です。ミネビア嬢、貴女は誰から俺のことを聞きやしたか?」
「…ビーテア・ラチェアナヴィという女性で、私の友人です。彼女も、FemalePalaceの会員ではあります。一応」
ビーテア。それが依頼人の名前なのだろうか。だがミネビアは女性と言った。けれど、ボスは依頼人のことを「彼」と言っていた。ならば、ビーテアは依頼人の協力者と考えるのが自然だろう。だが、俺はそんな名前は知らない。一方的に知られているということだろうか。全く気持ち悪い。
「…ビーテアという女性ですかい。成程、ありがとうございやした。有意義な情報がわんさか得られやした」
「それは何よりです。それから、望まれるのであれば、次に開かれるオークションからお招きしたいのですが、行かれるのは、どのような方なのでしょうか?」
「あぁ、俺が行きやす」
………
気まずい。誰か喋ってくれ。
「ええと、でもライ様は男性ですよね?FemalePalaceには、名の通り、女性しか入れないのですが…」
「知ってやすよ。だから、女装して、行くんです。俺が」
笑いながらそう言えば、ミネビアの驚きの叫び声が響き渡る。ファルターは引いているような困惑のような苦い顔をして、俺から距離を取っている。
「え、ちょファルくーん?何でそんな遠いんすか?」
「いや、お前の趣味は否定しない」
「違うっすから!」
そこからなんとか事情を説明し、一応はわかって貰えたはずだ。
「…と、いうわけなんで。俺の趣味ではないんす。分かりやした?」
「え、えぇ。分かりました。そういうことでしたら、お洋服選びもお手伝いします。ファルも、手伝ってあげてね」
「……仰せのままに」
めちゃくちゃ嫌そう。
だが、この2人が手伝ってくれるとあれば心強い。
コンコンコン
「ごめんくださーい」
その時、ノックと声が聞こえてきた。だが、玄関の方からではない。頭に響いてくるのだ。
「これは…」
「魔法具だ。ノックをしたり声をかけたら、中にいる人間に届く。こういった広い屋敷なんかでは大体取り付けられている」
理解していなさそうな俺にファルターが説明してくれた。便利な物を生み出すな、と思う。
「私が出てきますね」
「いや、僕が行きます」
「大丈夫。きっとFemalePalaceからの招待状ですから。2人はお話でもしててください。すぐに戻ります」
そう言ってミネビアは部屋をさっさと出ていった。話といえば丁度いい。聞きたいことがあったのだ。
「なぁファルくん。ここの使用人ってあんただけなんかい?」
「いや、あとメイドが2人。今は買い出しに行っている。多分そのうち戻ってくる」
「へぇ。2人きりでいちゃいちゃしてんのかと思ったっす」
俺が茶化すようにそう言えば、ファルターは焦ったように、すたすたとこちらに歩き出し、胸倉を掴もうとしてくる。しかし、その手は首を絞めようとする寸手で止まった。何かをもどかしそうにしながら、彼は渋々口を開いてきた。
「……そんな関係は持ってない」
「えー?ほんとにー?毎晩忍び込んであんなことやそんなことやっちゃってんじゃないのー?ファルくんのえっちー」
「なっ!やってない!」
顔を真っ赤にして否定してくる様は、まるで中学生男児だ。その反応から見るに、本当に手は出していないんだろう。…まぁ、多少なことは流石にしているだろうが。
「ほんとに?」
「…本当だ」
「ふーん。んじゃあともう1ついい?」
「今度はなんだ」
嫌そうにしながらも、ファルターは俺の隣へと座ってくる。なんだかんだ答える素振りを見せているのを見る限り、彼の性根が知れたみたいでなんだか楽しくなる。
「ファルくんって、素でミネビア嬢のことを呼び捨てで敬語も使ってないみたいだけど、敬意とか無いわけ?」
少し嫌な質問だったかもしれない。彼が苛立ってるのが分かるから。だが、彼は答えてくれた。
「…僕が言ったんだ。君ともっと近くなりたいって。その時の僕は、使用人と主の距離感なんて分からなかったから。今思えば命知らずだって思うけどな」
「ふーん。それじゃ、今は弁えてるんすね」
「まぁ、色々見てきたからな」
「なら、何で今もタメで話すんすか?敬意払ってるなら、ちゃんと使用人と主として接しやせんか?」
