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72話 説明会(競技会について)

競技会の説明を受けると約束した日。

ユリス達5人はいつものアリーナへと集合していた。

ユリス、ルイス、エリーゼの3人は生徒として、シエラとレイラの2人を講師として説明会が開始される。


「それじゃあまずは競技会そのものの説明をしていくわね」

「競技会とは夏から秋にかけて王都で行なわれる祭りのことです。テーマとしては様々な競技を通して各領の人々と交流を図るというものですね」

「だから競技だけじゃなくて露店を含めた商売関係も結構活発になるのよ」

「へー、なら競技がない時には見て回るのもいいかもな」

「そうね、一度は見に行った方がいいと思うわよ。

 一般の部では半年かけて行われた予選を勝ち抜いた各領の騎士とかギルドや大手商会所属のプロ選手がメインだから学生は出番がないしね。その期間は学園も休暇だったはずだし」

「基本的には地力が違いますからね。

 ただ、学園でも戦闘課なのに戦闘メインである競技に参加しないのはいかがなものかという意見があり、参加していた時期もあるそうですよ。結果は残せなかったそうですが」


基本的にはという部分でユリスの方をチラッと見る。


「そういった経緯から王立学園は戦闘課の生徒のみで同じ競技をする事にしたのよ。わざわざ国に交渉して専用の施設まで設置してね。

 これが毎年行われていくうちに、いつからか卒園生を中心に観戦したいという人達が現れて今の学園の部として定着していったの。一般の部の前哨戦としてね」

「つまり外部からの観戦者も学園にくるのね?」

「ええ。そのおかげか、活躍した子がスカウトされて選手になったりギルドの専属になったりするパターンも少なくないわ。

 だから学園も公開をやめないし卒業後の進路にも影響するからって生徒の本気度もかなり高めよ」

「無差別に人を入れて学園の治安は大丈夫なの?

 全寮制で外部の人を入れないのもそれが理由でしょ?」


競技会の間だけ学園を開放するという内容に、ついこの間の事件を思い出しながら懸念を示すユリス。


「学園の部を観戦できるのは学園がチケットを渡した人だけなのです。国が調査をして認可を得た人だけが手に入れられるそうですよ」

「基本的に外部から来ている人は問題を起こした時点で国から処罰が下されるの。だから治安が悪くなるって事はほとんどないわね」

「逆に言えば国が出張るようなお偉いさんが多いってわけか…」

「生徒に非があった場合は遠慮なく罰せられるわよね。

 あんたは特に気をつけなさいよ?言葉遣いも態度も雑なんだから」

「へーへー、せいぜい気をつけますよっと」


身分の高い人に苦手意識でもあるのかエリーゼがルイスにガミガミと注意を促す。


「まあ自分から積極的に売りこみにいかなければ、スカウトは学園が間に入る決まりだから大丈夫よ」

「でも特待生は例年だと何人もスカウトを受けてますから、今のうちからどうするかだけは考えておいた方がいいですよ。特におふたりは後ろ盾もありませんし」

「「……考えとく(わ)」」


レイラの発言に2人は真剣な面持ちで答える。

その後も時折注意を挟みながらも説明は進んでいく。



「競技会の歴史や注意点なんかはこんなところね。

 次は大まかな流れとかルールについてかしら?」

「まず学園の部は3つのブロックに分かれます。1・2年、3・4年、5・6年の3つですね」

「さらに各ブロック内で個人戦、パーティー戦、団体戦の3部門行うの」

「表彰は各部門の3位までと総合優勝でされますから、最大で各ブロック12クラスまで表彰という形になりますね」

「1学年は45クラスあるから各ブロック90クラス分の試合が行われるわ。だから競技会は学園の部だけでも1ヶ月以上かかる長いイベントという事になるわね」

「本当、皆さんお祭り好きですよね。年の半分くらいはお祭りしてるのではないでしょうか?」

「楽しそうでいいんじゃない?

 ずっと出番って訳でもないだろうし疲れたら休めばいいしね」


どうやらレイラやシエラが苦笑してしまうほど祭りが多い国のようだ。国主催のものも多く貴族や騎士は忙しい側なのだろう。


「ちなみに、例年の扱いとして1組は総合で上位10位以内は当たり前。出来れば各部門のどれかで表彰をされるのが望ましいとされているわ。

 あまりにも酷いと2種から落とされる可能性も出てくるから頑張るのよ?」

「まじか…気合い入れねえと」

「そうね、落ちるわけにはいかないわ」


2年生とはいえ、上級生にも勝たなくてはならないとの言を受けた2種の2人がいっそう真剣な表情へと変わる。1種は落ちる事がないのでユリス達は真剣ではあるがどこか気楽そうでもあった。


「各部門において行われる競技は基本的に決まっているわ。学年によって種目は違うけどね」

「個人戦はエレメンタルシューティング、パーティー戦はモンスタースイーパー、団体戦がディメンジョンウォーですね」

「長いからそれぞれ花火、早狩り、大戦なんて通称で呼ばれる事も多いわね。

 由来については…気になるなら後で教えるわ。実際にやってみれば何となく分かるでしょうし」

「エントリーは花火が1人を2組、早狩りが1〜6人を2組、大戦は5〜18人を1組で必ず1人1回はどれかに出場する必要があります。それさえ満たしていれば複数種目エントリーする事もできますよ」

