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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第三章

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赤い鎧

ユキアノはイリエの横へと座り、持って来たトレーを置いて食事を始めた。


目の前に居る竜騎士ザックアリルの生まれ変わりであるユキアノ。

記憶を取り戻して貰い是非、新たな七仙剣(ひちせんけん)に加わって欲しいが、何をどう伝えれば良いのか…さっぱり分からず途方に暮れる。


「そうだ…シュレインのあの白い煙を…」

オレはそう言ったがアルマは首を横に振った。

「あの煙は記憶を呼び出す最後のきっかけ。今の状態で使っても何の効果も出ないわ。」


せっかく最強の武人である竜騎士が目の前に居るのに不甲斐ない。


「さっきから二人で何を話しているの?ユキアノさんが、どうかしたの?」

問い掛けるイリエの隣で食事を取るユキアノは、キョトンとしと顔を見せる。


「ユキアノは…七仙剣の一人だ。」

オレは思い切って打ち明ける事にした…アルマも止めようとはしない。

「え…ユキアノが伝説の七人のうちの一人?」

イリエは驚き、ユキアノの顔を見つめる。


「あのぉ…見られていると…食べにくいのですが…」

ユキアノは七仙剣の事を知らないようで、マイペースに食事を取っている。

知らない方が普通なので、何ら不思議な反応では無い。


「もしかして…他の七仙剣の生まれ変わりも現在にいるの?」

「あぁ…オレとアルマとユキアノ…あと一人は見つけた。残り三人が現世に生まれ変わっているようだ。」

イリエの問い掛けにオレは答えた。


「すごい事だわ…残りの三人も絶対に見つけないとね!」

イリエは両手を合わせ、祈るように言う。

「で、軍に所属しながら、どうやってその三人を探すつもりなの?」

続けて問い掛けるイリエに、オレとアルマは顔を見合わせた。


「そう言えば…そうだな。」

しばらく沈黙が流れる。


と、食事を終えたユキアノが言葉を発した。

「わたし…宗教とかには興味がありませんので…」

「いや…宗教の勧誘じゃなくて…」

オレは慌てて宗教説を否定し、続けた。


「一緒に戦って欲しいんだ。オレにはユキアノの力が必要なんだ。」

そう言うと、ユキアノは笑みを浮かべた。

「戦闘になら参加します。王都での防衛戦は大変でしたが心が躍りましたね。」


あの魔族との戦いで、心が躍ったというのか…

そう言えば、ユキアノの前世であるザックアリルも戦闘を楽しんでいるかのように見えた場面が多々あったな。


ユキアノは立ち上がるとトレーを片付けに去ってしまった。


「ところで、マイトはどうやって前世の記憶を取り戻したの?」

「ん?マイト…?」

常に”マイトくん”だったイリエが突然オレの敬称を省いた。


「マイトがわたしの事を呼び捨てにするのだから、わたしも良いでしょ。」

「あぁ、そうだな。堅苦しいのは無しにしよう。」


何故、今まで敬称をつけて呼び合っていたのかが不思議に思う。が、マイトラクスの真面目な一面からだろうと、自分の事なのに変に納得した。


「で…どうやって記憶を取り戻したの?」

そうだった…イリエの質問を忘れるところだった。


オレは、しばらく天井を見上げ、ここ数日の出来事を整理した。


「きっかけは…王様に貰った白いローブだ。それを身に纏った時に何かを思い出して…」

「そう…朽ち果てた教会に描かれた壁画を思い出したんだ。そこに描かれたトルナシアの姿を見てオレは確信した。」

白い煙の事は割愛したが、こうイリエに説明した。


「じゃぁ…身に纏う衣服とその壁画がポイントね。」

イリエの言葉にオレとアルマは頷いた。

「ザックアリルと言えば…常に赤い鎧を纏っていたわね。」

「あと…相棒の赤竜と長い槍だな。」

アルマとオレは顔を見合わせた。


「赤い鎧…あんなの現世では見た事が無いな。」

「長い槍なら手に入るかも。」


オレとアルマがそう言い合っていると、またイリエが口を開いた。

