ペンギン
氷上をぺたぺた一羽のペンギン。
一息ついて遠くを眺め、
あの彼方まで辿り着きたい。
翼に目をやり、
空へ向かって羽ばたいた。
思い切り、思いっ切り羽ばたくも、
コテっとコケてじたばた。
起き上がって、またぺたぺた。
群れの皆は、滑って先へスイスイ。
真似て滑るも、スー………とぺたぺた。
スイスイ進まず、結局ぺたぺた。
滑れないわけでは無いのです。
何だか、しっくりこないのです。
またパタパタ羽ばたき、コテっと転び。
氷を払ってぺたぺたと。
群れの皆はとうに居ません。
遠くの皆を眺めてぺたぺた。
一息ついて、皆の姿も見えません。
追いかけようにも、
分かるのは最初に眺めたあの場所だけ。
はぐれたペンギン、またぺたぺた。
ぺたぺたパタパタじたばたぺたぺた。
時折羽ばたきたくなるのは、何故でしょう。
何度羽ばたいたって、空へは行けない。
ぺたぺたパタパタじたばたぺたぺた。
いつの間にか、
目指した彼方へ着いていた。
皆は居ないし、
飛ぶことも出来ず。
尻を着いて座り込み、
羽を休めてひとときと。
寂しく恋しく、ぺたぺたと。
空を眺めて羽を見て、
ぺたぺたパタパタじたばた、と。