「1クラス30人だったはずだから、最大で2人は2種目にエントリー出来るようになっているんだね」

「うちは全然足りてねぇがな!」

「最低人数でなら足りてるわよ。まあ、そんな事提案する人はいないだろうけど」


各種目のエントリー人数が判明し、人の少ない1組の弱点が露呈する。この人数差で勝たなくてはいけないのだからアーリアも時間が足りないと言っていたのだろう。


「花火以外は全員出ることになるでしょうね。早狩りのパーティー分けはどうなるか不明ですが」

「それだとエレメンタルシューティングの出場者は全種目出場ってことになるのか…日程次第では結構きつそうだな」

「日程はその時々で変わるけど、おおよそ花火が1週間、早狩りが2週間、大戦が3週間で行なわれるわ。

 ただ、花火の5・6年種目で学園の部がスタートするという伝統は変わらないわね」

「なので試合までに競技会の雰囲気は体験できると思いますよ。

 それと各種目が入り混じるパターンはありましたが、基本的に予選で連日の出場になる事はないと思います。決勝リーグの場合は1日に数試合やる事はありますけれど」

「それで、エレメンタルシューティングってのはどんな競技なんだ?

 それの適性によって誰が全種目出るか決まるんだろ?だったらアリーナが使えるうちに一回はやってみたいんだが」


座学ばかりで流石に飽きてきたのだろう、ルイスがさっさと実践に移りたいとばかりに先を促す。


「それもそうね。

 花火と早狩りはアリーナの設備でもできるけど、早狩りは端的に言ってしまえば魔物を早く倒すってだけだしね。

 ちゃんとやろうとすると結構時間がかかるから今はやめておくとして…大戦は専用の設備がないと出来ないし、やっぱりここでは花火の説明をしちゃいましょうか」

「わかりました。

 では…まず一旦私が1・2年の種目である『フルブレイク』をお手本としてやってみますね。

 お姉様、設定の方はお願いしますね」

「おっけーよ。

 それじゃあみんなは一旦ステージの外に移動しましょうか」


シエラに促され、レイラ以外の3人はステージから降りて準備運動をしているレイラの方へ注目する。

シエラが何やら操作をすると、ステージ上に色とりどりの光を発する球体が出現する。その数は各色10個ずつ、計60個だ。

そして開始の合図を待つ前にそれらの球体は好き好きに動き出している。


「それじゃあ始めるよー!

 3、2、1…スタート!」

「『ファイアボール』!」


合図と共にレイラはファイアボールを黒い球体に向けて3発放つ。そして近くにやってきた白と青の球体をそれぞれナイフで切り壊す。

次に、黒い球が壊れたのを確認してから間髪入れずに上空を漂う赤と緑の球に大きな炎をぶつけて破壊しようとする。が、放たれた炎は10個以上の球を巻き込んだはずなのに破壊されていたのは3つだけだった。


「あん?球によって強度でも違うのか?」

「掠っただけでも壊れてるのばっかだし、なんかルールでもあるんでしょ」

「まあ、範囲攻撃の制限とかその辺りでしょ。

 そうでもないと競技として成立しづらいし」


その後も基本的には1つずつ、時折2、3個を巻き込んだ範囲魔術を繰り出しながら順調に球を破壊していき、全てを破壊し終えたのは開始からおよそ4分半が経ってからであった。


「それまで!

 レイラちゃんお疲れ様〜」

「ありがとうございます。

 一応説明に必要そうな動きはしたつもりでしたが、あれで大丈夫でしたか?」

「ええ、問題ないわよ。

 わざわざ説明しやすいように立ち回ってくれて助かるわ」


どうやらレイラは種目の説明をしやすいように普段とは違う立ち回りをしていたようだ。


「3人ともこんな感じの競技なんだけど、初めて見てどうだった?」

「競技ってなると普段の戦闘とはやっぱ違うよな。

 見た感じ俺には向いてなさそうだ」

「側から見てるとなんかこう…華があるわよね。

 競技会の最初の競技っていうのも頷けるわ」

「通称が花火っていう理由がよく分かったよ」


レイラの競技内容について三者三様の感想を述べていく。


「ん?ユリス、どういう意味だ?」

「え?いろんな光を放つ球体が上空で次々に弾けていく様子が花火みたいだからって事じゃないの?」

「ユーくん、花火の魔道具って実物を見たことがある人ってそこまで多くないんじゃないかな。

 王都では騎士団の訓練で使うからたまに見るけど、基本的には緊急時の合図に使うものだからね」


(ああ、花火ってこの世界では娯楽じゃないのか。まだまだ前世の感覚が抜けないな…)


「へー、そんなものがあるのね」

「まあ、それよりも説明の方を先にしていきましょうか。

 レイラちゃんの競技内容をしっかり覚えているうちにしちゃった方がいいでしょ?」


ユリスの迂闊な発言をフォローするかのようにシエラが競技の説明を再開していくのであった。


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