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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第二章

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肉の専門店にて

ヤクトルド騎士団長の王都での会議への参加。

その護衛の為にボク達は砂漠を超えて王都へと向かう道中、獣の襲撃を回避した。


とは言え、砂漠の獣を倒した訳ではなく追い返したに過ぎず、何とも釈然としない。


「なぁ、ヤエノ…タナホーガ、倒したいな。」

「そうだな…2回出会したが、どちらも逃げられたからな。次、会ったら焼き尽くしてくれるわ。」

なんとも頼もしい言葉だが、すばしっこい獣を倒すのは難しい。

先程の騎士ガルハルトのように大剣を振り回していては、いつまで経っても倒せないだろう。


魔法師で言うならば詠唱時間の長い上級魔法を繰り出すよりも、詠唱時間の短い下級魔法でサクッと倒すのが一番だ。


いずれにしてもタナホーガの巣である砂漠地帯は過ぎたので、また次回の話だ。


王都に着くと割り当てられた宿へと向かう。

「今回はイリエが留守番だから寂しいなー。マイトもそう思うだろ?」

そう言うヤエノの顔はニヤニヤとしていて、何となく素直に答えるべきでは無いと感じた。

「あぁ…イリエさんは何をしているだろうなー。」

と適当に誤魔化した。


「やぁ、マイトじゃないか。」

そう声を掛けて来たのはサビアスだった。

サビアスはデマントの街を防衛している。同じように護衛役で来たらしい。

「やぁ、サビアス…ヤンガノの街の復興の際はありがとう。」

ボクがそう言った後、ヤエノと3人で学園時代の話に花を咲かせた。


「ところでデマントの街の代表は、ナムーヤ様なのかい?」

「あぁ、そうだよ…今は別の場所に行っているけど、そのうち戻ってくる筈だ。」

長い期間デマントの街の防衛を請け負っているナムーヤ騎士団長。

久しぶりに会いたかったので、戻った際にはボクが会いたがっている旨を伝えて貰うように頼んだ。


「おぅ、マイトラクス…久しぶりだな。」

次に、そう声を掛けて来たのはジンハイト・アーノルドだった。

彼とは学園時代に因縁をつけられ、何度か対峙した。魔法科と剣士科で戦った際の代表同士でもある。

「久しぶりだね、元気にしてた?」


「あぁ、お前とは色々あったが…そのおかげで今の俺がある気がする。」

確かに、色々とあった…主に剣士と魔法師の因縁が要因だったが、それも今となっては良い思い出だ。

ジンハイトがそう言った後ろから似た声が聞こえた。

「ジンハイト、お前は何を魔法師なんかに(こび)を売っているんだ?」

ジンハイトの兄、ガルハルト・アーノルドだ。

「兄さん…オレは成長しただけだ。」

そう伝えたジンハイトは堂々としていた。


「はっ!ぴーぴー泣いていたお前が言うようになったな。」

そう言ったガルハルトを無視して、ジンハイトは立ち去る。


明らかに苛立ちを見せるガルハルトだが、何も言わずに居なくなった。

「ふー、兄弟なのに仲が悪いんだな。」

「ジンハイトが成長したのに、兄のガルハルトが子供のままって事だろ。」

ボクが二人が対峙した姿の感想を伝えたところヤエノが弟が成長したからだと言う。意外と冷静に見ているようだ。


夕食は自由との事なので、ボクはヤエノと二人で肉料理の専門店へと向かった。

サビアスも誘ったが兄のキルアスと共に実家に行くそうだ。逆に誘われたが久しぶりに家族が揃う所に邪魔をすべきでは無いだろう。


「おー、ここだ。ここだ。今日はサービスディらしいぞ!」

ヤエノが嬉しそうに言う。

ボクは笑いながらヤエノの後に続き、店内へと入った。


店内はアンティーク調の品が揃えられ、何となく過去に戻ったような錯覚に陥る。

「兄弟と言うのは、なかなか面倒なのか?」

料理の到着を待つ間、酒を飲みながら一人っ子のヤエノが聞いてきた。

「ボクは…妹のサフィアの事は大事だし、お互いに切磋琢磨する部分もあるけどな。」

そう答えると彼女は難しそうな顔をした。


注文したに肉料理が運ばれてくると、ヤエノは嬉しそうに頬張る。

「これこれ、この新鮮な生肉が最高なんだよ。」

「え?生肉…」

ボクには少しハードルが高く、ヤエノが勧めて来た生肉を断った。

「なんだ?勿体ないなぁ、せっかく肉料理の専門店に来たのに。」

ヤエノはそういうが田舎出身のボクは村の迷信やら、親の教えなどがあり、肉を生で食べる事など出来なかった。


