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【完結】召喚術師の隠し事〜最強の魔法使いはその能力を隠し通す!  作者: あんそに
第二章

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長期休暇 3

長期休暇を利用して学園へと遊びに来ている。

今日は学園も休みなので、妹のサフィアと一緒にデマントの街へと繰り出した。

「ねぇお兄ちゃん、あれ美味しそう…買って♪」

働いてお金を稼いでいる事が分かっているからか遠慮が無いな。


「そんなに食べると太るぞ。」

そう言いながらも当然のように買いあたえる。

「失礼ね!確かに学園に入ってから太ったけど…今日は歩くからいいのよ!」

串焼きを食べながら、文句を言うサフィア。


「何か必要なものがあれば買ってやるぞ。」

こうして一緒に買い物をする機会も滅多に無い事だからと、つい言ってしまった。

もしかしたら、ボクは妹に甘いのかもしれない。


ニヤリと微笑むサフィア。


「じゃぁ、あっちの服屋さんに行きましょ!」

やはり女の子だな…そう思いながら店に入ると、いつの日だったか、この街をイリエと二人で買い物をして回った事を思い出していた。


「ちょっと!お兄ちゃん、何を考えていたの!?」

青色と黄色のカットソーを右手と左手に持ちながら怒っているサフィア。


「え?何を怒ってるの?」

困惑しながら答えるボク。

「このカットソー、青と黄色、どっちが私に似合う?って話!」

完全に怒り口調だ。


「サフィアには黄色が似合うと思うよ。」


「まったく…誰の事を考えていたのだか。じゃぁ…この服、買って。」

う…鋭いな…イリエの事を考えていた事まで分かったのだろうか。


ボクの顔を見つめてニヤリと笑うサフィア。

もしかして…サフィアもアルマみたいにボクの心が読めるのか?

「いいよ…」

サフィアの機嫌を損ねないようにと思い、ボクは笑顔でその服を購入した。


嬉しそうに渡された紙袋を抱きしめるサフィア。

店を出て少し歩くと後ろから声を掛けられた。


「ちょっと…マイトさん?」


振り返ると、そこには薬師科のナタリアが立っていた。

以前、二人で古い教会に行った時の光景が脳裏に浮かぶ。


あれ?

ナタリアは…何故か怖い顔をしている。


「イリエさんという方がいるのに…」


いや、イリエとはお付き合いをしている訳では…

違うな…今の論点はそこでは無い。


ボクが口を開く前に隣に居るサフィアが先に口を開いた。


「えっと…どちら様ですか?」

サフィアはボクに寄り添い、腕を組んでナタリアに聞いた。


「な…。」

口をパクパクとさせ、ナタリアは言葉を発しようにも言葉にならない様子だ。

おそらくだが、ボクも同じような状況だ。


ふたたび、サフィアが口を開く。

「デート中なんですけどぉ…」


「サフィア!」


パーン!


ボクがサフィアの名前を叫ぶと同時にナタリアがボクの左頬を平手打ちした。

涙ぐんでいるナタリア…ボクの左目からも涙が出る。


「ちょっ、お兄ちゃん!?」


ここで、やっとサフィアがボクの事をお兄ちゃんと呼んでくれた。


「え?お兄…ちゃん?」

ナタリアは両手を口に当てた。


「ナタリアさん、久しぶり…こっちは妹のサフィアです。」

左頬を押さえながら、サフィアを紹介した。


ペコリと軽く頭を下げるサフィア。


ナタリアの顔は徐々に赤くなっていく。

「ごめんなさいっ、私…勘違いをしてしまって!」

大きく頭を下げて謝るナタリア。


「元気そうで良かったよ。」

そう言ったボクの笑顔は引きつっていたに違いない。


冷静になり周りを見渡すと、人が集まって来ているのを感じた。

あわてて二人を連れて近くにあったお茶屋さんへと入る。


「ふぅ〜。」

注文をして席に座ると、どっと疲れが出て姿勢が崩れた。

「お兄ちゃん、大丈夫?」

隣に座ったサフィアが心配そうに見てきた。

ナタリアは再度、謝罪を口にしている。

「ナタリアさん、もういいから。」

ボクは申し訳無さそうに何度も謝るナタリアに対し、逆に申し訳なく感じる。


サフィアがナタリアの方を向き、じっと見つめた。

「ナタリアお姉ちゃん、初めまして。妹のサフィアと言います。」

ニコリと笑うサフィア。


「え?お姉ちゃん?」

ボクは驚いて声を出してしまう…ナタリアも同じように驚いている。

何故、いきなりナタリアの事をお姉ちゃんと呼んだのだろうか?


