Reconciliation of information
嘘で全てを欺き、秘密を隠し通す
これまでもこれからも、俺の人生は変わらない
目的の為なら、這ってでもしぶとく生きてやる
俺だって普通に生きられると、証明してやる
事務所に戻ったあと、2階の応接室にて、5人で話し合うこととなった。ソファに1人座れないため、協議という名の自分が自分が勝負をミナヒとジレミがした結果、ミナヒが折れ、ジレミが立つことになった。
「はぁ、今日はよく吹っ飛ばされるな、お前。なにを言ったんだ」
「諸事情であんたには話せない。何をどのくらい知っているか分からない」
「ほぉ?そんなことなら心配するな。ライが知っていることは大抵知っていると思ってくれていい」
俺が知ってること?帰ってきてからミナヒに話したのはヴィアのことだけで、実験やオークションの事情等、FemalePalaceについての詳細を話したことは無い。だが、ミナヒは騙すのには向いていない。咄嗟に出た詐欺なら大したものだ。
「……なるほど。コイツ、シュシュは、FemalePalaceの元No.2」
「それ、さっきも言ってたけどほんとっすか?だとしたら何で生きてるんすか?シュシュって、貧民街に逃げてきてからもう3年くらいは経ってやすよね?FemalePalaceがそんなに放置するとは思えねぇんすけど。死亡扱いなんてものが、そんな通用するとは思えやせんね」
「らいぴめっちゃ喋んじゃん。ウケる」
「というか、ヒガンは死亡扱いに反応していやしたよね?あれはなんだったんすか?」
「実は、シュシュが死んだ後に、ある噂が流れた」
「噂?どんなっすか?」
「幽霊の話。ある貴族が、実験期間の時に夜出歩いてて、その時に女の声が聞こえたんだって」
まさかの怪談か。周りの反応を見れば、ミナヒは幽霊という言葉が出た瞬間に真剣な表情になり、そのミナヒにしがみついていたジレミはひどく怯えている様子だった。シュシュは大して興味も無さそうに欠伸をかましていた。
「その幽霊が気になって追ってみたら、シュシュそっくりの女に襲われたって話。その襲われた貴族は、廊下で倒れてたの発見された」
「えぇぇ……。怖……」
「変身系の能力持った子が、いたずらに騙しただけなんじゃね?とりま、シュシュはその幽霊騒ぎには関わってないよ。てか、幽霊なんているわけないし」
「それはそう。でも、FemalePalace内には暫くその噂が広がってた」
「えー、いがーい。すぐにそーゆーの消えそうもんなのに」
「あ、あの、2人は幽霊とか、そういうの、信じてないの?」
ミナヒの腕にしがみついていたジレミが、恐る恐る2人に聞いた。ヒガンとシュシュは、顔を見合わせ、首を傾げた。
「幽霊なんて、誰も見たことなくね?」
「空想上の生き物」
「へ、へぇ……。強い……」
「いや、幽霊はいるぞ」
ミナヒの言葉に、一同がはぁ?と驚きの声を上げる。そういえば、ミナヒは偶にこういった電波的なことを言う。本当に見えてるのか見えていないのかは、霊感が無い俺には分からない。
「例えば、あんたらの後ろ、何かいる」
ミナヒの言葉にシュシュだけが振り返った瞬間、ミナヒがそこに居るらしい場所にナイフを投げ飛ばした。
「いった。いきなりナイフ投げ飛ばしてくるなんて、どんだけ野蛮な方たちなんですの、ここの人々は!」
声がした瞬間、そこには人間が現れた。身なり的に、富裕層の立場の人間だろう。なんでこんなとこにこんなに貴族いるんだ。
「幽霊じゃなくて人間だったな」
「誰っすか?」
「え、えっと、わたくしはチェミン・メリマニス。そして、FemalePalaceのコードネーム変華というものですわ!」
意気揚々に自己紹介されるが、場はしんと静まり返る。可哀想なことに、誰も知り合いが居ないらしい。まぁ、ここには現No.持ちと、元No.持ちしか居ないから仕方ないっちゃあ仕方ない。
「変華……。あぁ、もしかして鏡変の子?」
「あ、そうですそうです!流石ヒガン様!わたくしのことも覚えていらっしゃっていたのですね!?流石わたくしのライバル!」
「いや、なんとなく出てきただけ。ライバルじゃないし、あと近い」
ヒガンにドアップで迫るチェミン。そんなチェミンをヒガンは力技で引きはがす。
「てか、あんたはあんたでなんでいるわけ?」
「え、そんな!言わせないでくださいまし!恥ずかしい!」
「え、自分ただ、何でここにいるか聞いただけなんだけど」
「……あの〜、絶対今聞くべきじゃないけど、FemalePalaceとか、コードネームとか、No.とか、何?」
ジレミがそろりと手を上げそんなことを聞いてくる。そういえば、最低限のことしか話していないし、富裕層の人間オークションに巻き込まれたと言っただけで、FemalePalaceの名前すら出していなかった。
