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Female Palace  作者: 甘語ゆうび
Chapter 3〜Take a leisurely break〜
37/58

Gals are the strongest and most invincible

嘘で全てを欺き、秘密を隠し通す

これまでもこれからも、俺の人生は変わらない


目的の為なら、這ってでもしぶとく生きてやる


俺だって普通に生きられると、証明してやる

「散歩って、どこか行きたいとこでもあったの?」

「服屋っすよ。流石にそのまま高そうなドレス歩くわけにはいかねぇじゃねぇですか」

「なら、わざわざ買わなくても、ライの服で良かったのに」

「ダメっすよ」

「何で?」

「なんでも!いいからさっさと行きやすよ」


サイズなんていう単純な問題ではなく、なんとなく自分の為にも辞めておいた方がいいような気がする。


「でも、ここって貧民街でしょ。女物の服なんて置いてあるの?」

「貧民街とはいっても、ここで暮らす変わり者だったり、わけありの女は結構いるんすよ。だからまぁ、富裕層から逃げてきた人も割と多いんすよ」

「ふーん。あのミナヒって人もそうなの?」

「え?ミナヒ?さぁ、どうなんすかね」


ミナヒは、俺が聞いても自分のことについては全く話さない。ボスなら多少事情を知っているだろうが、そういったことを人を使って聞くのは気が引ける。


「あいつは自分について全く話そうとしないんで、よく分かりやせんね」

「ふーん。そうなんだ」

「ヒガンは、そういった貴族とか知ってたりするんすか?」

「そういったって?」

「富裕層から逃げてった貴族っすよ」

「あー、捕まえたことはあるよ。……前は、そういったことする奴の理由がよく分かんなかったけど、今はなんとなく分かるな」


ヒガンが立ち止まったから振り向いたら、そんなことを言われた。風が俺とヒガンの髪を優しく撫でる。


「どんな罰が待ってても、会いたくなっちゃうし、一緒に居たくなる」

「……そんなこと、言わねぇでくだせぇよ。あそこなら、どれだけ苦しいことをするか分かったもんじゃない」

「知ってる。ねぇライ」

「……なんすか?」


彼女の顔を見れず、背中を向ける。そのまま歩きだそうとした途端に、その足はヒガンの声に掴まれた。


「もし、自分が死にそうになったら、助けに来てくれる?」


暫く、静寂がぴゅーと音を立てて吹かれていった。


「俺が来る前に、自分でなんとかしてくだせぇよ。ヒガンはそれが出来るっすよね?」

「そういう話じゃなかったでしょ」

「はぁ。ロマンチストっすねぇ。俺にロマンチック求めてもなんも出てきやせんよ」

「違うし!もう!さっさと行くよ」


といってすたすたと歩き出してしまうが、彼女が進んだ方向は、服屋とは反対方向だ。


「ヒガン、服屋こっちっす」


彼女の肩を掴み、近くにある派手な建物を指さす。ぷるぷると震えながら振り向いた彼女は、頬を膨らませ、顔を真っ赤にしていた。


「……ぷっ」

「ちょ、笑わないで」

「だって、面白い顔してるんすから」

「してない!いいから入るよ!」

「はいはい、わかりやしたから」


さっさと入店していくヒガンのあとを追って、俺も店へと入っていく。



カランカランとベルが音を立て開く。その音を聞いて店員がこっちの方にダルそうに歩み寄ってくる。


「いらっしゃーせー。ってらいぴじゃん!マジお久じゃね?いつぶり……って、え〜かわよ〜。カノジョ?え〜、やるじゃーん。流石モテ男〜。どこの子?え、てかめっちゃいい服着てんね。富裕層っぽー。ねね、写真撮ってもだいじょぶそ?」

「え、あの……」

ギャルに押されている。


そう、ここの服屋「TELLINN」のデザイナー兼店長は、生粋のギャルだ。それもオタク、というより身なりが整ってない人に厳しいタイプのギャルだ。


「あ、名前はシュシュね!シュシュ・ベリヘンムール。よろ!」

「え、あ、ヒガン・ミスパーヒラー。富裕層からきた」

「え〜!?やっぱそうよね!え、めっちゃそれっぽいって思ってた!シュシュとおそろだね」

「え、何が?」

「富裕層に決まってんじゃん!シュシュも富裕層から絶賛逃亡中ってやつなんだよ。ま、今は死亡済みって扱いなってるっぽいけど」

「死亡済み、シュシュ……」

「ん?どった?」


ぼーっと何かを考え込んだかと思ったら、ヒガンはすぐに口を開いた。


「FemalePalace元No.2シュシュ・ベリヘンムール」

「はぁ?」


なにを言ったのか理解出来ずに、そんな呆けた声が出てしまう。だが、驚くことはそこではなく、それと同時に何か大きな衝撃音が聞こえたのだ。隣を見れば、そこにはヒガンの姿はなく、店の外に吹き飛ばされていた。


