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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第三章

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新たなる旅立ち

「さてアルマ…まずは大天使様に挨拶をしようと思うのだが、どうだろう?」

「そうね…協力してくれるかは分からないけど、キミが直接言えば気が変わるかもしれないわね。」


アルマに魔法陣を展開して貰い、思い出の教会から天界へと転移した。

天界は青い空の美しさが際立っていた。


「さて…行きましょう。」

アルマが空間魔法を使い、大天使様の元へと転移させた。


「うぅ…」

やはり、グニャリと景色が歪む感覚は耐えられず、オレは片膝をついた。


「何…トルナシアの記憶が戻ってもダメなの?情けないわねぇ。」

「あぁ…体はマイトラクスのままだからな。」


そうは言ったが、コレは脳の問題であって体が原因ではないだろう。


「ふーん、じゃぁ…体を鍛えないとね。」

アルマから冷たい視線を浴びた。


前世でも浴びた冷たい視線…アルマの気が強い所は400年前と変わらなかった。

アルマに転移魔法は、どこででも使えるのか聞いて見たが大天使様の力を借りているらしく、天界内だけ行使できるらしい。


目の前には、何本もの透明の柱…クリスタルタワーが並んでいる。

前世で大天使様に謁見したのは1回だけだ。

あの時も天使族に加勢の協力を求めたのだが叶わなかった。

代わりに大天使様から新たな魔法を授かり、オレの能力が大きく飛躍した事は間違いない。


今回は共に魔族と戦ってくれると良いのだが…


オレとアルマは何本もあるクリスタルタワーのウチの一つへと入った。

そこに大天使様が居るから入ったという訳ではない。

会いたいと願い入れば、向こうから姿を現す。

導き合うという表現が正しいだろうか。


クリスタル内の広々とした空間を奥に向かい進むと…大天使様の姿が見えた。


「本来、人族の来訪は歓迎せぬが…そなたなら歓迎しよう。」

そう大天使様が言うと両脇に天使族と思われる二人が姿を現した。

背中に羽根が生えた美しい女性…ペシッ…アルマが尻尾でオレの顔を叩いた。

思わず見惚れてしまったのがバレたのだろう。


「ははは、相変わらずだな。」

大天使様はアルマに対して気を許しているのだろう。笑い声が空間に木霊(こだま)する。


「大天使様…この400年で人族は変わりましたでしょうか?」

オレは大天使様が人族に対して良い印象を持っていない事を知っていた。

オレが居ない間の事も知りたかったし、大天使様の心情も知りたかったので、このように質問を投げかけてみた。


「残念だが…そなたが居ない間も人族は同族同士で争いあっていた。何も変わってはいない。いや…むしろ酷くなった気がする。」

「が…そこに居るアルマティアスから人族の心の事を色々と聞いた。嫉妬や妬みという根源が人族にはあり、それらが悪の元凶だと言う。そんなものは捨ててしまえば良いのに…人族とは不思議なものだ。」

大天使様は苦悩の表情を浮かべた。

アルマは、その表情をじっと見つめる。


「確かに人族は愚かです…が、それは人族が力が弱く、魔力も弱い為です。天使族の力を借りる事が出来れば、人族も今よりはマシな姿になるでしょう。」

オレは天使族の助力を得る為、あえて人族の弱さを伝えてみた。


「弱いなら、人族同士で助け合えば良いではないか。それなのに何故、人族同士で争うのか?肌の色、思想の違い…そんなくだらない事が争いの火種になる事が、我にはまったく理解出来ないのだよ。」