彼はふっと笑い、俺の正面へと態々立ってきて、まるで見下ろすかのような体制で答えてきた。
「だって、ミネビアが僕のものだっていう痕になるだろ?だからだよ」
「うわぁ…マーキングですかい」
性格わっる、と内心思うが、口には出さないでおく。
そのまま俺の方を見た状態で、彼は話し始める。
「そういえば、僕も聞きたいことがあった。最後のアレ、結局玉入ってたのか?」
「最後のアレ?…あぁ、ロシアンルーレットのやつですかい?」
そういえばそんなこともさっきしたなぁ、なんて思う。FemalePalaceの話で忘れてしまっていた。
「そう。結局入ってたのか?」
「んー、どうでやしょう。ファルくんは入ってたと思いやす?」
「いや、アレも空砲だ」
「へぇ」
本当は空砲か実包か。彼の答えを聞いてやろうではないか。
「まず、お前と僕は同族だ。お前も引き金を引くのを本気で楽しんでいた」
「なんのことやら」
とぼけた俺を放っておいてファルターは話し始めた。
「…あの銃はそもそも、脅しで構えられた物だ。そういうのは大抵、相手から情報を引き出す為のはったりだ。しかも今回は、初対面相手にプラスして、交渉相手の執事だ。そう簡単に玉は入れられない。だからお前は、僕から情報を引き出す為に銃をかまえて脅したんだ。よって、アレは最初から全部空砲だった、だろ?」
彼はそう推理してくる。まぁ、その通りかもしれないし、そうでないかもしれない。だが、彼は1つ勘違いをしている。俺と彼は、決して同族なんかではない。そんなことを言っても、何か得が生まれるわけではない。損得の問題なんて、生ぬるいものでは無いだろう。なら、今はまだ氷点下で踊ろうではないか。
「…せーかい。あのリボルバーは最初からはったりもんのおもちゃっすよ。それに、あのロシアンルーレットは、俺に有利すぎやすからね。次はフェアな状態でやりやしょうや」
「そうだな。楽しみにしてる」
「死ぬことを楽しみになんてしてほしくないっすねぇ。そういえば、結局最初の質問には答えてはくれないんすかー?」
最初の質問、『何故、貧民街の匂いを知っているか』それに彼が答えなかったから、あんなロシアンルーレットもどきが始まったんだ。
「…今なら答えてやってもいいが、そのうち話す機会がどうせ来る。それよりお前こそ、なんで僕が富裕層で育ったって当てられたんだ」
「え?あれなんとなくの当てずっぽうだっんすけど。マジだったんすか?」
俺の言葉に、彼は心底驚いたかのような顔を見せた。これは1本取ったり、と言ってもいいだろう。ファルターの余裕そうな顔を崩せただけでいい事が起こりそうな気分になる。
だが、そこまで談笑して、彼がある異変に気づいた。
ミネビアがあまりにも遅すぎる、と。
俺とファルターは、急いで玄関の方へと向かった。走って走って、やがて見えた。
片腕を亡くし、血まみれになって倒れてる、少女の姿を。
「ミネビア?ミネビア!ミネビア!!僕だ!起きてミネビア!!」
ファルターがその姿を手に抱え、必死に呼びかけている。だが、目を覚ます事はない。
「どけ、ファルター!!」
彼を強制的に彼女から引き剥がし、脈を確認する。ゆっくりだが、確かに揺れている。
まだ、彼女は生きている。
俺も人命救助に詳しいわけでは無い。過去にテレビで見たくらいの知識で彼女の手当をしていく。プロでも呼べたら良かったのだが、生憎、そんな時間は無い。
まずは止血をしなければ。
「ファル、近くに救急箱はある?この際布でもなんでもいい」
「悪いがそんなものは無い。救急箱もここからは遠い」
「ならいい。ファル、ミネビア嬢、悪いが緊急事態だ。許してくれ」
ミネビアのドレスの丈を1部裂き、彼女の傷口に押し当てる。これでどうにかなるのか分からない。だから、急いで移動しなければ。
「ファル、ミネビアを傷つけないように抱えていろ。魔法具の宝玉で貧民街の俺の事務所まで移動する」
「…分かった」
ファルターは戸惑いながらも、俺の指示通りにミネビアを優しく抱きかかえた。それを確認して、俺は彼らに密着し、移動の宝玉を地面に叩きつけた。
パリンと音を立て割れた宝玉は、光で俺達を包み込み、行くべき場所へと連れてってくれた。
その場には、割れた硝子玉以外、何も残ってはいなかった。