表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/116

入学試験

「村長さん、王国軍立学園入学への推薦状を書いてください。」


村長さんの家にはボク一人で訪れる事にし、頭を下げた。


「ご両親の許可は得たのかね?」


「はい、むしろ家族が学園に行けと…。」


「分かりました。学園長に紹介状を書きましょう。」


「お願いします。」


ボクの将来に対して淡々と決定される内容があまりに濃くて、現実的な感情を持てないでいた。


何よりボクは、王国軍学園の事はおろか、生まれ育った村の外の事を何も知らないのだ。


「紹介状は出すが、入学試験はあるハズだ。学園は剣士科、魔術科、薬師科の3つがある。」

「魔術科の試験は難しいと聞くから、練習しておくと良い。どんな試験が行われるのか、まったく分からないがな。」

「この村から学園への入学者が出るとなると大変な名誉だ。是非、入学試験の際は馬車の手配をさせて欲しい。」


村長さんの有難い申し出にお礼を言うと、外に出てアルマを呼んだ。


「呼んだ?」


初めて召喚したアルマに対して、ボクは「まるで召喚獣みたいだ…。」と口ずさむ。


「そう言えば、初めて召喚されたわね…って用事も無く呼んだの!?」


なんか怒っているな…。


「いや、用事があって呼んだんだよ。」

「村長さんが、学園に入学するには、試験があるって言うんだ。ボクはてっきり村長推薦があれば無条件で入学出来ると思っていたのだけど。」

「ねぇ、アルマ。試験って難しいのかな?」


はぁ…。


アルマからため息が漏れる。


「キミの実力は王国軍一軍魔道士並みよ。むしろ、手加減しなさい。」


手加減!?

かえって難しいかも…と思い、ボクは困惑の表情を浮かべた。


一ヶ月程経過した後、ボクは王国軍立学園への入学試験の日を迎えた。


試験への道のりは、村長さんが手配してもらった馬車に乗り込む。お父さんが一緒に付いてきてくれた。


初めて来た街。商業都市デマント。

どうやらお父さんも、あまり来た事がないらしい。

慣れている風な事を言っているが、キョロキョロするその姿は、とても慣れているようには思えない。


ボクの見栄っ張りな性格はお父さん譲りだったのかな。


珍しいものが沢山あったけど、入学試験という目的があった為、ボクとお父さんは、真っ直ぐに街に隣接する学園へと向かった。


学園に到着し、村長さんの紹介状を見せるとすぐに学園長室へと通された。


とても気品のある。

豪華さの中にも、奥ゆかしさが満ち溢れた部屋だ。

所々に点在する銀製の装飾品に心を躍らさせる。


謎な村長さんの力を感じると同時に学園長との面会となる。

白髪に面長。細身で高身長の学園長は、真っ白な衣装を纏っている。まさに白だ。


「はじめまして。私がこの学園の校長、ブルナストです。」

丁寧な挨拶に対し、ボクも自己紹介をして返した。


「ダマス村の村長から手紙は受け取っているよ。ちょっとこの壺に火をつけてくれないか?」

学園長の依頼を受け、お父さんと顔を見合わせた。


うなずき合い、壺へと手をかざす。


「火魔法…火球」


軽く呪文を発動すると、壺に火が灯った。


「あの。。。試験はどういった内容なのですか?」と尋ねたボクに対し


笑いながら学園長は、

「今のが試験だよ。綺麗な火魔法を行使できるね…キミは合格だ。ようこそ、王国軍立学園へ。」


あっさりと合格した事にきょとんとするボクと父。


「最近は剣士科ばかりに生徒が集中してしまってね。魔法科への入学は、当学園としても大歓迎なんだよ。」


村長さんの、学園に入学するのは難しいという話は一体 なんだったのだろか…。


まぁ、いっか。

無事に入学許可証を貰えたので、これからは王国軍立学園での生活となる。


村の友達達ともお別れをしないとな…。

色々と考えると胸が苦しくなった。

誤字、脱字報告、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