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Female Palace  作者: 甘語ゆうび
Chapter 2〜Castle investigation〜
28/58

Official matches to be held

嘘で全てを欺き、秘密を隠し通す

これまでもこれからも、俺の人生は変わらない


目的の為なら、這ってでもしぶとく生きてやる


俺だって普通に生きられると、証明してやる

「はぁ……」


あれから2日後。昨日はあれこれ考えまくって必要最低限部屋から出ていない。まさかこんな歳になって恋愛沙汰できゃっきゃっときめく時が来ようとは思わなかった。前世込みで丁度50、いや5歳から居るから45か、ってそんなことどうだっていい。ただでさえアラサー1歩手前なんだから勘弁してほしい。あまりにもイタ過ぎる。しかもよりによってあんな小娘……。何かの手違いだ。脳が処理をミスって受け入れてしまったんだ。


「はぁ……」

「ちょっと!呼ばれたからわざわざなっがい階段登って付いてきてやったのに、なにさっきから溜息吐いてるわけ?用事があって呼んだんじゃないの?」

「今絶賛恋のお悩み中なんです。放っておいてください」

「あぁ?きっしょ、んだそれ」


お付のガラミユに真っ向に否定される。ひどい。少しは親身になってくれたっていいのに。いや、なってもらわないと困る。気の置けない仲の者しか居ない場なら問題無いが、ここはFemalePalace1階にある共同スペースだ。だがバイキングも常備されているため、お上品な食堂といったところだ。そんな貴族の為の食堂には当然麗しい貴族の皆々様がお揃いでいらっしゃる。そんな場所で主に見えている俺に無礼な口を働けば、当然周りから嫌な方で注目の的となる。男は男というだけで、蔑まれる対象なんだから。


「ねぇご覧になって?あそこのテーブル。なんて下品なペットなのかしら」

「躾がなっていらっしゃらないのね。きっと主も無能な方なのだわ」

「下品なお方はFemalePalaceの敷地を跨がないで欲しいですわ」


ほら、言わんこっちゃない。


「……ガラミユ、調子に乗りすぎです。今は以前のように振る舞いなさい。ここでの貴方の地位は、私よりも遥かに低い」

「うっ……。申し訳ございません」

「えぇ、それで宜しいのです。顔は上げないで。貴方には地べたに這いつくばる方が余程お似合いです」

「……っ。はい、申し訳、ございません」


声が震え、嗚咽を堪えているのがよく分かる。そうだ、それでいい。奴隷には泣き喚くことなんて許されない。何故なら煩いから。その劈くような悲鳴は、主人に更なる怒りを与える。それだけじゃない。笑うことだって、怒ることだって、奴隷には許されない。ただひたすらに感情を殺し、欲を殺し、無であり続けなければならない。


「さて、お集まりの貴族の皆様。私のペットが失礼を働き、誠に申し訳ございません。この者には、私から制裁を与えさせて頂きます。重ねてのお詫びとなりますが、皆様のお時間を穢してしまい、誠に申し訳ございませんでした」


共同スペースに居る貴族達に向けて声を伝える。静寂の中でよく響くその声は、端にまで届いただろう。皆こちらから目を逸らし、各々の時間を過ごし始めた。これで少しは安心だろう。