「ごめんなさい…さっきは衣服がポイントって言ったけど…やっぱり違うと思うわ。いきなり赤い鎧と長い槍を渡されても訳が分からないはずよ。」


確かに…それは間違いない。

「赤竜の姿を見せても同じよね…」

アルマが言うが、お互いに誰?となりそうだ。

3人で頭を傾け、悩んでいるが一向に良いアイデアは浮かばなかった。


「そろそろ行かないと…」

イリエに促され、訓練の場へと向かった。


訓練場に着くと、エタレナ魔法師団長が新しい相棒であるグリルデルJRに技を覚えさせようとしていた。

なかなか覚えてくれない事に対してイライラした口調になっているが、その姿はとても楽しそうに見える。


「エタレナ師団長、マイトラクス…帰還しました。」

「あぁ、キルアスから聞いていたよ、無事に成すべき事は成せたか?」


「はい、おかげで完全な状態となりました。」

「そうか…どうやら、何かを掴んだようだな。」

エタレナ師団長は、オレが前世の記憶を取り戻した事を察したのだろうか。


「実はな…マイトラクス…あなたに応援依頼が来ている。湾岸都市シザカンを守る第三魔法師団長ハンセルトがあなたに応援しに来て欲しいと言うのだ。前回の巨大イカ討伐の際に何かあったのか?」

「あぁ、あの第三魔法師団長ですね。」

シザカンの街の防衛に出張参加した際、あの師団長から自分の部隊を教育して欲しいと懇願された事を思い出した。

確かに、オレは現世で彫刻を建てられる程の英雄だが、自身が開発した光魔法を得意とする魔導士であって、一般的に普及している、火、水、風、土魔法は、上級魔法しか使えない。

指導依頼を受けても正直、うまく指導する自信は無かった。

炎の魔導士シイラル、風の魔導士リズラルなら、最適な役割になるのだが…


「うーん」と唸っていると、アルマが尻尾で叩いてきた。

「ん?何?」

「イリエの…魔法能力を開花させるには水資源が豊富なシザカンの街が最適よ。」

ヒソヒソと話をするオレとアルマ。


「別に良いのよ、他の団に属する魔法師を借りるなんて、おかしな話だから…断るわ。」

エタレナ師団長の言葉をオレは慌てて否定した。

「いえ、是非ともシザカンへと赴きたいです。そして…その出張にイリエも同行させてください!」


オレがそう言うとエタレナ師団長は顔を赤らめた。

「そうか…あなた達は仲が良いと思っていたが…そういう仲だったか。結婚式には是非、呼んでくれたまえ。」

誤解を与えてしまったが、改めて自分のセリフを思い返すと確かに誤解されるような事を言ったな。と反省する。

「いえ、そういうのじゃなくて…」

じゃぁ、どういう事だ?と聞かれても、うまく返事を返せない。


と…その時、イリエがオレ達の方へと近づいてきた。


「イリエ…エタレナ師団長からシザカンへの出張依頼が来た。一緒に行ってくれないか?」

「湾岸都市シザカンね…勿論、一緒に行くわ!」

水の力が溢れるシザカンへ行き、自身の魔力向上を考えていたイリエは即答した。


「二人の気持ちは分かったわ。この街の戦力的には、イリエには留まって欲しいところだけど…仕方ないわね。」

「だけど…一つだけ言わせてちょうだい。イリエ…盲目になってはダメよ。客観的な視点も併せ持ちなさい。」


そうアドバイスされたイリエは首を傾げて答えた。

「え?あ…はい…」


オレとアルマはエタレナ師団長の心情を理解した。

が、シザンカの街で自身の水魔法能力を高めようと決心しているイリエにはエタレナ師団長がオレとイリエの事を誤解してしまった事に、まったく分かっていないようだ。


「あの…わたし、頑張ってきます!」

イリエがそう答えたので、オレとイリエは第三魔法師団長ハンセルトの思惑通り、湾岸都市シザカンへと出張する事になった。


「ちょっと…ユキアノはどうするのよ?」

そう言ったアルマの問にオレは答えた。

「湾岸都市シザカンにも七仙剣の生まれ変わりが居ると大天使様が言っていた。新たな仲間を探すのも大事だろ?」

「まぁ、確かにマイトの言う事も一理あるわね…ユキアノの前世の記憶を取り戻すのは後にして、まずはシザカンに居る誰かを探しましょう。」


オレとイリエ…そしてアルマは湾岸都市シザカンへと移動する準備を始めた。

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