「な、何が起こったんすか?」

「ねぇらいぴ、1つ聞いてもだいじょぶ?」

「え?いいっすけど、なんすか?」

「あの女、FemalePalaceからの追手ってことでだいじょぶそ?」

「はぁ?何言ってんすか。違ぇっすよ!ここにはただ、服を買いに来ただけっすよ」

「なら、なんでシュシュの事情を知ってるわけ?てか、知ってても普通口に出さなくない?」

「それは単純に、ヒガンが馬鹿なだけというか……」


派手に本日2度目の吹っ飛びをくらったヒガンの方を見てみれば、受け身を取っていたらしい。


「流石元No.持ち。FemalePalaceの残虐さは消えてないらしい」

「受け身取るとか手練系〜?だる〜」

「手練も手練。自分は現FemalePalaceNo.4の、ヒガン・ミスパーヒラーだから」

「ん〜?あぁ、もしかして死神ちゃん?さっき一瞬、闇のトレビアの力感じたんだけど」

「正解。久々にそれ聞いた」

「やっば、マジか。本当にNo.取ったんだ、ウケる〜。てか、No.4がこんなとこ居ていいわけ?あんたも死亡扱いなっちった感じ〜?」

「んなわけないだろ。自分はただ、好きな人に会いに来ただけ!」


そう言って、シュシュに飛びかかり、容赦なく能力を発動して切りかかる。だが、シュシュは軽い身のこなしでそれを避ける。


「え〜。ヤバめのロマンチスト系?」

「ライにだけだよ」

「死神ちゃん見る目無さすぎてウケる〜!らいぴに遊ばれてるだけだっつーの!!」

「あんたにそんなの決められたくないんだけど!」


そんな話をしながら互角の交戦を繰り広げている。まさか貧民街で貴族同士が戦うことになるとは。戦闘状況を見る限り、シュシュのトレビアは氷だろう。能力はよく見えないが。


「死神ちゃん強くなったね〜!リュサールと一騎打ちした時はあっさり負けてたのに〜」

「うるさい!!」


ヒガンはリュサールという名前に酷く激昂し、強い力でシュシュに殴り掛かる。それをシュシュが受止めたと思ったら、同時に2人とも吹き飛んだ。それと同時に土煙が強く舞う。


「うわっ、今度はなんすか!」

「あちゃー、派手に吹き飛ばしすぎた?」


聞き覚えのあるチート野郎の声が聞こえる。


「手加減しろって言っただろ」

「したよ!けど、案外大したことないね」


煙の中から2つの影が見えてくる。それは、先程別れたばかりの人だった。


「こんな道のど真ん中で争わないでくれないか?」

「まだやる気なら、俺がまとめて相手してあげるよ」


ミナヒとジレミだ。2人も外に出てたのか。


「あんたら……」

「なひてゃとれみみじゃん。なに?デート中?」

「だとしたら随分物騒なデートだな。おい、ライ。何があったらこんな大惨事が起きるんだ。3行で説明しろ」

「服買いに来た。ヒガンが挑発した。シュシュと交戦になった」

「けど、俺が収めた。ミナヒさん!俺天才?」

「はいはい天才天才」

「おっしゃー!」


喜び回るジレミを他所に、ミナヒが吹っ飛んだ2人を回収して地べたに座らせた。


「さてと、とりあえず事務所に行くか。立って歩け」

「……おけまる〜。シュシュも、死神ちゃんがなんで来たのか気になるし」

「死神?」

「こっちの話。別に自分は、あんたなんかどうでもいいんだけど」


ヒガンが話に突っかかるジレミを制し、さっさと歩き出す。


「どうでもいいとか言いながらもう行ってるじゃねぇっすか」

「はぁ〜、やばやばな目に遭ったんだけど。ほんっと最悪すぎ」

「お前、あんな強かったんだな」

「でしょ〜?これでもブランクありまくりな方なんだけどさ。てか、どっから見てたわけ?」

「音が聞こえてから、急いで駆けつけたんだよ。そしたら、ヒガンちゃんとシュシュちゃんが殴りあってるから、タイミング見て止めに入ったってわけ」


ジレミが話し終わったと同時に、先に歩いたヒガンがこちら側に戻ってきた。


「道わかんない。一緒に来て」

「先に歩くからっすよ。って、ちょ、手掴まねぇでくだせぇ。一緒に行きやすから」


ぐいぐいと手を捕まれ、引っ張られる。自分が引っ張る側では、道に迷うのではないだろうか?

シュシュはリアルめなGALを意識しています。全てを顔の良さでねじ伏せるオタクに優しくないギャルです

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