大天使様のもっともな意見にぐぅの根も出ない…流石は、何百年も生きているだけの事はある。


「人族の強欲が争いへと導いたのでしょう…人族は寿命が短い。その事を学ぶ前に事切れてしまうのです。どうか大天使様が我ら人族を導いてください。」

オレがそう言うと大天使様は少し間を置いた後、こう答えた。

(われ)は人族を何百年と見て来た…我が人族を率いろうとした場合、必ずや人族は反発するだろう。」


そうかもしれない…すぐに感情的になる人族。

オレには人族の哀れな心を考えると、これ以上、大天使様を説得する言葉を見つける事は出来なかった。


横に居るアルマを見ると、頷いてきた。

そうか…アルマはすでに大天使様を説得しようと試みた事があるのだな。


「アルマティアス…すまん、オレは大天使様を説得する事は出来ない。」

「そうね…元々淡い期待だったから仕方ないわ。」


大天使様はゆっくりと口を開いた。

「400年前、そなたが魔王を倒した功績は認めよう。願わくは、今回も魔王を倒してくれる事を願う。」

「だが、我々は関与しない…天使族は争わないと決めたのだ。」


その言葉を聞いてオレは質問した。

「人族に戦わせておいて、自分達は戦わない。それは正しい事なのですか?」

「魔族と人族が争うのは勝手だ。我が天使族を巻き込まないで欲しい。ただそれだけだ。」

大天使様が天使族を想う気持ちの大きさが、その言葉から見て取れる。


「魔族が人族を制圧した後、天使族を襲う可能性もあるのですよ。」

「あぁ、分かっている。そうなれば、天使族は新たな地に移るだけだ。」


「移る…というと、魔族が襲ってくる度に、どこかへと逃げるのですか?それでは永遠に逃げる事になりませんか?」

「あぁそうだ。我が天使族は争いを好まない。他種族と争うくらいならば、他の地へと赴こう。我ら天使族は…土地や領土にこだわらない。己が利権にこだわる人族とは違うのだよ。」


ダメだ…完全に言い負かされている。

考えれば考える程、人族の過去の過ちが浮かび上がり…また現在も繰り返している事を悟る。

そうだな…こんな人族は天使族に見放されても仕方ない事だ。


オレは自分の不甲斐なさ…人族の愚かさを思い知った。


「天使族と共に魔族と争う事は無理ね…私たちで手を考えましょう。」

アルマはそう言うと歩いて来た方へと向かった。


「待ちなさい。」

大天使様が帰ろうとするオレとアルマを引き留めた。


「せっかく来たのだ…そなた達が欲する情報を授けよう。」

その言葉を聞いてオレ達は立ち止り振り向いた。


「かつてトルナシアが率いたパーティのメンバーだが、すでに一人は覚醒しているようだな。」

「アルマティアスを除いた残りの四人は、現世で生まれ変わっている。が、記憶を取り戻してはいない。」

「一人は砂漠の街ヤンガノ。一人は湾岸都市シザカン。一人は王都。そしてもう一人は…北に位置する森に居る。助言はここまでだ。」


オレとアルマは大天使様に対し、丁寧にお礼を伝えクリスタルタワーを後にした。


「天使族を味方に出来なかったのは残念だが、良い情報を得たな。」

「そうね、まぁ元々無理だと思っていたから、上出来よ。」

そう、アルマは言ってくれたが少しは期待を持って挑んだに違いない。


「まずは…砂漠の街ヤンガノに居る七仙剣メンバーからだな。」

「キミは…誰だか分かっているの?」

アルマの問に答える事は出来ない…何故なら、まったく分かっていないからだ。

口ぶりからすると、すでに接触しているようだが…


「オレには、そういう能力は無いからな。」

「そう来たか…キミが鈍いだけよ。」

アルマの微笑は小悪魔的だが、オレには懐かしくもあり愛おしくもある。


「前世を思い出したオレなら分かるかもな。」

「期待しているわよ。さて、行きましょうか。」

転移魔法を行使しようとするアルマを止め、オレは言った。


「マイトラクスの体は、重くて使いにくい…ヤンガノの地点まで走ろうか。」

「へぇ…鍛えたい。という言い訳ね。」


「決して、転移はもう勘弁と思っている訳じゃないよ。」

「ふーん、まぁ、そう言う事しておいてあげるわ。」

アルマには勝てない…そう、前世でも思っていたように。

~~~~~~~


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