「おい、そこのお前」


全然安心出来なかった。


「なんでしょうか」


顔を見れば、その人物はガラミユの現時点で本物の主人だ。つまり、ガラミユと初めて会ったあの日、カジノでガラミユを殴っていた張本人だ。面倒臭いのが居たものだ。


「お前、ソイツを飼い慣らして自分のものにしてるつもりか?ざけんな!それはあたしのもんだ!さっさと返しやがれ!」


手をこちら側に差し出し、さっさと返せの意思を全力で示される。だがそれを反対するかのようにガラミユの肩を抱き寄せた。


「お断りします。貴女のような野蛮な方に、ガラミユは預けられません」

「テメェ!!」


立たせられたかと思えば彼女に胸倉を掴まれていた。人のドレスに皺を付けるとははしたない。


「気に食わないのでしたら、何かで1戦交えます?そうしたら、貴女も納得いくのでは?」

「チッ、いいだろう。なら一騎打ちで決めようじゃないか」

「一騎打ち?」

「おいおい、まさか知らないのか?あぁ、来たばかりの世間知らずだったもんな」


一々話し方に棘を付けるのはどうにかならないものか。


「一騎打ちってのは、トレビアや能力を使ったここでの賭け事だ。勝てたら相手から自分の望むものを何でも得られる」

「いいでしょう。ルールは?」

「そっちが決めていいぜ。あたしは優しいからな。新参者へ、先輩なりの配慮だ」

「あらあらそれは馬鹿にして頂きありがとうございます〜。では、ルールはポーカーで如何でしょうか?」


真っ青な顔で声を上げそうになったガラミユの口を抑え、相手の顔色を窺う。


「チッ、気に食わねぇ、が、いいだろう。但し、相手をするのはガラミユ、お前だ」

「俺、ですか?」


ご指名されたガラミユは、初めて会ったあの日のように、全身を震わせ、怯えた眼で自分の主を見ていた。


「公式戦だ。いいよな?お前も望んでることなら」

「……そ、それは」


ガラミユは公式戦という言葉に酷く動揺を示している。公式戦ということは、誰かからの許可が必要だったりするのだろうか。だが、それが何故ガラミユが動揺する理由になるんだ。


「あぁ、そういや新人のお前は分からなかったな。公式戦ってのは、TOP4以上の奴に申請して行えるものだ。当然ギャラリーもいつもより増える。公式戦が行われる理由は大体報酬がでかい時だ。そしてその報酬の中には、奴隷脱却、なんてものも望める。まぁ、奴隷は申請することが出来ないから、主人が認めれば、だけどな」

「……なるほど。それで私ではなく、ガラミユに戦わせようとしているのですか」

「そうだ。なぁガラミユ、あたしはチャンスを与えてやってんだ。主人の誘いを断ることはしねぇよなぁ?あの時の結果が嘘だったって、証明してやるよ」


ガラミユは彼女の言葉に酷く怯えており、俺のドレスにしがみついた。


「ですが、問題のTOP4は何処にもいらっしゃっていないようですが」

「はぁ?居るじゃないか、あそこに」

「何言ってるんですか。居るわけ……」


居た。彼女の指さす柱の方を見れば、その影に隠れ、こちらをじっと見ているヒガンの姿があった。向こうもこちらにバレた事に気付いたようで、仕方がなく姿を現わし、問題の中心である俺達の方に歩いてきた。


「ヒガン様?何やっていらっしゃるんですか?」

「はぁ、ごたごたが終わったら、欺瞞に話しかけようと思ってただけ」

「ヒガン様、公式戦の契約書貰えませんか?そいつにチャンスをやろうと思いまして」


ガラミユをはしたなく指差し、気持ち悪いくらいにヒガンに媚びを売りながらも、公式戦の申請をする。だが、その裏には嫌々の感情が見えて透けている。どうしてよりによってこいつなんだ、そんなところだろう。

だが、ヒガンはそれを受け取ったのか、それともそれが常なのか、俺と話す時とは別人のように冷めた目付きをしていた。


「馬鹿馬鹿しい。チャンスなんて言いながら、自分の汚名を返上して、このペットを棄てたいだけ。要するに、あんたが望むものは、勝ってそのガラミユとかいう奴を処分すること」

「いやいやいや、何を仰るんですか。例え勝ったとしても、そんな事望みませんよ」

「そう。まぁ、あんたみたいな馬鹿が勝てるわけ無いか」


ヒガンのその言葉に、彼女は酷く激昂してしまい、ヒガンのドレスの襟元を掴んだ。


「下手に出ていれば調子に乗りやがって最下位風情が!!お前みたいな奴、TOP4には相応しく無いんだよ!何でお前みたいな奴がトレディ様や他のTOP4の方々の傍に居るんだ!気持ち悪い!」


貴族は言いたいことは言い終わったようで、ぜぇはぁと息を切らしている。襟元を掴まれたままのヒガンは黙りこくったまま俯いている。そのせいで、表情を見ることは叶わない。


「……言いたいこと、それだけ?」


ヒガンがそう言った瞬間、何かが切れる音がした。この音、俺は知っている。ついこの前体験したばかりだ。だが、あの時とは比べ物にならない。ヒガンのやつ、本気で切りやがった。