「おぅ、お前等…魔法師のクセに肉を食うのか?」

ジンハイトの兄、ガルハルトだ。

嫌なタイミングで嫌な人物と出くわしてしまったな…そう思わざるを得ない。

ガルハルトはヤンガノの騎士団とは別の騎士と一緒にここで酒を飲んでいたようだ。


「魔法師が肉を食べて何が悪いのよ!?」

そうだね…文句を言われ、ヤエノは反発するのは、もう決まり事のような展開だ。


「ヒョロヒョロの魔法師は野菜でも食っとけ。そうそう、お前の召喚獣もウサギみたいじゃないか。」

そう言って、大笑いしている騎士ガルハルト。

若干、仲間内の間でも浮いているような気がする。


「なんだと?お前、マイトを馬鹿にするのか?」

ヤエノが立ち上がり、ガルハルトと対峙する。肉屋で一触即発の状況だ。


「あぁ、こんなヒョロイの、何が凄いのやら…魔法師はレベルが低すぎるぜ。」

「なんだと?世界を救う力のあるマイトに向かって何を言っているんだ?」

ガルハルトにヤエノが突っかかった。

二人共、結構、酔ってるな…


「ヤエノさん…余計な事は言わないで。」

「マイトも言い返してよ!」

どうして、こうなってしまったのか。


「ちょっと、あんた達!喧嘩するなら外でやりな!」

ボクよりも…いや、もしかしたらガルハルトよりもガタイが大きい女性店員が裏方から出て来て叫ぶ。

とても大きな声で、まるで地鳴りのようだ。


「ははは、オレとやり合うって言うのか!?あぁ?」

ガルハルトがそう叫ぶと共に来ていた友人たちも、騒ぎ立てた。

「受けて立ってやる。マイトにビビるなよ。」

ちょっと待てヤエノ…すでに戦う事が決定している口ぶりだ。


ガルハルト、そしてその友人たちが外に出る。

ボクも仕方なくヤエノと共に外へと向かった。


外に出ると…ほぼ、店の中に居た全員が続いて出て来ている。

あの、やたらガタイの大きい女性店員もだ。

「食い逃げするなよ。」

どうやら、喧嘩の結果よりも金を払うかの心配をしているようだ。


二十人程に囲まれたボクとヤエノ。

店に居たのは騎士団と地元住人が多かったようだ。


「マイト…やっちゃってよ。」

「やっちゃうのは簡単だけど…野次馬が多すぎるって…」


通行人まで立ち止り、何事かと見ている。

店に居た20人に加え、通行人20人といったところか。


ガルハルトは剣を構えた。

「マイトラクス…お前が相手という事で良いな。」


「うーん…ヤエノさん、魔法剣を貸してくれる?」

ボクはヤエノが持つ火属性の魔法剣を構えて、ガルハルトと対峙した。


周りからは歓声が巻き起こる。時間も遅いので、酔っている人が多いようだ。


「ハハハ、マイトラクスよ…オレと剣で戦おうってのか?魔法でも良いぞ。」

「あぁ、魔法は使うつもりだよ。」


そう言うとボクは小声で詠唱を始めた。

「光魔法…視力低下。」

「光魔法…感覚低下。」

「光魔法…筋力低下。」

「光魔法…体幹低下。」

「光魔法…処理低下。」


すべての光魔法を目の前に居るガルハルトに唱えた。

その効果は、すべて能力低下だ。


「ん?なんだ?」

突然…よろめき、千鳥足になるガルハルト。


「どうした?酔っ払ったのか?」

ボクが言うと、足を踏ん張りグッと腹に力を込めているのが分かる。

流石は上級貴族の騎士団員だ。ボクの能力低下の魔法を受けても凛として立っている。


「やぁ!」

ガルハルトは大きな声を上げて、剣を振り下ろしてきた。


「火魔法…火舞!」

ボクは炎を纏った魔法剣で振り降ろしてきたガルハルトの剣を弾いた。


カキンッ!


大きな音を立てて、ガルハルトの剣が吹き飛ぶ。

ガルハルトの筋力を低下させているので、下級魔法の小さな力でも吹き飛んでくれた。


「くっ」

よろめきながら後ろへと下がるガルハルト。


「ちょっと…飲み過ぎたようだ。今回はこれぐらいにしておいてやる。」

ボクの光魔法で五感が鈍っているガルハルト…酔っ払っていると勘違いしたのだろう。


騎士団員以外の野次馬、主に地元住人からはボクに向けて拍手が巻き起こった。

「やったな、マイト!」

ヤエノも喜んでくれたが、ガルハルトとは因縁を残したままで終了となってしまった。

コテンパンにやっつけた方が良かったのかも?と思案しながら、宿に向かって歩いた。

~~~~~~~


連載開始から3カ月が経過しました。

続けて書けるのは、読んでいただいている皆様のおかげです!

ありがとうございます!

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