「えー?れみみ今更?らいぴから聞いてないわけ?」
「最低限のことしか聞いてないよ」
ジレミの言葉に、ミナヒから睨まれる。思わずふい、と顔を逸らしてしまった。
「い、いや。別に関わることも無いだろうし、いいかなぁって思いやして」
「がっつり関わってるじゃないか」
「いやいやいや。No.持ちが貧民街に居たなんて誰が想像出来やすか」
「元だけどねー。てか、死神ちゃんこそ、結局何しに来たわけ?シュシュ捕まえにきたんじゃないんでしょ?」
「服買いに行っただけ。でもやっぱ帰る。この部外者は連れ帰らないとだし、長くいすぎたら怪しまれる」
「部外者じゃありませんわ!わたくしは、ライ様といずれ結ばれる運命にあるのですから!」
「あ?」
ヒガンから出ているとは信じられないほど低くドスの効いた声だ。それと同時に、何かが裂ける音が聞こえた。床を見れば、さっきまでは無かった引っ掻き傷が出来ている。
「それ以上余計なことを言えば、FemalePalaceの外とはいえ、処分されても文句は言わせないぞ。今度はあんたの心臓を貫く」
「ひいぃ……。なんかぶるってした……。俺あんなヤバい子に喧嘩売ったの?」
「なんでお前が怯えるんだ、離れろ」
ヒガンの脅しに、何故かジレミの方が怯えている。お前の方がヤバいチートを持っているだろう。
「まぁ、そういうわけだから自分達は帰る。ライ、また公式戦で」
「そうっすね。楽しみにしてるって、ミユちゃんに伝えといてくだせぇ」
「はいはい。んじゃ変華、さっさと行くよ」
「嫌ですわよ!離しなさいなこの泥棒猫!ライ様はわたくしのものよー!」
がやがやと喧しくずるずると引き摺られ事務所をあとにしていった。あの調子なら、もう貧民街を出ていくだろう。
「お前、めんどくさいの引っ付けてくんの上手だな」
「あんなん引っ掛けた覚えもありやせんよ。それよりシュシュ、知ってることを話してくれやせんか?」
「別にいーけど、らいぴ、FemalePalaceに行ってんの?さっきも公式戦とか言ってたけどさ」
「あー、それは……」
「ぎゃははは!!はは、へへ、あーはっはっはっ!!」
「笑いすぎっすよ……」
女装して潜入している旨をざっくりと伝えれば、ひどく大笑いされてしまった。無理も無いだろうが、不服にも程がある。思わず頭を抱えてしまった。
「ごめんごめん。そんで?何が知りたいの?」
「そうっすね。色々聞きたいんすけど、1番はトレディっすね。神だのなんだの言われてやすけど、俺は正直よく分かんないんすよね〜」
「えぇ、トレディ?うーん、シュシュもよく一緒にいた方ではあるけど、ネジはずれたKYのキチガイってことしか分かんなかったわ」
「へぇ。命狙われたりしねぇんすか?」
「ゴリゴリ狙われてたよー。実は、FemalePalace内には、TOP4のことは好き好きしてるけど、トレディはマジ無理、ってのはけっこー多いんよね。だから、そーいったのに命狙われヤバたんみたいなことにめっちゃなんの。そんで死ぬ。でも、最短3日、最長1ヶ月くらいで、死んだ時そのままの姿で蘇んの」
「はぁ?」
蘇る?神と崇められているとはいえ、いくらなんでも彼女も人間だろう。そんなことが可能なはずがない。いや、でも、ヴィアに王族について教えてもらった時、日記にはトレディのことが書かれていたとか言っていなかったか?
「それ、原因は分かってるんすか?No.持ちだったんすよね」
「あのねー、らいぴ。No.持ちも会員なだけなんだよ?ちょーっと待遇が良くて、ちょーっと信仰得られるだけで」
十分とんでもないじゃないか。
「それに、シュシュにはあんま教えてくれなかったんだよね、色々と」
「へぇ。それじゃ、ビーテアって名前知ってやすか?」
「ビーテア?あぁ、女神接待役?」
「なんすかそれ」
「その名の通り、トレディのオキニ。No.持ちでは無かったけど、なんかある度優遇されててちょーウザかったんよね」
「へぇ……」
まぁまぁ凄い人だったのだろうか。今は行方不明だけど。
「あ、そういやさ、前にビーテアがトップシークレットっつって教えてくれたもんあんだけどね、聞きたい?」
「へぇ。聞きてぇっすね」
「マジ〜?しゃーないな。特別に教えたげる。……本名は東偽霞。本当かどうかは知らんけど」
東偽霞?
「ちょ、ちょっと、今、なんて……」
「え?東偽霞?」
「東偽、霞……」
聞き覚えがあるなんてものでは無い。ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、俺が、探していた人だ。
活動報告にライくんの100の質問を投稿しました。本編では知れない彼について色々と知れると思います。よければぜひ