「あ…ナタリアと言います。マイトさんには学園で色々とお世話になりました。」

背筋を伸ばしながらナタリアは答えた。


「ナタリアお姉ちゃんも魔法師なの?」

「いえ、私は薬師です。」

サフィアは、じっとナタリアを見つめたままだ。


「ナタリアさんは、今も薬師科に在籍しているの?」

「はい、卒業をせずに先生の研究を手伝う事にしました。」

ボクの質問にナタリアは笑顔で答えた。

卒業して治療院に勤めるか悩んでいたが、しばらくは研究をする道を選んだのか。


「良い選択だと思うよ。」

じっとナタリアを見ながら言う…と、横からボクをサフィアがじっと見てきた。


「なんだよサフィア…さっきからジロジロとボクとナタリアを見つめて。」


「うーん、お兄ちゃんもなかなかやるわね。と思って。」

ニヤリと笑うサフィア。


こいつは…ナタリアがボクの事を想ってくれている事まで気づいたのか?


「え…」

ナタリアの方を見ると顔を赤らめながら、ボクとサフィアを交互に見ている。


「あ、私…先生に買い物を頼まれていて…、もう行きますね。」

急いでいる様子でナタリアは席を立ち、店から出て行った。


取り残されたボクとサフィアは、そのまま店の出入口のドアを見る。

「で、お兄ちゃん…イリエさんと、ナタリアさん、どっちが好きなの?」

「え?…お前、何を言っているんだ…」


「まぁいいわ…私が選んであげる。」

「いいよ…自分で考えるから。」

そう答えるとサフィアは笑いだした。


「ほんと、お兄ちゃんはウソがつけないわね。ナタリアさんもだったけど。」

サフィアに遊ばれているような気持ちになったボクの顔はムッとしていたのだろう。


「ごめんね、お兄ちゃん。でも…私、嬉しいの。」

「え?なにがそんなに嬉しいんだ?」


「だって…お兄ちゃんの魅力を分かってくれている人が二人も居るんですもの。」

「サフィア…」

ボクはサフィアが嬉しそうに笑っている顔を見ると、さっきまでの怒りが馬鹿らしくなった。


「サフィア、ボクは明日ダマス村に行くよ。」

「そう…もう行っちゃうのね。お父さんとお母さんによろしく。」

サフィアは、とても寂しそうな顔を見せる。

その顔を見ると凄く切ない気持ちになり…ずっとサフィアの傍に居たいとも思った。

が、長期休暇といっても、学生時代の半分も無く時間は限られている。


「お土産…探そうか。」

ボクが言うと、サフィアは嬉しそうに笑った。


色々と店を回り、両親へのお土産を探していると、なんだか街が騒がしい事に気付いた。

何があったのだろうか?


「あ!サビアス!」

そこに学園時代の友人、サビアスが走ってきた。

「マイト!砂漠の街に居たんじゃないのか!?」

久しぶりの再会を喜ぶ暇もない様子だ。


「サビアス、何かあったのか?」

ボクが言うと、サビアスは青い顔をしながら言う。

「マイトが居ないとなると…砂漠の街”ヤンガノ”に魔族が現れたらしい。この街からも応援部隊が出る、僕も行く事になった。」


「え?ヤンガノに魔族が現れただって!?」

「あー、そうだ。ごめん、僕は行かなくっちゃ!」

そう言うとサビアスは走っていった。


「お兄ちゃん、大丈夫!?」

サフィアが心配そうに見てくる。

「アルマ…アルマティアス!」

ボクは空に向かって叫んだ。


空中に赤い魔法陣が光り、アルマが現れる。

「マイト…」

いつになく神妙な表情を浮かべているアルマ。


「アルマ…ヤンガノの街が魔族に襲われたって本当か?」

「急な襲撃みたい…正確に言うと襲われている状況よ。」


「ヤンガノには皆が、イリエとヤエノも居る…。アルマ、何とかならないか!」

ボクが叫ぶも、アルマは黙ったままだ。


「アルマ!何か手はないのか!?」

再び叫ぶと…


「うん、手は…ある事はあるわ。」

「アルマ…頼む!」

ボクが懇願するも、アルマはふたたび口を閉じてしまった。


「アルマさん、お願いします!」

隣に居たサフィアも訴えた。


アルマはボクとサフィアをじっと見ながら言う。

「分かったわ。」


アルマは空中に魔法陣を描くと…「ついてきて。」と言いその中へと消えた。

いつもはアルマが入ると消える魔法陣だが、今日は消えずに漂っている。


ボクとサフィアは頷き合うと、二人でその魔法陣の中へと飛び込んだ。


~~~~~~~


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