貴族の方を見れば、足から大量の血が吹き出し、両足は吹き飛んでいた。だが、血は物凄いスピードで止まっていく。


「……これは」

「自然のトレビア。自然のトレビアには治癒能力がある。それは自己治療も可能」

「なるほど……」


隣から淡々とヒガンが説明してくれる。だが、彼女の足は復元されることは無い。


「なんで、足が戻らない!普段なら戻るのにぃ!」

「それは自分の能力だから。自分の暗殺は、あんた程度のトレビアだったら余裕で遮断出来る。自分が望めば、自己治療だって止められる」

「……で、でも止めてないじゃねぇか!本当は止められないんだろ?」

「まだわかんないわけ?」


再び彼女の足から血が吹き出し始める。彼女はそれに悶え苦しみ、のたうち回っている。ヒガンはそんな彼女を動くなと言わんばかりにヒールで踏みつけた。


「あんた程度の奴なら、いつでも殺せるんだよ。2度とそんな口聞けないようにされないと分からない?」

「ひぃ……!」


怯えて動く気も喋る気もない彼女を確認し、ヒガンは足を退け、彼女を椅子に座らせる。


「分かったなら、さっさと自己治療して契約書にサインして」

「け、契約書って……」

「公式戦。やるんでしょ?自分が見届け人と審判になる」

「い、いや、それはもういいです。そいつは差し上げます。奴隷契約も解約します!だからもう!」

「許してください、って?舐めてんの?それでも誇りある貴族?FemalePalaceの会員?」


ただでさえ重症の怪我人の腕を掴み、無理矢理立たせようとする。


「ひ、ヒガン様!それ以上はいけません!」


本気でやめろの意思を込めてヒガンの顔をじっと見つめる。それを察してくれたようで、掴んでいた手を離す。そのせいで足を失った彼女を床に倒れ込んでしまう。


「……んで?やるの?やらないの?」

「や、やります!やりますからぁ、これ以上は……」

「んじゃサインして」


契約書を貴族に押し付け、無理矢理ペンを彼女に持たせる。持たされた側は仕方なく地べたに紙を開き、這いながら署名の欄に自身の名前を記載していく。


「これで、いいですか……」

「ん、確かに」


契約書を確認したヒガンは、目を閉じ、1つ深呼吸をして、目を開いた。そして、本人にしてはらしくない程の声を上げた。


「貴族達よ、よく聞け!ここにNo.4ヒガン・ミスパーヒラーの元に、公式戦の開幕を宣言する!!」


ヒガンの宣言で、ただでさえざわついていた共同スペースが更にざわつく。それは歓喜の声や驚嘆の声だ。


「よし、これで逃げられない。ガラミユも準備しといて。あんたも戦うんでしょ」

「え?はい」

「んじゃ日程諸々が決まったらまた招待状送るから。ルールはそっちで決めといてー。はぁ、公式戦なんてだっる」


やることやるだけやらかして、ヒガンは契約書片手に周りの目を紛れながら俺の方へと寄ってきて耳打ちしてくる。


「今夜自分の部屋に来て。絶対に」


デジャヴのある言葉を有無も言わさぬ圧で囁かれる。そして気まずい地獄を作っておきながらさっさと行ってしまった。


悪の根源が去った後。家出中のペットと、その主人と、ペットを匿ってる第三者。それを人間に置き換えたらどうなるか?答えは簡単。とんでもない修羅場になる。

ミユちゃんはどこで居眠りしてんだ問題についてなのですが、絶賛家出中反抗期で置いてもらえるとこが無いので、ヴィアの部屋のソファで寝ています(ヴェメに頼んで持ってきてもらいました)

なにかしたらヴェメにしばかれるので大人しくしています。でも意外と良い関係を築いています。

(主人に酷いことされすぎて本編では拗れ気味ですが)ミユちゃんは知らん人にも平気で話しかけられるし、ツッコミも出来るし、素直になれないだけで意外とコミュ強だと思ってます。あれです。一軍男子達の中に混ざってる普段イジられな子です、多分。学校とか行けてたら周りから男女関係なく好かれてそう。

ミユちゃんかわいいね

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