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2話 女神との出会い

「ここは…どこだ?

 なんでこんなところに居るんだ?」


目が覚めると周囲全てが真っ白な空間にいた。


「ここは天界です。

 そして水瀬悠久さん、あなたは死亡しました」


こぼした独り言に対する返答が聞こえ、振り向くと神々しい雰囲気を持つ1人の美しい女性がいた。


「あなたは…というか死んだ!?」

「私はあなた達が住む世界を管理する存在…まあいわゆる神ってやつよ」

「なんか急に軽くなったな。

 それで僕は何で死んだんだ?飛行機に乗ったところまでは覚えているんだが…もしかして?」

「想像通りでしょうね。あなたの乗っていた飛行機がエンジントラブルで墜落したのよ」


(ああ、やっぱりそうだったのか…

 まあ親族も含めて昔から皆いないし、未練も特には…って制作途中のゲームがあったな。まあそれは別にいいか)


「それでこの後はどうなるんだ?」

「やけに物分かりがいいわね?

 この後は転生してもらうことになるわ。現世でいうSF世界がいいとか希望が有るなら聞いてあげる。出来るだけ近い世界に転生させてあげるわ」


(なるほど…これはラノベでよくある異世界チート転生か?)


「ならゲームみたいなステータスがあるファンタジー世界で鑑定とか収納とかのチートスキルもつけてくれ。あと異世界を満喫するためには幸運になるようにしてもらうのも確定だろう。それから……」

「はあ?何言ってるの?希望を聞くのは世界の種類だけに決まってるでしょ?

 大体チートってなによ、あなたが転生できる世界の管理をしている神は沢山いるんだから、私の一存でそんな勝手なことできるわけないでしょ。大体今回だって転生させる人数が多いからって特別に駆り出されているだけで、本来なら私なんてまだ見習いだっていうのに……」


男の要望をバッサリと切り捨てた女神は捲し立てるようにして愚痴を言い始める。


「そんな馬鹿な…」


女神の言葉にショックのあまり放心してしまう男であったが、何かいい案が浮かんだのか気を持ち直して食い下がる。


「それならあなただけで管理している世界とかはないのか?それなら自由にできるんじゃないか?」

「私の管理する世界?そんなもの……」


ふと考え込むようにして女神が言葉をきる。

手応えを感じた男は女神の言葉を待つ。

少しして女神が顔を上げると、何かいいアイデアを思いついたのか笑顔でこう言った。


「ねえあなた……私の手伝いをしなさい」


管理する世界がないのかという質問に対し返ってきた手伝えという女神の答えに男の頭には何をどうしたらそんな返答になるのか疑問しか浮かんでこない。


「はあ?手伝い?

 貴女の手伝いをすればさっきの要望通りに転生させてくれるのか?」


男は予想外の展開に混乱しながらも女神に聞き返す。


「ええそうよ。どうかしら?」

「……ちなみに内容は?」


女神の肯定を受け、若干の落ち着きを取り戻した男は気になった点を問いかける。


「それは後で話すわ。それでどうするの?

 私としてはあなたを適当な世界に転生させるだけだし、断ってくれても構わないのだけど」


(説明は無しか…なんか嫌な予感はするが、人生をちゃんとやり直せるまたとない機会だ。他に案もないし仕方ないか?)


「…分かった、手伝うよ」


笑顔のまま選択を迫る女神の様子に男は不安を感じながらも了承する事にしたようだ。


「ほんと!?助かるわ!」

「それで手伝いの内容は何なんだ?」


やけに喜んでいる女神を見て、早まったか?と若干の後悔が生まれるもまずは詳細を把握してからだと1番気になっていたことを問いかける。


「それはね…―私を一人前の女神にすることよ!」


―――


よくよく話を聞いてみるとこの女神の名前はヴェルサロアと言い、天界ではまだ見習いで神とは呼べない存在らしい。

確かに悠久の言った通り、自分だけで管理する世界ならばチートを付与して転生させることも出来るそうだが、神として認められていないのでまだ世界を作る許可が下りていないのだそうだ。


(つまりは世界を作る許可を得るための手伝いをして欲しいということか?)


「どう?私は世界を作れるようになって見習いから脱却できるし、あなたは要望通りの転生ができる。ウィンウィンな提案でしょ?」


思い出せてよかったわとこぼしながらもフフンとドヤ顔でそう言ってくる女神に若干イラッとした悠久ではあるが、実際その通りの提案だったので納得して話を進める。


「それで許可を得るためには何をする必要があるんだ?」

「ああそれはね、あっちの扉の先に世界生成の練習用空間があるのよ。そこで指定された課題を達成して、最後に試験に合格すれば許可が下りるわ。あなたの居た世界で言うところのワールドシミュレータ?のようなものらしいわね。

 それじゃあ早速行きましょうか。足元に気をつけてついてきてちょうだい」


(神の世界創造ってライセンス制だったのか…)


真っ白な空間が続くだけで扉も何も見えない上に、足元にも気をつけなくてはいけないような何かがあるらしい。


「いや、何も見えないんだが」

「ここに慣れてきたらその内見えるようになるわよ」


苦情をあっさりとスルーされてしまった悠久は仕方ないとため息をつきつつも慎重にヴェルサロアの後をついていく。


「着いたわよ。ここで世界の設定をしてからその扉をくぐると作った世界に入る事ができるの。実際の様子を確認したい時に使うわ。

 全体像とかパラメータが見たければこのパネルから確認できるわ」

「そういえば課題の内容は何なんだ?」

「えーっとね…作りたいのはステータスのあるファンタジー系世界ってことだからこれかしらね」


どうやら作りたい世界の特徴ごとにそれぞれ違う課題をこなす必要があるらしい。


「出たわ!ステップ1は世界の環境を設定する、種族を5種類作る、魔物を5種類作る、の3つね」


随分とゲームチックな内容のようだ。


「ステップ1ってことはまだその先もあるのか?」

「当然でしょう?そう簡単に許可が下りるようなら苦労してないわよ。

 私これ苦手なのよねー…なかなか思い通りに行かなくて」


(これは…許可が下りるまで時間がかかりそうだし当分異世界満喫はお預けだな。

 まあゲームみたいで楽しそうだしこれはこれでいいか)


悠久は簡単じゃないと言うヴェルサロアの様子を見ながら長くなりそうだとため息をつくいてはいるが、内心ではワクワクしているのであった。

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